COVID-19関連追加(2020325日)

 

ACE阻害薬,ARBについて】

<疑問>

WHOの報告では,心血管疾患高血圧症,(糖尿病)が,「慢性肺疾患」より致死率が高い.なぜなのか?.

 

Figure 1(参考文献3より引用)

※赤矢印:Severe acute respiratory syndrome (SARS)の進行を促進させる.

※緑矢印:SARSの進行を抑制する.

 

<基礎知識として>

@レニンアンギオテンシン系:

ACEとはアンギオテンシン変換酵素のことである.レニンアンギオテンシン(RAA)系が活性化するとACE1によってアンギオテンシンTがアンギオテンシンUに変換され,アンギオテンシンUは血圧上昇など循環器系に影響をおよぼす.よってACE阻害薬(ACEI)とアンギオテンシンUAT1受容体遮断薬(ARB)は重要な降圧薬になる.

一方,近年,ACEのヒトホモログから,ACE2という新たな酵素が発見され,アンギオテンシンTからアンギオテンシン(1-9),アンギオテンシンUからアンギオテンシン(1-7)を生成することがわかった.ACE2はアンギオテンシンUへの親和性が高いので,生体内ではアンギオテンシンUをアンギオテンシン(1-7)に変換する酵素ということになる.ACE2ノックアウトマウスの血中アンギオテンシンU濃度は上昇したが,血圧は著明に上昇しなかった.しかし,継時的に観察すると加齢と共に心機能が低下することがわかり,胸部大動脈狭窄による心肥大を生じさせると,心不全を発症する頻度が増し予後が正常動物より著しく悪化することがわかった.すなわちACE2は血中アンギオテンシンU濃度の調節とともに老化や心負荷に対する適応に重要な役割を果たすことがわかった1).しかし,まだACE2の役割ははっきりわかっていない.

ARBはアンギオテンシンUAT1受容体を遮断するが,ACEには作用しないため,血液中のアンギオテンシンU濃度が高い状態になる.理論的には,アンギオテンシンUAT1受容体の遮断により,副腎皮質からのアルドステロン分泌は抑制されるはずであるが,アンギオテンシンUAT2受容体刺激を介し,アルドステロンの血中濃度上昇が誘発される.アルドステロン血中濃度の上昇は,“アルドステロンブレークスルー”といわれ,心血管障害を増悪させる.カンデサルタン(ブロプレス)やバルサルタン(ディオバン)は,血中アンギオテンシンU濃度を持続して上昇させる.しかし,オルメサルタン(オルメテック)は持続投与の早期から血中アンギオテンシンU濃度を低下させる.オルメサルタンにはACE阻害作用はないので,それによるアンギオテンシンU濃度低下ではなく,ACE2活性化作用を介し,アンギオテンシンUからアンギオテンシン(1-7)への変換によりアンギオテンシンU濃度を低下させ,“アルドステロンブレークスルー”を回避する薬物と考えられている1)

ASARS-CoV-2におけるACE2の役割:

・ウイルスの外表面にあるスパイク蛋白が,肺胞上皮細胞上に発現しているACE2に結合し,細胞内に侵入する2)

 

COVID-19患者においてRAA系阻害薬を中止するべきなのか?>

RAA系とSARS-CoV-2の関係についてはFigure 1を参照してもらいたい3)ARBを投与されている患者では,ACE2の発現が,おそらく25倍に増加している4).腎臓や心臓にACE2発現の増加が認められることが報告されているが5),肺についてはわかっていない.ARBは血中アンギオテンシンU濃度を増加させる6)EslerらはCOVID-19患者に対してARBを用いることに以下のように警鐘を鳴らしている4)アンギオテンシンUは,ACE2の基盤(substrate)であり,おそらくはそれと結び付く酵素,すなわちACE2の発現を増加させることができると思われるACE阻害薬とβ遮断薬は血中アンギオテンシンU濃度を低下させ,ACE2発現を減少させる可能性がある.カルシウム拮抗薬は影響しない.利尿剤やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(スピロノラクトンなど)は,体液量の喪失のため,アンギオテンシンU産生を増加させるので,COVID-19パンデミック時には好ましくないかもしれないARBACE2発現を著明に増加させる点であり,SARS-2-CoV-2の感染性を増加させ,重症度に寄与する可能性がある.なお,ARBを中止にしたのち,過剰なACE2発現が減少する比率はわかっていないことに注意が必要である.本来,高血圧症は典型的にはACE2発現は低下しており,感染症にインパクトを与える疾患ではない.

Soluble human recombinant ACE2 (soluble rACE2)を用いた臨床研究(Clinicaltrials. Gov #NCT04287686)が始まっているらしい3)

一方で,懐疑的な意見もある.SARS-CoVのスパイクプロテインはACE2down regulationを導き,ARB投与下においてマウスの重症肺障害を減少させたという報告がある7)8).すなわち,ARBSARS-CoVによる肺障害に対してむしろ防御的な役割を果たし,RAA系の活性化は肺障害を促進させるという仮説である9)Guenらの1099人の報告10)でも,何人がACE阻害薬,ARBを服用していたかは記載されていない.China PEACE Million Persons Projectのデータベース11)によると,3575歳の中国人の約半数は高血圧症に患っているという.しかし,治療を受けている人はその1/3未満であり,適正血圧がコントロールされているのは10%にも満たないという.高血圧症と糖尿病が死亡リスクの独立した因子なのかまだわかっていないのである3).忘れてはいけないのは,心血管疾患患者においてRAA系阻害薬は死亡率を減少させるという確固たるエビデンスが確立しているということだ.いたずらにRAA系阻害薬を中止にするべきではない3)

 

<小児になぜCOVID-19感染が少なく,そして軽症なのか?>

1)一般的な風邪の原因ウイルスであるαコロナウイルスによる上気道感染を経て交差防御的な抗体ができている.

2小児の下気道には,βコロナウイルスのスパイク蛋白が結合する受容体ACE2がわずかしかない

Diaz JHらは,これらの仮説に加え,ACE阻害薬とARBを静注した動物モデルでは心肺循環においてACE2受容体が増加している実験結果から,ACE阻害薬とARBを服用している患者はSARS-CoV-2感染による死亡率を増加しうる可能性を報告している12)

 

<まとめ(私見)>

325日時点では,上記の内容はいずれもCOVID-19の重症化を防いだというエビデンスではないこれらの警鐘はあくまで推測である.したがって,COVID-19に感染したときにACE阻害薬・ARBを中止にするべきかについては,まだ情報が少なすぎるし,ましてやCOVID-19の予防のために,ACE阻害薬・ARBを中止にするのは科学的ではない.また心血管疾患を有する患者さんにおいてこれらの薬を中止にするのは,むしろリスクが大きいただし,高血圧症のみで他に代替薬があるのならば,流行拡大地域において「あえてACE阻害薬,ARBを使う必要はない」という選択肢はあると考える

 

【参考文献】

1) 田野中浩一, . アンジオテンシン変換酵素2. 日薬理誌2016; 147: 120-121.

2) Zhou P, et al. A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin. Nature 2020. http://doi.org/10.1038/s41586-020-2012-7.

4) Esler M, et al. Can angiotensin receptor-blocking drugs perhaps be harmful in the COVID-19 pandemic?. J Hypertens 2020; 38: 000-000. doi: 10.1097/HJH.0000000000002450.

5) Ferrario CM, et al. Effect of angiotensin-converting enzyme inhibition and angiotensinU receptor blockers on cardiac angiotensin-converting enzyme 2. Circulation 2005; 111: 2605-2610.

6) Gavras I, et al. Effects of eprosartan versus enalapril in hypertensive patients on the renin-angiotensin-aldosterone system and safety paremeters: results from a 26-week, double-blind, multicenter study. Eprosartan Multinational Study Group. Curr Med Res Opin 1999; 15: 15-24.

7) Imai Y, et al. Angiotensin-convering enzyme 2 protects from severe acute lung failure. Nature 2005; 436: 112-116.

8) Kuba K, et al. A crucial role of angiotensin converting enzyme 2 (ACE2) in SARS coronavirus-induced lung injury. Not Med 2005; 11: 875-879.

9) Gurwitz D. Angiotensin receptor blockers as tentative SARS-CoV-2 therapeutics. Drug Dev Res 2020. Epub ahead of print.

10) Guan WJ, et al. Clinical characteristics of coronavirus disease 2019 in China. N Engl J Med 2020. Epub ahead of print.

11) Lu J, et al. Prevalence, awareness, treatment, and control of hypertension in China: data from 1.7 milion adults in a population-based screening study (China PEACE Milion Persons Project). Lancet 2017; 390: 2549-2558.

 

 

 

COVID-19関連追加(2020325日)に331日追記

SPECIAL REPORT

Renin-Angiotensin-Aldosterone System Inhibitors in Patients with Covid-19

Vaduganathan M, et al. N Engl J Med 2020 March 30 doi: 10.1056/NEJMsr2005760より

 

Key points

@ACE2はレニンアンギオテンシン系の活性化を抑制する酵素であり,SARS-CoV-2COVID-19)の受容体の役割も果たす.

A選択的かつ前臨床試験ではRAAS阻害薬はACE2発現を増強させるため,COVID-19患者における安全性の懸念が持ち上がっている.

Bしかし,これらの観察がすぐにヒトに当てはまるかどうか十分なデータはないし,COVID-19患者におけるRAAS阻害薬の影響を評価した研究はない.

CCOVID-19患者におけるリコンビナントヒトACE2ARBであるロサルタンといったRAASモジュラーの安全性と影響の臨床試験が進行中である.

D心不全や心筋梗塞といったハイリスク患者におけるRAAS阻害薬を急に中止することは臨床的悪影響を及ぼす.

E利用できるデータが揃うまで,COVID-19のリスクがある人であれ,検査中の人であれ,そして確定した人であれ安定した状態の患者においては,RAAS阻害薬は続けるべきである

 

という論文が発表された(2020330日).

 

 

COVID-19関連追加(2020325日)に422日追記しました

 

【高血圧症が基礎疾患にあるCOVID-19入院患者のACEi/ARBの使用と死亡率の関連】

Zhang P, et al. Association of Inpatient Use of Angiotensin Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin U Receptor Blockers with Mortality Among Patients With Hypertension Hospitalized With COVID-19. Circulation Research 2020 April 17.

doi: 10.1161/CIRCRESAHA.120.317134.

 

<目的>高血圧症が基礎疾患にあるCOVID-19入院患者のACEi/ARBの使用と全死因死亡率の関係を検討した.

<方法>この他施設共同後ろ向き研究の対象は,高血圧が基礎疾患にあるCOVID-19入院患者1128例で,内訳はACEi/ARB188例(中央値64歳(IQR 55-68),男性53.2%),non-ACEi/ARB940例(中央値64歳(IQR 57-69),男性53.5%),中国湖北省の9病院に20191231日〜2020220日まで入院していた症例である.

<結果>未調整死亡率は,non-ACEi/ARB群に比べてACEi/ARB群でより低かった(9.8% vs 3.7%; p= 0.01).年齢,性別,基礎疾患,入院中の治療といった変数で調節した変量効果を含めた混合効果コックスモデルでは,全死亡リスクはnon-ACEi/ARB群に比べてACEi/ARB群でより低かった(調整下ハザード比0.42; 95% CI 0.19-0.92; p= 0.03)(Figure 2A混合効果コックスモデルにおける不均等変数を調節した傾向スコアマッチング解析では,COVID-19による死亡リスクはnon-ACEi/ARB群に比べてACEi/ARB群でより低かった(調整下ハザード比0.37; 95% CI 0.15-0.89; p= 0.03)(Figure 2B.さらに行ったサブグループの傾向スコアマッチング解析では,他の降圧薬の使用と比較すると,高血圧症が基礎疾患にあるCOVID-19患者の死亡率の減少はACEi/ARBの使用と関連が認められた(調整下ハザード比0.30; 95% CI 0.12-0.70; p= 0.01

なお,正常血圧群と比較して,高血圧群は入院時の呼吸困難,併発症,検査値異常,そしてより侵襲的な治療を受けた比率が高かった.28日間の観察期間中,高血圧症の存在はより高い全死亡率(調整下ハザード比1.41; 95% CI 1.03-1.94; p= 0.03),多臓器障害リスクと関連があった.

<結論>高血圧症が基礎疾患にあるCOVID-19入院患者において,ACEi/ARB未治療患者に比べて,ACEi/ARBで治療を受けていた患者はより低い全死亡率と関連があった.今後はACEi/ARBCOVID-19患者の生存に関連があるかどうか大規模RCTが必要である.

 

私見:当初言われていたACEi/ARBSARS-CoV-2の受容体になるACE2の発現を増加させるためCOVID-19重症化のリスクになるかもしれないという仮説は否定的な方向になっている.むしろCOVID-19の生存に寄与するのかどうか,大規模なRCTが待たれる.

 

 

COVID-19関連追加(2020325日)に52日追記しました

 

COVID-19における心臓血管疾患,薬物治療,そして死亡率】

Mehra MR, et al. Cardiovascular Disease, Drug Therapy, and Mortality in Covid-19.

N Engl J Med. May1, 2020. doi: 10.1056/NEJMoa2007621.

ObjectiveCOVID-19入院患者の院内死亡リスクと背景にある心臓血管疾患,薬物治療との関連を調査する.

Methods

アジア,ヨーロッパ,北アメリカの169の病院のデータベースを用いて20191220日〜2020315日まで入院したCOVID-19患者における心臓血管疾患・薬物治療と院内死亡との関連を調査した他施設観察研究.

Results

COVID-19患者8910例のうち,515例(5.8%)は死亡,8395例は退院した.院内死亡リスクと関連のある独立因子は,@年齢(>65歳)OR 1.93 [95% CI 1.60-2.41])(死亡率:66歳以上10.0% vs 65歳未満4.9%),A冠動脈疾患OR 2.70 [95% CI 2.08-3.51])(あり10.2% vs なし5.2%),B心不全OR 2.48 [95% CI 1.62-3.79])(あり15.3% vs なし5.6%),C心源性不整脈OR 1.95 [95% CI 1.33-2.86])(あり11.5 vs なし5.6%),DCOPDOR 2.96 [95% CI 2.00-4.40])(あり14.2% vs なし5.6%),Ecurrent smokingOR 1.79 [95% CI 1.29-2.47])(既喫煙9.4% vs 非喫煙5.6%)であった.

ACE阻害薬OR 0.33 [95%CI 0.20-0.54])(服用あり2.1% vs なし6.1%),ARBOR 1.23 [0.87-1.74])(服用あり6.8% vs なし5.7%),スタチンOR 0.35 [95% CI 0.24-0.52])(服用あり4.2% vs なし6.0%)であり,院内死亡リスクとACE阻害薬,ARB治療は関連を認めなかった.免疫抑制状態,人種や民族,高脂血症,糖尿病は院内死亡の独立した予測因子ではなかった.

 

Discussion, Conclusions

基礎疾患としての心臓血管疾患,COPDcurrent smokerCOVID-19患者の院内死亡リスクと関連を認めた.女性は男性より死亡リスクが少ないようだ.抗血小板薬,β遮断薬,インスリンやその他の血糖降下薬は有害性も有益性も認めなかった.以前はCOVID-19患者においてACE阻害薬およびARBは有害かもしれないという仮説が存在したが,我々の検討では院内死亡リスクとの関連は認めなかった

この検討ではACE阻害薬とスタチンがCOVID-19患者の生存と関連を認めた.しかしこの検討はRCTではないため,交絡因子の可能性があり解釈には注意が必要である.また我々は多くの変数と院内死亡との関連を調査し,そして一次仮説を事前に明示していない:これらの因子は観察された偶然の関連の可能性を高める.したがって,薬物治療と生存の因果関係を推測するべきではない.またこれらのデータはCOVID-19患者におけるACE阻害薬やスタチンが有益である可能性に言及する情報にはならない.ACE阻害薬とスタチンの有益性を検討するRCTが必要だろう.

 

私見:色々な検討が報告されてきて,情報がまとまってきたと思う.@もともと服用しているACE阻害薬,ARBを中止にする理由はない,Aもしかすると特にACE阻害薬,スタチンはCOVID-19の死亡リスクを減らすかもしれないが,RCTがないので結論はだせない.COVID-19の主たる病態は,“内皮傷害,endotheliitis”であることを考えるとこれらの薬が有用である可能性があるかもしれない.

 

 

 

COVID-19関連追加(2020325日)に56日追記しました

 

ACE阻害薬・ARBCOVID-19検査陽性の関連について】

Mehta N, et al. Association of Use of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin U Receptor Blockers With Testing Positive for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). JAMA Cardiol. May 5, 2020.

doi: 10.1001/jamacardio.2020.1855.

Objective

ACE阻害薬・ARBCOVID-19検査陽性の関連性,および検査陽性でACE阻害薬・ARBを内服している様々な重症度(入院,ICU,人工呼吸管理)の患者のクリニカルアウトカムを検討する.

Design, Setting, and Participants

オハイオ,フロリダのCleveland Clinic Health System主導の重み付けオーバーラップ傾向スコア(overlap propensity score weighting)による後ろ向きコホート研究である.202038日〜412日にCOVID-19検査を受けた患者が対象.

Exposures

COVID-19検査を受けた時点におけるACE阻害薬・ARB内服歴.

Main Outcomes and Measures

COVID-19検査の結果,陽性患者における入院数,ICU入室数,人工呼吸器管理患者数.

Results

COVID-19検査を受けたのは全部で18472例,mean 49歳(SD 21),男性7384例(40%),そして12725例(69%)は白人だった.COVID-19検査を受けた18472例のうち2285例(12.4%)がACE阻害薬・ARBを内服していた.COVID-19検査が陽性だったのは1735/18472例(9.4%),421例(24.3%)が入院,161例(9.3%)がICU入院,そして111例(6.4%)が人工呼吸器管理を受けた.重み付けオーバーラップ傾向スコアはACE阻害薬あるいはARB内服とCOVID-19検査陽性の間に有意な関連性を見出せなかった(重み付け傾向スコアodds ratio, 0.97; 95% CI, 0.81-1.15

Discussion

非調整下分析ではACE阻害薬とARBは,入院,ICU,人工呼吸管理と不良なアウトカムと関連があるようにみえるが,これらの治療薬はしばしば背景にある慢性疾患に使われているものであることに注意しなければならない.それゆえ我々は背景にある交絡因子を調整した重み付けオーバーラップ傾向スコアを使用した.傾向スコアはACE阻害薬あるいはARBを内服していてCOVID-19陽性患者は入院の傾向がある.ACE阻害薬を内服している陽性患者はICUに入院する傾向があるが,ARBを内服している患者には有意差はなかった.人工呼吸器管理に関しては有意差を認めなかった(Table 3).しかし,小規模サンプルであること信頼区間が大きいことに加え,以下のlimitationがあることに注意しなければならない.Limitationは以下:観察研究であるため交絡因子が存在すること,小規模サンプルでありパンデミック早期の検討であったため,より大規模のデータかつ時期が経ってからの検討が必要であること,検査前後におけるそれぞれの薬剤の内服期間を検討していないこと,電子データからの抽出であるため患者の薬剤のアドヒアランスを検討していないこと,それぞれの薬剤を服用しこれらの薬剤と関連がある基礎疾患をもつ入院患者に対してより低い閾値が存在したかもしれないこと,大多数は白人であったこと,検査陽性患者の一部は経過が追えない地域の病院に入院した可能性があること,などが挙げられる.

Conclusions and Relevance

この研究ではACE阻害薬・ARB内服とCOVID-19検査陽性の間に関連性を認めなかった.これらのデータは,COVID-19感染拡大においてもACE阻害薬・ARBを中止しないという最近の専門的なガイドラインを支持するものである.

 

 

Figure