COVID-19関連追加(2020327日)

 

COVID-19に対するヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用療法】

 

Gautret P, Lagier JC, Parola P, et al. Hydroxychloroquine and azithromycin as a treatment of COVID-19: results of an open-label non-randomized clinical trial. International Jounal of Antimicrobial Agents 2020 Mar 20, http://doi.org/10.1016/j.ijantimicag.2020.105949

より.

 

<対象>

12歳以上の鼻咽頭スワブでPCR陽性患者.クロロキンあるいはヒドロキシクロロキンにアレルギー,網膜症,G6PD欠損,QT延長,授乳中,妊婦は除外基準.治療を拒否あるいは除外基準の患者はコントロール群とした

ヒドロキシクロロキン±アジスロマイシン20人(スタート時26人)とコントロール16人で比較した(非ランダム化オープンラベル試験).

26人中6人は治療中断した(ICU1人は治療開始day21人はday31人はday4ICUへ;死亡.1人は治療day3で死亡;1人は治療day3で退院;1人は治療day3で嘔気のため中断).

男性15人(41.7%),mean 45.1歳.

3つのグループ(無症状16.7%,上気道感染(鼻炎,咽頭炎,微熱と筋肉痛)61.1%,下気道感染(肺炎あるいは気管支炎)22.2%).投与群,コントロール群でキャラクターに有意差なし(投与群:無症状2人(10.0%),上気道感染12人(60.0%),下気道感染6人(30.0%);コントロール群:無症状4人(25.0%),上気道感染10人(62.5%),下気道感染2人(12.5%)).

 

<方法>

14日間観察.可能な限り毎日PCR検査を行う.

ヒドロキシクロロキン600mg/3×を10日間さらにヒドロキシクロロキン投与群20人中6人はアジスロマイシンを併用(初日は500mg/日,以後250mg/日を4日間,計5日間),毎日心電図をチェックした併用群の基準は不明

 

Outcome

1primary endpoint治療day6におけるPCR陰性化

2secondary endpoint:観察期間を通してのPCR陰性化,臨床的結果(体温,呼吸回数,入院期間,死亡率),副作用.

今回の論文はprimary endpointの結果のみ

 

<結果>

Figure 1

治療day6で,ヒドロキシクロロキン投与群の70%PCR陰性化,一方でコントロール群で陰性化したのはわずか12.5%が陰性化(p= 0.001

 

Figure 2

ヒドロキシクロロキン投与群とヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン投与群を比較すると,治療day3から変化がみられday6では併用群は100%PCR陰性化したが,単独群で陰性化したのは57.1%であった(p< 0.001.また,この論文でデータは示していないが,無症状例に比べると,上気道感染例および下気道感染例でにおいて治療効果はより高かった(p< 0.05).

注目すべきなのは,うち1人はヒドロキシクロロキン単独投与ではday6の時点でPCRは陽性であったが,day8からアジスロマイシンを併用したところ,day9PCR陰性化したことである.

一方で,併用群でday6時点ではPCR陰性であったが,day8low titerであるが陽性になった例があった.

 

Discussion>

・併用群において,わずか6日でPCR陰性化したのは注目すべき点である.

in vitroではクロロキンよりもヒドロキシクロロキンのほうが抗ウイルス効果は強力.

in vitroにおいてアジスロマイシンはジカウイルスやエボラウイルスに対して抗ウイルス効果がある.おそらく併用によってシナジー効果が生まれたと推測される.重度のQT延長の副作用が懸念されたが,今回の検討では認めなかった.

・ヒドロキシクロロキン群で効果がなかった2人は母親とその息子である.ウイルス株やそのゲノムの検討,そしてヒドロキシクロロキン代謝との関連の検討が必要だろう.

 

<以下私見>

COVID-19の治療としてクロロキンが有用かもしれない報告は多数ある.

しかし,この検討が少人数であること,かつランダム化比較対象試験(RCT)でないことを前提としても,

@治療群の分け方,とりわけアジスロマイシンを追加した基準が不明.

A重症例はなさそう.

B肺炎例は少なく,多くは上気道感染例.

Cprimary outcomePCRなので,偽陰性も考えなくてはならない.

D対象者の年齢は,mean 45.1歳と若い.基礎疾患も不明.

E長期にわたりPCRは陽性,すなわちウイルスが消えるのはmean 20日,最大37日(Zhou Fら.Lancet 2020 Mar 11 doi: 10.1016/s0140-6736(20)30566-3)という報告があるが,この検討はわずかday6までの結果であり,6日以降そして治療期間後はどうなのか.

といった疑問が残る.開業医でも治療できる可能性を秘めたレジメンだが,この論文だけでは何とも言えない.

 

★プラニケル錠200mg,アジスロマイシン錠250mg