COVID-19関連追加(202044~5日分について私見)

 

COVID-19による嗅覚異常について その2

PVODとして考えるよりも急性期の1つの特徴的な症状として考えた方が,クリニックで確定診断を下すことができない現状ではCOVID-19を判別する1つの手段として適当かもしれない.このウイルスの症状は多彩であり,嗅覚障害を含めた上気道症状(いわゆる“風邪”)で発症する,そしてそれを“なんとなく調子が悪い”と訴える人も多いことを常に肝に銘じておく

COVID-19によるARDSは通常のARDSと異なる可能性】

ARDSの画像はびまん性にみえても,換気血流不均等が生じる.換気が悪いところの血流は低酸素性肺血管攣縮が起きて血流は乏しくなる.そして肺胞虚脱を防ぐためにPEEPをかけてFRC:機能的残気量を増加させる.また残っている正常な肺胞に障害を与えないために従圧式人工呼吸を第一選択とし,“やさしい人工呼吸”をする必要がある.肺胞のリクルートメントのためにHigh PEEP,腹臥位換気という管理が大切.病態はびまん性肺胞障害:DADであり,器質化期~線維化期と進行し,肺のやわらかさ(コンプライアンス)は低下する.自分はARDSの病態をこのように認識していた.しかし,COVID-19関連ARDSは肺のコンプライアンスはむしろ低下せず,しかも肺血管攣縮反応も乏しく換気不良な肺胞にも血流は豊富である,そして重度の低酸素血症を認める.これはすべての肺胞が一様に分泌物でジャブジャブしている状態なのか?.重度のARDSに対しては,既存の抗ウイルス薬に加え強力なサイトカインストームに対して抗炎症作用を持つ薬で抑えつつ,この嵐が収まるまで肺を休める(体外式膜型人工肺:ECMO)が最適解になるのだろうか.

BCG接種とCOVID-19との関連仮説】

興味深いデータであるが,あくまで仮説である.最近はブラジルでも感染者が激増している.またドイツや台湾のBCG接種の状況はわからないが,それらの国でも感染者と死亡者は増加している.現時点では,成人に“BCG接種”をどんどん普及させる根拠は存在しないし,本来必要な乳児へのBCG接種需要を減らすようなことがあってはならない

【ソーシャルディスタンシングとしての学校閉鎖の弊害】

感染拡大地域においては時と場合によって学校閉鎖は有効かもしれないが,明らかなエビデンスはないようだ.事情は諸国様々であると思われるが,むしろ医療関係者が業務を十分にできないことによる弊害が大きいようだ.現在本邦では,医師を含む医療従事者のオーバーワークが懸念され,さらに院内感染による医療従事者への感染拡大から病院休止の事態に陥っているケースが少なくない.COVID-19以外の命に係わるコモンな疾患を治療できないことは防がねばならない.

COVID-19抗体検査について】

急性期診断には適していないかもしれないが,感染のリスクを減少でき,簡便であることから有用である可能性は高い.国立感染症研究所のデータからも現時点では実用性は乏しいかもしれない.しかし,現状ではまだまだPCR検査実施への道のりはクリニックレベルでは険しい.抗体検査の特異性は高いので,“もし陽性ならば”,感染症指定病院等へ紹介する“大義名分”になると思う.また一部マスコミやSNSでは,“抗体検査が陽性ならばCOVID-19に罹らない”といったミスリードが行われていると聞く.現時点では,終生免疫については不明であるし,この論文でも抗体価と重症度の関連ははっきりしないと記載されている