COVID-19関連追加(202045-2

COVID-19抗体検査について】

 

Jin Y, et al. Diagnostic value and dynamic variance of serum antibody in coronavirus disease 2019. Int J Infect Dis 2020 Mar 24.

https://doi.org/10.1016/j.ijid.2020.03.065.

COVID-19 PCR確定43例(重症なし.47[IQR 34.0-59.07~74],基礎疾患は少ない.)とコントロール33例(有症状の疑い例).主症状は発熱(62.8%),咳(60.5%).SARS-CoV-2 IgMIgG chemiluminescence法(CLIA,化学発光法,CL法)(Shenzhen, YHLO, Biotech Co., Ltd,それぞれの抗体価カットオフ値は10 AU/ml

IgMIgGの感度は48.1%88.9%で,特異度は100%90.9%であったIgM陽性率は最初上昇し,それから低下する.しかしIgG陽性率は100%まで上昇し,観察期間を通してIgM陽性率より高い.IgMIgGの陽性率・抗体価はPCR陰性化前後で変化はない.一方でIgG抗体価はPCR陰性化前に比べると陰性化後は2倍以上だった.ウイルス抗体検査はCOVID-19診断に有用である.そして陽性率と抗体価変動はIgMよりIgGの方が高い

注意点:

・感染早期は抗体が陰性でもCOVID-19を否定できない.

2例は口腔および喀痰PCR2回陰性になった時点でIgMIgGともに陰性であった.まだ抗体が作られていなかったのか,あるいはただ一回の抗体検査が陰性であっただけなのかわからない.

・高い抗体価が良好な予後に結び付くのかどうかはわからない.

 

※国立感染症研究所からの見解(令和241日)以下引用した.

 

迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価

令和241
国立感染症研究所

 

20203月現在、COVID-19 のウイルス学的診断には主に遺伝子増幅法によるSARS-CoV-2の遺伝子検出が行われているが、それに加えて血清中のウイルス特異的抗体を検出するイムノクロマト法や酵素抗体法(ELISA)を利用した血清学的診断法が検討されている。一般的な急性ウイルス感染症の場合、血中の抗体は、発症後1週間ほど経過した後に誘導される。そのため血清学的診断では、疾患の急性期および回復期の血中抗体価を測定し、抗体の推移を比較する必要がある。よって、発症後速やかに検査を実施し診断する必要がある急性ウイルス感染症の診断法に血清中の特異抗体検出法を取り入れることは比較的難しい。しかしながら、COVID-19は、多くの症例において感染から発症までの潜伏期間が長いと考えられている。また、発症から1週間程度経過した後に症状が急速に悪化して重症肺炎に至るなど、臨床経過が長い症例も報告されている。そのため、COVID-19の診断において血清学的診断が有用となることが期待されている。血清学的診断に必要な血液検体は、採取が比較的簡単で、検体採取時の医療従事者への二次感染リスクが比較的低い。さらに、イムノクロマト法によるウイルス特異抗体検出法は、目視判定による定性分析ができるため、特別な装置を必要とせず、外来・ベットサイドで迅速かつ簡便に検査することが可能であり、一刻も早い臨床現場への導入が求められている。

一方、これらの血清抗体検出系の感度・特異度に関する報告は限られており、臨床現場での利用の仕方や結果の解釈について見解は定まっていない。そこで、国立感染症研究所では、SARS-CoV-2遺伝子増幅法により確定されたCOVID-19患者血清の残余検体(37症例、87検体)を用いて、市販のイムノクロマト法による抗体検出試薬による発症後日数ごとの抗体陽性率を調査した(表)。使用した抗体検出試薬は研究用試薬(A社製)として販売されているものを用いた。その結果、発症6日後までの血清において、IgG抗体陽性となった検体は1例のみであった。この症例は、発症日にIgG抗体陽性であったことから、当該患者血清中に存在した既存抗体の交叉反応による非特異反応、あるいは感染から無症状の期間が長く、発症日と考えられていた日よりかなり前に感染していた可能性があると考えられた。発症78日後の血清では、IgM抗体陽性率は10.0 %およびIgG抗体陽性率は25.0 %、発症912日後の血清では、IgM抗体陽性率は4.8 %およびIgG抗体陽性率は52.4 %発症13日後以降の血清では、IgM抗体陽性率は59.4 %およびIgG抗体陽性率96.9 %であったいずれに期間においてもIgM抗体陽性率はIgG抗体陽性率に比べて低く、IgM抗体陽性となった血清は全てIgG抗体陽性であった

以上の結果から、発症6日後までのCOVID-19患者血清ではウイルス特異的抗体の検出は困難であり、発症1週間後の血清でも検出率は2割程度にとどまることが明らかになった。また、抗体陽性率は経時的に上昇していき、発症13日以降になると、殆どの患者で血清中のIgG抗体は陽性となった。一方、IgM抗体の検出率が低く、IgG抗体のみ陽性となる症例が多いことから、当該キットを用いたCOVID-19の血清学的診断には発症6日後までの血清と発症13日以降の血清のペア血清による評価が必要と考えられた。さらに、1症例ではあるが、非特異反応を否定できないIgG抗体の陽性がみられたことから、結果の解釈には、複数の検査結果、臨床症状を総合的に判断した慎重な検討が必要である。これらの結果は、37症例(87検体)と少数の症例での検討であることや他の感染症患者検体を用いた評価がなく特異度に関する情報は得られていないことなどから、本結果をもって当該試薬の臨床性能を評価するものではない。また、市販試薬は、使用している抗原タンパク質の性質の違いなどにより、感度・特異度が試薬毎に変わる可能性があり、全ての抗体検出試薬において同様の結果が得られるかは不明である。本調査は限定的なものではあるが、これらの結果は、COVID-19の血清学的診断法の臨床的位置づけを考える上での参考情報となることを期待する。

 表:発症後日数ごとの抗SARS-CoV-2 IgM, IgG抗体陽性率

発症後日数a

IgM抗体

IgG抗体

IgM抗体 もしくは IgG抗体b

検体数

陽性数

陽性率(%)

検体数

陽性数

陽性率 (%)

検体数

陽性数

陽性率 (%)

Day 1 - 6

14

0

0.0

14

1c

7.1

14

1 c

7.1

Day 7 - 8

20

2

10.0

20

5

25.0

20

5

25.0

Day 9 12

21

1

4.8

21

11

52.4

21

11

52.4

Day 13 -

32

19

59.4

32

31

96.9

32

31

96.9

  1. 発症日をDay 1とする。
  2. 今回の検討ではIgM抗体陽性検体は全例IgG抗体も陽性であった。
  3. Day 1IgG抗体陽性となる検体が1検体あり、結果の解釈には注意が必要である。