COVID-19関連追加(2020415-2

 

【現時点におけるファビピラビルのエビデンスについて】

@Cai Q, et al. Experimental Treatment with Favipiravir for COVID-19: An Open-Label Control Study. Engineering 2020

http://doi.org/10.1016/j.eng.2020.03.007

ファビピラビル(FPV)とロピナビル(LPV/リトナビル(RTV)の効果を比較検討したオープンラベル試験(ランダム化ではない).対象は1675歳の成人で,症状出現後7日以内に投与を開始した.

FPV群(35例)は,FPVday1: 1600mgx2/; day2-14: 600mgx2/日)に加え,インターフェロンα吸入(50000Ux2/日).

LPV/RTV群(コントロール群,45例)は,LPV/RTVday1-14: 400mg/100mgx2/日)に加え,インターフェロンα吸入(50000Ux2/日).

2群間におけるCT所見変化,ウイルスクリアランス,薬剤安全性を比較した.

ウイルスクリアランスの定義:24時間以上空けて2回のPCR検査が陰性

FPV群は,ウイルスクリアランスまでの時間がコントロール群より短かった(median 4 days (IQR 2.5-9) vs 11 days (8-13), p< 0.001))

治療開始後14日の時点で,FPV群は,CT所見の改善率がコントロール群より高かった(91.43% vs 62.22%, p= 0.004

Multivariable Cox regression解析では,FPV群は独立してより速いウイルスクリアランスと相関した.またFPV群はコントロール群に比べて有害事象はわずかであった(4例(11.43%vs 25例(55.56%)).下痢が2例,肝障害・腎障害が1例,食欲不振が1例.

FPVは,COVID-19における病状の進行とウイルスクリアランスにおいて効果を示した.

⇒ところが...

論文は取り下げになってしまった.理由は不明.⇒しかし418日日本感染症学会ライブ放送によると,再び掲載されたようだ.さらに理由は不明.

 

AChen C, et al. Favipiravir versus Arbidol for COVID-19: A Randomized Clinical Trial. medRxiv 2020 April 8.

http://doi.org/10.1101/2020.03.17.20037432.

ファビピラビル(FPV)とarbidol(ロシア産の抗インフルエンザ薬)の効果を比較検討したランダム化比較オープンラベル試験.対象はPCR陽性で確定診断された,あるいは臨床症状と胸部CTで診断した発症12日以内18歳以上の患者.生命予後が48時間未満と予想された重症・致命的症例は除外した.

投与方法:FPVday1: 1600mgx2/; day2-試験終了日まで: 600mgx2/日),arbidol200mgx3/日を試験終了日まで).治療期間は7~10日間であり,必要と判断した場合は10日まで延長した.

FPV群は116例,arbidol群は120例.

Primary outcomeは治療開始後7日目における臨床的改善率とした.臨床的改善とは,体温の72時間を超える回復(腋下温で36.6℃以下),呼吸回数(24回以下),SpO298%以上),咳の改善(軽度あるいは消失)と定義した.

Secondary outcomeは発熱回復期間(試験開始から体温低下まで),咳改善期間(試験開始時の中等度~重度から咳改善まで),補助酸素療法あるいは非侵襲性人工呼吸管理使用率,試験期間中の死亡率,試験期間中の呼吸不全発症率(酸素投与なしでSpO2 90%以下あるいは酸素投与下でもPaO2/FiO2<300mmHg)とした.

7日目の時点で臨床的改善率はFPV61.21%71/116例),arbidol51.67%62/120例)であり,2群間の改善率差は0.095495%CI -0.0305, 0.2213)であった.従って,7日目で,FPVarbidolに比べて臨床的改善率における有意な有効性はないと結論した

事後解析では,中等症の患者において7日目の臨床的改善率はFPV71.43%70/98例),arbidol55.86%62/111例)(p= 0.0199)であり,2群間の改善率差は0.155795%CI 0.0271, 0.2843)だった.重症/致命的な患者において7日目の臨床的改善率はFPV5.56%1/18例),arbidol0%0/9例)(p= 0.4712)であり,2群間の改善率差は0.055695%CI -0.0503, 0.1614)であった.

 

発熱と咳の罹患率はベースラインにおいては両群とも同様であったが,発熱回復期間および咳改善期間はFPV群で有意に短縮が認められた(p< 0.0001).

事後解析では,治療期間中の潜在的な呼吸困難罹患率(de novo incidences of dyspnea)はFPV群で3.45%4/116例),arbidol群で11.67%14/120例)(p= 0.0174)であった.FPVは有意に発熱回復期間と咳改善期間を短縮したFPVは補助酸素療法あるいは非侵襲性人工呼吸管理使用率を下げなかったし,呼吸不全発症率も下げなかった

有害事象はFPV群で37例,arbidol群で28例に認められた(いずれもレベル1).尿酸値の上昇(FPVvs arbidol: 16(13.79%) vs 3(2.50%) (p= 0.0014))はFPV群で有意に認められた.肝障害(8.62% vs 10.00%),神経障害(感覚障害)(4.31% vs 0.83%),消化器症状(嘔気,胃酸逆流,膨満感)(13.79% vs 11.67%)は同様であった.ほとんどの有害事象は退院時には消失した.

limitation:重症例に対しての有効な薬は明らかではない.観察期間は緊急事態であるため限定される.診断に必ずしもPCR検査を必要としなかった.試験にエントリーする患者の重症度を事前に指定しなかった.

※エントリー例において,FPV群には重症/致命的症例が18例,arbidol群には9例であり,p= 0.0531と統計学的にはマージナルであった.両群の重症度の違いはアウトカムに重要なインパクトを持つ.

 

私見:@の論文がなぜ取り下げになったのか不明.なんとも言えないが,「ファビピラビルは良いかもしれない」くらいの感じでしょうか.事後解析では結論は出せない.重症例については不明.もっとも無治療群と比較しているわけではありませんが...