COVID-19関連追加(2020425日)

 

【病室におけるエアロゾルおよび物質表面のSARS-CoV-2の分布】

Guo ZD, et al. Aerosol and Surface Distribution of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Hospital Wards, Wuhan, China, 2020. Emerging Infectious Disease 2020 April 10.

https://doi.org/10.3201/eid2607.200885.

いわゆる4m論文ICUには重症患者15例,病室(GW: general COVID-19 ward)には軽症患者24例は入院していた.

エアロゾルサンプルは,SASS 2300 Wetted Wall Cyclone Sampler (Research International, Inc.) 30分,300 L/分で集めた.

湿った無菌スワブを使用し,床,PCマウス,ゴミ箱,ベッド柵,患者のマスク,PPE,排気口(エア)を調査した.質量的rt-PCR検査を用いて,エア,物質表面サンプルのSARS-CoV-2 open reading frame (ORF) 1abおよびヌクレオプロテイン遺伝子を調べた.

全サンプルにおける陽性率(ICU: 54/124, 43.5%; GW: 9/114, 7.9%)とICUの方が高かった床はICU: 7/10, 70%; GW: 2/13, 15.4%, であった.重力と気流が湿ったウイルス飛沫を地面に漂わせるためであろう.医療従事者が歩き回るため,ウイルスは床のあらゆる所から検出され,患者がいない薬局(Figure 1Apharmacy)の床でさえ陽性率は100%であった.加えて,ICUスタッフの靴底から得たサンプルの50%は陽性であった(平均ウイルス量3.2x104 copies/L.それ故,医療従事者の靴底がウイルスの運び手になっているかもしれない.着替え部屋(dressing room4から弱陽性サンプルが3つ得られたこともこれを説明しているかもしれない.我々はCOVID-19患者の病室から退室する前に靴底を除菌することを強く推奨する

物質表面では,PCマウスが最も陽性率が高かった(ICU: 6/8, 75%; GW: 1/5, 20%.次にゴミ箱(ICU: 3/5, 60%; GW 0/8),ベッド柵(ICU 6/14, 42.9%; GW 0/12),ドアノブ(GW 1/12, 8.3%)であった.ICUスタッフのフェイスシールドの陽性率は0%,袖口16.7%(ウイルス量7.1x103 copies/L),グローブ25%2.9x103)と散発的に認められたICUの床のウイルス量は6.6x104,薬局の床は7.45x104PCマウスは2.8x104,患者マスクは3.3x103,空気排気口は1.5x105であり,スタッフの着用物はこれらより平均ウイルス量は少ない.医療従事者は患者に接したら速やかに手指消毒をするべきである.また患者のマスクを廃棄する前に十分な除菌をするべきである

 

 

 

 

 

<Figure 1>

<Figure 2>

 

ICUからは1時間当たり12air supplies16air dischargesGWからは1時間当たり8air supplies12air dischargesを集めた.エアサンプルのうち陽性率はICU: 14/40, 35%GW: 2/16, 12.5%であった空気排気口スワブサンプルの陽性率はICU: 8/12, 66.7%GW: 1/12, 8.3%であったこれらはSARS-CoV-2はエアロゾル感染のリスクがあることを示唆する

以下はFigure 2を参照.ABICUCDGW.オレンジサークルは採取場所,青矢印は空気の流れ,オレンジ矢印は患者頭部からの水平距離を示す.

ICUにおいてエアサンプルを採取したのは,空気排出口付近(site 1),患者付近(site 2),ドクターオフィス(site 3)である.陽性率はsite 1: 5/14, 35.7%site 2: 8/18, 44.4%site 3: 1/8, 12.5%であった.ICUでは患者付近や空気の流れの下流に主としてウイルスを含むエアロゾルが存在するが,驚くべきことにsite 3すなわち空気の流れの上流にもウイルスを含むエアロゾルが存在し,感染伝播の最大距離は4mにも及ぶかもしれないことを示唆している.これらを踏まえ,ICUは高リスクエリア,低リスクエリアの2つに分け(Figure 2B),高リスクエリアの陽性率は13/32, 40.6%,低リスクエリアは1/8, 12.5%であった.

GWにおいては(Figure 2C),患者付近1msite 1),患者頭部から2.5m上流(site 2)からエアサンプルを採取した.ただsite 1のみからウイルスは検出され,陽性率2/11, 18.2%であった.高リスクエリアの陽性率2/16, 12.5%であり,低リスクエリアからは検出されなかった.

ConclusionsICUや病室において空気やさまざまな物質にSARS-CoV-2は分布し,医療従事者への感染リスクが高まる.一般病室よりもICUの方がウイルスによる環境汚染が強い.SARS-CoV-2を含んだエアロゾルは4mまで感染伝播させる可能性がある.

Limitationは,ウイルスの核酸検査は生存しているウイルス量を反映するものではないこと,感染性をもつ最小ウイルス量は不明であるためエアロゾル感染伝播の正確な距離は結論づけることができないこと.

 

私見:もし外来でCOVID-19疑い患者さんと接するときは,空気の流れの上流1m以上は離れる(可能ならば2.5m).