COVID-19関連追加(2020427-2

 

Laser Light Scatteringによる発声が生み出す飛沫の可視化】

Anfinrud P, et al. Visualizing Speech-Generated Oral Fluid Droplets with Laser Light Scattering. N Engl J Med. 2020 April 15. doi: 10.1056/NEJMc2007800.

発声時のエアロゾルと飛沫はウイルスのヒトーヒト感染伝播に関与する.発声は様々な大きさの口腔液体飛沫(oral fluid droplets)を生み出し,それには感染性のあるウイルス粒子が潜んでいる.大きな粒子はすぐに地面に落ちるが,小さな飛沫は水分が抜けて空気中に飛沫核として浮遊することになる.そしてそれはエアロゾルとしてふるまい,感染性をもつ粒子を広げることになる.我々はlaser light scatteringを用いた実験で,発声が生み出す飛沫とその軌跡を可視化したので報告する.

2.5-Wの光学力をもつ532nmのグリーンレーザーを出力とした光線を,厚さ約1mm,高さ150mmの薄いシートに通過させた.そしてこの薄いシートを53x46x62cmの段ボール側面のスリットを通した.内部は黒色で塗った.塵を除去するためHEPAhigh-efficiency particulate air)フィルターで囲んだ.

治験者が箱の開放口を通して発声したとき,発声時の飛沫は薄いシートを通過する前に約5075mm横切った.そして反対側の側面の7cm大の穴を通してiPhone 11 Pro video cameraによって薄いシートを毎秒60フレームでlight scatteringイベントを記録した.

治験者がstay healthy」と発声したとき20500μmのたくさんの飛沫が発生し,この飛沫が薄いシートを通過する際にフラッシュ(flashes)を生み出す(Figure 1).フラッシュの輝きは粒子の大きさを反映し,それらはvideo撮影の16.7msec〜シングルフレームの間,存在していた.撮影時シングルフレーム中の粒子数は,“th”の発音時と“healthy”の発音時に最も多かった(Figure 1A.フェイズ間は短い休止として,3回同じフェイズを繰り返した.フラッシュ数は最も大きな声で発声した時の347が最も多く,最も少ないのは最も小さな声で発声した時の227だった(Figure 1Atop trace.一方同じフェイズで少し湿らせた布で治験者の口を覆って発声させた場合は,バックグラウンドレベル(mean 0.1フラッシュ)に近いくらいの少ないフラッシュ数であった(Figure 1Abottom trace.これは前方に移動する飛沫を減少させることを意味する.

我々の研究で大きな声での発声によってフラッシュ数が増加することが判明した.咳や鼻すすりよりも発声は飛沫の拡散は少ないという報告もあるが,会話は咳と同程度の飛沫を拡散させるという報告もある1)

我々は発声によって生み出される飛沫や飛沫核そしてエアロゾルの役割は検討していない.この研究によって発声が生み出す飛沫を可視化でき,湿らせた布で口を覆うことが飛沫の拡散を防ぐ効果を持つことが示された.

1) Chao CYH, et al. Characterization of expiration air jets and droplet size distributions immediately at the mouth opening. J Aerosol Sci 2009; 40: 122-133.

 

→私見:会話をする際は,なるべく小さな声で