COVID-19関連追加(429-2

 

【レストランのエアコンに関連したCOVID-19アウトブレイク】

Lu J, et al. COVID-19 Outbreak Associated with Air Conditioning in Restaurant, Guangzhou, China, 2020. Emerging Infectious Disease 2020.

https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0764_article.

2020126日〜210日,COVID-19アウトブレイクによって中国の広州市のエアコンが作動していたレストランで食事をしていた3家族(家族AC)において10人が感染した.家族のうち1人は中国湖北省武漢市へ旅行していた.

 

123日,武漢市を旅行していた家族Aは広州市へ戻った.124A1は家族のメンバー3人(A2A3A4)とレストランXで昼食をとっていた.一方家族B,家族Cは同じレストランの隣のテーブルを囲んでいた.後日,A1index patient)は発熱,咳を認めたため病院を受診した.25日まで全部で9人(家族Aからは4人,家族Bからは3人,家族Cからは2人)がCOVID-19に罹患した.家族Bと家族Cのメンバーが感染したことに関連があると考えられるのは同じレストランにA1がいたことであった.我々は家族B1メンバー以上,家族C1メンバー以上に家族内伝播が起こったと結論付けた.

レストランXは窓がないビルのエアコンが作動していた5階にあった.この3階のダイニングフロアは145m2であり,各々のフロアにはそれぞれエアコンが設置されていた.テーブル間は1mであった.家族Aと家族Bの食事時間は53分,家族Aと家族C73分の重複があった.空気の排気口と戻ってきた空気の吸込口はテーブルCの向こう側に設置されていた.124日は全部で91人(客83人,従業員8人)がレストランXにいて,83人は3階の15のテーブルで昼食をとっていた.客83人のうち10人がCOVID-19に罹患した.他の73人は濃厚接触者として14日間隔離された.この期間中,いずれも無症状である濃厚接触者からの咽頭スワブ採取,エアコンから6スメアサンプル(排気口から3,吸込口から3)採取をしたが,いずれもSARS-CoV-2RT-PCRは陰性であった.

感染伝播経路としてアウトブレイクの原因は飛沫感染が最も考えられた.昼食中A1は無症状であったが,症状発症前の感染伝播も報告されている.家族Bの潜伏期間を考えると,最も考えられるシナリオは家族B3人はA1から直接感染したというものだ.しかし,B1(家族B1の初めの感染者.※訳者:FigureB2Jan 5ではなくてFeb 5では?)からB2B3が直接感染した可能性は除外できない.家族Cにとって可能性のあるシナリオは,A1から直接C1C2が感染したというものであるが,他のシナリオは127日に発症したC2のケアをしていた間にC1が感染したというものである.

このアウトブレイクは単なる飛沫感染だけでは説明がつかないA1から,特にテーブルCは,ゆうに1mを超えていた.しかし,エアコンからの強い空気の流れによって飛沫が,テーブルCからテーブルAへ,それからテーブルBへ,そして再びテーブルCへ広がりえたかもしれない

ウイルスの小さなエアロゾル化した飛沫核(< 5μm)は空気に留まり,1mを超えて浮遊する.SARSMERSのエアロゾル感染の可能性が報告されてきた.しかし,レストランXの他のテーブルの客や従業員はいずれも感染していない.さらにエアコンのスメアサンプルはいずれもRT-PCR陰性だった.これらの所見はエアロゾル感染伝播を支持しない.しかし,エアロゾルは気流に乗り,長い距離を浮遊するので,ウイルスの濃度がより低くなったエアロゾルはレストランの他の場所に感染を広げるには不十分であったかもしれない.

感染伝播のキーとなるのは空気の流れであった

私見:少し前の論文であり,エアロゾル感染よりも飛沫感染に着眼したものである.しかし,飛沫感染だったとしても空気の流れが重要であることを示したものである.