COVID-19関連追加(2020429日)

 

SARS-CoV-2の検出において唾液は鼻咽頭スワブよりも感度が高い】

Wyllie AL, et al. Saliva is more sensitive for SARS-CoV-2 detection in COVID-19 patients than nasopharyngeal swabs. medRxiv 2020.

https://doi.org/10.1101/2020.04.16.20067835.

<目的と方法>

COVID-19入院患者とCOVID-19病棟で働く感染リスクのある無症状医療従事者から採取した鼻咽頭スワブと唾液検体を比較した.検査室に検体が届いた後,MagMAX Viral/Pathogen Nucleic Acid Isolation kit (ThermoFisher Scientific)を用いて,鼻咽頭スワブviral transport media300μl,また全唾液検体の300μlから全核酸を抽出し,次に75μlの溶質バッファーにて溶解した.SARS-CoV-2 RNAを検出するためU.S. CDC推奨の2019-nCoV_N1およびN2 RT-PCRプライマープローベセットを使用した.N1N2は同等であるため,この研究における各パラメータの計算はN1を用いた.そして抽出コントロールとしてRNase P (RP)を用いた.N1およびN2プライマープローベセットでCT38未満のとき陽性とした.

入院患者の鼻咽頭スワブ(看護師)および唾液検体(自ら)は経過中3日毎に採取した.唾液検体については,患者が起床した後,食事・水分摂取そして歯磨きをする前に尿カップの約1/3くらい溜まるまで,繰り返し液体成分(泡を除く)を排出してもらったそれを常温保存し,5時間以内に検査室へ輸送した.医療従事者の鼻咽頭スワブおよび唾液検体は2週間の期間で3日毎採取してもらい,輸送するまで+4℃で保存した.

<結果>

COVID-19入院患者44例は重症例を含み,19例(43%)はICU10例(23%)は人工呼吸管理,2例(5%)は202045日に死亡した.総サンプル数は121,鼻咽頭スワブおよび唾液検体を採取できたのは29例(重症度は同様)で総サンプル数は76だった.

全ての陽性検体(鼻咽頭スワブ46,唾液37)おいて,唾液検体のウイルス幾何平均抗体価(GMT: geometric mean titer)は鼻咽頭スワブ検体より5倍以上高かった(p <0.05, Mann-Whitney test; Figure 1a).患者にのみ適用した陽性検体(各々38)においては,唾液検体からのウイルス価(titer)は鼻咽頭スワブ検体より著明に高かった(p= 0.0001, Wilcoxon test; Figure 1b).さらに8マッチングサンプル(21%)からは唾液検体のみウイルスを検出し,鼻咽頭スワブ検体からの検出はわずか3マッチサンプル(8%)のみであった(Figure 1c).入院患者からのウイルス抗体価は唾液検体でより高いことがわかった

多数の鼻咽頭スワブ検体を採取した入院患者22例,多数の唾液検体を採取した12例において,ウイルス価は症状出現日から時間を追うごとに減少した(Figure 2a

鼻咽頭スワブ検体が陰性だった5例は次の回では陽性だった(5/33リピート, 33%; Figure 2b).しかし,12例から採取した唾液検体の経過で陰性後に陽性になった例は認めなかった.ウイルス価の時間的変化を観察するとき,鼻咽頭スワブ検体よりも唾液検体の方がばらつきは少ないと考えられる

 

 

 

鼻咽頭スワブ検体は陰性だったが,唾液検体で陽性であった無症状医療従事者を2例認めた.うち1例は2日後に繰り返し行った鼻咽頭スワブPCRは陰性だったが,その時に行った唾液PCRはやはり陽性であった.有症状の入院患者に比べて,無症状医療従事者の唾液検体中のウイルス価は低かった(Figure 3a).これはおそらくは症状の欠如を反映する.

医療従事者(p= 0.0002, F test for variances)および入院患者(p= 0.0001)から採取した鼻咽頭スワブ検体は,唾液検体に比べてHuman RNase P CT値のより大きな変動が認められた(Figure 3b).SARS-CoV-2感染において有症状者であれ無症状者であれ,鼻咽頭スワブ検体よりも唾液検体はより適切で,おそらくはより感度が高いことが示唆された

唾液検体の自己採取は,医療従事者-患者の直接的な接触を減らし院内感染リスクを減少させることができる.そしてスワブやPPEpersonal protective equipment)の需要を変えることができる.

DiscussionLimitation>

SARS-CoV-2のウイルス量は軽症と重症では異なるとされるが1),この研究では多くの重症例を含んでいる.より早期の症例における唾液検体の有用性を検討する必要があるが,無症状例および外来患者におけるウイルス検出の可能性を示唆する2つの報告が存在する2)3)COVID-19患者の唾液から感染性のあるウイルスが検出されたという報告4)があり,発症前感染者の唾液中のウイルスゲノム量と感染性のあるウイルス粒子の関係性を検討することは,無症状感染者からの感染伝播を理解するためのキーとなるだろう.

無症状感染者からのSARS-CoV-2検出の結果を踏まえて2),唾液中のSARS-CoV-2検出法はすでにU.S. Food and Drug Administration emergency use authorizationの承諾を得られている3)

1) Liu Y, et al. Viral dynamics in mild and severe cases of COVID-19. Lancet Infect Dis 2020. doi: 10.1016/S1473-3099(20)30232-2.

2) Kojima N, et al. Self-Collected Oral Fluid and Nasal Swabs Demonstrate Comparable Sensitivity to Clinician Collected Nasopharyngeal Swabs for Covid-19 Detection. medRxiv 2020.04.11.20062372(2020).

3) U.S. FoodDrug Administration. Accelerrated Emergency Use Authorization (EUA) Summary SARS-CoV-2 Assay (Rutgers Clinical Genomics Laboratory).

http://www.fda.gov/media/136875/download.

4) To K, et al. Consistent Detection of 2019 Novel Coronavirus in Saliva. Clin Infect Dis 2020. doi: 10.1093/cid/ciaa149.