COVID-19関連追加(2020725-2

 

SARS-CoV-2エアロゾルによる感染性】

Santarpia JL, et al. The Infectioius Nature of Patient-Generated SARS-CoV-2 Aerosol.

medRxiv. https://doi.org/10.1101/2020.07.13.20041632.※プレプリント論文です.

Introduction

COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2の感染伝播は,複数の伝播形式によって発生する可能性がある.

Methods

我々は,SARS-CoV-2の空気感染リスクを同定するために,20204月に混合急性期病棟に入院した患者6人の周りのエアロゾルサンプルを採取した.エアロゾル粒子サイズによる分布を特徴づけるために測定を行い,患者環境において4.1μm以上1-4μm1μm未満の粒子サイズにおける感染性ウイルスの存在を評価するために,サイズ毎のエアロゾルサンプルを収集した.サンプルは,リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR),細胞培養,ウエスタンブロット,および透過型電子顕微鏡(TEM: transmission electron microscopy)によって分析した.

Sample Collection:

20204月に計3日間,2つの病棟5室の患者6人の周囲のエアロゾルをサンプリングした(Table S1).Aerodynamic Particle Sizer Spectrometer (APS 3321; TSI, Inc., Shoreview, MN)が,0.542μm20μmまでのエアロゾル粒子濃度およびサイズ分布を測定するために,用いられた.サイズの異なるエアロゾルサンプルを,rRT-PCRと培養分析に提供するために,NIOSH BC251サンプラーを用いた.BC251は,3.5 Lpmで運転した場合,(1)4.1μm以上の粒子を15 mLのコニカルチューブに,(2)14μl1.5 mlのコニカルチューブに,(3)1μm未満の粒子を37 mmフィルターに集め,3段階のサイズに分けられたエアロゾルを提供する乾式エアサンプラーである.この研究では,最終的にウイルスを完全に保存するために,ゼラチンフィルター(Sartorius, GmbH)を用いた.APS測定は,データを収集しているラップトップバッテリーが切れたため10分後にサンプリングを中断した Room 5Cを除いて,各部屋において1分間隔,計30分間行ったAPSと同時にBC251サンプラーを,各部屋の患者のベッド足元において,30分間稼働した.未使用の37 mmゼラチンフィルターを各日のコントロールとして使用し,処理中のサンプルの二次汚染をモニターした.

Cell Culture and Detection of Viral Replication:

環境サンプルからSARS-CoV-2ウイルスを培養するために,Vero E6細胞を用いた.細胞は熱不活化ウシ胎児血清(10%),ペニシリン/ストレプトマイシン(10000 IU/mL10000 μg/ml),およびアンホテリシンB25 μg/ml)を添加したダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地(DMEM)で培養した。エアロゾルサンプルの感染性ウイルスの繁殖のために,Vero E6細胞のconfluent monolayersを含む24-ウェルプレートに原液100μlを加え,5% CO2と共に37℃で増殖させた(単層培養).ウイルス複製の証拠を確認するために,QIAamp Viral RNA Mini KitQIAGEN GMbH, Hilden, Germany)を用いて,インキュベーション1日目および5日目,6日目のいずれかの培養咳上清140μlからRNAを抽出した。そして環境サンプルのために言及されている方法にのっとって,これらのサンプルにrRT-PCRを行った.各サンプルのウイルス複製の証拠を確認するために,1日目から5日目あるいは6日目までの増加率を計算した.RNAの有意な増加が検出されたrRT-PCRサンプルは,確定的な複製(definitive replication)が認められたと解釈した(student’s t-test, Microsoft Excel, p< 0.05).6日後に,すべての細胞上清とライセ―ト(lysates)を回収した.統計学的に有意な複製の証拠が得られたサンプルについては,引き続き電子顕微鏡による観察とウエスタンブロットアッセイを行った.ウエスタンブロットは,細胞溶解液であるRIPA bufferから得られたタンパク質に対して行った.ライセート20μl2X還元サンプルバッファー(Invitrogen)と組み合わせ,沸騰させ,ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析後,SARS-CoV Nプロテインおよびグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)に対する抗体を用いたウエスタンブロットを行った(Abcam).サンプルは,80kVTecnai G2 Spirit TWINThermo Fisher Scientific)上で固定,処理,切片化し,電子顕微鏡で観察した.

Results

6室すべてにおいて,rRT-PCRの結果,BC251サンプラーで収集した3段階のサイズ全てにおいてウイルスRNAが認められたFigure 1.さらに,回収されたサンプルをVero E6細胞に曝露すると,18のサンプルのうち3Room 7B, 5Aおよび5C; Figure 1)において,6日後Room 5Aからのサブミクロンサンプルの場合は5日後)に統計的に有意なウイルス増殖(p <0.05に基づく95% CIが認められた1-4μmのサンプルのうち2ウイルス増殖を認めた(90%-95% CIにおいて)(Room 7B5C; Figure 1.続いて、これら5つのサンプルから得られた細胞に対してウエスタンブロットを行いウイルスプロテイン産生の有無を調べ,TEMで完全な(intactSARS-CoV-2ウイルスの存在を観察した.1つのサンプル(<1m, Room 7B)を除いて,SARS-CoV-2の存在は、rRT-PCRによるウイルス複製が統計的に有意な証拠をもって,すべてのサンプルについてウエスタンブロットによって観察された(Figure 2完全なウイルスは,Room 5CからのサブミクロンのサンプルからTEMによって観察され(Figure 3),さらにこのサンプルでは活発なウイルス複製が認められた

測定されたAPSエアロゾル質量分布から2つの対数正規分布を計算した(Figure 4).5病棟のすべての病室は非常に類似した分布が認められた.一方で7病棟の病室では,5病等の病室に比べて濃度が低く,より大きなサイズ分布であった(Figure 4).小さいサイズ分布の平均直径は,サンプリングした全ての病室では0.64μm0.80μmの間であり,一方分布の幅(GSD)は1.171.30の間で変動していた.大サイズ分布は平均直径と分布の幅いずれもより大きなばらつきが認められた.

Figure 1:

: 空気1m3あたりのウイルス量(rRT-PCR Equivalent)(左縦軸).赤: ウイルス細胞培養後の増殖比(Percent change rRT-PCR Equivalent)(右縦軸).ウイルスは1μm未満の飛沫核に多く含まれている(黒)培養で統計的に有意なのも1μm未満であった.1-4μmのサンプルでも観察できたが有意ではなかった(赤)

Figure 2:

Mock-infected cell(ウイルスが空).いずれもnucleocapsid proteinの産生が起こっていることが示唆される

 

Figure 3:

電子顕微鏡によってSARS-CoV-2粒子が確認される.

Figure 4: Aerosol Mass Distributions.

Conclusions

SARS-CoV-2 RNA直径5μm以下のエアロゾル中に存在しており,SARS-CoV-2 RNAを含むエアロゾルは呼吸発声の際に生じる粒子形態で存在することを意味する.そして,そのウイルスRNAを含むエアロゾルの一部には感染力をもつウイルスが含まれていることが判明した.この結果は,症状の有無や医療処置をするしないにかかわらず,感染者と接触する際には,SARS-CoV-2の微細なエアロゾルに対する曝露から防御するために,有効な呼吸器保護空気感染予防策を行うことを支持するものである.

 

 

 

COVID-19関連追加(2020725-2)に810日追記しました

 

COVID-19病室の空気における”生きた”SARS-CoV-2の証明】

Lednicky JA, et al. Viable SARS-CoV-2 in the air of a hospital room with COVID-19 patients. medRxiv.

https://doi.org/10.1101/2020.08.03.20167395.

※プレプリント論文です.

Background

現在,エアロゾルにおけるSARS-CoV-2の役割については,多くの議論がある.

これは,ウイルスRNAが検出されても,臨床的に生成されたエアロゾルから生存可能なウイルスを分離できなかったことが原因の一つである.

Methods

空気サンプルは,COVID-19患者2人の病室から採取されたが,そのうちの1人は,鼻咽頭(NP)スワブによるRT qPCRSARS-CoV-2が陽性であり,activeな呼吸器症状を有していた.静かな水蒸気凝縮原理で作動するVIVAS air samplersを用いて,室内空気からサンプルを採取して,RT-qPCRとウイルス培養を行った.

空気から採取したSARS-CoV-2のゲノムと,空気サンプルから細胞培養で分離したウイルスのゲノム,および入院患者から採取したNPスワブから分離したウイルスのゲノムに対してシーケンスを行った.

Patients:

患者1は,冠動脈疾患とその他の基礎疾患を有しており,空気サンプリング検査開始の前日夜にCOVID-19治療のために長期療養施設から転院してきた患者であり,入院時NPスワブによるRT-PCR検査でSARS-CoV-2陽性であった.患者2は,空気サンプリング検査の4日前に脳梗塞で入院しており,入院時にNPスワブによるRT-PCR検査がSARS-CoV-2陽性であったが,再検査では陰性であり,空気サンプリング時には退院調整の段階であった.

Hospital room:

空気サンプルは,COVID-19病棟の一部である病室で採取された(Figure 1).この部屋では1時間に6回の空気交換が行われ,排気はトリプルフィルター処理(最低捕集効率[MERV: minimum efficiency reporting values] 140.3 µmの粒子で7585% の効率),コイル凝縮(水分を除去するため),UV-C照射を受けた後,処理された空気の90%を病室に戻した.

Cell lines for virus isolation:

SARS-CoV-2分離に使用したcell linesは,American Type Culture CollectionATCC)から入手し,LLC-MK2細胞(アカゲザル腎臓細胞,カタログ番号ATCC CCL-7)およびVero E6細胞(アフリカミドリザル腎臓細胞,カタログ番号ATCC CRL-1586)から構成された.

Isolation of virus in cultured cells:

T-25フラスコ(培養面25 cm2)で単層として生育させた細胞を,コンフルエント(培養細胞が培養容器の接着面を覆いつくした状態)が80%になった時点で播種した.最初に,濃縮エアサンプラー収集培地のaliquots100μl)を,滅菌された0.45μmpore-size PVDV syringe-tip filterでろ過し,細菌・真菌細胞や胞子を除去した.次に,LLC-MK2およびVero E6細胞培養液を除去し,細胞培養液1 mlと交換し,50μlの細胞濾液で細胞を播種した.ウイルス誘発性細胞変性効果(CPE: cytopathic effectsが明らかになった時に,SARS-CoV-2の存在をrRT-PCRにより判定した.

Results

SARS-CoV-2 RNAvRNA)は,吸入管を覆うHEPAフィルターを使用せずに行った空気サンプル1-11-32-1,そして2-3によって採取した素材(material)に行ったrRT-qPCRにより検出された.対照的に,HEPAフィルターの存在下では,空気サンプリング1-2および2-2で採取された素材においては,SARS-CoV-2ゲノムは検出されなかった(Table 1).

患者1NPスワブ検体と空気サンプル1-11-32-12-12-3の液体回収培地から得られた素材を播種したLLC-MK2細胞とVero E6細胞において,ウイルス誘発性CPEが観察された NPスワブから得た素材を播種して2日後(dpi: post-inoculationに,そしてair samplersからの液体回収媒体のアリコートを播種して46dpiに,細胞質の液胞形成が明らかになり,LLC-MK2Vero E6の両細胞における初期のCPEが認められた.その後の経過(NPスワブによる素材を用いた細胞培養物の播種後4日目以降,およびair samplersで採取した素材を用いた細胞の611dpi)では,病巣内で細胞の丸みが認められ,その後、培養面からの細胞の剥離が認められた.丸みを帯びた細胞の一部は塊状に剥離し,時に35個の核を持つ小さな合胞が観察された.また,アポトーシスや壊死細胞も観察された.空気サンプリング 1-1で採取した素材を接種したVero E6細胞におけるCPEの進展を示した(Figure 2Air samplersの入口ノズルにHEPAフィルターが設置されたところからの空気サンプル1-2および2-2の培養液からは,CPEは観察されず,ウイルスも検出,分離されなかった

SARS-CoV-2rRT-PCRの結果,空気サンプリング 1-11-32-1,および 2-3 から採取した培地を播種したLLC-MK2およびVero E6細胞培養にSARS-CoV-2が認められたBioFire FilmArray Respiratory 2 PanelBioMérieux Inc.)を用いた結果,他の呼吸器ウイルスは検出されなかった.

空気1L当たりのSARS-CoV-2ゲノム当量濃度を推定した(Table 2)一方で,特異的感染力(培養細胞に感染可能なすべての人に存在するSARS-CoV-2ゲノム当量の比率)の決定には,plaque assayまたはTCID 50 assayが必要である.Plaque assayが実施できなかったため,Vero E6細胞でTCID50 assayを実施した推定値は,2~74 TCID50 units/L of airsの範囲であった(Table 3

患者1のNPスワブ検体を用いてVero E6細胞の細胞培養液7dpiから精製したRNAの次世代シークエンシング(NGS)により,ほぼ完全なSARS-CoV-2ゲノム配列が得られた. すべての空気サンプリングで採取したウイルスに同じコンセンサスゲノム配列が存在することが示されたさらに,それらは患者1から分離されたウイルスの対応する配列と完全に一致していた.この完全なゲノム配列は,同一の分離株とみなされ,SARS-CoV-2/Environment/UF-20/2020と命名され,このゲノム配列はGenBankaccession no. MT670008)およびGISAIDaccession no. EPI_ISL_477163)にdepositされている.現在,ウイルスのゲノム配列はGISAIDclade B.1(GH)に属しており,参照ゲノムWIV04(GenBank accession no.MN996528.1)との相対的な変異C241TC3037TA23403GG25563TS-D614G,およびNS3-Q57Hによって特徴づけられる.2020710日時点で,米国ではSARS-CoV-2 clade B.1GHが優勢なウイルス系統である。

Findings

患者から24.8m離れた場所から採取した空気サンプルから,“生きたウイルス”が分離された空気サンプルから分離された SARS-CoV-2 株のゲノム配列は,activeな症状を有する患者から採取されたNPスワブから分離されたものと同一であった“生きたウイルス”の濃度推定値は,空気1L当たり 674 TCID50 units/Lであった

Interpretation

COVID-19の呼吸器症状を有する患者は,生存可能なSARS-CoV-2を含む非エアロゾル生成手技でエアロゾルを排出し,これらのエアロゾルは,ウイルスの感染伝播源として機能する可能性がある.

 

 

 

 

 

 

Figure 1:

 

Figure 2:

 

 

 

 

 

COVID-19関連追加(2020725-2)に917日追記しました

 

【エアロゾル懸濁液におけるSARS-CoV-2の持続性】

Fears AC, et al. Persistence of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Aerosol Suspensions. Emerg Infect Dis. 2020;26(9):2168-2171.

https://dx.doi.org/10.3201/eid2609.201806.

Abstract

SARS-CoV-2をエアロゾル化したところ,動学的エアロゾル効率性(dynamic aerosol efficiency)はSARSMERSを上回ることがわかった.実験は複数の研究室で一度しか行われていないが,呼吸で発生するサイズのエアロゾルにおいて最大16時間まで感染性(infectivity)とウイルスの完全性(virion integrity)を保持していることが示唆された

Introduction

ウイルスのエアロゾルにおける安定性を調べるために,SARS-CoV-2の動学的(短時間)エアロゾル効率性を測定し,SARS-CoVMERS-CoVと比較した.

The Study

Collison 3-jetC3),Collison 6-jetC6)(www.chtechusa.comExternal Link),Aerogen SoloAS)(https://www.aerogen.comExternal Link)の3つのネブライザーを使用して,これら3種類のウイルスの動学的エアロゾル効率性を分析し,ウイルスエアロゾルを生成した(Appendix.我々は,4つの空気生物学研究室(Tulane University, New Orleans, LA, USA; National Institutes of Health Integrated Research Facility [NIH-IRF], Fort Detrick, MD, USA; US Army Medical Institute for Infectious Diseases, Fort Detrick, MD, USA; and University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA, USA)で,それぞれ1回ずつ,比較効率実験を行った.発生器によって生成されたエアロゾルのサイズ分布は,空気力学的質量中央値(MMAD: mass median aerodynamic diameter13μmであり,≈1.21.4の幾何学的異分散性(geometric heterodispersity)を有していた.エアロゾルは、全体の流れが毎分≈1Tulane University)あるいは0.5NIH-IRF, US Army Medical Research Institute of Infectious Diseases, University of Pittsburgh)の空気交換である,霊長類の頭部曝露のみを収容した16-literのチャンパー(MERS-CoVまたはSARS-CoV-2)またはげっ歯類を収容した30-literのチャンバー(SARS-CoV)に対して生成された.使用チャンバーとそれに対応する流量によって,我々は短時間におけるエアロゾル中のウイルスの動学的効率性を同定することが可能であった.サンプルは連続的に収集され,1030分間のエアロゾル生成過程の間,チャンバーへ向けたそれぞれのネブライザーの導入を介して統合された.我々は,動学的エアロゾル効率性あるいはspray factorFsを計算した(これらは,airborne fitnessを比較するための定量的な指標となるエアロゾル(PFL/L aerosol)に対する初期力価(PFU/L in liquid stock)の単位のない商である)

 

Figure 1: MERS-CoVSARS-CoVおよびSARS-CoV-2の異なる部位におけるエアロゾル効率性

Aerosol efficiency of MERS-CoV, SARS-CoV and SARS-CoV-2 at different sites. Graph shows the spray factor (i.e., ratio of nebulizer concentration to aerosol concentration) for MERS-CoV (red), SARS-CoV (blue), and SARS-CoV2 (green). Aerosols were performed at 4 sites and with different nebulizers. AS, Aerogen Solo nebulizer; C3, Collison 3-jet nebulizer; C6, Collison 6-jet nebulizer; MERS-Cov, Middle East respiratory syndrome coronavirus; S1, Tulane University, New Orleans, LA, USA; S2, National I

 

エアロゾル化した後に,1分未満のチャンバー内滞留後にウイルス3種類すべてについてFsを測定した(Figure 13つの研究室によってC3ネブライザーを使って生成されたMERS-CoVおよびSARS-CoVの両方とSARS-CoV-2エアロゾルを比較したところ,SARS-CoV-2ではわずかではあるが有意なFsの改善が認められたが,SARS-CoVp= 0.02)およびMERS-CoVp= 0.01)では改善されなかったSARS-CoVMERS-CoVおよびSARS-CoV-2とは異なるチャンバー/容積(chamber/volume)にエアロゾル化されたため,SARS-CoVSARS-CoV-2Fsの差におけるチャンバーの影響を排除することができない.我々のネブライザーの比較では,C3よりもC6p= 0.006)およびASp= 0.01)の方がSARS-CoV-2Fsは改善されていたが,C6ASに差はなかった(p= 0.46).

 

Tulane UniversitySARS-CoV-2を用いたさらなる研究では,空気中のウイルスの長期安定性を暫定的に評価した.特注の回転ドラム(Goldberg)を使用して,ドラムの回転速度が2-3μm粒子の限界沈降速度(terminal settling velocity)に勝る環境をつくり,それによって既知の体積の静的エアロゾル懸濁液を作成した.ドラムから得たエアロゾルサンプルを,回転/懸濁開始後10分および30分,2時間後,4時間後,16時間後に測定した.各サンプリング間隔でドラム全体(10.7L)を排気し,エアロゾル発生イベントを分離した.プラークアッセイおよび逆転写定量PCRRT-qPCR)によってウイルス量を定量した.また,長時間のエアロゾル懸濁後のウイルスの完全性(virion integrity)の補足的な定性的評価として,採取したエアロゾルサンプルの走査型電子顕微鏡検査を実施した(Appendix).我々は,環境パラメータを測定したが、エアロゾル懸濁実験中は,それらをコントロールしなかった.一般的な環境条件は,実験全体で,エアロゾルが安定するように,23℃±SD 2℃,および相対湿度53%±SD 11%の相対湿度であった.また,長時間のエアロゾル懸濁後のウイルスの完全性(virion integrity)の補足的な定性的評価として,採取したエアロゾルサンプルの走査型電子顕微鏡検査を実施した(Appendix).我々は,環境パラメータを測定したが、エアロゾル懸濁実験中は,それらをコントロールしなかった.一般的な環境条件は,実験全体で,エアロゾルが安定するように,23℃±SD 2℃,および相対湿度53%±SD 11%の相対湿度であった.懸濁している間,ドラム空洞内には紫外線照射は使用しなかった.ドラム内へのウイルスバイオエアロゾルの初期生成が定常濃度に達した後,ドラムを密閉し,静的エアロゾルとして維持した.この実験過程では,1回はすべてのサンプリング時間ポイントを実施した.

プラークアッセイおよびRT-qPCRの結果をグラフ化し,非線形最小二乗法を適用して,外れ値検出のない一次減衰を行ったところ,典型的には複製サンプルの欠如に起因する曲線のフィットの悪さが生じた.エアロゾル懸濁液安定性実験におけるすべてのポイントで感染性をもつSARS-CoV-2を検出したFigure 2少数ではあるが一定の割合のSARS-CoV-2は,16時間後のエアロゾル懸濁液のサンプリングを含め,すべての時間ポイントで複製能力を維持したFigure 2, panel A.この結果は,感染性について測定した場合,著しく平坦な減衰曲線を示し,生物学的半減期を示すことができなかった(κ= 2.93E-06; t1/2= 2.36E+05; τ= 3.40E+05).RT-qPCRによって定量されたスプリットサンプル分析の結果から得た曲線(Figure 2, panel B)は,サンプリングされたすべての時間ポイントにわたってウイルスゲノムコピーで測定されたエアロゾル濃度の減少は最小を示し,同様の減衰曲線の特徴(κ= 6.19E-03; t1/2= 111.9; τ= 161.4)を含む,感染性ウイルス画分(infectious virus fraction)の減衰曲線(Figure 2, panel A)に近似していた

さらに,我々は,長時間にわたるエアロゾル懸濁後のウイルスの完全性(virion integrityの定性的評価も行った(Appendix).SARS-CoV-2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像では,卵形(Appendix, panel A)または球形(Appendix, panel B)のいずれかの不均一な形状であったウイルスを明らかになった.楕円形の長軸と短軸の比は≈0.7であり,これはSARS-CoV-2の先行するSEM解析と一致している

https://www.flickr.com/photos/niaid/albums/72157712914621487External Link).具体的には,10分間(Appendix, panels C, D)または16時間(Appendix, panels C, D)におけるウイルスは,エアロゾル化する前に採取されたウイルス播種サンプルと形状および一般的な外観が類似しており,これは複製能力の保有(retentionと一致しており,エアロゾル懸濁液中において,感染性を長時間維持する可能性を示唆している

 

 

Figure 2: Decay curves of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) in aerosol suspension.

Decay curves of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) in aerosol suspension. A) Aerosol concentration of infectious SARS-CoV-2 as measured by plaque assay found in impinger samples collected at 5 time points of increased aging in aerosol suspension. B) Corresponding aerosol concentration of SARS-CoV-2 in time-matched impinger samples as a function of viral genome copies as measured by reverse transcription quantitative PCR. Both time point virus estimates were graphed, and

 

Conclusions

3種類のコロナウイルスの短時間におけるエアロゾル効率性を比較したところ,SARS-CoV-2SARS-CoVおよびMERS-CoVの効率性の推定値に近いかそれ以上であることが示されたSARS-CoV-2の効率性は-5.5log10Figure 1)であり,MERS-CoVとの差は1対数(a full log difference)であった.独立した研究室においても効率性の高さが観察され,この結果をより強固なものにしている.これらのデータから,SARS-CoV-2は他のベータコロナウイルスとは対照的であり,短い距離を超えて浮遊し,吸入されうる粒子径でも感染性を維持していることが示唆されたエアロゾル懸濁実験によって,SARS-CoV-2がこの粒子サイズ(空気力学的質量中央値MMAD 2μm)として生成された場合に予想されるよりも長く持続することを示唆している.空気中のウイルスの感染性の減衰および喪失は,サル痘ウイルスのような他の環境に強いウイルスの感受性研究に基づいて予想されるので,この結果は注目すべきものである.最近の研究でも,ほぼ同程度の粒子径のエアロゾル懸濁液では感染性がわずかに低下しただけであり,SARS-CoV-2の空気中の分解(degradation)に対する影響は最小限であることが示唆されている.これらの暫定的なデータをまとめると,SARS-CoV-2はエアロゾル形態で安定性(resilient: 回復力,弾力性,しぶとさ)があることが示唆される.エアロゾル安定性に関するデータの限界として,16時間の測定を1回しか行っていないことである; 今後の研究では、決定的な結論を下す前に,繰り返しの検証が必要である.SARS-CoV-2のエアロゾル感染は,これまで考えられていたよりも重要な曝露感染経路である可能性がある.ウイルスの空中感染効率性を定量的に測定し,それに加えてウイルスの形態を評価するという我々のアプローチは,SARS-CoV-2が空気感染性病原体である可能性を示唆している.ヒトは通常の呼吸を通してエアロゾルを継続的に排出している.エアロゾル産生は,呼吸器の調子が悪い時や大きな発声時に増加する.自然に生成されるエアロゾルの一部は,我々の実験研究で用いられたサイズ分布(<5μm)に収まっており,SARS-CoV-2感染者によって排出されたエアロゾルは,その後も長期間感染性を維持するウイルス性バイオエアロゾルである可能性がある

 

Appendix Figure:

 

 

725-2ファイルの2番目の論文(プレプリント)が正式にpublishされた】

Lednicky JA, Lauzardo M, Fan ZH, et al. Viable SARS-CoV-2 in the air of a hospital room with COVID-19 patients. International Journal of Infectious Diseases. Sep 15, 2020.

https://doi.org/10.1016/j.ijid.2020.09.025