COVID-19関連追加(2020825日)

 

【便と尿に“生きた感染性ウイルスは存在するか”】

A)便について:

Wang W, et al. Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens. JAMA. 2020;323(18):1843-1844. doi:10.1001/jama.2020.3786.

→「Four SARS-CoV-2 positive fecal specimens with high copy numbers were cultured, and then electron microscopy was performed to detect live virus.」と記載.しかし方法は不明.

Yao H, et al. Patient-derived mutations impact pathogenicity of SARS-CoV-2. medRxiv.

https://doi.org/10.1101/2020.04.14.20060160.

重症患者2人(ZJU_10, ZJU_11)から便検体を採取.Vero E6細胞を用いたウイルス培養で,「48 p.i.CPEが確認され,溶解している細胞(白矢印)」が示されている.

Jeong HW, et al. Viable SARS-CoV-2 in various specimens from COVID-19 patients. Clinical Micobiology and Infection. July 23, 2020.

https://doi.org/10.1016/j.cmi.2020.07.020.

→軽症患者1人,重症〜致死例患者4人から採取した尿,便検体におけるVero細胞を用いたウイルス培養では“生きたウイルス”を証明できなかった(Table 2).

→重症患者2人から採取した尿検体,および致死例患者1人から採取した便検体を投与したフェレット(urine and stool specimen-treated ferrets)の鼻腔洗浄液をVero細胞に播種した.2dpidays post infection)に採取した鼻腔洗浄液からSARS-CoV-2 RNAが検出された.

 

 

 

 

 

Xiao F, et al. Infectious SARS-CoV-2 in Feces of Patient with Severe COVID-19. Emerging Infectious Diseases. Volume 26, Number 8, August 2020.

DOI: 10.3201/eid2608.200681.

男性78歳.2020117日入院,鼻咽頭・口腔咽頭スワブによるqRT-PCRSARS-C-V-2陽性,COVID-19と診断された.122日,人工呼吸管理となった127日,29日,21日,7日と便検体が採取され,いずれもウイルスRNAは陽性であった.なおウイルス抗原が消化管上皮細胞から検出された.220日,患者は死亡した.129日の便検体Vero E6細胞に播種,2日後に細胞変性効果(CPEが認められた.また培養血清をネガティブ染色して透過型電子顕微鏡で可視化した.

qRT-PCR Ct値から臨床検体中のウイルス量(log10 PFU equivalents/mL)を推定するために,既知のプラーク力価のSARS-CoV-2を連続希釈したものから標準曲線を作成した.この方法を用いて定量したウイルス量は,感染性ウイルスではないウイルスRNAレベルであった.ウイルス量は,複数の時点(症状発症から1728日後)で採取した呼吸器検体よりも糞便中の方が高かった(Appedix Figure D).これ以降に採取された便検体からのウイルス分離は成功しなかったが,ウイルスRNAの結果は陽性のままであったこれは,これらの採取された便検体には感染性ウイルスではなくRNA断片のみが含まれていたことを示唆している

我々は患者28人から便検体を採取した; ここに記載されている患者を含む12人では,ウイルスRNA1回以上陽性であった.ウイルスRNA陽性患者のうち3人からSARS-CoV-2ウイルスの分離を試みた.結果は,本報告の患者を含む患者の3人のうち2人で成功し,COVID-19の便に感染性ウイルスが存在することが一般的であることが示された

この報告の患者はスパイクタンパクに対するIgGが高レベルであった.ヌクレオカプシドタンパク(NP)特異的抗体のレベルは比較的低かった.スパイクタンパク(1274aa)はヌクレオタンパク(420aa)よりもはるかに大きく,特異的な抗体応答を誘導するエピトープをより多く含む可能性がある.

また,focus reduction neutralization testを用いて中和抗体を同定した.中和力価(50%focus reduction neutralization test)は,異なる時点において,1:1065から>1:4860までの範囲であった(Appendix Figure E).分離されたウイルスが感受性のある細胞に感染性であることを示すために,患者および健康なドナーからの血清サンプルを用いて,分離されたウイルスに感染した新鮮なVero E6細胞に対して関節免疫蛍光アッセイを行った.陽性反応が得られたのは患者血清のみであった(Appendix Figure F

便中に感染性SARS-CoV-2が分離されたことは,エアロゾル化した便を介した糞便-口腔感染または糞便-呼吸器感染の可能性を示している2003 年のSARSパンデミックの際には、香港のアモイガーデンの住人329名が感染し,42人が死亡した1).建物の構造を調査したところ,下水管の不良により汚染された糞便がエアロゾル化していたことが判明し,これが感染源と考えられていた.

我々の知見は,糞便からの SARS-CoV-2 の潜在的な感染を避けるための適切な予防措置の必要性を示している.退院や病院の清掃の際には,重症患者ウイルス量が多く,感染性ウイルスを排出する可能性が高い致死例に対して,この可能性を考慮すべきである

Reference

1) Yu  IT, Li  Y, Wong  TW, Tam  W, Chan  AT, Lee  JH, et al. Evidence of airborne transmission of the severe acute respiratory syndrome virus. N Engl J Med. 2004;350:1731–9.

 

 

The COVID-19 Investigation Team. Clinical and virologic characteristics of the first 12 patients with coronavirus disease 2019 (COVID-19) in the United States. Nature Medicine. 26, 861-868(2020).

→軽症〜中等症患者12人から採取した血清,尿,便検体におけるVero CCL-81細胞を用いたウイルス培養は陰性.

figure3

 

 

Wӧlfel R, et al. Virological assessment of hospitalized patients with COVID-2019. Nature. 581, 465-469(2020).

https://doi.org/10.1038/s41586-020-2196-x.

軽症患者9人から採取した血清,尿,便検体におけるVero E6細胞を用いたウイルス培養は陰性.

figure1

 

 

 

 

【重症COVID-19患者の便に認められるウイルスRNA

Xiao F, et al. Infectious SARS-CoV-2 in Feces of Patient with Severe COVID-19. Emerging Infectious Disease, May 18, 2020. doi: 10.3201/eid2608.200681.

Background

SARS-CoV-2の感染伝播経路は完全には解明されていない.

Objective

本研究では,COVID-19患者の排泄物中のSARS-CoV-2排出を調査することを目的とした.Methods

登録された患者の人工統計学的背景,臨床的特徴,臨床検査所見および放射線学的画像所見を含む電子カルテデータを抽出して分析した.咽頭スワブ,便,尿検体を採取し,リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によりSARS-CoV-2 RNAの検査を行った.検体における複数の時点で,ウイルス排出量を記録し,臨床症状や重症度との相関を解析した.

Results

Demographics and baseline characteristics:

本研究には,2020120日〜29日まで武漢大学中南病院に入院したCOVID-19患者42人が登録された.患者の人口統計学的背景と臨床的特徴をTable 1に示す.年齢中央値は51歳(median 42; IQR, 75-62)で,そのうち27人(64.29%)が女性であった.患者24人(57.14%)は,検査陽性の確定症例または臨床的に診断された症例に直接曝露していた.喫煙歴のある患者は4人(9.52%)のみであった.患者の半数以下(17[40.48%])は,高血圧症(9[21.43%]),糖尿病(3[7.14%]),心血管疾患(2[4.76%]),慢性閉塞性肺疾患(2[4.76%])といった基礎疾患を有していた.症状は,発熱(36[85.71%]),乾性咳嗽(22[52.38%]),倦怠感(22[52.38%]),筋肉痛(10[23.81%]),呼吸困難(9[21.43%])が最も多かった.あまり一般的でなかった症状は,喀痰の分泌(7 [16.67%]),咽頭痛(6[14.29%]),頭痛またはめまい(5 [11.9%])であった.注目すべきは,8人(19.05%)の患者に下痢(7 [16.67%]),腹痛(5 [11.95]),嘔気(4[9.52%]),嘔吐(3[7.14%])を含む少なくとも1つの消化器症状が認められたことである.また,体温,心拍数,呼吸数,平均動脈血圧などの患者のバイタルサインも記録した.

すべての患者は,咽頭スワブで SARS-CoV-2 RNAが陽性であることが確認された症例であった.患者の便検体は,入院中および回復期の複数の時点でウイルスRNA検出のために採取された.Figure 1およびTable 1に示すように,42人中28人(66.67%)の患者で糞便中のSARS-CoV-2 RNAが陽性であり,残りの14人(33.33%)の患者では陰性であった糞便中のSARS-CoV-2 RNAが陰性であった患者と比較しても,SARS-CoV-2 RNAが陽性であった患者では,消化器症状の発現率は高くなかったことに留意すべきである.その他の人口統計学的背景およびベースラインの特徴については,2群間で有意差を認めなかった.また,患者10人の尿検体を検査したが,ウイルスRNAは検出できなかった.

 

Figure 1: Time course of RTPCR test results for viral RNA in specimens of COVID19 patients. The time course of RTPCR test results for SARSCoV2 RNA in pharyngeal swab and stool specimens of 42 enrolled COVID19 patients between January 20th to February 20th, 2020. COVID19, coronavirus disease 2019; GI symptoms, gastrointestinal symptoms; M, mild case; PS, pharyngeal swab specimen; RTPCR, realtime reverse transcription polymerase chain reaction; S, severe case; SARSCoV2, severe acute respiratory syndrome coronavirus 2; SS, stool specimen; UC, uncomplicated case; W, with gastrointestinal symptoms; WT, without gastrointestinal symptoms.

image

 

Laboratory and radiologic findings:

入院時の患者の臨床検査所見および放射線学的画像所見をTable 2に示す.COVID-19患者では,リンパ球数の低下,インターロイキン-6CRP,赤沈の上昇が観察され,特にSARS-CoV-2 RNA陽性の患者では高値を示した.その他の血液学的パラメータの中央値は正常範囲内であった.便のルーチン検査では,緑色の便を呈した患者は1人(2.38%)のみであり,水様便を呈した患者は7人(16.67%)であった.SARS-CoV-2 RNA陽性患者(6 [21.43%])は,SARS-CoV-2 RNA陰性患者(1 [7.14%])に比べて水様便の発生率が高かったが,有意差は認められなかった.尿のルーチン検査異常は,主に潜血(7 [16.67%]),ケトン(5 [11.9%])であった.

Severity of illness:

COVID-19 の重症度をFigure 1およびTable 3に示す.糞便中にSARS-CoV-2 RNAが陽性であった2人(4.76%)は未症状例(uncomplicated)とされた.軽症例は29人(69.05%)であり,そのうち17人が糞便中ウイルスRNA陽性,他の12人が陰性であった.重症例は11人(26.19%)であった.そのうち9人は糞便中のSARS-CoV-2 RNAが陽性であり,残りの2人は糞便中のSARS-CoV-2 RNA-)は陰性であった.重症度については,2群間で有意差は認めなかった

 

Viral shedding:

COVID-19 患者の咽頭スワブおよび便検体中のウイルス RNART-PCR検査結果の入院および回復期における時間経過をFigure 1に示す.

COVID-19 患者の咽頭スワブおよび便検体中のウイルス RNART-PCR検査結果の入院および回復期における時間経過をFigure 1に示す.発症からウイルスRNART-PCR検査結果が最初に陽性となるまでの期間の中央値は,咽頭スワブで6.5日(IQR, 3-7.25日),糞便で11日(IQR, 7-13日)であった.検査確定の初日(day1と定義)以降,咽頭スワブにおけるウイルスRNA陰性は,未症状例では day 6.5,軽症例では day 86-10.5),重症例ではday 1311-15 )で観察され,これは群間で有意差を認めた(p< 0.01糞便中のウイルスRNART-PCR検査が陽性であった期間の中央値は,未症状症例では9日間,軽症例では8日間(IQR, 4.5-14),重症例では14日間(9.5-18)であり,群間で有意差は認めなかった(P=  0.24.ただし,糞便中のウイルスRNAが陽性であった3人の患者(症例18, 21, 30)は,2020220日のデータカットオフ時まで,便検体で陰性を示さなかったことに注意すべきである.

驚いたことに,28人中18人(64.29%)(非症状例2人,軽症例11人,重症例5人),咽頭スワブが陰性になってから7日間(6-10日),糞便中のウイルスRNAが陽性のままであった.具体的には,咽頭スワブが陰性化した後,糞便からウイルスが排出される期間は,非症状例で6.5日間,軽症例で8日間(6-10),重症例で7日間(6.5-9.5)であり,群間で有意差は認めなかった(P= 0.59

Discussion

COVID-19確定患者42人中28人(66.67%)が便検体中のSARS-CoV-2 RNAが陽性であり,これは消化器症状の有無や重症度とは関連がなかったそのうち18人(64.29%)は,咽頭スワブが陰性になった後も糞便中のウイルス RNAが陽性のままであった.咽頭スワブが陰性化した後の糞便からのウイルス排出期間は,COVID-19の重症度にかかわらず7日間(6-10日間)であった.糞便中のSARS-CoV-2 RNAが陽性である患者と陰性の患者においては,人口統計学的特徴,臨床的特徴,臨床検査所見および放射線学的画像所見に群間差は認めなかった.本研究の結果は,糞便中のウイルスRNA検査の臨床的意義を強調しており,糞口感染経路を介したSARS-CoV-2感染を検討すべきである.

Limitation: SARS-CoV-2感染患者の糞便からはウイルスRNAが検出されたが,”感染性がある生きたウイルス”が排泄されるかどうかについては,さらなる研究が必要である.

 

 

 

 

【便からのウイルス拡散】

Morawska L, et al. Droplet fate in indoor environments, or can we prevent the spread of infection?. Indoor Air. Oct 2006; 16(5):335-47.

https://doi.org/10.1111/j.1600-0668.2006.00432.x.

より抜粋.

感染した個体(individuals)は,糞便1グラムあたり最大1012個のウイルス粒子を排出することが示されている(Barker et al., 2001糞便の微粒化(atomizationの主なメカニズムは,@トイレ水洗時における汚水のエアロゾル化,A建物の下水道システム内での輸送である.一般的に,上記のプロセスによる汚水の微粒子化のメカニズムにおける,発生する飛沫の大きさ,空気中での運命,およびウイルス拡散の可能性などに関する定量的な研究はあまり行われていない.

トイレ汚水の微粒化は,トイレを使用するたびに発生するため,病気の拡散の可能性が高くなる微粒化された飛沫を直接吸い込いこむ,あるいはトイレ表面に堆積して手の汚染につながる可能性がある(Rusin et al., 1998).微粒化されたトイレの汚水における細菌の存在については,ウイルスよりも多くの研究が行われており,さまざまな研究で汚染のレベルが異なっていることが示されている.例えば,病院のトイレから採取された空気,水,表面のサンプルで培養が行われ(Newsom, 1972),汚染レベルが予想よりもはるかに低いことが示されている.別の研究では,トイレの水洗後における微生物のエアロゾルが観察された.トイレが大腸菌で汚染され,部屋中の寒天プレートが暴露されたトイレを流すと,最初の2時間以内にトイレのすぐ周辺の領域で細菌が検出され,最大6時間後には部屋中において大腸菌がよりランダムな分布で検出されたまた,便器に細菌が沈着していることも確認された(Gerba et al., 1975

後者のメカニズムAは,建物の下水道内に噴霧された汚染された飛沫によってウイルスが拡散するプロセスである.しかし原則として,下水処理システムが漏水なく正常に作動し,システム外部における飛沫の吸引の可能性がなければ,これを防ぐことができるはずである.しかし,香港のアモイガーデンにおけるSARSウイルスの拡散とその後のアウトブレイクはこのプロセスによる可能性が高い.

 

 

 

 

B)尿について:

【重症COVID-19患者の尿に認められる感染性ウイルス】

Sun J, et al. Isolation of infectious SARS-CoV-2 from urine of a COVID-19 patient. Emerging Microbes and Infections. May 18, 2020.

https://doi.org/10.1080/22221751.2020.1760144.

COVID-19患者において複数臓器からウイルスRNAは検出されるが,感染性SARS-CoV-2は呼吸器検体からしか分離されていない1)2)ACE2受容体は,腎臓,精巣,膀胱にも発現しており3)4)COVID-19患者が使用した流し台やトイレからウイルスRNAが検出されていることから,ウイルスは泌尿器系を介して分泌される可能性があると考えられる5).しかし,感染性ウイルスが尿に分泌されるかどうかは現在のところ不明である.

2020125日,最近武漢に旅行した72歳の男性が咳と発熱で広州医科大学第八人民病院に入院した.その後,広州医科大学第一附属病院に転院した(Figure 1A).126日に行われた鼻咽頭スワブによるRT-PCR検査でSARS-CoV-2 RNAが陽性であった.胸部CTで肺炎像が認められ,23日に病状が悪化し,気管内挿管され人工呼吸器管理となった尿検体は感染後(p.i.: post infection12日目(25日)に初めてSARS-CoV-2 RNAが陽性となり,36日まで定期的にRT-PCR陽性を示していた

 

Figure 1: Clinical information and isolation of SARS-CoV-2 from a patient’s urine.

A: 臨床経過. B: 72時間後に分離されたSARS-CoV-2を感染させたVero E6細胞において細胞変性効果(CPE: Cytopathic effect)が観察された.一方でMock細胞では観察されなかった.C: Transmission Electron Microscopy (TEM)によるウイルス粒子の可視化.D: 呼吸器検体,尿検体におけるウイルス量.OS: oropharyngeal swab. E: SARS-CoV-2特異的IgGIgMの反応.F: 患者血清を用いたSARS-CoV-2を感染させたVero E6細胞のIFAによる検出.健常コントロール検体やMock細胞では観察されない.

 

 

https://www.tandfonline.com/na101/home/literatum/publisher/tandf/journals/content/temi20/2020/temi20.v009.i01/22221751.2020.1760144/20200518/images/medium/temi_a_1760144_f0001_oc.jpg

 

p.i. 12日目からのRT-PCR陽性尿検体(Ct 34)を感染培地で連続的に希釈し,Vero E6細胞に播種した3日後に明らかに細胞変性効果(CPEが観察された(Figure 1B.完全長ウイルスゲノム配列は,オリジナルの武漢ウイルス株染色体(Accession number NC045512.2)と比較して,5ヌクレオチド変異を有する次世代シークエンシング(Accession number MT446312)により取得された.細胞培養上清にネガティブ染色を行い,透過型電子顕微鏡(TEM)で可視化した.以前に発表されたようなSARS-CoV-2ウイルスと一致する,スパイクに似た明確な表面突起を有する球状粒子が観察された(Figure 1C1)

呼吸器および尿検体のウイルス量をRT-PCRで定量検査した.ウイルス量は口腔咽頭スワブでは時間の経過とともに減少した.尿のウイルス量は少なかったが,p.i. 12日目と42日目で検出できたが,30日目には検出されなかった(Figure 1D患者における臨床経過の初期では,高レベルのSARS-CoV-2特異的IgM抗体を認めていたが,IgG抗体は比較的安定していたが,経時的に低下した(Figure 1E分離されたウイルスが感受性のある細胞に対して感染性をもつことを証明するために,新鮮なVero E6細胞にウイルスを播種させ,患者および健常者から得た血清を用いて免疫蛍光アッセイ(IFA)で染色した.結果は,患者の血清では陽性蛍光を示したが,健常者の対照血清では陽性蛍光を示さなかった(Figure 1F

今回の研究では,腎臓,精巣,膀胱のいずれが感染して感染性ウイルスを産生したのかは不明であるが,尿から感染性をもつSARS-CoV-2が分離されたことから,糞便/尿-呼吸器を介した感染伝播の可能性があると考えられる2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)のアウトブレイクでは,香港のアモイガーデンズ(Amoy Gardens)というコミュニティで329人が感染し,42人が死亡した6).建物の構造を調査したところ,下水管の不良によりSARS-CoVに汚染された糞便や尿がエアロゾル化し,集合住宅の300人近くが感染したことが判明した.これらの知見は,尿からの感染を避けるために適切な予防措置をとることの重要性を提起している.

References

1) Guan WJ, et al. Clinical characteristics of coronavirus disease 2019 in China. N Engl J Med. 2020 Apr 30;382(18):1708–1720. doi: 10.1056/NEJMoa2002032.

2) Pan Y, et al. Viral load of SARS-CoV-2 in clinical samples. Lancet Infect Dis. 2020 Apr;20(4):411–412. doi: 10.1016/S1473-3099(20)30113-4.

3) Zou X, et al. Single-cell RNA-seq data analysis on the receptor ACE2 expression reveals the potential risk of different human organs vulnerable to 2019-nCoV infection. Front Med. 2020 Mar 12. doi: 10.1007/s11684-020-0754-0.

4) Fan C, et al. ACE2 expression in kidney and testis may cause kidney and testis damage after 2019-nCoV infection. MedRxiv. 2020. doi:101101/2020021220022418.

5) Xu Y, et al. Characteristics of pediatric SARS-CoV-2 infection and potential evidence for persistent fecal viral shedding. Nat Med. 2020 Apr;26(4):502–505. doi: 10.1038/s41591-020-0817-4.

6) Yu IT, et al. Evidence of airborne transmission of the severe acute respiratory syndrome virus. N Engl J Med. 2004 Apr 22;350(17):1731–1739. doi: 10.1056/NEJMoa032867.

 

私見:

→便,尿から“感染性がある生きたウイルス”が検出される可能性がある.しかしこれらの報告は重症例であり,無症状例や軽症例から検出されるかどうかは不明である.