COVID-19関連追加(202095日)

725-2のプレプリントSantarpia JL, et al. The Infectioius Nature of Patient-Generated SARS-CoV-2 Aerosol.Posted July 21, 2020) と同じグループ.

【隔離病棟のCOVID-19入院患者13人における空気と表面のウイルス検出】

Santarpia, J.L., Rivera, D.N., Herrera, V.L. et al. Aerosol and surface contamination of SARS-CoV-2 observed in quarantine and isolation care. Sci Rep 10, 12732 (2020). https://doi.org/10.1038/s41598-020-69286-3. Accepted July 9, 2020. Published July 29, 2020.

Introduction

ネブラスカ大学医療センター(UNMC)は,Nebraska Medicineと共同で,202036日時点でダイヤモンド・プリンセス号から避難したSARS-CoV-2感染患者13人の治療を行った.入院治療が必要な患者はネブラスカ生物隔離ユニット(NBU: Nebraska Biocontainment Unit)で管理し,軽症者は国立隔離ユニット(NQU: National Quarantine Unit)で隔離した.NBUNQUの主な特徴は以下である: (1) 専用バスルーム付きの個室,(2) 陰圧室(> 12 ACH)と陰圧廊下,(3) キーカードによるアクセス制御,(4) 手指衛生や手袋交換といったユニット固有の感染予防と制御(IPC: infection prevention and control)プロトコル,(5) スタッフのための接触およびエアロゾル保護を含む個人用保護具(PPE)などがある.

Results

我々は,SARS-CoV-2陽性と判定された患者が入院したNBU病院2病室とNQU隔離9病室のfomites表面および空気サンプルを採取した.サンプルは,NQUでは入室59日目にNBUでは10日目に採取した.加えて,患者34日間NBU病室に入院した後,18日目に追加サンプルを採取した.表面サンプル,大量の空気サンプル[50 L/minLpm)],および少量の空気サンプル(4 Lpmを得た.表面サンプルは,共用室(common room)表面身の回り品(personal itemsトイレから採取した.NBUNQU病室サンプリング中の2日間,個人用空気サンプリングデバイス(personal air sampling device)を装着した.

サンプリング前の3日間,患者の57.9%37.2℃(99.0°F)以上の体温を記録し,15.8%37.8℃(100°F)以上の体温であった.体温と関係なく,患者の57.9%が咳を中心とした他の症状が報告された.

SARS-CoV-2E遺伝子をターゲットとしたRT-PCRにより,表面およびエアロゾルサンプルを分析した.本研究で収集した163サンプルのうち,121サンプル(72.4%)でSARS-CoV-2 PCRが陽性であった.隔離・治療中の患者への影響を最小限に抑える必要があるため,本研究で採取した正確な表面積は均一ではない.したがって,結果は回収した液体サンプル中に存在する遺伝子コピーの濃度(copies/μL)として示した.各サンプルタイプから回収されたウイルス遺伝子コピー濃度は全体的に低く,01.75 copies/μLFigure 1A, Table S1, S2)の範囲でサンプルごとに大きく変動し,NBU内のエアハンドリンググレート(air handling grate)から回収された濃度が最も高かった.サンプリング時間と流量のどちらも,この研究で回収されたすべてのエアロゾルサンプルについて既知であったため,全ての空気サンプルにおいて空気中の濃度(airborne concentration)を計算した(copies/L of air; Table S1, S2).

Figure 1:

figure1

全体において,サンプリングされたすべての身の回り品の70.6%PCRによりSARS-CoV-2陽性と判定された(Figure 1B, Table S1).これらのサンプルのうち,様々な身の回り品(”Methods”に記載)の75.0%PCRで陽性と判定され,平均濃度は0.22 copies/μLであった.携帯電話のサンプルは77.8%がウイルスRNA陽性であり(平均濃度0.17 copies/μL),室内テレビのリモコンは55.6%が陽性であった(平均濃度0.22 copies/μL).室内のトイレのサンプルは81.0%が陽性で,平均濃度は0.25 copies/μLであった.サンプリングされたすべての病室の表面(Figure 1B, Table S1)のうち,75.0%SARS-CoV-2 RNAに陽性であった.ベッドサイドのテーブルとベッドの手すりの70.8%にウイルスRNAが認められ(平均濃度0.26 copies/µL),各病室でサンプリングされた窓の縁(平均濃度0.22 copies/µL)の72.7%にウイルスRNAが認められた.患者のベッドの下の床とNBUの換気格子(ventilation grate)もサンプリングした.すべての床サンプル5つ,すべての換気格子サンプル4つがRT-PCRで陽性と判定され,平均濃度はそれぞれ0.45および0.82 copies/µLであった.

室内および廊下スペースの空気サンプル(Figure 1B, Table S1, S2)は、これらの施設における空気を介したウイルスの拡散についての情報を提供してくれる.室内の空気サンプルの63.2%RT-PCRで陽性であることが判明した(空気中の平均濃度2.42 copies/L).NBUでは,最初の2回のサンプリング(10日目)では,サンプラーは患者から離れた窓の縁側に置かれ(患者1が入院していたNBUルームA),ウイルスRNAは陽性であった(Table S1; 2.42 copies/L of air).患者3が入院していたNBUBにおいて18日目に行われたサンプリングでは,患者が鼻カニューレで酸素(1L)を投与されている間,1つのサンプラーが患者の近くに置かれ,もう1つのサンプラーが患者のベッドから2m以上離れたドアの近くに置かれた.両方のサンプルはPCR陽性であり,患者に最も近い空気サンプルのRNA濃度はより高かった(4.07 copies/L of air; もう一方は2.48 copies/L).病室外の廊下で採取した空気サンプルの58.3%が陽性であり(Figure 1B, Table S2),空気中の平均濃度は2.51 copies/Lであった.NQUにおけるサンプリング担当者からの個人用エアサンプラーはいずれも、サンプリング活動の122分後にPCRの陽性結果を示し(表S2)、NBUのサンプリング担当者からのエアサンプラーはいずれも,サンプリング活動を開始して,わずか20分後にウイルスRNAの存在を示した(Table S2).最も高い空気中の濃度は,患者が鼻カニューレから酸素を受けている間にNBUの個人用サンプラーによって記録された(19.17および48.22 copies/L).サンプリング担当者がサンプリングデバイスを装着して病室にいる間,NQUおよびNBUの患者のいずれも咳はしていなかった.

各病室から516サンプルが採取され,1病室あたりの平均サンプル数は7.35個,1病室あたりの平均サンプル数は6個であった.各病室からの陽性サンプルの割合は,40100%の範囲であった(Figure 1B, 2A).各病室の陽性サンプルのパーセントと総サンプル数のSpearman順位相関係数(ρ)は0.33であり,サンプル数と観察された陽性サンプルのパーセントとの間に弱い関係があることが示された.これは患者が頻繁に出入りする領域や使用する物品に対して無計画にサンプリングしたことに起因すると考えられる.採取した陽性サンプルのパーセントを,過去3日間の患者の最高口内体温と比較したところ,ρは0.39であり,体温の上昇と環境中のウイルス排出の間には弱い相関しか認められなかった.さらに記録された口腔内体温を室内サンプルタイプごとの遺伝子コピー濃度と比較した(Table S1).これらの相関係数(ρ)は-0.02(携帯電話)〜0.36(空気サンプル)の範囲であり,体温と環境汚染との間には弱いか有意な関係がないことを示しており,空気サンプル(0.36)が最も強い相関を示し,次いで窓台(windowsill)(0.25),リモコン(0.23)の順であった.

Figure 2:

figure2

RT-PCRでウイルスRNAが陽性であったサンプルのサブセットを,Vero E6細胞を用いてウイルス増殖を調べた.細胞変性効果(cytopathic effect),免疫蛍光染色,細胞培養上清に対するPCRの事件経過(time course PCR),および電子顕微鏡などを使って,ウイルス複製を調査した.これらのサンプルは低濃度であったため,これらの実験ではウイルス培養は確認されなかった( Due to the low concentrations recovered in these samples cultivation of virus was not confirmed in these experiments.それにもかかわらず,2つのサンプルでは,細胞培養により複製能のあるウイルスの存在を示すいくつかの証拠が示された(Figure 2: NQU廊下からの空気サンプル(8日目)NQU病室Aの窓台(windowsill)(5日目)Table S1, S2

RT-PCRでウイルスRNAが陽性であったサンプルのサブセットを,Vero E6細胞を用いてウイルス増殖を調べた細胞変性効果(cytopathic effect免疫蛍光染色細胞培養上清に対するPCRの事件経過(time course PCR,および電子顕微鏡などを使って,ウイルス複製を調査した.これらのサンプルは低濃度であったため,これらの実験ではウイルス培養は確認されなかった( Due to the low concentrations recovered in these samples cultivation of virus was not confirmed in these experiments.それにもかかわらず,2つのサンプルでは,細胞培養により複製能のあるウイルスの存在を示すいくつかの証拠が示された(Figure 2: NQU廊下からの空気サンプル(8日目)NQU病室Aの窓台(windowsill)(5日目)Table S1, S2).細胞培養の顕微鏡検査では,34日後にCPEを示した(Figure 2A, 2B細胞培養上清の連続するPCRははっきりしなかったが,廊下サンプルで観察された上清のRNAの変化は,上清中のRNAが最初に減少した後(分析のために毎日上清を取り出し,新鮮な上清と交換していることと一致する),ウイルスRNAがいくらか増加した可能性を示唆している(Figure 2C窓台サンプルでは,分析のために上清を毎日採取していたにもかかわらず,上清中のウイルスRNAは時間経過を通して一貫しており,これは複製を示している可能性がある(Figure D.さらに,免疫蛍光画像は,廊下の空気サンプルウイルスタンパク質の証拠を示している(Figure 2E窓台サンプル透過型電子顕微鏡(TEM: trasmission electron microscopyによって,細胞培養3日後にintact SARS-CoV-2の存在が確認された(Figure 2F

Discussion

これらのデータを総合すると,SARS-CoV-2患者が入院している病室では,症状や急性度の程度にかかわらず,かなりの環境汚染が見られることがわかる.汚染はすべてのタイプのサンプルに存在している: 大量および少量の空気サンプル,および身の回り品,病室の表面,トイレといった表面サンプルである.ウイルスRNAが陽性であった患者のトイレのサンプルは,便にウイルスが排出されるという他の報告と一致している.また,個人の持ち物,特に携帯電話やリモコンなどの個人が日常的に扱うもの,患者がほぼ常時接触している医療用備品などへの汚染も予想される.サンプルのいくつかについては,細胞培養でのウイルス複製の観察から,回収されたウイルスの潜在的な感染性が確認された.

環境汚染の程度(陽性サンプルの割合(パーセント)で測定)には,病室ごと,日ごとにばらつきがあることがわかった.全体として,NQUでの陽性サンプルの割合は,57日目(72.5%)が89日目(64.9%)よりも高かった.ほとんどのNQUの病室では,病気の経過の早期に陽性率が高かったが,9病室のうち3病室(NQU B, G, I)では,実際には後期(8日目と9日目)の陽性率が高かった.平均して,病気の経過の後期(10日目と18日目)のNBUでは,陽性サンプルの割合が高く(3室で81.4%),これは,病気の緊急度が高い患者や高度医療が必要な患者では,環境汚染のレベルが高い可能性を示唆しているしかし,環境汚染と体温との間に強い相関がないことは,必ずしもウイルス排出が臨床症状と関連しているわけではないという事実を再確認させた

全体的に患者の移動が少ない病院内のNBUでは,陽性サンプルの分布は気流の影響が強いことを示唆している.身の回り品や頻回に触れる物は一律陽性ではなかったが,NBUではベッド下の床および窓の縁(患者が使用していない1つを除く)のすべてのサンプルからウイルスRNAが検出された.NBU内の気流は,部屋の上部中央にあるレジスターから発生し,部屋の両側にある患者のベッドの頭の近くにある格子から排出される気流モデルは,気流の一部が患者のベッド下に向けられており,これがベッド下で観察される汚染を引き起こす可能性があることを示唆しているが,優位な気流は患者のベッドから部屋の端に向かって粒子を運び,窓を通過する可能性が高く,その結果,そこに沈着させる可能性がある

本研究では,SARS-CoV-2 の飛沫および粒子のサイズ範囲を決定するためのサイズ分割技術は使用しなかったが,データは咳がなくても COVID-19患者によってウイルス性エアロゾル粒子が生成されていることを示唆している.@隔離患者と6フィート以上距離を置いて空気サンプリングした数少ない例では,空気サンプル3つのうち2つがウイルスRNA陽性であった.A廊下の空気サンプルの58.3%は,サンプリング活動中にウイルス性エアロゾル粒子が部屋から廊下に運ばれていたことを示している.廊下におけるRNA陽性の空気サンプルは,ウイルスエアロゾル粒子が伝播したか,または部屋を出るスタッフによる再懸濁(resuspend)によって引き起こされた可能性が高い.Bサンプリング担当者が着用した個人用エアサンプラーによって採取された空気は,ほとんどの患者が咳をしていなかったにもかかわらず,すべてSARS-CoV-2陽性であった.ヒトが排出したエアロゾルを調査した最近の文献によると,すべての種類の活動(呼吸,会話,咳など)において,かなりの割合で,直径10µm 未満のエアロゾル粒子が存在していることが示唆されている.SARS-CoV-2の安定性に関する最近の研究では,感染性エアロゾルが数時間,表面に2日間も持続する可能性があることも示されている.

我々の研究では,COVID-19患者の周囲のSARS-CoV-2環境汚染は広範囲に及んでおり,病院のIPCプロトコルでは,ウイルスのfomitesによる接触感染リスクおよび空気感染の可能性のリスクを考慮すべきであることが示唆されている.広範囲に及ぶ環境汚染,および軽症入院患者に関連した限定的なSARS-CoV-2エアロゾル汚染にもかかわらず,標準的な感染予防管理対策を実施することで,医療従事者のCOVID-19感染を防ぐことができた.NBUNQUの両方の標準的なIPCプロトコルには,1時間あたり1215回の空気交換を行う陰圧室,外部と比較して陰圧になっている廊下,厳格なアクセス管理,高度な訓練を受けたスタッフ,頻繁な環境清掃,およびPPENQUではN95レスピレーター,NBU内の患者ケアのためのPAPR: powered air purifyng respirator)が含まれています。リスクを完全に定量化するためには,さらなる研究が必要である.

 

Methods

表面fometes:

いくつかの個人的な身の回り品は,すべての隔離室で一貫してサンプリングされた(携帯電話とテレビのリモコン).さらに,どのようなものを頻繁に使用しているか,または扱っているかを尋ねた: 運動器具,医療機器(スパイロメトリー,パルスオキシメーター,経鼻カニューレ),パソコン,iPad,眼鏡,お湯を沸かすためのポットなど,いくつかの追加サンプルを収集した.この最後のカテゴリーは,「Miscellaneous Personal Samples」としてまとめられている.

各部屋でいくつかの表面をサンプリングした.NQUの病室では,窓台とベッドサイドテーブルの両方でサンプルを採取した.NBUの病室では,窓台,ベッド柵,ベッドサイドテーブル,患者のベッドの下,ドアに近いエアコンの格子の上でサンプルを採取した.

表面および身の回り品は,リン酸緩衝生理食塩水(PBS: phosphate buffered saline3mLで事前に濡らした3×3の滅菌ガーゼパッドを使用して収集した.大面積の表面サンプルは,利用可能な表面を可能な限り覆うように2方向に「S」パターンで拭いて収集した.小さいもの(携帯電話,リモコンなど)は,利用可能なすべての表面を一方向に拭いた.収集後,サンプルは円錐形チューブ50mLに詰めた.各サンプルの採取の間に,手指の衛生管理と手袋の交換を行った.

空気:

患者の病室の内外を問わず,サルトリウス・エアポートMD8エアサンプラーを使用して,50Lpm15分間動作させて,静止した空気サンプルを収集した.サンプルは80mmのゼラチンフィルターに採取した.患者病室内のサンプラーは,ベッドサイドテーブルとナイトスタンドの上に置かれたが,患者から少なくとも1m離れた場所に置かれた.そのため,サンプラーと患者の間の距離は定義されておらず,一貫していないが,病室内の患者がサンプラーと直接相互作用することはなかった.

しかし,NQUのサンプリング中は全員がベッドから出ていた.NQUプロトコルでは,隔離された患者に対して、部屋に入るスタッフから6フィートの距離を保ち,スタッフが部屋にいる間は処置用マスク(サージカルマスクなど)を着用するように助言している.これらの手順をきちんと遵守していることが観察されている.この研究では,空気サンプリング中にマスクを外すように指示されていましたが,多くの人がマスクを外していなかったため,マスクを着用している感染者の影響を評価することはできなかった.

廊下の空気サンプルは,サンプリング活動が行われている部屋に隣接するドア枠から約10cmの位置にサンプラーを床に置くことで得られた.サンプリング担当者は,空気サンプリング中に何度か病室に出入りした.サンプリング活動中に,個人用ボタンサンプラー(SKC社)を装着し,エアチェクポンプ(SKC社)を使用して,両方とも4Lpmでサンプリングを行った.これらのサンプルは25mmのゼラチンフィルターに採取された.

Table S1:

 

 

Table S2: