COVID-19関連追加(2020912日)

 

【保育園(保育施設)におけるCOVID-19アウトブレイク】

Lopez AS, et al. Transmission Dynamics of COVID-19 Outbreaks Associated with Child Care Facilities — Salt Lake City, Utah, April–July 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 11 September 2020.

http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm6937e3.

The figure shows text describing that children who likely got COVID-19 at two Utah child care centers spread it to household members.

BackgroundAbstract

10歳以上の小児は,COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を効率的に感染させうるという報告がある1)2).しかし,幼児(young children)からのSARS-CoV-2感染,特に保育園における感染伝播については,限られたデータしかない3).幼児からの感染をより理解するために,202041日〜710日までに,ユタ州ソルトレイク郡の保育園で発生した3件のCOVID-19アウトブレイクから収集した接触者追跡データを後ろ向きに検討し,発病率(attack rate)と感染パターンを探った.110人(60%)の小児を含む合計184人が,これら3つの施設のいずれかとの疫学的関連性が確認されたこれらの人々のうち,COVID-19症例31人が確認された; 13人(42%)が小児であった施設に関連したCOVID-19が確認された小児患者のうち,すべての患者は軽症または無症状であった12人の小児が保育園でCOVID-19に感染したこれらの小児から,施設以外の接触者46人のうち少なくとも12人(26%)への感染伝播が報告されている(確定例または疑い例)1人の親が入院した.COVID-19が確認された小児3人のうち2人からの感染が観察された.詳細な接触者追跡データから,小児が保育園から家庭内の接触者への感染伝播に役割を果たしている可能性があることが示された.迅速にSARS-CoV-2検査にアクセスすることによって,症状にかかわらず保育園においてCOVID-19感染者の濃厚接触者を検査することは,感染を防ぐのに役立つであろう.CDCのチャイルドケアプログラムのためのガイダンスでは,SARS-CoV-2感染を減らすために,手指消毒,物質接触面の頻繁な清掃と消毒,調子が悪ければ自宅に留まることと共に,特にスタッフのフェイスマスク着用が推奨されている(小児のマスク着用は難しいので).

Methods

ユタ州の全国電子疾病サーベイランスシステム(EpiTrax: Electronic Disease Surveillance System)を通じて202041日〜710日までに収集された接触者追跡データ*を使用して,報告されたCOVID-19の保育園アウトブレイクからの感染伝播について後ろ向き調査を行った(同一施設の職員または利用者において14日以内にCOVID-19確定症例が2人以上あると定義).EpiTraxは,指標患者(index case)と接触者(COVID-19患者の症状発症の2日前から少なくとも15分から2日間,患者から6フィート以内にいた者と定義)との疫学的関連性が記録されており,人口統計学的特徴,症状,曝露,検査,および経過観察/隔離期間に関するデータが記録されている.確定症例とは,SARS-CoV-2 リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査で陽性の場合と定義した.疑い例とは,COVID-19に適合する症状を有しており,疫学的にはアウトブレイクに関連しているが,臨床検査が行われていないものをいう.この報告では,指標患者を保育園で最初に確認された症例と定義し,一次症例(primary case)をアウトブレイクに関連した最も早い時期に確認された症例と定義した小児患者は18歳未満,成人は18歳以上とした

保育園に関連するCOVID-19確定症例,または疑い例は,症状を認めた場合,SARS-CoV-2検査が陽性であった場合は隔離する必要があった.接触者は,確定例と接触後14日間の隔離が必要であった.施設発病率(facility attack rateは,施設関連確定症例および疑い例(指標患者を含む)を分子に,施設の全スタッフおよび利用者を分母に含めて算出した.全体の発病率(overall attack rateは,分子に施設関連症例(指標症例を含む)と非施設接触者(世帯・非世帯)を,分母に施設スタッフ・利用者全員と非施設接触者を含み,一次症例と一次症例に関連する症例は除外した.

Results

41日〜710日まで,ソルトレイク郡は,14日間に少なくとも2人のCOVID-19感染者が確認された17の保育園(学童向けのデイケア施設およびデイキャンプ,以下”施設”とする)を確認した.この報告では,施設内で感染の可能性があり、完全な情報を得ることができた3施設でのアウトブレイクについて説明する.184のうち,成人74人(48%)(年齢中央値= 30歳,範囲= 1978歳)と小児110人(60%)(年齢中央値= 7歳,範囲= 0.216歳)が,これら3施設のいずれかで発生したアウトブレイクと疫学的に関連があることがわかった; 女性54%,男性40%であったうちCOVID-19確定症例は31であった(Table 1; 成人18人(58%),小児13人(42%)であったすべての接触者のうち,確定症例9人と疑い例7が認められた; 残りの接触者146人は,検査陰性(50; 27%),無症状で検査を受けていない(94; 51%),または症状と検査情報が不明(2; 1%)のいずれかであった.

施設スタッフおよび利用者101のうち,COVID-19確定症例22人(22%(成人10人,小児12人)が認められ(Table 2),全確定症例31人のうち71を占めた施設関連のCOVID-19小児患者12のうち,9人は軽度の症状を認め3人は無症状であったこれら小児患者12人の接触者83人のうち,施設外接触者は46人(55%であり,うち12人(26%)は,COVID-19確定症例7人,疑い例5であったこれらの症例のうち6人は母親に,3人は小児患者の兄弟姉妹に発生した.全体として,施設関連症例の接触者162人のうち94人(58%)はCOVID-19の症状がなく,検査を受けていなかった.2つの施設のスタッフは,COVID-19確定症例または疑い例と家庭内接触しており,その家庭内接触者が症状を呈している間に出勤していた.これらの家庭内接触者は,それぞれのアウトブレイクの主要症例を代表するものであった。

Table 1:

 

Table 2:

 

Facility A Outbreak

必要不可欠と考えられ(essential business),アウトブレイク発生前に閉鎖されていなかった施設Aでは,12人のスタッフと小児に対して毎日の検温と症状のスクリーニング,さらに頻繁な清掃と消毒が行われ,スタッフにはマスクの着用が義務付けられていた.スタッフのCOVID-19症例2人は施設Aに関連していた(Figure).施設Aincex case(患者A1; スタッフ)は,42日に発症,43日に自己隔離,46日に鼻咽頭(NP)綿棒検体のSARS-CoV-2 RT-PCR検査が陽性と判明した.必要不可欠と考えられ(essential business),アウトブレイク発生前に閉鎖されていなかった施設Aでは,12人のスタッフと小児に対して毎日の検温と症状のスクリーニング,さらに頻繁な清掃と消毒が行われ,スタッフにはマスクの着用が義務付けられていた.スタッフのCOVID-19症例2は施設Aに関連していた(Figure施設A指標症例(index case)(患者A1; スタッフ)は,42日に発症,43日に自己隔離,46日に鼻咽頭(NP)綿棒検体のSARS-CoV-2 RT-PCR検査が陽性と判明した患者A1の発症から3日後,2人目のスタッフ(患者A2が発症し,1日後にSARS-CoV-2検査が陽性となった.施設内接触者10人(15歳の小児9人とスタッフ1人)は,経過観察期間中も無症状のままで,検査を受けていなかった.施設Aにおいて,最後に報告された曝露は43日であり,施設は閉鎖された.患者A1A2の施設外接触者15人(113歳の小児4人を含む)のうち,10人は経過観察期間中も無症状のままで検査を受けておらず,3人は検査結果が陰性であった; 施設外接触者2人の症状と検査情報は不明であった.指標患者の家庭内接触者である一次患者は,患者A1の発症の9日前に症状発現を認め,46日に採取されたNP検体のSARS-CoV-2検査が陽性であった施設A施設発病率(一次症例を除く)は17%12人中2人)全体の発病率(接触者を含む)では7%27人中2人)であった

 

Figure: Transmission chains* and attack rates†,§ in three COVID-19 child care facility outbreaks¶,**,†† — Salt Lake County, Utah, April 1– July 10, 2020

The figure is a diagram of a transmission chain showing links between contacts and cases and indicating attacks rates in three COVID-19 outbreaks in child care facilities in Salt Lake County, Utah, during April 1–July 10, 2020.

* Transmission chains developed using Microbe Trace software.

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.07.22.216275v1external icon.

Facility attack rates include index cases and all facility staff members and attendees.

§ Overall attack rates include all facility staff members and attendees (including the index case) and nonfacility contacts (household and nonhousehold). It does not include the primary case or the cases linked to the primary case.

A confirmed case was defined as a positive SARS-CoV-2 reverse transcription–polymerase chain reaction test result. A probable case was an illness with symptoms consistent with COVID-19 and linked to the outbreak but without laboratory testing.

** The index case was defined as the earliest confirmed case in a person at the child care facility.

†† A primary case was defined as the earliest confirmed case linked to the outbreak.

 

 

Facility B Outbreak:

313日〜54日まで,施設Bは閉鎖していた.再開時には,スタッフ5人と小児の体温を毎日確認し,頻回の清掃の頻度,そしてスタッフのみマスク着用を義務づけた.施設Bでは,スタッフ3人,小児2人の計5人のCOVID-19症例が認められた(Figure指標症例(index case)(患者B1; スタッフ)は,前症状期である531日に検査を受け(COVID-19感染者と家庭内接触があったため),SARS-CoV-2陽性であった; 患者B163日に軽度のCOVID-19の症状を認め,529日が最後の勤務であった.2人目のスタッフ(患者B2は,68日に症状を認め,検査を受け,2日後に陽性と判明した.患者B38ヶ月の乳幼児)と患者B48歳の小児)は,患者B2の症状が出てからそれぞれ7日後と8日後に軽度の症状(発熱,倦怠感,鼻水)を認めた3人目のスタッフ(患者B5)は,患者B4の症状が出てから9日後に症状を認め,検査を受け,1日後に陽性反応と判明した2人の小児が接触した人に感染伝播した可能性があった; COVID-19確定症例2人(1人の母親と父親,それぞれ,その小児が発症した2日後,3日後に発症)疑い例3人(1人の母親を含む成人2人,小児1人)であった.指標患者B1は、526日に発症し,529日に検査を受けSARS-CoV-2検査が陽性となった一次患者の家庭内接触者であった施設B施設発病率は100%5人中5人)全体の発病率は36%33人中12人)であった

Facility C Outbreak:

施設C313日〜617日まで,閉鎖されていた.再開時には.スタッフ・小児84人に毎日の検温と症状の確認,職員と小児はマスクの着用を義務付けられていなかった.施設Cに関連するCOVID-19症例は15人(スタッフ5人,小児10人)であった(Figure624日,スタッフ2人と小児2人に症状が認められ,自己隔離となった.指標症例(index case)(患者C1; スタッフ)は,625日に受けたNP検体の検査が陽性であった2人目のスタッフ(患者C2はその2日後に検査を受けてSARS-CoV-2の検査が陽性となり,小児2人(7歳と8歳)はそれぞれ628日と29日に検査を受けて陽性となったその後の8日間で,さらに8人の小児(610歳)が検査を受け,そのうち3人は無症状で,3人のスタッフ(全員症状あり)がSARS-CoV-2検査が陽性であったこの施設の小児患者は,SARS-CoV-2 を接触者に感染伝播させた可能性が高く,その中には家庭内接触による確定症例5人(母親3人,叔母1人,小児1人)と,家庭内接触による疑い例2人(母親1人,小児1人)が含まれていた.発症日が判明している小児の発症から3日後と5日後に症状が発現していた.無症状の小児から感染したと思われる母親1人がその後入院した.症状のある小児7人のうち,発熱が最も一般的な症状で,頭痛と喉の痛みがそれに続いた.このクラスターの感染源は特定されなかった施設C施設発病率は18%84人中15人)全体の発病率は19%124人中24人)であった

 

 

Discussion

ユタ州ソルトレイク郡の接触者追跡データを分析したところ,3つの小規模から大規模な保育園でCOVID-19のアウトブレイクが発生し,成人の指標症例(index case)と関連しており小児から家庭あるいは非家庭接触者への感染伝播が確認されたこれら3つのアウトブレイクでは、施設に関連する症例の54%が小児に発生していた保育園でCOVID-19が確認された小児から施設以外の接触者の25%への感染が発生したと考えられる

緩和戦略§は,これらの施設での SARS-CoV-2 感染伝播を制限するのに役立った可能性がある.COVID-19 感染伝播を抑制するために,2 歳以上の人にはマスクの使用が推奨されている¶ .マスクは感染リスクを軽減する可能性が高いが5),小児では年齢のためマスクの着用が困難である場合があり,SARS-CoV-2を感染伝播させてしまう.例えば,施設Bでは生後8ヶ月の乳幼児が両親にSARS-CoV-2を感染させた.

Limitation: @接触追跡方法のガイダンスがパンデミック中に変更されたため,時間の経過とともに収集されたデータに違いが生じた可能性がある.A検査基準には当初、発熱、咳、息切れなどの典型的なCOVID-19の症状を持つ人のみが含まれていたため,症例数と感染数が過小評価されていた可能性がある.B施設Cでの発生源が不明であったため,施設Cに関連する症例は施設外からの感染伝播に起因していた可能性がある.

COVID-19は成人よりも小児の方が重症度は低いが6)7),小児が感染伝播の一翼を担う可能性がある8)9)これら3施設で曝露された小児感染者は軽症〜無症状であった無症状の小児3人のうち2人は,SARS-CoV-2を両親や教師に感染させた可能性が高い.迅速でアクセスの良いSARS-CoV-2検査によって,症状の有無にかかわらず,保育現場で患者の接触者を検査することは、感染を予防し,感染伝播における小児の役割についての理解を深めるのに役立つ.家庭内接触者がCOVID-19に矛盾しない症状を認めている期間にスタッフが働いていたという事実を考慮すると,もし家族に症状を認めたならば,スタッフや利用者を隔離し,検査を受けることを推奨しているCDCのチャイルドケアプログラムのためのガイダンス4)を参照にしたい.また,このガイダンスでは,特にスタッフの間ではフェイスマスクの使用を推奨しているが,特に小児が幼すぎてマスクを着用できない場合には,手指の衛生管理,接触面の頻繁な清掃と消毒,調子が悪い時の自宅待機を推奨しており,これでSARS-CoV-2の感染を減らすことができる

References

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