COVID-19関連追加(2020914日)

 

COVID-19から回復した競技スポーツ選手(アスリート)における心臓MRI所見】

Rajpal S, et al. Cardiovascular Magnetic Resonance Findings in Competitive Athletes Recovering From COVID-19 Infection. Sep 11, 2020. JAMA Cardiol. Published online September 11, 2020.

doi:10.1001/jamacardio.2020.4916.

Background

心筋炎はアスリートの心臓突然死の重要な原因であり,正常な心室機能でも発症する可能性がある.最近の研究では,無症状または軽症患者でもCOVID-19から回復した後の心筋炎が懸念されている.我々の目的は,COVID-19から回復したアスリートを対象に,競技復帰におけるハイリスクアスリートに関与する心筋炎症を検出するために,心臓磁気共鳴(CMR: cardiac magnetic resonance)画像検査を用いて検討した.

Methods

我々は,20206月〜8月にCOVID-19(逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)陽性後にスポーツ医学クリニックに紹介されたすべてのアスリートを対象に,標準化されたプロトコルを用いて,1.5Tスキャナー(Magnetom Sola; Siemens Healthineers)で,シネ、T1およびT2マッピング,細胞外容積分画(ECV: extracellular volume fraction),後期ガドリニウム増強(LGE: late gadolinium enhancement)を含む包括的なCMR画像検査を実施した.オハイオ州立大学の機関審査委員会が本研究を承認し,参加アスリートから書面によるインフォームドコンセントを得た.推奨された隔離期間(1153日)後CMR画像検査を実施した.心電図,血清トロポニンI,経胸壁心エコー検査はCMR撮影当日に実施した.

Results

我々は,フットボール,サッカー,ラクロス,バスケットボール,陸上競技の競技大学アスリート26人(平均年齢19.5[SD, 1.5],男性15[57.7%]を対象に,CMR画像検査を実施した.入院を必要としたり, COVID-19 に対する抗ウイルス療法を受けたアスリートはいなかった.アスリート12人(26.9%; 女性7人を含む)が短期間の感染時に軽度の症状(喉の痛み,息切れ,筋肉痛,発熱)を報告したが,他のアスリートは無症状であった.心電図ではST/T波の変化は認められず,経胸壁心エコー検査およびCMR画像検査では,すべての選手の心室容積および心機能は正常範囲内であったトロポニンIはいずれのアスリートでも上昇していなかった

アスリート4人(15%; すべて男性)は,アップデイトされたレイク・ルイーズ基準の2つの主な特徴による,心筋炎と一致するCMR所見が認められた: T2シグナル上昇による心筋浮腫非虚血性LGEを呈する心筋傷害Figure

CMRにて心筋炎が認められたアスリート2人に心嚢液貯留が認められた.心筋炎の所見を認めたアスリート4人のうち2人は軽度の症状(息切れ)を認めたが,他の2人は無症状であった.アスリート12人(46%)がLGE(米国心臓協会の2セグメントの平均)を認め,そのうち8人(30.8%)はT2シグナル上昇を伴わないLGEを認めた(Table心筋炎が疑われたアスリートの平均(SDT2593msmilliseconds)であったのに対し,CMRで心筋炎所見がないアスリートの平均(SDT2512msであった

Figure: Cardiovascular Magnetic Resonance Findings in Competitive Athletes Recovering From Coronavirus Disease 2019 Infection

A: 黄矢印で示された心嚢液貯留を示すシネ中短軸画像(cine mid short-axis images).B: 青矢印で示された心筋浮腫(T2シグナル上昇,61ms)を示すcolor overlayによる中短軸T2マップ(T2 map with color overlay mid short-axis).C: 白矢印で示された下壁隔壁,右心室入口,および中前側壁の後期ガドリニウム増強を示す短軸像.D: 黄矢印で示された心嚢液貯留を示すシネ2 chamber 長軸像.E: 青矢印で示された心筋浮腫(T2シグナル上昇,58ms)をcolor overlayしたT2マップ.F: 白矢印で示された下壁の心外膜後期ガドリニウム増強を示す右2 chamber長軸像.

 

 

Table: Demographic Features and Echocardiographic and Cardiovascular Magnetic Resonance Parameters in Competitive Athletes Recovering From Coronavirus Disease 2019

 

Discussion

アスリート26人のうち4人(15%)に心筋炎を示唆するCMR所見が認められ,8人(30.8%)には心筋傷害の既往を示唆するT2上昇を伴わないLGEが認められた.競技アスリートやスポーツ参加者におけるCOVID-19関連の心筋傷害については不明な点が多い.CMR検査は,有害転帰のハイリスク集団を同定できる可能性があり,CMRマッピング技術は心筋炎を除外するための高い陰性予測値を有するため,重要なことに,アスリートが安全に参加できるようリスク層別化できる可能性があるPuntmannらによる最近の研究では,多くのCOVID-19回復患者に心臓病変があることが示されている1).最近の専門家のコンセンサスでは,無症状の場合には2週間の療養を行い,無症状の場合には診断的心臓検査を行わず,軽症COVID-19患者には心電図と経胸壁心エコー検査を行い,競技スポーツに復帰することが推奨されている2)しかし,新たな知見やCMR画像検査によって,この推奨は疑問視されている心筋の炎症を示すCMR画像所見は,心筋機能障害や死亡率などの予後不良因子と関連している3).研究のlimitationとしては、ベースラインのCMR検査を行っていないこと,COVID-19検査結果が陽性であった場合のCMR検査のタイミングが異なることなどが挙げられる.しかし,この集団では,心筋炎が疑われた人の平均(SDT2593msであったのに対し,そうでない人では512msであり,病理学的に有意であった.さらに、LGE42%)は,以前に報告された標準的な集団よりも高かった

Conclusions

アスリートにおけるCMR画像所見の変化を理解するためには,長期追跡調査と対照集団を含む大規模な研究が必要であるが,CMR検査は,アスリートが安全に競技に参加するための,COVID-19から回復したアスリートの心筋炎に対する優れたリスク・層別化評価を提供する可能性がある

References

1) Puntmann  VO, Carerj  ML, Wieters  I,  et al.  Outcomes of cardiovascular magnetic resonance imaging in patients recently recovered from coronavirus disease 2019 (COVID-19).   JAMA Cardiol. Published online July 27, 2020.

doi:10.1001/jamacardio.2020.3557

2) Phelan  D, Kim  JH, Chung  EH.  A game plan for the resumption of sport and exercise after coronavirus disease 2019 (COVID-19) infection.   JAMA Cardiol. 2020.

doi:10.1001/jamacardio.2020.2136

3) Gräni  C, Eichhorn  C, Bière  L,  et al.  Prognostic value of cardiac magnetic resonance tissue characterization in risk stratifying patients with suspected myocarditis.  [published correction appears in J Am Coll Cardiol. 2017;70(21):2736].  J Am Coll Cardiol. 2017;70(16):1964-1976.