COVID-19関連追加(20201015日)

 

COVID-19パンデミックにおける科学的な総意: 今我々は,実践する必要がある】

Correspondence. Nisreen A Alwan, Rochelle Ann Burgess, Simon Ashworth, Rupert Beale, Nahid Bhadelia, Debby Bogaert, and others. Scientific consensus on the COVID-19 pandemic: we need to act now.

Lancet. Oct 14, 2020. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)32153-X.

 

SARS-CoV-2は世界で3500万人以上に感染し,20201012日時点で100万人以上の死亡がWHOによって記録されている.COVID-19の第2波がヨーロッパに影響を及ぼし,冬が近づいている今,COVID-19がもたらすリスクと,それに対抗するための効果的な戦略についての明確なコミュニケーションが必要である.ここでは,COVID-19に関する現在のエビデンスに基づくコンセンサスについて我々の見解を共有する.

SARS-CoV-2は,より大きな飛沫やエアロゾルを介した接触およびエアロゾルを介した長距離感染伝播(特に換気が不良な環境下)によって拡散する曝露していない集団が新たなウイルスに感染しやすいことが相まって,その強い感染力1)が,急速にコミュニティに拡散する条件となっているCOVID-19感染者,特に捕捉されない感染者を含むトータルの感染者の想定致死率(IFR: infection fatality rate)は季節性インフルエンザの数倍であり2),感染すると、若くて以前は健康だった人も含めて,症状が持続する可能性がある(long COVID3)防御免疫がどのくらい持続するかは不明であり4),他の季節性コロナウイルスと同様に,SARS-CoV-2 は既に発症した人に再感染する可能性があるが,再感染の頻度は不明である5).ウイルス感染伝播は,フィジカルディスタンス,フェイシャルカバーの着用,手や呼吸器の衛生管理,人ごみや換気の悪い場所を避けることで軽減することができる.また,迅速検査,接触者追跡,そして隔離も感染伝播を抑制するために重要である.WHOはパンデミックの初期からこれらの対策を提唱してきた.

パンデミック初期段階では、多くの国がウイルスの急速拡散を遅らせるために,ロックダウン(自宅待機や出勤などの制限)を実施した.これは,死亡率を低下させ6)7),医療崩壊を防ぎ,ロックダウン後の感染抑制のためのパンデミック対応システムを構築するための時間を稼ぐために不可欠なものであった.ロックダウンは混乱を招き,心身の健康に大きな影響を与え,経済にも悪影響を及ぼしたが,ロックダウン中やロックダウン後の時間を有効なパンデミック対策システムの構築に充てることができなかった国では,その影響はより深刻なものとなっていることが多い.パンデミックとその社会的影響を管理するために適切に準備しなかったため,これらの国々は継続的な制限に直面してきた

当然のことながら,これは広範な士気の低下と信頼の低下につながっている.第二の波の到来と今後の課題の認識は,いわゆる集団免疫アプローチへの関心を新たに高めている.これは脆弱な人々を保護しつつ,リスクの低い集団での大規模な制御不能なアウトブレイクを許容することを意味している.推進派は,このアプローチが低リスク集団の感染獲得集団免疫の発展につながり,最終的には脆弱な人々を保護することになるだろうと提案している.

これは科学的根拠に裏付けられていない危険な誤った推論である

COVID-19に対する自然感染による免疫に頼ったパンデミック管理戦略には欠陥がある.制御できない若年者の感染伝播は,全人口の罹患率3)と死亡率を上昇させる危険性がある人的コストに加えて、これは労働力全体に影響を与え,急性および日常的なケアを提供する医療機関を逼迫させることになるだろう.さらに,自然感染に続いて,SARS-CoV-2に対する永続的な防御免疫の証拠はなく4),免疫が衰えた結果として生じる流行性感染伝播(endemic transmission)は,将来にわたって脆弱な人々にリスクをもたらすことになる

このような戦略は,COVID-19パンデミックを終わらせることにはならず,予防接種の出現以前に多くの感染症がそうであったように再流行をもたらすことになるだろう.また,経済,そして医療従事者に受け入れがたい負担を強いることになるだろう.さらにどのような人が”long COVID”で苦しむ可能性があるのか,まだ理解できていない.脆弱な人の定義は複雑だが,重症化リスクがある人を考慮しても,脆弱な人の割合は地域によっては人口の30%にも達している8)大部分の人口を長期にわたって隔離することは現実的に不可能であり,非常に非倫理的である多くの国からの経験的証拠は,制御されていないアウトブレイクを社会の特定のセクションに限定することが不可能であることを示しているさらに,このようなアプローチはパンデミックによってすでに露呈している社会経済的不平等や構造的差別をさらに悪化させる危険性がある.最も脆弱な人々を守るための特別な努力は不可欠であるが,人口レベルでの多面的な戦略と共に行われなければならない.

再び,我々は,ヨーロッパ,アメリカ,そして世界中の多くの国で,COVID-19症例が急速に増加していることに直面している.決断的かつ緊急に行動することが重要である.感染を抑制・制御するための効果的な対策を広く実施する必要があり,また,コミュニティの対応の補助およびパンデミックによって増幅された不平等に対する取り組みのため,財政的・社会的プログラムによる支援を行わなければならない.将来的なロックダウンを防ぐために,感染を抑制し,効果が乏しいパンデミック対応システムを修正するために,短期的には継続的な規制が必要になるだろうこれらの制限の目的は,SARS-CoV-2感染を効果的に抑え,局所的な発生を迅速に検出し,効率的で包括的な発見,検査,追跡,隔離,そしてサポートシステムによる迅速な対応を可能にすることで,一般的な制限を必要とせずに生活を通常に近い状態に戻すことができるようにすることである我々の経済を守ることと,COVID-19の制御は密接に結びついている.我々は,労働力を保護し,長期的な不確実性を回避しなければならない.

日本,ベトナム,ニュージーランドなど,数カ国は,強固な公衆衛生対応によって感染を制御し,生活を正常に近い状態に戻すことができることを示してきた.そしてそのような成功例はたくさんある.安全で効果的なワクチンや治療法が今後数ヶ月以内に登場するまで,コミュニティへのCOVID-19感染拡散を抑制することが,我々の経済を守るための最善の方法であるという証拠は明白である.我々は,効果的な対応を弱体化させるような気晴らしをしている余裕はない.エビデンスに基づいて緊急に行動することが不可欠である.この行動の呼びかけを支持するために,John Snow Memorandumに署名を.

 

References

1) Hao X, et al. Reconstruction of the full transmission dynamics of COVID-19 in Wuhan.

Nature. 2020; 584: 420-424.

2) Verity R, et al. Estimates of the severity of coronavirus disease 2019: a model-based analysis. Lancet Infect Dis. 2020; 20: 669-677.

3) Nature. Long COVID: let patients help define long-lasting COVID symptoms.

Nature. 2020; 586: 170.

4) Chen Y, et al. A comprehensive, longitudinal analysis of humoral responses specific to four recombinant antigens of SARS-CoV-2 in severe and non-severe COVID-19 patients.

PLoS Pathog. 2020; 16e1008796.

5) Parry J. COVID-19: Hong Kong scientists report first confirmed case of reinfection.

BMJ. 2020; 370m3340.

6) Flaxman S, et al. Estimating the effects of non-pharmaceutical interventions on COVID-19 in Europe. Nature. 2020; 584: 257-261.

7) Dehning J, et al. Inferring change points in the spread of COVID-19 reveals the effectiveness of interventions. Science. 2020; 369eabb9789.

8) Clark A, et al. Global, regional, and national estimates of the population at increased risk of severe COVID-19 due to underlying health conditions in 2020: a modelling study.

Lancet Glob Health. 2020; 8: e1003-e1017.