COVID-19関連追加(20201028日)

 

【マスクの最新エビデンス】

(1)Hiroshi Ueki, Yuri Furusawa, Kiyoko Iwatsuki-Horimoto, Masaki Imai, Hiroki Kabata, Hidekazu Nishimura, Yoshihiro Kawaoka. Effectiveness of Face Masks in Preventing Airborne Transmission of SARS-CoV-2. American Society for Microbiology. Oct 21, 2020. DOI: 10.1128/mSphere.00637-20.

我々は,ヒトの呼吸や咳により発生する感染性飛沫・エアロゾルの空気伝搬シミュレータを開発し,発生した感染性飛沫・エアロゾルの伝播性と各種フェイスマスクの伝播遮断能力を評価した(Figure 1).バイオセーフティレベル3BSL3)施設内に空気感染実験用チャンバーを構築し、マネキンヘッド2つを向かい合わせにして配置した.ネブライザーを繋いでSARS-CoV-2を飛沫やエアロゾルとしてヒトの咳と同等の速度で口元から排出できるようにしたウイルスを吸い込むマネキンヘッドには人工呼吸器を繋いでヒトと同等の換気率で呼吸できるようにして,ゼラチン膜でできたウイルスを捕集する装置を呼吸経路に設置して,マネキンヘッドが吸い込んだ空気に含まれるウイルス粒子を捕集できるようにした.ネブライザーには,飛沫/エアロゾルを生成するために,Figure 2に示された培養液(ウシ胎児血清なし),またはリン酸緩衝生理食塩水で希釈したウイルス濃度におけるウイルス懸濁液6mlを充填した.そして,2m/s2)の流速で20分間,軽度の咳を模した呼吸を連続的に呼出した呼出された初期粒子径は質量中央径で5.5±0.2μmであったが(粒子径の割合は以下: <3μm, 20%; 35μm, 40%; >58μm, 40%3))であったが,一部の飛沫は徐々に蒸発してエアロゾルに変化したと考えられる.したがって,飛沫とエアロゾルがどちらもチャンバー内に存在していた可能性が高い.マネキンヘッドにフェイスマスクを装着し,マスクを通過したウイルス量および感染性ウイルスを,それぞれプラークアッセイ(plaque assay)および定量リアルタイム逆転写PCRqRT-PCR)を用いて測定した.

 

 

Figure 1: 左側のマネキンの口からSARS-CoV-2が噴出されチャンバー内に拡散する.右側のマネキンには人工呼吸器が繋がれており,吸い込んだウイルス粒子はウイルス回収装置に捕集される.

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吐き出す側のマネキンと吸い込む側のマネキンの両者の距離とウイルスの吸い込み量との関係について調べたところ,ウイルスを排出するマネキンから離れるにしたがって吸入される飛沫/エアロゾル中のウイルス量が減少することが分かった.その一方で,1m離れていても感染性のあるウイルスは吸い込まれることが分かったFigure 2A.図中の青いバーはウイルス力価,茶色の棒はウイルスRNAコピー数をそれぞれ示している.各バーの下の数字は,左端の対照値に対するパーセンテージを示している.ウイルスに曝露されたマネキンに様々なマスク(布マスク,サージカルマスク,またはN95マスク)を装着した場合,ウイルス飛沫/エアロゾルの吸い込みが減少した布マスクを装着した場合,マスクを装着していない場合と比較して,ウイルスの吸い込みが約20%40%減少したFigure 2BN95マスクは各種マスクの中で最も防御効果が高かったが(約8090%減少)粘着テープで完全に顔にフィッティングした状態でも感染性ウイルスがマスクを透過することが分かったFigure 2B.一方,ウイルスを吐き出すマネキンにマスクを装着させ,ウイルスの吸い込み量への影響を検討した布マスクサージカルマスクでは50%以上のウイルス拡散を遮断した一方N95マスクではかなりの防御効果があった(Figure 2C.また,ウイルスを吸い込む側とウイルスを吐き出す側の両方がマスク(吐き出す側は,布マスクまたはサージカルマスク)を装着すると,相乗効果的に感染性飛沫/エアロゾル伝播を防御したFigure 2D, E

Figure 2:

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次に,吐き出されたウイルス量を増加させた場合のマスクの防御効果を検証した.ウイルス量を108 PFUに増加させてマネキンが吐き出した後に,吸い込む側のマネキンに各種マスクを装着させウイルス飛沫/エアロゾルの吸い込み量を測定した.Figure 2Bに示した低ウイルス量(5×105 PFU)と同様に,粘着テープでフィッティングしたN95マスクでは,約90%の防御効果が得られたN95マスク製品2種類の比較はFigure 2FGを参照).また,吐き出されたウイルス量を105 PFUまたは104 PFUに減少させた場合には,マスクを外した吸い込む側のマネキンから感染性ウイルスは検出されなかったFigure 2H, IウイルスRNAは全てのサンプルから検出された; しかし,定量的な減少により,密着されたN95マスクを含む全てのマスクにおいて防御効果の違いは見られなかった(N95マスクを密着して装着したとしてもマスクを透過したウイルスRNAが認められた

Figure 2 (continue):

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この実験では,布マスク,サージカルマスク,N95マスクは感染性飛沫/エアロゾル伝播に対して保護効果があり,ウイルス拡散者がマスクを着用することにより,防御効率が高くなることが示された.無症状感染者や症状がほとんどない感染者の鼻腔や咽頭スワブからかなりのウイルス量が検出されることから,このような感染者からの感染伝播の可能性が示唆されている4).したがって,公共の場でマスクを着用することが望ましい.重要なことは,医療用マスク(サージカルマスク,そしてN95マスクでさえも)は,我々の実験条件下で完全に密着していても,ウイルス飛沫/エアロゾル伝播を完全に遮断することはできなかったということである.この実験では,感染性SARS-CoV-2を飛沫/エアロゾルとして吐き出し,マスクの有効性を検討した.定量化のために,比較的高用量のウイルスを用いて実験を行っていることから,このような条件ではマスクの防御能力を超えている可能性がある呼出されるウイルス量を減らすと感染性ウイルスの検出効率は低下するものの,マスクの種類に関係なくウイルスRNAは検出されたこれらの結果から,適切に装着されたN95マスクを用いても,このウイルスを完全に遮断することは困難であることが示唆されたしかし,N95マスクを透過できるような少量のウイルスが疾患を起こすのかどうかは不明である

また,無機物(inorganics),タンパク質,表面活性剤のような飛沫/エアロゾル成分によってウイルスの空気中における安定性が変化することが報告されており,マスクの浸透効率(permeation efficiency)もウイルスの飛沫/エアロゾル成分に影響されていることが示唆されている5)6).我々の実験では,ウイルスは,ウシ胎児血清なしで培養上清に懸濁されたか,またはリン酸緩衝生理食塩水で希釈された.マスク防御効率とウイルス飛沫/エアロゾル成分における正確な関係を明らかにするためには,さらなる詳細な分析が必要である.

我々のデータは,医療従事者がマスクの適切な使用と性能(例えば,マスクを装着することの重要性と再使用を避けること)を理解し,感染者から防御するための追加対策(例えば,陰圧室や陽圧マスク)が必要かどうかを判断することに役立つだろう

 

 

References

1) Liu Y, Ning Z, Chen Y, Guo M, Liu Y, Gali NK, Sun L, Duan Y, Cai J, Westerdahl D, Liu X, Xu K, Ho K-F, Kan H, Fu Q, Lan K. 2020. Aerodynamic analysis of SARS-CoV-2 in two Wuhan hospitals. Nature 582:557–560. doi:10.1038/s41586-020-2271-3.

2) Nishimura H, Sakata S and Kaga A. 2013. A new methodology for studying dynamics of aerosol particles in sneeze and cough using a digital high-vision, high-speed video system and vector analyses. PLoS One 8:e80244. doi:10.1371/journal.pone.0080244.

3) Berg EB, Picard RJ. 2009. In vitro delivery of budesonide from 30 jet nebulizer/compressor combinations using infant and child breathing patterns. Respir Care 54:1671–1678.

4) Zou L, Ruan F, Huang M, Liang L, Huang H, Hong Z, Yu J, Kang M, Song Y, Xia J, Guo Q, Song T, He J, Yen H-L, Peiris M, Wu J. 2020. SARS-CoV-2 viral load in upper respiratory specimens of infected patients. N Engl J Med 382:1177–1179. doi:10.1056/NEJMc2001737.

5) Kormuth KA, Lin K, Prussin AJ, Vejerano EP, Tiwari AJ, Cox SS, Myerburg MM, Lakdawala SS, Marr LC. 2018. Influenza virus infectivity is retained in aerosols and droplets independent of relative humidity. J Infect Dis 218:739–747. doi:10.1093/infdis/jiy221.

6) Smither SJ, Eastaugh LS, Findlay JS, Lever MS. 2020. Experimental aerosol survival of SARS-CoV-2 in artificial saliva and tissue culture media at medium and high humidity. Emerg Microbes Infect 9:1415–1417. doi:10.1080/22221751.2020.1777906.

 

 

 

 

(2)Asadi, S., Cappa, C.D., Barreda, S. et al. Efficacy of masks and face coverings in controlling outward aerosol particle emission from expiratory activities. Sci Rep 10, 15665 (2020). https://doi.org/10.1038/s41598-020-72798-7.

Introduction

感染性呼吸器疾患の空気感染伝播(airborne transmission)は,呼気活動: 呼出を伴う様々な活動(例えば,呼吸,会話,咳,くしゃみ)によって,微小病原体を含むエアロゾルおよび飛沫が排出される.排出された飛沫およびエアロゾルに含まれるウイルス感染伝播は,表面への沈着後の物理的接触,沈着後の再エアロゾル化,粘膜表面(例えば,口,目)への排出された飛沫の直接沈着,またはウイルスを含むエアロゾルの直接吸入を介して発生する可能性がある1)2)COVID-19を含む特定の呼吸器疾患におけるこれらの異なる感染形式(接触,飛沫噴霧,またはエアロゾル吸入)の役割と空間的規模および状況については不確実性が残っているが3)4)5)6)7),空気感染伝播は最初にエアロゾルまたは飛沫が呼出されることで起こる.特に医療現場では,

手指の衛生管理を徹底することに加えて,マスクの着用が感染伝播を軽減する手段として提唱されている8)9)10)11).多くの研究によって,マスクが着用者の防御に非常に有用であることが示されているが,このためには適切なマスクの装着が不可欠である12)13)14)15).また,マスクは感染者による拡散を減少させ,他の人を保護する可能性がある7)16)17)COVID-19の無症状感染者が感染を拡散することが示唆されている18)19)20).これにより,パンデミック時の感染伝播を抑制するために,一般市民(the general public)がマスクやフェイスカバーの着用を求める声が増加している21)22)23)24).したがって,呼出を伴う活動で発生するエアロゾルや飛沫による感染伝播を減少させるためには,様々なタイプのマスクやフェイスカバーの有効性を理解することが重要である.

病気の伝播を減らすためのマスクの有効性を評価した疫学研究や臨床研究の結果から,マスク着用は特に早期の介入によって,何らかの利益をもたらすことが示唆されているが10)11),結果はしばしば統計的な有意性を欠いている25)26)27)28)29)30)31).実験研究は,マスクの有効性に関する評価や推測のための別の手段を提供する.材質のろ過効率を測定することによって,外部への伝播を防ぐための可能性のあるマスクの有効性に関する初期の指針を立てることができる15)32)33)34)35).しかし,着用時のマスクの性能については直接的には言及していない.初期の写真によるエビデンスは,マスクが咳から発生する粒子の拡散を制限できることを示している36).模型を用いた呼吸シミュレーションモデルでは,様々なタイプのマスクによって,0.02μm-1μmの粒子濃度が減少することが示された37).また,呼吸シミュレーションによって,Greenらはサージカルマスクが,芽胞と植物細胞による粒子の伝播を減少させた(小さい粒子と比較すると,> 0.7μmの粒子が一見減少した)ことを示した38)Daviesらは,健常者ボランティアの協力のもと,サージカルマスクと自家製の布マスクが咳から培養可能な微生物の放出を減少させることを発見し,この現象は0.65μmから7μm粒子径を超える範囲で観察された32)Miltonらは,サージカルマスクは,インフルエンザに罹患したボランティアから呼出された”微小fine”エアロゾル(5μm以下)と”粗いcoarse”飛沫(> 5μm)のウイルスコピー数を大幅に減少させ,粗い飛沫の方がより大きな減少を示したことを報告した16).この結果は,サージカルマスクを着用した参加者では、粗い粒子を吸い込んだ場合はインフルエンザ放出が統計的に有意に減少したが,微小粒子では認めなかったというLeungらによる結果13)と多少異なっている.しかし,マスクは粗い粒子と微小粒子のどちらを吸い込んでも季節性コロナウイルス排出を減少させることを示している一方で,マスクなしでもサンプルの半分以下でウイルスRNAが観察され,評価を複雑にしている.

上記の研究はすべて,マスクが呼吸器疾患の感染伝播を減らすのに役立つ可能性が高いことを示している.しかし,これまでのところ,マスクの有効性を様々な呼吸活動で調査した研究はなく,マスクの種類についての検討も限られている.さらに,マスク自体をエアロゾル粒子の潜在的な発生源として考慮した研究はなかった綿や紙のような繊維状のセルロース系の素材が,大量のミクロンスケールの粒子(例えば粉塵)を空気中に放出できることはよく知られている39)40)41)42).従来,これらの粒子は,インフルエンザや現在のCOVID-19のような呼吸器系ウイルス性疾患の潜在的な懸念事項とは考えられていなかった.それは,これらの疾患は,感染者の気道から直接呼出される粒子を介して感染すると考えられてきたからである43).しかし,1940年代の初期の研究では,汚染された毛布を勢いよく振ると,感染性インフルエンザウイルスが空気中から回収されることが示されていた44).この発見にもかかわらず,その後70年以上にわたって,環境中の粉塵を介した呼吸器ウイルス感染の可能性にはほとんど注目されていなかった; 歩行による汚染された粉塵の床からの再浮遊の理論モデルを研究していたKhareMarr1つの研究を除いて45).最近では,Asadiらによるインフルエンザウイルスを用いた研究で,動物の毛皮や紙などのウイルス汚染された表面からエアロゾル化された非呼吸粒子である”aerosolized fomites”もまた,インフルエンザウイルスを運び,感受性がある動物に感染させる可能性があることが実験的に立証されている46. このことから,ウイルスに汚染されている可能性が高いマスクやその他の個人用保護具(PPE: personal protective equipment)は,aerosolized fomitesの供給源となる可能性がある.

実際,Liuらによる最近の研究では,空気中のSARS-CoV-2COVID-19の原因ウイルス)ウイルス数が最も多かったのは,医療従事者がPPEを脱いだ部屋であったことが実証されており,ウイルスで汚染された衣服やPPEからエアロゾル化されている可能性があること,またはウイルスで汚染された床のほこりから再浮遊している可能性が示唆されている47)aerosolized fomitesがヒト-ヒトの感染伝播においてどのような役割を果たしているかは不明であり,ある種のマスクが非呼気性non-expiratory(セルロース系cellulosic)粒子の放出を最小限に抑えつつ,呼吸粒子の放出を遮断するのに同時に効果的であるかどうかは不明である.

ここでは,健康な人の呼吸,発声,咳からのエアロゾル粒子の放出率を減少させる,呼気弁なし(unventedKN95マスク,呼気弁つき(ventedN95マスク,サージカルマスクおよび自家製の紙および布のマスクの有効性を評価した実験について報告する.重要な知見が2つある; @サージカルマスク,非呼気弁KN95,そして,おそらくは呼気弁つきN95は,いずれも放出される粒子数を大幅に減少させるが,A自家製の布マスクからの粒子放出(おそらくは繊維片の脱落によるものと思われる)は,マスクを着用していない場合の放出を大幅に上回る可能性があり,呼気粒子放出を遮断する効果の評価を混乱させる(confound)結果となったことである.ここではウイルスの放出および感染力の直接的な測定は行わなかったが,この結果は,汚染された布マスクから放出された繊維片が aerosolized fomitesの発生源となる可能性を示唆している

Methods

Human subjects:

18歳から45歳までのボランティア10人(男性6人,女性4人),健康な非喫煙者である.

Experimental setup:

使用した一般的な実験セットアップは、以前の研究48)49)と同様であった.aerodynamic particle sizerAPS, TSIモデル3321)を使用して,空気動力学径(aerodynamic diameter0.320μmの粒子数をカウントした; APSのカウント効率は〜0.5μm以下は低下したため,0.30.5μmでカウントされた粒子は,真の数を過小評価している可能性が高い.APSは,背景の粒子濃度を最小化するHEPAフィルター付き層流フード内に設置した(Figure 1a).被験者は,”口”が導電性シリコーンチューブを介してAPSの入口に取り付けられた漏斗の前に座った.それから,被験者は,マスクを装着しないか,またはFigure 1bに示したマスクのいずれかを装着し,様々な呼気活動を行った.漏斗のすぐ側にマイクを配置し,会話および咳活動の持続時間および強度を記録した(Figure 1c).被験者は,漏斗の入り口から約1cm離れた位置に口をつけた.以前のセットアップで使用したノーズレスト48)49)は,ノーズレストの表面にマスク生地がこすれて粒子が発生するのを防ぐために取り外された.空気はAPSによって5 L/分で吸引され,1 L/分(20%)で検出器に集束し,1秒間隔で粒子の累積数をカウントし,サイズを決定した(Figure 1d).漏斗は半密閉された環境であり,すべての呼出された粒子が必ずしもAPSによって捕捉されるわけではないことに注意が必要である.マスクの着用は,排出された気流の一部を外向きではない方向(例えば,マスクの上部または側面)に向いてしまう可能性がある50).したがって,ここで測定された粒子放出に関しては”外向き放出outward emission”をいう用語を使用する.よって,ここで報告された測定値は,放出された粒子の絶対数を表すものではなく,マスクの側面から外に逃げる粒子のため過小評価している可能性があるが,異なる条件における相対的な比較を行うことはできる.ここで報告されているAPSからの粒子放出率は,漏斗に入る呼気体積流量とAPSサンプル率の比であるため,総呼気粒子放出率よりも小さい可能性が高い.

 

 

Figure 1: a) Schematic of the experimental setup showing a participant wearing a mask in front of the funnel connected to the APS. (b) Photographs of the masks used for the experiments. (c) Microphone recording for a participant (F3) coughing into the funnel while wearing no mask. (d) The instantaneous particle emission rate of all detected particles between 0.3 and 20 µm in diameter. Surg.: surgical; KN95: unvented KN95 respirator; SL-P: single-layer paper towel; SL-T: single-layer cotton t-shirt; DL-T: double-layer cotton t-shirt; N95: vented N95 respirator. The subject gave her written informed consent for publication of the images in (b).

figure1

すべての実験は,2224℃の周囲温度で行われた.相対湿度はほとんどの実験で3035%であった.洗浄したものと洗浄していない自家製マスクを比較する第2の実験は,相対湿度53%で実施した.漏斗に入ってからAPS内の検出器に到達するまでに約3秒の遅延があることを考えると,これらすべての条件下で,ミクロンスケールの呼吸器飛沫の水性成分は,その乾燥した残留物(いわゆる”飛沫核”51))まで完全に蒸発するのに十分な時間(〜100ms以上)があった; これらの条件下での完全乾燥の直接的な実験的エビデンスについては,AsadiFigure S3を参照されたい48).大きな飛沫(> 20μm)は蒸発するのに1秒以上かかることがあるが52),ここに示されているように,粒子の大部分は5μm未満であり,したがって,20μmよりも大きなサイズで発生した可能性は低い.ここで示されたサイズ分布は,APS検出器で観測された直径に基づいている.

 

 

Expiratory activities:

@呼吸: 鼻から吸って口から出し,被験者にとって快適なペースで2分間,穏やかに呼吸する.粒子放出率は,2分間で排出された粒子総数を2分で割って,1秒あたりの平均粒子数として計算した.

A発声: Rainbow Passage (Fairbanks53およびSupplementary Text S1)を音読してもらった.被験者は,このパッセージを中間的で快適な声の大きさで音読した.被験者は自然な音読の音量やペースが若干異なるため,マイク録音を用いて,二乗平均平方根(RMS: root mean square)振幅(大声loudnessの指標として)と発声の持続時間(単語間の休止を除く)を計算した.粒子放出率は、読み上げ全体(約100150秒)にわたって放出された粒子の総数を,一時停止を除いた発声の累積持続時間で割ったものとして計算した.一時停止を除くと,発声している間,積極的に発声している時間の割合に個人差があるため(約82%±5%),単に言葉と言葉の間の一時停止時間が長くなっただけの人は,発声による人為的に低い放出率を特徴としない。

B: 被験者にとって快適な速度と強度で30秒間,連続的に強制的に咳をしてもらう.発声実験と同様に,マイクデータを使用して,各咳のRMS振幅,咳の回数,および咳の累積持続時間(咳の間の一時停止を除く)を決定した.粒子放出率は,30秒間の測定中に放出された粒子総数を,咳の回数(粒子/咳を得るために)または咳の累積持続時間(粒子/秒を得るために)のいずれかで割ったものとして計算した.

C顎の動き(Jaw movement: 極端な呼気がない場合,ガムを噛むように顎を動かし,口を開けずに,鼻呼吸をしながら1分間の顔の動きが有意な粒子放出を引き起こすかどうかを調べた.被験者は鼻呼吸をしていたので,この活動は技術的には呼気活動としてカウントされたが,主な目的は,顔の動きが粒子放出を大幅に変化させるかどうかを評価することであった.これは,皮膚とフェイスマスクの間の穏やかな摩擦によって粒子放出が促進されるか,またはマスクと皮膚の間の隙間距離が変化して粒子が多かれ少なかれ逃げるか,いずれかによるものである.粒子放出率は,1分間に放出された粒子総数を60秒で割ったものとして計算され,1秒あたりの平均粒子数が得られる.

Mask types:

@サージカルマスクValuMax 5130E-SB: 10人.

A呼気弁がないKN95GB2626-2006, manufacturer Nine Five Protection Technology, Dongguan, China: 10人.

B自家製単層(一層)紙(ペーパータオル)マスクKirkland, 2-PLY sheet, 27.9 cm×17.7 cm)(SL-P: 10人.

C自家製単層(一層)布(Tシャツ)マスクCalvin Klein Men’s Liquid Cotton Polo, 100% cotton, item #1341469)(SL-T: 10人.

D自家製二層布(Tシャツ)マスクSL-Tと同じ素材)(DL-T: 10人.

E呼気弁付きN95NIOSH N95, Safety Plus, TC-84A-7448: 2; 実験時に不足していたため,サンプルサイズを大きくすることができなかった.N95KN95の主な違いは,マスクがどこで認証されているかで,米国ではN95,中国ではKN95となる.

自家製布マスク(SL-TDL-T)は,CDCの一層(単層)・二層のTシャツマスクのためのdo-it-yourselfの説明書に従って作られた54).自家製ペーパータオルマスクは,do-it-yourselfの指示に従って作られた55).すべてのタイプのマスクの写真をFigure 1bに示す.

Mask washing:

自家製布マスクの洗濯が粒子放出率に影響を与えるかどうかを確かめるために,被験者4人に、二層構造のTシャツマスクを家に持ち帰ってもらい,水と石鹸で手洗いし,十分にすすぎ,空気乾燥させてもらった.これらの被験者はその後,新品のDL-Tマスクと洗ったDL-Tマスクを使って4つの呼気活動を繰り返し,洗った布地と洗っていない布地の直接比較を行った.

Particle emission via hand-rubbing:

異なるマスク生地に関連する粒子放出量を測定するための上記の実験の他に,紙のティッシュで以前と同様の手順にて,APSの前で各マスクを手で擦過して,マスクの摩擦性の定性実験を行った(AsadiらのFigure 4を参照46)).具体的には,親指と人差し指でマスクを折り返し,マスク素材を擦過した.各タイプのマスクのサンプルを,同じ被験者がAPSの前で10秒間,手を用いて毎回同じ力量で擦過した.実験は,各マスクタイプについて3回繰り返した.粒子放出率は,放出された粒子総数を擦過時間(10秒)で割ったものとして計算した.この手順は,被験者の皮膚からの粒子の脱落の可能性を排除するものではないことに注意が必要である57); したがって,異なるマスク素材について観察された粒子放出率は,相対的な摩擦性の定性的な指標を示すに過ぎない.

Results

4つの呼気活動の粒子放出率をFigure 2に示す.

まず呼吸に焦点を当ててみると(Figure 2a),被験者がマスクを着用していない場合、粒子放出率の中央値は0.31粒子/秒(particles/s)で,ある被験者(M6)は0.57粒子/秒と高く,別の被験者(F3)は0.05粒子/秒と低かった.この中央値および個人のばらつきは,いずれも先行研究48)51)とほぼ一致している.対照的に,サージカルマスクまたはKN95の着用は,呼吸の1秒あたりに放出される粒子数を有意に減少させたこれらのマスクの外向き放出率の中央値は,それぞれ 0.06および 0.07粒子/秒であり,マスクなしの場合と比較して約6倍の減少を示した.自家製の単層ペーパータオルマスク(SL-P)を装着した場合も,医療用マスクほど統計的に有意ではなかったが,同様の外向き放出率の減少が得られた.

驚くべきことに,呼吸をする時に洗濯していない単層布Tシャツマスク(U-SL-Tを着用すると,マスクなしに比べて粒子放出率の測定値が有意に増加し,中央値は0.61粒子/秒に増加した一部の被験者(F1F4)では1粒子/秒を超え,マスクなしの中央値から384%増加した洗濯していない二層構造の布Tシャツマスク(U-DL-T)マスクを着用では,粒子放出率に統計学的に有意な影響はなく,マスクなしの場合と同等の中央値と範囲であった

発声Figure 2b)に目を向けると,観察された全体的な傾向として,中間的で快適な声の大きさで発声した場合(Figure S1aTable S1),呼吸よりも一桁多くの粒子が発生した.被験者がマスクを着用せずに発声した場合,粒子速度の中央値は2.77粒子/秒であった(一方,呼吸の場合は0.31粒子/秒であった).マスクの種類が粒子放出に及ぼす影響の一般的な傾向は,呼吸で観察されたもの類似していたサージカルマスクとKN95の着用は,発声による外向き放出を有意に減少させ,中央値はそれぞれ0.18および0.36粒子/秒であった同様に,ペーパータオルマスクを着用した場合,発声による外向きの粒子放出率は1.21粒子/秒に減少し,マスクなしよりは低いものの,サージカルマスクやKN95に比べて顕著な減少は見られなかった対照的に,自家製布マスクでは,マスクなしに比べて発話中の粒子放出率に変化がないか,または有意な増加が見られた被験者がU-SL-Tマスクを着用した場合の外向き粒子放出率は,中央値が16.37粒子/秒で,マスクなしの場合より一桁上回っていたU-DL-Tマスクを着用しても有意な影響はなかった

による呼気活動では,マスクの種類に関しては類似した傾向を示した(Figure 2c).被験者による咳のペースが異なるため,咳の回数、累積咳時間,音響は被験者によって異なる(Figure S1bFigure S2Table S2).それにもかかわらず,マスクなしでの咳嗽では,中央値が10.1粒子/秒であり,ほとんどの被験者が342粒子/秒の範囲であった.比較のために,1分間に6回の咳をすると,その1分間の咳による外向き粒子数の中央値は,呼吸によるものよりもわずかに小さく,1分間の発声によるものよりも桁違いに小さい(咳1回あたりの同等の粒子数については,Figure S3を参照)異なる種類のマスクを着用した場合の咳についても,呼吸や発声と同様の傾向が観察されたサージカルマスクでは,外向き放出率の中央値は2.44粒子/秒に減少した(75%減少).一方KN956.15粒子/秒に減少したが(39%減少),統計的には有意ではなかったSL-Pマスクは,マスクを着用しない場合と比較して統計的に有意な差は認めなかった対照的に,自家製U-SL-TおよびU-DL-Tマスクでは,マスクを着用しない場合と比較して,1秒あたり(または1咳あたり)の外向き粒子放出量が有意に増加し,放出率の中央値はそれぞれ49.2および36.1粒子/秒であった

特筆すべきことに,被験者M6は咳によって,他の人よりも2桁も多くのエアロゾル粒子を放出しており,マスクなしでは567粒子/秒を放出していたM6はサージカルマスクを着用していた場合でも,咳によって19.5粒子/秒を放出しており,マスクなしの場合の中央値を大幅に上回っていたが,マスクなしの場合と比較すると大幅に減少している.咳の音響分析では,二乗平均平方根振幅(Figure S1b)とフィルタリングされたパワー密度(filtered power density)の両方の観点から,M6による咳は他の人よりも特に大きくなく,活発でもなかったことを示している(Figure S2Table S2を参照).M6の咳に関しては,咳が一般的に喉からより多く発生するように見える他の被験者と比較して,胸からより多く発生させているようであったが,M6による咳が平均より100倍も多いエアロゾル粒子を放出した原因は明らかではない; M6は,発声あるいは呼吸の時は,平均に近い量の粒子を放出したことに注意する.さらに,マスクの種類にかかわらず,M6の咳によるエアロゾル粒子放出は平均に比べて有意に多かった.

最後に,Figure 2dは,被験者が,鼻呼吸をしながら,口を閉じてガムを噛むのと同じように顎を動かした場合の粒子放出率を示している.一般的に,鼻呼吸とマスクなしで顎を動かした場合の粒子放出率は,通常の呼吸(鼻から吸って口から出す呼吸)に比べてわずかであり,マスクなしの場合の粒子放出率の中央値は0.12粒子/秒であった.被験者は顎を動かしている間は口を閉じて呼吸していたので,少ない粒子放出は被験者の鼻呼吸に起因する可能性がある48)51).サージカルマスクまたはKN95の着用は,マスクなしと比較して,顎の動きからの粒子放出に統計的に有意な影響を与えなかった.対照的に,すべての自家製マスク(SL-PU-SL-TU-DL-T)を着用すると,粒子放出率が大幅に増加し,単層マスクでは粒子排出率は1.72粒子/秒で最も高かった

上記のすべての実験は,不足していたため呼気弁付きN95の実験はわずか2人の被験者に対して行われた.サンプルサイズが小さいため,統計的な有意性は見いだせないが,全体的な放出率の低下という点では,2つの試験の粒子放出率は,サージカルマスクと呼気弁のないKN95に匹敵するものであった.

 

 

Figure 2: Particle emission rates associated with (a) breathing, (b) talking, (c) coughing, and (d) jaw movement when participants wore no mask or when they wore one of the six mask types considered. Scheffe groups are indicated with green letters; groups with no common letter are considered significantly different (p<0.05). Surg.: surgical; KN95: unvented KN95; SL-P: single-layer paper towel; U-SL-T: unwashed single-layer cotton t-shirt; U-DL-T: unwashed double-layer cotton t-shirt; N95: vented N95. Note that the scales are logarithmic and the orders of magnitude differ in each subplot.

figure2

 

 

Figure 2に示す放出率は,0.320μmのサイズ範囲のすべての粒子の合計を表している.また,全ての実験について,全粒子の粒子径分布を測定した(Figure 3).一般的に、ここで観察されたすべての粒子径分布は対数正規分布であり,0.5μm付近にピークを持ち,5μm以上では無視できる程度に急速に減衰しているマスクを着用していない状態で呼吸すると,放出される粒子の幾何学的平均径は0.65μmであり(Figure 3a),粒子の35%0.30.5μmの最小サイズの範囲にあったマスクの種類にかかわらず,呼吸中にマスクを着用すると,最小の粒子径範囲の割合が有意に増加し(例えば,KN95では60%にまで増加),幾何学的平均直径がより小さいサイズにシフトしたマスクなしの発声は,呼吸に比べてわずかに大きな粒子が放出され,平均粒子径は0.75μmであった(Figure 3b.マスクを着用して発声すると,呼吸で観察されたのと同様の影響が粒度分布に観察され,より多くの粒子が最小サイズ粒子範囲に入っていた.しかし,呼吸とは異なり,U-SL-TU-DL-Tのマスクでは、小粒子の放出率が最も高かった(それぞれ47%51%

マスク着用の効果は,により生成される粒子径分布においてより顕著であった(Figure 3c.マスクなしの場合,咳により発生する粒子の平均粒子径は0.6μmであった.自家製マスク(SL-PU-SL-TU-DL-T)を着用している時に,咳によって放出された大部分の粒子は最小サイズ範囲(最大57%)であったまた,すべての呼気活動の中で最も高い粒子放出率を示した咳では,自家製マスクを着用することで,大きな粒子(> 0.8μm)の割合が大幅に減少したことにも注目している.最後に,顎の動きについては,マスクの有無にかかわらず,顎の動きについての全体的な粒子径分布は同様であった(最小サイズ粒子の割合がマスクなしとサージカルマスクで最も低かったことを除いて)(Figure 3d).

 

 

Figure 3: Observed particle size distributions, normalized by particles/s per bin, associated with (a) breathing, (b) talking, (c) coughing, and (d) jaw movement when participants wore no mask or one of the five mask types considered. Each curve is the average over all 10 participants. The solid lines represent the data using a 5-point smoothing function. Data points with horizontal error bars show the small particles ranging from 0.3 to 0.5 μm in diameter detected by APS with no further information about their size distribution in this range. Surg.: surgical; KN95: unvented KN95; SL-P: single-layer paper towel; U-SL-T: unwashed single-layer cotton t-shirt; U-DL-T: unwashed double-layer cotton t-shirt; N95: vented N95.

figure3

 

 

異なるサイズの粒子放出を減少させるための医療用マスクと自家製マスクの効果を直接比較するために,APSで測定した全範囲(0.320μm)を3つの範囲(最小, 0.30.5μm; 中間, 0.51μm; 最大, 120μm)に分け,マスクなしと比較して,各範囲の粒子放出率の中央値の対応する変化率を計算した(Figure 4).最小の粒子については,呼吸,発声,咳の時に,サージカルマスクとKN95を着用した場合,0.30.5μmの粒子放出率が最大92%減少したことを示している(KN95はこの範囲における減少は25%少ない)(Figure 4aSL-P マスクを使用した場合,発声と呼吸では0.30.5µmの粒子放出率が60%減少したが,咳では77%増加した.最小サイズの粒子放出を最小化するという点で最も効果が低かったのはU-SL-TU-DL-Tマスクで,U-SL-Tでは発声時に0.30.5µmの粒子放出が600%近く大幅に増加し,U-DL-Tマスクでは発声と呼吸によってわずかな変化が見られ,咳によって300%近く増加した0.51µmの粒子放出についても同様の傾向が観察され(Figure 4b),医療用マスクでは大幅な減少が見られた.このサイズ範囲での主な違いは,SL-Pマスクでは咳による粒子放出が15.7%減少し,U-DL-Tマスクでは呼吸および発声による粒子放出が最大34.1%減少したことである

最大粒子径(120μm)については,観察された傾向は中間サイズと類似しており(Figure 4c),医療用マスクでは大きな減少効果が認められた.特筆すべきは,U-DL-Tマスクでは,呼吸と発声において大サイズの粒子放出が約60%と大幅に減少したが,それでも咳では160%増加した0.320μmの全範囲にわたる粒子放出の中央値の変化率をFigure 4dに示す.これは,一般的に自家製マスクでは,咳ではより多くの粒子を放出し,呼吸と発声における粒子放出を低減するための効果が混在していたことを示している.重要な点は,サージカルマスクとKN95は,すべての呼気活動において,APSで測定された全範囲の粒子径の粒子放出を効果的に減少させたということである

 

 

Figure 4: Percent change in median particle emission rate (N) for 10 participants compared to no-mask median, while wearing different mask types and while breathing (blue points), talking (red points), or coughing (green points), for particles in the following size ranges: (a) smallest, 0.3–0.5 µm; (b) intermediate, 0.5–1 µm; (c) largest, 1–20 µm; and (d) all sizes, 0.3–20 µm. The dashed lines are to guide the eye. Surg.: surgical; KN95: unvented KN95; SL-P: single-layer paper towel; U-SL-T: unwashed single-layer cotton t-shirt; U-DL-T: unwashed double-layer cotton t-shirt.

figure4

 

 

さらに我々はマスク生地を手で擦過することで放出される粒子を定量化した.呼気活動がない場合,サージカルマスクの生地を擦過すると,平均1.5粒子/秒が発生したが,KN95N95では1粒子/秒未満しか発生しなかった(Figure 5a).対照的に、自家製の紙および布マスクを擦過すると,かなりの数の粒子がエアロゾル化し,SL-P8.0粒子/秒)とU-SL-T7.2粒子/秒)のマスクが最も高い値を示した.興味深いことに,自家製マスクの生地を手で擦ってエアロゾル化した粒子の分布は,同じマスクを着用して呼気活動を行った場合とは質的に異なることが判明した(Figure 5b).ピークは約6μmに現れ,小粒子の割合は27%未満にまで低下したことから,繊維の繊維に対する摩擦力により,より大きな粒子が断片化して空気中に放出されることが示唆された.しかし,重要なことは,手で擦過すると0.32μmサイズの微粒子が大量に発生したことであり,マスクを着用した時に観察されたサイズ範囲と一致していたことである.マスクの布を擦過する実験中に手から放出された粗い皮膚の微粒子(> 2μm)が観察された粒子数に寄与した可能性があることに注意が必要である57).しかし,この要因は全ての手による擦過実験で同じであり,マスク生地による違いが認められたことを考えると,皮膚とマスク生地の摩擦だけでは,観測された傾向を説明することは困難である.さらに,これらの実験では,与えられた摩擦力は厳密に定量化されていないが,今回の結果は,布マスクがより”粉になりやすいfriable”素材であることを強く示唆しており,被験者が布マスクで呼気活動を行うと,より多くの粒子が放出されるという我々の観察と一致している.

 

 

Figure 5: (a) Number of particles emitted per second of manual rubbing for all masks tested. Each data point is time-averaged particle emission rate over 10 s of rubbing. (b) Corresponding size distribution for homemade paper and cotton masks for a total of 30 s of manual rubbing in front of the APS. The solid lines represent the data using a 5-point smoothing function. Data points with horizontal whiskers show the small particles ranging from 0.3 to 0.5 μm in diameter detected by APS. Surg.: surgical; KN95: unvented KN95; SL-P: single-layer paper towel; U-SL-T: unwashed single-layer cotton t-shirt; U-DL-T: unwashed double-layer cotton t-shirt; N95: vented N95.

figure5

 

布マスクはすべて新品で洗濯されていないものを使用している.よって我々は,マスクを洗濯することで,表面に付着した埃などの”粉になりやすい”物質が除去され,放出率が低下するのではないかという仮説を立てた.今回の実験では,この仮説を裏付ける結果は得られなかった.二層構造のTシャツマスクを石鹸と水で手洗いした後,乾燥させても,洗っていないマスクと比較して粒子放出率に有意な変化は見られなかった(Figure 6.また,洗濯した二重構造の布マスクを手で擦過すると,洗濯していないマスクに比べてわずかに多くの粒子がエアロゾル化した.これらの結果は、標準的な綿素材のエアロゾル化しうる粒子状物質の存在に対しては,1回の洗濯ではほとんど影響がないことを示唆している.ここで観察された範囲は,前日に同じ4人の被験者で行われた事前の測定値と定性的に一致していることも注意する(Figure 6の結果,Figure 2U-DL-Tに関しての各呼気活動を比較).この観察は,個人における日ごとの変動は,すべての呼気活動とテストされたマスクの種類で観察された個人間の変動よりも小さいことを示唆している.

 

 

Figure 6: Particle emission rate from breathing, talking, coughing and jaw movement for 4 participants wearing unwashed or washed double-layer t-shirt masks (U-DL-T vs. W-DL-T). Last column shows the particles emission rates for manual rubbing of washed and unwashed masks (three 10-s trials for each mask).

figure6

 

Discussion

我々の結果は明らかに、マスクを着用していない場合と比較して,サージカルマスクまたは呼気弁のないKN95を着用することで,発声および咳による外向きの粒子放出率がそれぞれ平均で90%および74%減少することを示しているしかし,自家製の布マスクでは,測定された粒子放出率は,すべての呼気活動においてマスクなしと比較して,変化しない(DL-Tあるいは492%も増加した(SL-T顎の動きに関しては,紙マスクと布マスクの粒子放出率は、マスクなしの場合に比べて桁違いに大きかったFigure 2d.これらの観察結果は,手でマスクを擦過する実験(Figure 5),”機械的な作用”により,紙や布マスクの”粉になりやすい”セルロース繊維から呼気活動とは関係のないミクロンスケールの微粒子が実質的に脱落していることを示す強い証拠となった40)呼吸と比較して,顎の動きの方が高い粒子放出率を認めたことは,顎の動きによる摩擦によって粒子が放出されていることを示している同様に,マスクの擦過と呼気活動の粒子径分布の違いは,マスクに手で加えられた強力な摩擦力によるものと思われる大きな粒子(> 5μm)にピークを認めるものの,マスクの生地を擦過すると,呼気活動で観察されたのと同様の0.35μmの範囲のかなりの数の粒子が生成されるこれは,呼気中に観察された微粒子の一部はマスク自体のエアロゾル化した微粒子であるという解釈を裏付けるものである

考慮すべきもう一つの要因は,マスクは音声信号(speech signal)の明瞭度を低下させる可能性があり58),マスクを通過する音の強度をかなり低下させる可能性があるということである(Saediらによると> 10dB59).よって,人々はマスクを着用しているときには,より大きな声で話したり、発声を調節するだろう.Mendelらは,サージカルマスクの有無にかかわらず,測定された発声の強さがほぼ同じであることを示したが60),これは発声する人がマスクを着用しているときに実際の発声の強さを増加させていることを示唆している.Fecherは,マスクの減衰効果を過大評価している場合には,マスクを着用している方が実際に大きな声を出していることを示している61).また,話す人がマスクを着用しているときにロンバード効果(Lombard speech)を認める可能性もある62).※ロンバード効果とは,大声で話しているときに発声力を高めて声の可聴性を高めるという発話者の傾向をいう.ロンバード効果による発語は大きく,基本周波数が高く,母音の持続時間が長くなる傾向があり,エアロゾル放出が増加する可能性がある48)49).我々の結果は,被験者がどのようなタイプのマスクを着用した場合でも,外部から測定した発声の二乗平均平方根振幅が,マスクがない場合と同じ,あるいはそれ以上であることを示した(Figure S1a).これは被験者が実際にマスクを着用してより大きな声で話していることを示唆している。マスク着用時の音声信号の強度の増加は,これらの条件では粒子出力の増加につながるだろうが48),異なる条件での発声強度の差はそれほど大きくはなかった(Figure S1a).したがって,このメカニズムだけでは,マスクを着用したいくつかの条件によって粒子出力の増加を説明することはできない.興味深いことに,ほとんどの被験者がマスクを着用した後,咳の二乗平均根振幅が減少したことは(Figure S1b),マスクを着用しても咳が大きくならないことを示唆している.

布マスクによる粒子の大幅な拡散は,呼気活動から発生する粒子の外部への放出を低減するための布マスクの有効性を懐疑的にしている.測定された素材のろ過効率は,布の素材によって大きく異なる32)34)35)63).このような測定値に及ぼす粒子放出の影響はこれまで考慮されてこなかったが,我々の結果は,粒子放出が特定の素材のろ過効率を過小評価する原因となっている可能性を提起する.ここでは布(綿)マスクの素材効率を確認することができなかったが,二重構造の布マスクを着用することで,より大きな粒子放出が減少し,呼気粒子放出の減少に対してある程度の合理的な効果があることを示している.呼気粒子と排出される粒子を組成に基づいて区別する検討は,呼気粒子に対する布マスクの特異的な有効性を確立するのに役立つかもしれない.マスクが機械的刺激によって繊維を脱落させるということは,汚染された可能性のあるマスクを(再利用可能なマスクの場合は)取り外して洗濯する際に,堆積した病原体を排出しないように注意する必要があることを示している

また,咳に関してのみ有意であったが,KN95による放出よりも,サージカルマスクによる放出が少なかったことは注目すべき点である(p< 0.05.サージカルマスクの方が KN95よりもわずかに大きな削減効果があるように見えることは,KN95は一般的にサージカルマスクよりも吸入における保護効果が高いと考えられているので,驚くべきことだろう.サージカルマスクとKN95はどちらも,一般的には高い素材ろ過効率(95%以上)63)を有しているが,サージカルマスクの品質には大きな違いがある64).サージカルマスクとKN95のフィッティング性は大きく異なる.ここでは,KN95のフィットテストは実施されていない.KN95のフィッティング不足が,柔軟性のあるサージカルマスクと比べて,粒子放出が多かったことに影響していたかもしれないいずれにしても,ここで実験したすべてのサージカルマスク,KN95 および N95は,マスクを着用しない場合と比較して,粒子放出を大幅に減少させることができた

特に重要な観察は,咳をするスーパーエミッターの存在であるこの被験者(M6)は,咳によって平均よりも2桁も多くの粒子を放出していた(Figure 2cの赤点)この大きな差はマスクの種類に関係なく,最も効果的なマスクであるサージカルマスクによる放出でさえ、マスクを全く使用しない場合の中央値の2倍付近にも観察された.このような粒子放出の増加につながる根本的なメカニズムは明らかではないが,これらの観察結果は,この人が咳をしているときに,”speech superemitters48),”breathing high producers65)のようなスーパーエミッターでありうることを示している.このことから,咳のスーパーエミッターは,空気感染伝播に関するスーパースプレッダーとしての役割を果たす可能性があると考えられる特筆すべきは,咳のスーパーエミッターは呼吸および発声に関してはスーパーエミッターではなかったことであり,1つの呼気活動のみを検査しても,必ずしも他の呼気活動のスーパーエミッターが特定されない可能性があることを示している

最後に,ここでは異なる呼気活動とマスクの種類について,外向きのエアロゾル粒子放出の物理的な動態を測定しただけであることを強調しておく.呼気による気流が鼻を越えて上に移動したり,マスクの外側に移動したりすることを含む間接的な呼気による気流はここでは測定していないが,今後の研究で考慮すべきである.同様に,生きた病原体の放出を遮断するマスクの有効性を評価するためには,より高度な生物学的技術が必要である.しかし,我々の研究は,ウイルスに汚染されたマスクが,マスク生地から繊維微粒子を脱落させることで,”aerosolized fomites”を空気中に放出する可能性があることを指摘する.マスク有効性の実験は,通常は未使用マスクでしか行われていないため,今後の研究ではこの可能性をより詳細に検討する必要がある.また,ポリエステルのような他の生地を使用した自家製マスクは、綿よりも呼気粒子を遮断しながら生地の粒子の脱落を最小限に抑えるという点で効率が良いのかどうか,また,繰り返しの洗濯が自家製マスクにどう影響を与えるのかどうかについても疑問が残る.今後の実験では,マスクを通して制御された清浄な空気の広がりを検討することが,これらの非呼気性粒子の発生源を解明するのに役立つだろう.しかし,我々の結果は,感染予防策として,自家製布マスクを使用する場合は,aerosolized fomites”の放出の可能性を最小限に抑えるために,定期的にマスクを洗濯するか,またはその他の方法で除染するように注意する必要があることを示唆している

Conclusions

これらの観察は,たとえフィットテストを行わなくても,サージカルマスクまたはKN95を着用することで,呼吸,発声,咳から放出される粒子数が大幅に減少することを直接示している布および紙マスクの有効性は明らかではなく,マスク繊維の脱落によって混同されるが,観察では,呼気中に放出される粒子,特により大きな粒子(> 0.5μm)が減少する可能性が高いことが示された.我々は直接ウイルスの放出を測定したわけではないが,マスクの着用は,マスク繊維上の生きたウイルスの有意な脱落が発生しない限り,呼気活動に関連するウイルスを含むエアロゾルおよび飛沫の放出を減少させることを強く示唆している.放出された粒子の大部分はエアロゾル範囲(< 5μm)であった.粒子径が大きくなるにつれて慣性衝撃が大きくなるはずなので,ここで観察された放出量の減少は,飛沫範囲(> 5μm)での粒子の減少の下限と思われる.我々の観察結果は,マスク着用が呼吸器疾患に関連したパンデミックの緩和に役立つという示唆と一致している.我々の結果は、使い捨てマスクの定期的な交換と自家製マスクの洗浄の重要性を強調し,マスクの取り外しと洗浄には特別な注意を払う必要があることを示唆している.

 

 

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COVID-19関連追加(20201028日)マスクの最新エビデンス

 

1031日追記しました

 

【非医療用マスクを着用した高齢者の動脈血酸素飽和度は低下しない】

Chan NC, et al. Peripheral Oxygen Saturation in Older Persons Wearing Nonmedical Face Masks in Community Settings. JAMA. Published online October 30, 2020. doi:10.1001/jama.2020.21905.

医療用ではないマスクがSARS-CoV-2の感染拡大を防ぐというエビデンスに基づき1)2),多くの政府が地域でのマスク着用を義務づけている.しかし,マスクは低酸素症を引き起こす可能性があり,危険であるという「ソーシャルメディア上の主張」もあり,フェイスマスク着用の安全性について懸念が浮上している3).そこで、非医療用マスクの着用が酸素飽和度の変化と関連しているかどうかを検討した.

Methods

これは,被験者がマスク着用前,着用中,着用後の経皮的動脈血酸素飽和度(Spo2を自己測定するクロスオーバー試験である.研究プロトコルは,ハミルトン統合研究倫理委員会によって承認された.我々は65歳以上を対象とし,安静時に呼吸困難や低酸素血症を引き起こす可能性のある心臓疾患や呼吸器疾患を併存していた人,または介助なしでマスクを外すことができない人を除外した4).被験者には電子メールで連絡し,関心を持った人から口頭または書面でのインフォームドコンセントを得た.

変動を最小限に抑えるために,耳のループが付いた3層の平面型使い捨て非医療用マスクBoomcare DY95 model, Deyce Leather Co Ltdとポータブルパルスオキシメータ(HOMIEE)を被験者に提供した.マスクの正しい装着方法(鼻と口を十分に覆うように)とSpo2測定方法についての説明が提供された.被験者は,マスク着用前1時間着用中1時間着用後1時間において20分間隔で3回,それを自宅で安静にしている間,または通常の日常生活を行っている間で測定し,記録した

我々は,フェイスマスクの着用によって,Spo22%以上減少するかどうかを評価した.以前より,Spo2低下が3%以上であることは臨床的に重要である5).この研究では,高齢者はベースラインのSpO2が低いため,2%を採用した6)Spo22%減少,3標準偏差,有意水準(α)5%,パワー90%のためには,27人サンプルサイズが必要であった.我々は,各被験者について,各期間(マスク着用前,着用中,および着用後)の3つの平均Spo2を計算した各被験者のこれらの値のペアワイズ比較マスク着用中 vs 着用前,そして着用中 vs 着用後)を行い,Spo2のペア平均差(95% CIsGraphPad Prism for WindowsGraphPad Software)で計算したまた,各期間の全参加者のプール平均SpO295% CIを算出した

 

Results

28人にアプローチした.辞退者は3人であり,被験者は25人(平均年齢76.5歳[SD, 6.1歳]; 女性12人[48%])が登録された.被験者9人(36%)には少なくとも1つの医学的併存疾患が認められた(Table 1).プール平均Spo2はマスク着用前で96.1%,着用中で96.5%,着用後で96.3%であったTable 2マスク着用中に被験者のSpo292%を下回った人はいなかった

マスク着用中のSpo2のペア平均差は,マスク着用前の値(0.46%95% CI, 0.06%-0.87%])およびマスク着用後の値(0.21%95% CI, 0.07%-0.50%])と比較した場合,最小であった(いずれの95% CisSpO22%を超える低下を除外した)

Table 1:

 

 

Table 2:

 

Discussion

この小規模クロスオーバー研究では,3層構造の非医療用フェイスマスクの着用は,高齢者における酸素飽和度の低下とは関連していなかったLimitationとしては,医学的理由でマスクを着用できない患者を除外したこと,調査したマスクは1種類のみであったこと,Spo2測定した身体活動は最小限であったこと,サンプルサイズが小さかったことが挙げられた.これらの結果は,地域社会での非医療用フェイスマスクの着用は安全ではないという主張を支持するものではない.

 

 

References

1) Chu  DK, Akl  EA, Duda  S, Solo  K, Yaacoub  S, Schünemann  HJ; COVID-19 Systematic Urgent Review Group Effort (SURGE) study authors.  Physical distancing, face masks, and eye protection to prevent person-to-person transmission of SARS-CoV-2 and COVID-19: a systematic review and meta-analysis.   Lancet. 2020;395(10242):1973-1987. doi:10.1016/S0140-6736(20)31142-9.

2) Doung-Ngern  P, Suphanchaimat  R, Panjangampatthana  A,  et al.  Case-control study of use of personal protective measures and risk for severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 infection, Thailand.   Emerg Infect Dis. 2020;26(11):1973-1987. doi:10.3201/eid2611.203003.

3) Goodman  J. and Carmichael  F. Coronavirus: deadly masks claims debunked. BBC. Posted July 24, 2020. Accessed August 15, 2020.

https://www.bbc.com/news/53108405.

4) Centers for Disease Control and Prevention. Considerations for wearing masks: help slow the spread of COVID-19. Updated August 7, 2020. Accessed October 4, 2020. https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cloth-face-cover-guidance.html.

5) Greenhalgh  T, Javid  B, Matthew  BJ, Inada-Kim  M. What is the efficacy and safety of rapid exercise tests for exertional desaturation in COVID-19. Centre for Evidence-Based Medicine. Posted April 21 2020. Accessed October 4, 2020. https://www.cebm.net/covid-19/what-is-the-efficacy-and-safety-of-rapid-exercise-tests-for-exertional-desaturation-in-covid-19/.

6) Rodríguez-Molinero  A, Narvaiza  L, Ruiz  J, Gálvez-Barrón  C.  Normal respiratory rate and peripheral blood oxygen saturation in the elderly population.   J Am Geriatr Soc. 2013;61(12):2238-2240. doi:10.1111/jgs.12580.

 

 

 

 

 

COVID-19関連追加(20201028日)マスクの最新エビデンス

113日追記しました

 

【フェイスマスク,ネックゲイターおよびフェイスシールドの

咳エアロゾルの排出抑制効果】

Lindsley WG, et al. Efficacy of face masks, neck gaiters and face shields for reducing the expulsion of simulated cough-generated aerosols. medRxiv. Posted October 07, 2020.

https://doi.org/10.1101/2020.10.05.20207241.

Abstract

フェイスマスクに代わるものとしてフェイスシールドが提案されているが,発生源制御デバイスとしてのフェイスシールドに関する情報は限られている.我々は,ヘッドフォーム付きの咳エアロゾルシュミレーターを使用して,小さなエアロゾル粒子(07μmをさまざまなフェイスカバーに噴射した.その後,各マスクから放出される粒子を測定した.N95レスピレーターは咳エアロゾルの99%を遮断; 処置用マスク(※訳者: いわゆる耳掛けタイプのサージカルマスク)は59%を遮断; 3枚重ねの布製フェイスマスク51%を遮断; ポリエステル製ネックゲイターは単層で47%,二層に折り畳んだ場合は60%を遮断した.一方,フェイスシールドは咳エアロゾルの2%を遮断したに過ぎなかった.この結果から,咳エアロゾルの発生源制御デバイスとしては,フェイスマスクおよびネックゲイターがフェイスシールドよりも好ましいことが示唆された.

Methods

咳エアロゾルシュミレーターは,NIOSHの咳エアロゾルシュミレーターを改良したものである.実験的な咳エアロゾルは,シングルジェットCollisonネブライザ(BGI, Butler, NJ)を使用して14%KCl0.4%フルオレセインナトリウム溶液を103 kPa15 Ibs./in2)でネブライザー化し,エアロゾルをDiffusion dryerModel 3062, TSI, Shoreview, MN)に通過させ,10 L/分の乾燥したろ過された空気と混合することによって生成された.エアロゾルをエラストマー製ベローズに装填し,ベローズを圧縮するコンピュータ制御のリニアモーターによって咳気流が生成された.模擬咳流量は,インフルエンザ患者から記録された咳流量のプロファイルに基づいており,ピーク流量11 L/s,体積4.2 Lであった.咳エアロゾルは、ヘッドフォームの口からチャンバーに放出された.この研究で使用されたヘッドフォームは,各フェイスカバーまたはシールドが人間の顔にどのようにフィットするかという現実的なシミュレーションを作成するために,人間の皮膚の弾性特性を模倣した柔軟性のある皮膚を有している.

デバイス:

@N95レスピレーター: 3M model 1860.A処置用マスク: ASTM Level 3 medical procedure mask with ear loops (Kimberly-Clark model 47107).B布製マスク: cloth face mask with 3 layers of cotton fabric and ear loops (Hanes Defender).C布製ネックゲイター: fabric neck gaiter (FKGIONG Sun UV Protection Neck Gaiter, 95% polyester, 5% Spandex).Dフェイスシールド: Fisher Scientific # 19-181-600A

Results

咳エアロゾルシミュレーター(Figure 1)を使用して,フェイスマスク,ネックゲイター,フェイスシールドを通して,小さな呼吸器エアロゾル粒子を模擬したエアロゾルクラウドをチャンバーに収集した.各マスクを通過したエアロゾル粒子径をFigure 2に示す.対照実験から収集されたエアロゾルは空気力学的質量中央値(MMAD: mass median aerodynamic diameter1.3μm,幾何学的標準偏差が2.3であった.発生源制御デバイスの捕集効率(デバイス(マスク)によって遮断されたエアロゾルの割合)をFigure 3に示す.すべてのデバイスは,エアロゾル径が大きくなるにつれて捕集効率が向上していることがわかる.

平均して,N95レスピレーターは放出されたエアロゾルの99%を遮断した; 処置用マスク59%布製フェイスマスク51%単層ネックゲイター47%二層ネックゲイター60%のエアロゾルを遮断したしかし,フェイスシールド2%のエアロゾルを遮断したに過ぎなかったN95 レスピレーター,処置用マスク,布製フェイスマスク,単層および二層ネックゲイターは,いずれもフェイスカバーがない状態に比べて,放出されるエアロゾルを有意に減少させたが(それぞれP< 0.0001フェイスシールドは減少させなかった(P= 0.9994どのマスクも互いに有意差は認めなかったが,いずれもフェイスシールドよりも咳エアロゾルを有意に遮断した(P< 0.0001N95レスピレーターは他のすべてのマスクよりも優れていた(P< 0.0001

Figure 1: Cough aerosol simulator system for source control measurements.

Figure 1:

 

Figure 2: Mass of aerosol collected in each size fraction.

Figure 2:

 

Figure 3: Collection efficiency of face masks, neck gaiter and face shield.

Figure 3: