COVID-19関連追加(2020111日)

2020819日(ウイルス変異について)の内容に追加.

D614Gスパイクタンパク質変異はSARS-CoV-2のフィットネスを変化させる】

Plante, J.A., Liu, Y., Liu, J. et al. Spike mutation D614G alters SARS-CoV-2 fitness. Nature (2020). https://doi.org/10.1038/s41586-020-2895-3.

2019年後半に中国でSARS-CoV-2が出現して以来3)COVID-19は全世界で3,600万人以上の感染と100万人以上の死亡者を認めている.ほとんどの感染は軽症だが,SARS-CoV-2は特に高齢者層や慢性疾患を持つ人に重症で命に関わる肺炎を引き起こす可能性がある.重症化の正確なメカニズムは不明であるが,一般的にはウイルス感染後の炎症反応の調節異常ならびに過剰反応が関与している4).しかし,宿主の反応に加えて,ウイルス株変異が重症度および感染拡散効率に寄与している可能性がある.

コロナウイルスは,長いRNAゲノムを維持するために遺伝子の修復・校正機能(proofreading機能)を進化させてきた5)SARS-CoV-2の配列多様性は低いが6),アンジオテンシン変換酵素 2ACE2)などの細胞受容体と相互作用して細胞内への侵入を媒介するスパイク蛋白質変異は,宿主の範囲,組織に対する親和性(トロピズム),および病原性に強く影響する可能性がある.20022003 年に発生したSARS-CoVアウトブレイクでは、そのような変異の1つが,中間宿主であるジャコウネコの感染およびヒトへの感染伝播への適応を調節した7)SARS-CoV-2については,20205月に28,000以上のスパイク遺伝子配列を解析したところ,3月までは稀であったが、パンデミックの拡大に伴いD614Gのアミノ酸置換に頻度が増加したのが明らかになり1),これが20206月までに公開されている全配列の74%以上に達している2)D614Gのアミノ酸置換は他の3つの変異を伴っていた: 241位の5′非翻訳領域のC-to-T変異,3,037位の同義のC-to-T変異,およびRNA依存性RNAポリメラーゼ遺伝子の14,408位の非同義のC-to-T変異である8)この一連の変異は,世界的に増加しただけでなく,発生時にそれぞれの地域の共循環においても増加したことから,創始者効果(founder effects)や遺伝的浮動(genetic drift)ではなく,フィットネスの優位性を示唆しているスパイクアミノ酸置換とコロナウイルスの伝播性の関連から,D614G置換選択的一掃(selective sweepにとって重要であることが推定されたこの変異とCOVID-19患者における高レベルの鼻咽頭ウイルスRNA量の相関関係1)9)もまた,伝播性におけるこの変異の有意性が推定される.しかし,この仮説を確認するためには,フィットネスを直接測定する必要があった

※フィットネス(ウイルスが与えられた環境の元で複製に適応した状態にあることを,フィットネスが良いと表現する)

※遺伝的浮動(集団の大きさが小さい場合,あるいは季節や飢餓などの要因によって集団が小さくなったとき,偶然性によってある遺伝子が集団に広がる現象)

※創始者効果(その現象が極端になり,ある個人の遺伝子が広まること)

 

D614Gスパイク置換の初期の表現型の特徴は,SARS-CoV-2スパイク蛋白質を組み込んだ水泡口炎ウイルス(VSV: vesicular stomatitis virus)およびレンチウイルス粒子における複製動態を調べるための疑似ウイルスを用いて検討された.複数の細胞で有意に高い疑似ウイルス力価が産生されたことから,G614 が細胞内への侵入と気道での複製の増強と関連している可能性が示唆された1)2).しかし,これらの結果を,D614G変異を含む本物のSARS-CoV-2を用いた研究で確認する必要があり,また適切な動物モデルを用いたin vivo研究でも確認する必要がある.そこで,SARS-CoV-2の感染性cDNAクローン10)を用いて,USA-WA1/202011)D614G置換体を生成し,in vitro細胞培養,初代のヒト3D気道組織,ハムスター感染モデル12)を用いた比較実験を行った.また,血清検体やモノクローナル抗体(mAbs: monoclonal antibodies)の迅速中和試験用にD614およびG614 mNeonGreenSARS-CoV-2ウイルスを開発した.我々の研究は,SARS-CoV-2の進化と感染伝播の理解,およびCOVID-19ワクチンや治療用抗体の開発に重要な意味を持っている.

ヒト肺上皮細胞におけるスパイクD614G置換によるウイルス複製・感染性の増強:

最初に,スパイクD614G置換が細胞培養におけるウイルス複製に及ぼす影響を調べた.SARS-CoV-2の感染性cDNAクローンに対して特定部位突然変異導入(SDM: site-directed mutagenesis)を行い、スパイクD614またはG614を有する一対の組換え同質ウイルスを作成した(Figure 1a.同じ感染量をもつD614およびG614ウイルスが,VeroE6細胞(サル腎臓上皮細胞)から回収された.2つのウイルスは,類似のプラーク形態を形成した(Figure 1bVeroE6細胞では,G614ウイルスは,感染後12時間(hpi: h post-infection)でD614よりも高い感染力価まで複製し,その後,2つのウイルスは同等のレベルまで複製した(Figure 1c感染したVeroE6細胞からの細胞外ウイルスRNA産生についても同様の傾向が観察された(Figure 1dVeroE6由来ウイルスのスパイク遺伝子の配列決定では,望ましくない変異は明らかにならなかった.2つのウイルスにおける感染性を比較するために,ゲノムRNA/PFU比を計算したが,有意差は認められなかった(Figure 1e)(プラーク形成単位PFU: plaque-forming unitこのことは,D614G変異がVero E6細胞におけるウイルス複製やウイルス感染性に影響を与えないことを示している.次に,ヒト肺上皮Calu-3細胞におけるD614およびG614ウイルスの複製速度を比較した.その結果,G614ウイルスはD614ウイルスと比較して,それぞれ24 hpi: 1.2倍,36 hpi: 2.4倍,48 hpi: 1.9倍の感染性ウイルスを産生しており(Figure 1f),D614Gがウイルス複製を促進していることが示された.対照的に,G614感染細胞は,D614感染細胞と比較して,細胞外ウイルスRNAの産生量が少ない(24および36 hpi時)か,同等の(48 hpi時)であった(Figure 1g).その結果,D614ウイルスのゲノムRNA/PFU比はG614ウイルスの1.93.0倍であった(Figure 1h).これは,D614G 変異がヒト肺細胞株から産生されたSARS-CoV-2の感染性を増加させることを示しているCalu-3細胞から産生されたG614ウイルスの感染性増加のメカニズムを探るために,D614ウイルスとG614ウイルスからのスパイクタンパク質処理を比較した.感染したCalu-3細胞の培養液から,スクロースクッション超遠心法を用いてウイルスを精製した.ペレット化されたウイルスを,核酸カプシドをローディングコントロールとして含むウエスタンブロットによりスパイクタンパク質処理について分析した.どちらのウイルスについても,完全長スパイクは、ほぼ完全にS1/S2開裂形態(開裂cleavage)およびS2'に処理された; D614については93%G614については95%と同様の開裂効率を示した(Figure 1iVeroE6細胞から産生されたウイルスを分析した場合では,より少ない完全長スパイクタンパク質がS1/S2開裂形態に処理され,開裂効率はD61473%G61467%であった(Figure 1j.トリミングしていない画像は,Supplementary Figure 1に掲載した.これらの結果は,@VeloE6細胞と比較してCalu-3細胞から産生されたウイルス内でより多くのスパイクタンパク質がS1/S2に開裂され,AD614G置換がスパイク開裂率に有意な影響を与えないことを示唆している

D614G置換したSARS-CoV-2のハムスター上気道におけるフィットネスの向上:

D614G変異のin vivoにおける関連性を,golden Syrian hamsterモデルで評価した(Extended Data Figure 1a).ハムスター(45週齢)を2x104 PFUD614あるいはG614ウイルスで経鼻感染させると,両群のハムスターは,同様の体重減少を示した(Figure 2a).その差は統計的有意差には達しなかったものの,感染後2日目(pi: post-infection)では,鼻腔洗浄,気管,肺の各葉からの感染性ウイルス力価(Extended Data Figure 1b)は,特に上気道においては,D614感染ハムスターに比べてG614感染ハムスターの方が一貫して高かった(Figure 2b).感染後4日目では,感染性ウイルス力価の差は上気道でより顕著になり、鼻腔洗浄ではD614よりもG614の方が1.3log10 PFU/ml高く,気管では0.9log10 PFU/g高かった(Figure 2c).肺におけるウイルス量は本質的に同一であった.感染後7日目では感染性ウイルスは検出されなかった(データは示していない).ハムスターで産生されたD614およびG614ウイルスの感染性を,それらのウイルスRNAレベルおよびウイルスRNA/PFU比を決定することによって比較した.2つのウイルスは,すべての器官および時間点において産生された2つのウイルスRNAレベルは,ほぼ同一であった(Figure 2d).G614ウイルスのRNA/PFU比は,感染後2日目において,気道組織全体でD614ウイルスのRNA/PFU比よりも0.3log100.7log10低かった(Figure 2e).感染後4日目では,G614RNA/PFU比は,鼻腔洗浄におけるD614のそれよりも1.1log10低いが,気管および肺ではその差は無視できる程度であった(Figure 2f).感染後7日目には,感染性ウイルスが検出されなかったにもかかわらず(検出限界 40 PFU/ml),鼻腔洗浄からウイルスゲノム108/ml以上が検出され(Figure 2d),感染性ウイルスがクリアランスした後もウイルスRNAが高レベルで持続していることが示された.この結果は,RT-PCRは数週間まで陽性を示すことが多いが,感染性ウイルス量は少ないあるいは検出されないというCOVID-19患者での所見を再現している.上記の計算の注意点の1つは,総RNAには,ウイルスおよびサンプル処理中に溶解した細胞の両方からのウイルスRNAが含まれる可能性があるということである.上記の結果は,我々に,競争実験を介してD614およびG614ウイルスのフィットネスを直接比較することを促した.このアプローチは,多数の宿主複製を用いて個々のウイルス株を感染させることに比べて大きな利点がある; これは宿主間のばらつきを除外し,ウイルス株比は個々のウイルスの力価よりもより正確に測定することができる.したがって,競争実験は,ウイルスを含む微生物のフィットネスの多くの研究に使用されている13)-16).ハムスターは,ウイルス量(ウイルスあたり104 PFU)で,2つのウイルスを経鼻的に感染させた.感染後2日目,4日目,および7日目に,鼻腔洗浄および呼吸器官を採取し,RT-PCRおよびサンガー法シークエンシングによってD614およびG614 RNAの相対量を定量した.この方法は,混合検体中のD614およびG614ウイルスの相対量を確実に定量することが確証された(Extended Data Figure 2).1.0を超えるG614/D614比は,G614の複製優位性を示している.すべての呼吸器組織は,感染後2日目,4日目,および7日目に1.22.6G614/D614比を示し,G614ウイルスがD614ウイルスに対して一貫した優位性を持っていることを示した(Figure 2g-i).

ヒト気道組織モデルにおけるスパイク変異D614Gによるウイルス複製の劇的な増大:

ヒト呼吸器管におけるD614G変異の機能をさらに定義するために,ヒト気道組織の初代モデルにおけるD614およびG614ウイルスの複製の特徴を調べた(Figure 3a.この気道モデルは,呼吸器官の上皮組織に類似した多層のヒト気管/気管支上皮細胞を含んでいる.初代組織は,in vivoでのヒト気道組織のバリア,微小線毛反応,およびヒトの感染を再現するためにALIair-liquid interfaceで培養される17)18)MOImultiplicity of infection5MOI: 細胞1個に対するウイルスの数で気道組織を感染させた後(VeroE6細胞上で決定される),D614G614のどちらのウイルスも,1日目から5日目まで,最大7.8×105 PFU/mlまで増加する感染力価を産生したこれは気道組織がSARS-CoV-2の複製を助けていることを示しているG614の感染性ウイルス力価は,D614の感染性ウイルス力価よりも有意に高かった(2.18.6倍)(Figure 3b対照的に,ウイルスRNAviral RNA yields)に差は認められなかった(Figure 3cまた,D614ウイルスのゲノムRNA/PFU比は,G614ウイルスのゲノムRNA/PFU比よりも1.45.3倍高かった(Figure 3d.感染後5日目に採取したウイルスのシークエンシングでは後天的な変異は認めなかった.これらの結果は,G614が初代ヒト上気道組織におけるウイルス感染力増加を介してウイルス複製を促進していることを示しているD614ウイルスとG614ウイルスを1:1の感染比で感染させたところ、G614/D614比は1dpi1.2から5dpi13.9に増加した(Figure 3e).さらに,D614G614ウイルスの比率を3:1で気道培養物(the airway culture)を感染させた後,G614変異体は急速に初期の不足(deficit)を克服し,1dpi(感染後1日目)までにG614/D614比が1.2とわずかに優位になり,その優位性は5dpiまでに9.1に増加した(Figure 3f.さらに,気道組織にD614G6149:1の比率で感染させた場合,G614/D614比は1dpiから5dpiまでに1.4から5.2に増加した(Figure 3g.異なるドナー由来のヒト気道培養物を用いて実験を繰り返すと,同様の結果が得られた(Extended Data Figure 3).これらの結果は,G614ウイルスが,混合集団においては,最初はマイナーな変異体であっても,ヒト気道組織に感染すると,D614ウイルスに対して急速に打ち勝つことが確認された

D614およびG614ウイルスの安定性:

D614Gがウイルスの安定性に及ぼす影響を調べるために,D614G614ウイルスの感染力の経時的な減衰を33℃,37℃,42℃で測定した(Extended Data Figure 4).どちらのウイルスの感染力も,37℃あるいは33℃よりも42℃の方が速い速度で減衰したしかし,G614ウイルスはすべての温度においてD614ウイルスよりも高い感染力を保持していたこれは,D614G変異はSARS-CoV-2の安定性を高める可能性を示唆している

中和感受性に及ぼすスパイク変異D614Gの影響:

現在臨床試験中のCOVID-19ワクチンのすべては,オリジナルのD614スパイク配列に基づいている19)20)重要な問題は,G614ウイルスが循環し続けると仮定したとき,D614G置換がワクチンの有効性を低下させる可能性があるかどうかということである.この問題に取り組むために,我々は過去にD614 SARS-CoV-2に感染したハムスターから採取した血清パネルの中和力価を測定した(Extended Data Figure 5).各血清は,D614またはG614スパイクを有するmNeonGreen reporter SARS-CoV-2ウイルスのペアで分析した(Extended Data Figure 621)mNeonGreen遺伝子は,SARS-CoV-2遺伝子のオープンリーディングフレーム7に遺伝子組換えされた10)Figure 4a-cに示すように,すべての血清は,異種である(heterologousG614ウイルスに対して,同種である(homologousD614ウイルスに比べて,1.4倍〜2.3倍の中和力価(平均1.7倍)を示した(Extended Data Figure 7これは,D614G変異は血清中和に対する感受性が高いことを示唆している

次に,D614およびG614 mNeonGreen SARS-CoV-2ウイルスに対する11のヒト受容体結合ドメイン(RBD: receptor-binding domainmAbsパネルを評価した.これらのRBD mAbの詳細は他の報告に譲る(Anら).1つのmAbmAb18)は,D614ウイルスよりもG614ウイルスに対して2.1倍高い効力を示した一方,他の10mAbは両ウイルスに対して同様の中和活性を示した(Figure 4d-f, Extended Data Figure 8および9この結果は,D614G変異がスパイクタンパク質構造を調節して,エピトープ特異的反応(epitope-specific manner)においてmAbの中和に影響を与える可能性を示唆している

Discussion

我々は,スパイク置換D614Gは,ウイルス感染力を増加させることによって,上気道におけるSARS-CoV-2複製を増強することを実証したオリジナルのD614ウイルスと比較して,新たなG614ウイルスは,ヒト肺Calu-3細胞およびヒト初代上気道組織でより高いレベルで複製された複製の違いは,比較実験で最大13.9倍の優位性を示すという,ヒト気道培養で劇的に観察された複製フィットネスの向上は,G614ウイルスの特異的感染力と安定性の増強と関連していた.疑似ウイルスを用いた先行研究ではS1/S2へのスパイクタンパク質の開裂効率がSARS-CoV-2感染を調節することが示されているため22)23),我々は,D614G614ウイルスにおけるスパイク開裂比を比較した.Calu-3細胞から産生されたウイルスはVeroE6細胞から産生されたウイルスよりもS1/S2開裂がより完全であったが,D614G614におけるスパイク開裂の実質的な違いは検出されなかったauthentic SARS-CoV-2から得られた我々の結果は,D614G変異が単独で疑似ウイルスに発現した場合にスパイクタンパク質の開裂および脱落を変化させることを報告している先行研究とは対照的である24)25).最近の研究では,D614G変異がスパイク三量体に隣接したプロトマーprotomerからT859との水素結合相互作用を消失させることが示されており1),これによりRDBドメインが受容体ACE2結合のための ”up conformation(”up”した構造変化)になるようにアロステリック(allosterically)に促進され2),ウイルスの感染力が増強することが示されている.

COVID-19患者26)および感染ハムスターの上気道におけるG614の高レベルのウイルス量は,ウイルスの伝播性におけるD614G変異の役割を示唆している.ヒト上気道におけるSARS-CoV-2の頑健な複製は,下気道と比較して鼻腔のACE2受容体の発現が高いことによって部分的に付与されている可能性がある8)27)D614と比較して,G614ウイルスはハムスターの上気道では高いレベルで複製されたが,肺では複製されなかった.これは,D614G変異が肺における複製に抵抗性をもつ可能性があることを示唆している(may select against lung replication).臨床では,G614ウイルスを持つ患者は,D614ウイルスを持つ患者よりも鼻咽頭スワブのウイルスRNAは高レベルであったが,より重篤な状態にはならなかった1)2)9)我々のハムスター感染モデルは,これらの臨床所見を再現している: G614 ウイルスは,鼻洗浄および気管においてD614ウイルスよりも高い感染力価を発現していたが,肺では発現していなかったそして,体重減少や疾患徴候の違いは観察されなかった.我々のハムスターおよびヒト気道モデルで観察されたG614ウイルスの低いウイルスRNA/PFU比の結果をCOVID-19患者に当てはめた場合,患者の鼻咽頭スワブで観察されたサイクル閾値(Ct値)28)わずかな違いは,10倍以上の感染性G614ウイルスということになり,伝播と拡散が促進されることが強調される.実際,この報告の改訂中に,HouらはG614変異がハムスターにおけるSARS-CoV-2感染を増加させる内容の未査読原稿を投稿している29)この可能性は,咽頭スワブと喀痰サンプルにおけるSARS-CoV-2の分布が異なるCOVID19患者が,咽頭に分布するウイルス株のみを感染伝播させたという観察によってさらに支持される26). 同様の鼻腔からの感染伝播は,フェレットにおけるヒトインフルエンザAウイルスについても報告されている30). しかし,SARS-CoV-2感染,病原性,および伝播におけるD614Gの年齢依存性の影響については,まだ研究されていない.

G614ウイルスは,D614ウイルスに感染したハムスターから採取された血清による中和に関しては控えめではあるが感受性を有していた(modestly more susceptible to.これは直感的ではないが,D614Gによって惹起されるRDBの ”up conformationの増加によって説明できるだろう.現在臨床試験中のCOVID-19ワクチンはオリジナルのD614配列に基づいているため,我々の中和作用の結果は,D614G変異がワクチンの有効性を損なう可能性があるという懸念を軽減している(compromise their efficacy.この懸念を払拭するためには,今後の研究で,D614スパイクワクチンから採取したヒト血清を試験することが必要である.我々は,抗血清以外にも,RBD上のエピトープの位置によっては,特定のmAbsの中和力がD614G変異の影響を受ける可能性があることも示した.この結果は,G614に対する治療用mAbsに関する試験実施の重要性を強調している.

Conclusions

我々はauthentic SARS-CoV-2を用いて,スパイク置換D614Gが上気道におけるウイルス複製を増強し,中和感受性を高めることを実証した.これらの知見は,現在進行中のCOVID-19パンデミックの拡大,ワクチンの有効性,および治療用抗体の開発を理解する上で重要な意味を持つ.今後は,SARS-CoV-2D614G置換に伴う変異を含む他の変異についても研究する必要がある.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

References

1) Korber, B. et al. Tracking Changes in SARS-CoV-2 Spike: Evidence that D614G Increases Infectivity of the COVID-19 Virus. Cell (2020).

https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.06.043.

2) Yurkovetskiy, L. et al. Structural and Functional Analysis of the D614G SARS-CoV-2 Spike Protein Variant. bioRxiv (2020).

3) Zhou, P. et al. A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin. Nature 579, 270–273 (2020). 10.1038/s41586–020–2012–7.

4) Domingo, P. et al. The four horsemen of a viral Apocalypse: The pathogenesis of

SARS-CoV-2 infection (COVID-19). EBioMedicine 58, 102887 (2020).

https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2020.102887.

5) Smith, E. C., Blanc, H., Surdel, M. C., Vignuzzi, M. & Denison, M. R. Coronaviruses

lacking exoribonuclease activity are susceptible to lethal mutagenesis: evidence for

proofreading and potential therapeutics. PLoS Pathog. 9, e1003565 (2013).

https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1003565.

6) Fauver, J. R. et al. Coast-to-Coast Spread of SARS-CoV-2 during the Early Epidemic in theUnited States. Cell 181, 990–996 e995,

https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.04.021.

7) Song, H. D. et al. Cross-host evolution of severe acute respiratory syndrome coronavirus in palm civet and human. Proc. Natl Acad. Sci. USA 102, 2430–2435 (2005). https://doi.org/10.1073/pnas.0409608102.

8) Hou, Y. J. et al. SARS-CoV-2 Reverse Genetics Reveals a Variable Infection Gradient in the Respiratory Tract. Cell 182, 1–18 (2020).

9) Lorenzo-Redondo, R. et al. A Unique Clade of SARS-CoV-2 Viruses is Associated with

Lower Viral Loads in Patient Upper Airways. medRxiv,

https://doi.org/10.1101/2020.05.19.20107144.

10) Xie, X. et al. An Infectious cDNA Clone of SARS-CoV-2. Cell Host Microbe 27, 841–848 e843, https://doi.org/10.1016/j.chom.2020.04.004.

11) Harcourt, J. et al. Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 from Patient with 2019 Novel Coronavirus Disease, United States. Emerg. Infect. Dis. 26, (2020). https://doi.org/10.3201/eid2606.200516.

12) Chan, J. F. et al. Simulation of the clinical and pathological manifestations of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in golden Syrian hamster model: implications for disease pathogenesis and transmissibility. Clin. Infect. Dis. (2020).

https://doi.org/10.1093/cid/ciaa325.

13) Wiser, M. J. & Lenski, R. E. A Comparison of Methods to Measure Fitness in Escherichia coli. PLoS One 10, e0126210 (2015).

https://doi.org/10.1371/journal.pone.0126210.

14) Grubaugh, N. D. et al. Genetic Drift during Systemic Arbovirus Infection of Mosquito

Vectors Leads to Decreased Relative Fitness during Host Switching. Cell Host Microbe 19,481–492 (2016). https://doi.org/10.1016/j.chom.2016.03.002.

15) Bergren, N. A. et al. “Submergence” of Western equine encephalitis virus: Evidence of positive selection argues against genetic drift and fitness reductions. PLoS Pathog. 16, e1008102 (2020). https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1008102.

16) Coffey, L. L. & Vignuzzi, M. Host alternation of chikungunya virus increases fitness while restricting population diversity and adaptability to novel selective pressures. J. Virol. 85, 1025–1035 (2011). 10.1128/JVI.01918–10.

17) Bai, J. et al. Phenotypic responses of differentiated asthmatic human airway epithelial cultures to rhinovirus. PLoS One 10, e0118286 (2015).

https://doi.org/10.1371/journal.pone.0118286.

18) Jackson, G. R., Jr, Maione, A. G., Klausner, M. & Hayden, P. J. Prevalidation of an Acute Inhalation Toxicity Test Using the EpiAirway In vitro Human Airway Model. Appl. In Vitro Toxicol. 4, 149–158 (2018). https://doi.org/10.1089/aivt.2018.0004.

19) Mulligan, M. J. et al. Phase 1/2 study of COVID-19 RNA vaccine BNT162b1 in adults. Nature(2020). 10.1038/s41586–020–2639–4.

20) Jackson, L. A. et al. An mRNA Vaccine against SARS-CoV-2 - Preliminary Report. N. Engl. J. Med. (2020). https://doi.org/10.1056/NEJMoa2022483.

21) Muruato, A. E. et al. A high-throughput neutralizing antibody assay for COVID-19

diagnosis and vaccine evaluation. Nat. Commun. (in the press) (2020).

 https://doi.org/10.1101/2020.05.21.109546.

22) Hoffmann, M. et al. SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is

Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor. Cell 181, 271–280 e278,

https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.052.

23) Hoffmann, M., Kleine-Weber, H. & Pohlmann, S. A Multibasic Cleavage Site in the Spike Protein of SARS-CoV-2 Is Essential for Infection of Human Lung Cells. Mol Cell 78,

779–784 e775, https://doi.org/10.1016/j.molcel.2020.04.022.

24) Zhang, L. et al. The D614G mutation in the SARS-CoV-2 spike protein reduces S1

shedding and increases infectivity. bioRxiv (2020).

https://doi.org/10.1101/2020.06.12.148726.

25) . Daniloski, Z., Guo, X. & Sanjana, N. E. The D614G mutation in SARS-CoV-2 Spike increases transduction of multiple human cell types. bioRxiv (2020).

https://doi.org/10.1101/2020.06.14.151357.

26) Wolfel, R. et al. Virological assessment of hospitalized patients with COVID-2019. Nature 581, 465–469 (2020). 10.1038/s41586–020–2196-x.

27) Sungnak, W. et al. SARS-CoV-2 entry factors are highly expressed in nasal epithelial

cells together with innate immune genes. Nat. Med. 26, 681–687 (2020). 10.1038/

s41591–020–0868–6.

28) Wagner, C. et al. Comparing viral load and clinical outcomes in Washington State across D614G substitution in spike protein of SARS-CoV-2,

https://github.com/blab/ncovwa-d614g.

29) Yixuan, J. Hou, S. C., Peter Halfmann, Camille Ehre, Makoto Kuroda, Kenneth H Dinnon III, Sarah R Leist, Alexandra Schäfer, Noriko Nakajima, Kenta Takahashi, Rhianna E Lee, Teresa M Mascenik, Caitlin E Edwards, Longping V Tse, Richard C Boucher, Scott H Randell, Tadaki Suzuki, Lisa E Gralinski, Yoshihiro Kawaoka, Ralph S. Baric. SARS-CoV-2 D614G Variant Exhibits Enhanced Replication ex vivo and Earlier Transmission in vivo. bioRxiv.

https://doi.org/10.1101/2020.1109.1128.317685.

30) Richard, M. et al. Influenza A viruses are transmitted via the air from the nasal

respiratory epithelium of ferrets.

Nat. Commun. 11, 766 (2020). 10.1038/s41467–020–14626–0.