COVID-19関連追加(202111-2VOC 202012/01について その3

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20201222日(英国におけるウイルス変異)

20201228日(変異株VOC202012/01 その2

【英国におけるSARS-CoV-2 B.1.1.7の伝播について:

疫学的データと遺伝学的データを結びつけることで得られる知見】

Volz E, et al. Report 42 - Transmission of SARS-CoV-2 Lineage B.1.1.7 in England: insights from linking epidemiological and genetic data. Imperial College London. Dec 31, 2020.

https://www.imperial.ac.uk/medicine/departments/school-public-health/infectious-disease-epidemiology/mrc-global-infectious-disease-analysis/covid-19/report-42-sars-cov-2-variant/.

Abstract

SARS-CoV-2系統B.1.1.7は,現在Public Health EnglandによってVariant of Concern 202012/01VOCと指定されており,2020年晩夏〜初秋にかけて英国で発生した.我々は,VOCが感染伝播に有利であることを示す疫学的証拠をいくつかの観点から検討する.

@コミュニティベースの診断検査から収集された全ゲノム配列データから,異なる遺伝的変異株の有病率が時間経過とともに変化していることがわかるさらに,系統力学的モデリング(phylodynamic modelling)により,この系統の遺伝的多様性が指数関数的な成長と一致する形で変化していることが示された

A我々は,遺伝子データから推定されるVOCの頻度の変化は,コミュニティベースの診断用PCR検査におけるSGTFS-gene target failureから推定される変化と密接に対応していることを発見した

Bイングランド全土の地域レベルでのSGTFと非SGTFの症例数の増加傾向を調べた結果,VOCが非感染性期間(latent period),世代時間(generation time)が異なっていたとしても,VOCは非VOC系統よりも高い伝播性を持つことが示された.入手可能なSGTFのデータから,報告された症例において年齢構成のシフトがみられ,20歳未満のVOC症例の割合が非VOC症例よりも高いことが明らかになった

VOC症例と非VOC症例の年齢分布の違いを評価するために,NHS STPNHS[National Health Service] England Sustainability and Transformation Plan [STP]areas [a geographic subdivision of NHS Regions])地域全体の46-51週目のS-S+症例数を検討した.症例数は,各地域の人口年齢構成の違いで標準化され,各 NHS STP地域および各疫学週の症例を,同じSTPおよび週の同数のS+症例(症例対照デザイン)と比較するために重み付けされ,STP週にわたって集計された.二項サンプリング変動,地域別および週別の変動を考慮すると,VOC症例のバイオマーカーであるS-症例が0-19歳ではS+症例と比較して有意に多く,60-79歳ではS-症例が有意に少ないことが観察された(Figure 4.この傾向は,これまでにVOCの影響を最も受けたイングランドの各地域(イングランド東部,ロンドン,南東部,ミッドランド)でみられ,S+症例とS-症例の年齢分布(非症例コントロールで重み付け,非年齢で標準化)の間にも同様の違いがみられた.

しかし、これまでの結果と同様に、この観察はこれらの違いの根底にあると考えられるメカニズムを解明するものではない.VOCと非VOCのコミュニティ症例の年齢分布の違いは,VOCの伝播性が全体的に高まっていること(特にロックダウンが行われていたが,学校は開校していた時期)20代以下の感受性が高まっていること,あるいはその年齢層でVOCによる症状がより明らかになっていること(したがって検査を求める傾向があること)に起因していると考えられる.特に懸念されるのは、20211月に学校が再開してから,伝播の制御を維持できるかどうかということである.

Figure 4: Age distribution of S-gene negative (S-) and S-gene positive (S+) PCR-positive pillar 2 cases from the SGSS dataset (not adjusted for TPR).

 

CVOCの頻度と全体のSARS-CoV-2再生産数の独立した推定値との関連を評価する.

D局所的なVOCおよび非VOC症例の発生率に半機械論的モデル(semi-mechanistic model)を直接適用し,それぞれの経時的な実行再生産数を推定した.その結果,VOCと非VOCの再生産数の差は0.40.7,再生産数の比率は1.41.8の範囲であり,VOCがかなりの伝播優位性を持っていることがすべての解析で一致した

これらの推定値は,イングランドでソーシャルディスタンスが高水準にあった時期に適用されたものであり,他の伝播背景への外挿には注意が必要である.