COVID-19関連追加(202111日)mRNAワクチンについて その2

 

mRNA-1273 SARS-CoV-2ワクチン(Moderna)の有効性と安全性】

Baden LR, et al. Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine. N Engl J Med. Dec 30, 2020.

https://doi.org/10.1056/NEJMoa2035389.

ファイザー+ビオンテックのmRNAワクチン(20201216日ファイル)に続く.

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmoa2035389/20201231/images/img_xlarge/nejmoa2035389_f5.jpeg

 

BACKGROUND

現在,さまざまな開発段階にある数多くのワクチン候補が評価されている.20201月にSARS-CoV-2の遺伝子配列が決定されて間もなく,プレフュージョン安定化スパイク糖タンパク質を発現する脂質ナノ粒子(LNP: lipid-nanoparticle )カプセル化mRNAワクチンであるmRNA-1273が,Modernaと国立衛生研究所(NIH: National Institutes of Health)内の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID: National Institute of Allergy and Infectious Diseases )のワクチン研究センターによって開発された.mRNA-1273ワクチンは,動物実験で保護効果を示し15),初期段階のヒト試験では安全性と免疫原性が確認されている1)4).最近,別のmRNAワクチンであるBNT162b2の有効性と安全性が実証された16)

SARS-CoV-2感染予防におけるmRNA-1273ワクチンの安全性と有効性を評価するために,COVEThe Coronavirus Efficacy)第3相試験が20207月下旬に開始された.独立したデータおよび安全性モニタリング委員会は,第一次中間解析において,ワクチンが事前に定められた有効性基準を満たしていると判断した.現在進行中の極めて重要な3相臨床試験の主要解析結果を報告する

METHODS

この第3相無作為化観察者盲検プラセボ対照試験は,米国内の99施設で実施された.SARS-CoV-2感染またはその合併症のリスクが高い人を1:1の割合で無作為に割り付け,mRNA-1273100μgあるいはプラセボを28日間隔で2回筋肉内注射する群に分けた主要エンドポイントは,既知のSARS-CoV-2感染がない参加者において,2回目の注射から少なくとも14日後のCovid-19の予防とした

TRIAL VACCINE:

mRNA-1273ワクチンは無菌液体(sterile liquid)として提供され,濃度は0.2mg/ml で,2回投与レジメンに従って三角筋に注射投与した.ワクチンmRNA-1273は,調製および接種前に臨床現場で2°-8°C35.6°-46.4°F)で保存し,希釈の必要はない.投与量は,投与前に室温で最大8時間までシリンジ内に保持することができた.

RESULTS

TRIAL POPULATION:

2020727日〜20201023日までに,合計30,420人の参加者が無作為化され,各15,210人がプラセボまたはmRNA-1273100μg)のいずれかの2回投与を受けるように割り付けられた(Figure 1).参加者の96%以上が2回目の投与を受けた(Figure S1).2回目の投与を受けなかった参加者の主な理由は,同意の撤回(153人)と,29日目の2回目投与前にPCRSARS-CoV-2が検出されたこと(114: プラセボ群69, mRNA-127345人)であった.主要な有効性および安全性の解析は、per-protocol集団およびsafety集団でそれぞれ実施した.1回目の注射を受けた参加者のうち,プラセボ群14,073人,mRNA-127314,134人を主要有効性解析の対象とし,29日目のデータカットオフまでに2回目の注射を受けていない参加者を含むper-protocol集団からは,プラセボ群525人,mRNA-1273416人を除外した(Figure 120201125日時点で、参加者の追跡期間中央値は2回目投与後64日(range, 0-97日)で,参加者の61%の追跡期間は56日以上であった.

Figure 1: Randomization and Analysis Populations.

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ベースラインの人口統計学的特徴は,プラセボ群とmRNA-1273ワクチン群においてバランスが取れていた(Table 1, Table S2).参加者の平均年齢は51.4歳,参加者の47.3%が女性,24.8%65歳以上,16.7%65歳未満の若年者で,重症Covid-1のリスクになるような医学的な素因を有していた.参加者の大多数は白人(79.2%)であり,人種および民族の割合は,黒人またはアフリカ系アメリカ人が10.2%,ヒスパニックまたはラテン系が20.5%であり,概ね米国の人口動態を代表するものであった.ベースライン時のSARS-CoV-2感染の証拠は,血清学的アッセイまたはRT-PCR検査で検出され,mRNA-1273 群では 2.3%,プラセボ群では 2.2%の参加者に認められた.

 

 

Table 1: Demographic and Clinical Characteristics at Baseline.

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SAFTY:

注射部位でのsolicited adverse events(非自発的な報告,すなわち観察される集団があらかじめ定義されている集団における有害事象)は,mRNA-1273群でプラセボ群よりも1回投与後(84.2% vs 19.8%)および2回目投与後(88.6% vs 18.8%)に多く発生した(Figure 2およびTable S3, S4mRNA-1273群では,注射部位イベントは,主に重症度のグレード1または2であり,1回目および2回目の投与後の平均持続期間は,それぞれ2.6日と3.2日であったTable S5.最も一般的な注射部位のイベントは、注射後の痛みだった(86.0%).遅発性の注射部位反応(8日目以降に発症したもの)は参加者のうち244人(0.8%)で1回目後に,68人(0.2%2回目後に認められた.反応は紅斑,硬結,圧痛を特徴とし,4-5日後には消失したsolicited adverse eventsは,mRNA-1273投与群でプラセボ投与群よりも1回目(54.9% vs 42.2%)および2回目(79.4% vs 36.5%)投与後に多く発現したsolicited adverse eventsの重症度はmRNA-1273群で2回目以降に増加し,グレード21回目16.5%から2回目38.1%へ)およびグレード32.9%から15.8%へ)の割合が増加した.mRNA-1273投与群における全身性solicited adverse events期間は,1回目投与後2.62回目投与後3.1であった(Table S5注射部位および全身性solicited adverse eventsは,高齢者(65歳以上)よりも若年者(18-65歳未満)で多くみられたsolicited adverse eventsは,ベースライン時にSARS-CoV-2感染が陽性であった参加者では,ベースライン時に陰性であった参加者よりも頻度が低かった(Table S6, S7).

 

 

Figure 2: Solicited Local and Systemic Adverse Events.

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注射後28日間に自発的に報告された有害事象(unsolicited adverse events)および重症/重篤な有害事象( unsolicited severe adverse events, and serious adverse events)は,両群の参加者で概ね同様であったTable S8-S11死亡例はプラセボ群で3人(腹腔内穿孔1人,心肺停止1人,慢性リンパ性白血病とびまん性水疱性発疹がある参加者における重篤な全身性炎症性症候群(systemic inflammatory syndrome1人),ワクチン群で2人(心肺停止1人,自殺1人)であったグレード3の有害事象の発生頻度はプラセボ群(1.3%)とワクチン群(1.5%)でほぼ同程度であり,診察を要した(medically attended)有害事象の発生頻度(9.7% vs 9.0%)および重篤な有害事象の発生頻度(両群とも0.6%)も同様であった.過敏症反応はワクチン群で1.5%,プラセボ群で1.1%と報告された(Table S12).ベル麻痺は,試験観察期間(注射後28日以上)にワクチン群3人(0.1%未満),プラセボ群1人(0.1%未満)で発現した.全体では、プラセボ群では参加者の0.5%mRNA-1273群では0.3%が有害事象のため2回目の投与を受けなかった.また,いずれかの投与後に有害事象を理由に試験への参加を中止した参加者は両群とも0.1%未満であった(Table S8).ワクチンに関連した呼吸器疾患の増強(vaccine-associated enhanced respiratory disease)は認められなかったことは注目に値し,mRNA-1273群では,プラセボ群よりも重症Covid-19症例あるいはどんなCovid-19症例も少なかった(Table S13, S14試験チームがワクチンまたはプラセボに関連すると判断した有害事象は,プラセボ群では参加者の4.5%mRNA-1273群では8.2%で報告されたプラセボ群とmRNA-1273群で最も多かった治療関連の有害事象(treatment-related adverse events)(参加者の1%以上に報告されたもの)は,倦怠感1.2%, 1.5%)と頭痛0.9%, 1.4%)であった集団全体では,治療に関連した重篤な有害事象の発生率は,プラセボ群(28[0.2%])よりもmRNA-1273群(71[0.5%])の方が高かったTable S8, S15.ワクチン群のこれらの有害事象の相対的な発生率は,年齢による影響を受けなかった.

EFFICACY:

投与1日目から20201125日までに,合計269人のCovid-19症例が確認され,SARS-CoV-2感染歴のないプラセボ群の参加者における1000人年あたりの発生率は79.8人(95%CI, 70.5-89.9)であった主要解析では,196人がCovid-19と診断された: ワクチン群では11人(1000人年あたり3.3; 95%CI, 1.7-6.0),プラセボ群では185人(1000人年あたり56.5; 95%CI, 48.7-65.3)であり,プラセボ群と比較して,症候性SARS-CoV-2感染症の予防に対するmRNA-1273ワクチンの有効性は94.1%95%CI, 89.3-96.8%; P< 0.001)であったことが示された(Figure 3A1回目の投与から14日後に開始された評価(プラセボ群では225人,mRNA-1273群では11人,ワクチン有効率95.2%[95%CI, 91.2-97.4%]を示した),およびper-protocol解析においてベースライン時にSARS-CoV-2血清陽性であった参加者を含む評価(プラセボ群では187人,mRNA-1273群では12; mRNA-1273 を投与するように割り当てられたボランティアの1人が誤ってプラセボを投与された),ワクチン有効率93.6% [95%CI, 88.6-96.5%] を示した)を含む評価を含む副次解析(Table S16)では,所見は類似していた1日目から42日目までに,mRNA-1273群ではCovid-19症例7人が確認されたのに対し,プラセボ群では症例65人が確認されたFigure 3B

 

 

Figure 3: Vaccine Efficacy of mRNA-1273 to Prevent Covid-19.

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重要な副次エンドポイントは,重症Covid-19を予防するためのmRNA-1273の有効性を評価することであったこの試験の参加者のうち30人は重症Covid-19に罹患し,30人全員がプラセボ群に属していた(ワクチン有効性は 100%[95%CI, 推定不可-1.0%]Covid-19を予防するワクチンの有効性は,人口統計学的およびベースライン特性(Figure 4))で層別化したサブグループにおいて一貫していた: 年齢群(18-65歳未満および65歳以上),重症Covid-19のリスクの存在,性別,そして人種および民族群(非ヒスパニック系白人および有色人種のコミュニティ).ベースライン時に血清学的検査またはウイルス学的検査でSARS-CoV-2が陽性であった参加者(プラセボ群337人,mRNA-1273343人)のうち,プラセボ群において,RT-PCR 検査でCovid-191人診断され,mRNA-1273群では誰も診断されなかった(Table S17).ベースライン時にSARS-CoV-2陰性(RT-PCR検査または抗体検査)であった参加者のうち,症候性Covid-19症例に加えて,プラセボ群では39人(0.3%),mRNA-1273群では15人(0.1%)が,2回目の投与時に鼻咽頭スワブ(サーベイランススワブ)によるRT-PCR検査でSARS-CoV-2陽性と診断されたが,Covid-19の症状は認めなかった(Table S18

Figure 4: Vaccine Efficacy of mRNA-1273 to Prevent Covid-19 in Subgroups.

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Discussion

COVE試験は,多様な成人を対象とした集団において,症候性SARS-CoV-2感染を予防するためのmRNA-1273ワクチンの短期的な有効性を証明するものである.注目すべきは,この試験は感染症発症率0.75%を想定して設計されていることで,参加者30,000人に151人の感染が発生するためには,2回のワクチン接種後6ヶ月間の観察期間が必要となる.パンデミックは2020年の晩夏から秋にかけて米国の多くの地域で加速し,中央値2ヶ月の追跡調査の結果,196人が急速に発生した.重症Covid-19症例はすべてプラセボ群であったことは重要であり,mRNA-1273が医療機関受診,合併症,死亡の主な原因である重症化の予防に効果を発揮している可能性が示唆されたmRNA-1273の単回投与でも,SARS-CoV-2感染症の症状の発現が減少したことは心強い結果であるが,この試験は単回投与の有効性を評価するために設計されたものではないため,さらなる評価が必要である

mRNA-1273ワクチンの症候性SARS-CoV-2感染予防効果の大きさは,不活化インフルエンザワクチンのような呼吸器ウイルス用ワクチンの効果よりも高く,例えば成人のウイルス検査で確認された症候性疾患に対する不活化インフルエンザワクチンのプール有効率は59%と報告されている19)また,このワクチンの有効性は,国がマスキングとソーシャルディスタンスを推奨している状況下で試験されたものであり,これはウイルス感染接種量の減少につながった可能性があるmRNA-1273の有効性は,最近報告された BNT162b2 mRNAワクチンの有効性16)と一致しているCOVE 試験は現在進行中であり,縦断的な追跡調査により,時間経過と進行している疫学的条件の下での有効性の変化を評価することができる.

全体的に,mRNA-1273ワクチンのレジメンとプラットフォームの安全性は安心できるものであり,予期せぬ懸念事象は確認されなかった全体的に、接種による局所反応は軽度だったが,2回目の接種後,mRNA-1273群の約50%の参加者に倦怠感,筋肉痛,関節痛,頭痛などの中等度〜重度の全身性有害事象が認められたこれらの有害事象は一過性のもので,接種後約15時間後に始まり,2日目までにほとんどの参加者で消失し,後遺症はなかったmRNA-12731回投与した後の反応原性の程度は,最近承認された組み換えアジュバント帯状疱疹ワクチンで観察されたものよりも低く,2回目のmRNA-1273投与後の反応原性は帯状疱疹ワクチンと同程度でした21)22).ワクチン接種後28日目までに報告されたunsolicited adverse eventsの全体的な発生率と,試験全体を通して報告された重篤な有害事象の発生率は,mRNA-1273 とプラセボで同様であった.ワクチンには急性過敏症のリスクが観察されることがあるが,COVE試験ではそのようなリスクは認められなかった.この試験とBNT162b2ワクチン試験でベル麻痺がわずかに過剰であったという個人的な所見は,それが偶然の出来事以上のものである可能性を懸念させるものであり,その可能性を注意深く監視する必要がある16)

mRNA-1273ワクチンは,短期的には感染後の呼吸器疾患の増強の証拠を示さなかった.これは,いくつかのSARSおよびMERSワクチンの評価に使用された動物モデルから浮上した懸念である.呼吸器疾患の増強の特徴は,組織学的検査ではTh2に偏った免疫反応と好酸球性肺浸潤である.特筆すべきは,先進的な臨床評価におけるmRNA-1273および他のSARS-CoV-2ワクチンの前臨床試験では,Th1に偏ったワクチン反応が示され,病理学的な肺浸潤は認められなかったことである15)26)-28)mRNA-1273ワクチン接種が長期的にウイルスに曝露された場合の疾患の増強につながるかどうかは不明である.

このデータの主なLmitationは,安全性と有効性の観察期間が短いことである.この試験は進行中であり,2年間の観察期間が計画されているが,参加者の維持と継続的なデータ収集を可能にするために試験デザインを変更する可能性がある.もう一つの限界は、将来のブリッジング試験にとって重要なツールである防御(protection)の相関関係が確認されていないことである.データカットオフの時点で,mRNA-1273群ではCovid-19症例が11人発生しており,防御の相関関係を検出する能力が制限されている.症例が増え(accrue),免疫が低下する(wane)につれて,このような相関関係を明らかにすることが可能になるかもしれない.さらに,この試験では,mRNA-1273が症候性SARS-CoV-2感染の発生率を低下させることが示されたが,無症候性感染を評価するには十分なデータが得られなかった.ワクチン接種が感染性に影響を与えるかどうかを評価するために,無症候性または不顕性感染の発生率と感染後のウイルス排出の評価が進行中である.高齢者や少数民族・人種の参加者で発生した症例数が相対的に少ないことや,ワクチンを受けた既感染者数が少ないことから,これらのグループでの有効性の評価には限界がある.現在進行中の試験から得られる長期的なデータにより,これらのグループにおけるワクチンの有効性をより慎重に評価することが可能になるかもしれない.なお,本試験では妊娠女性と小児を除外しており,これらのグループでのワクチンの追加評価が計画されている.

CONCLUSIONS

mRNA-1273ワクチンは,重症化を含むCovid-19の予防に 94.1%の有効性を示した.一過性の局所反応および全身反応を除き,安全性に関する懸念は認められなかった(Biomedical Advanced Research and Development Authorityおよび国立アレルギー・感染症研究所によって資金提供された; COVE ClinicalTrials.gov number, NCT04470427).

 

 

References

15) Corbett KS, Flynn B, Foulds KE, et al. Evaluation of the mRNA-1273 vaccine against SARS-CoV-2 in nonhuman primates. N Engl J Med 2020;383:1544-1555.

16) Polack FP, Thomas SJ, Kitchin N, et al. Safety and efficacy of the BNT162b2 Covid-19 vaccine. N Engl J Med 2020;383:2603-2615.

19) Osterholm MT, Kelley NS, Sommer A, Belongia EA. Efficacy and effectiveness of influenza vaccines: a systematic review and meta-analysis. Lancet Infect Dis 2012;12:36-44.

20) Ferdinands JM, Shay DK. Magnitude of potential biases in a simulated case-control study of the effectiveness of influenza vaccination. Clin Infect Dis 2012;54:25-32.

21) Cunningham AL, Lal H, Kovac M, et al. Efficacy of the herpes zoster subunit vaccine in adults 70 years of age or older. N Engl J Med 2016;375:1019-1032.

22) Lal H, Cunningham AL, Heineman TC. Adjuvanted herpes zoster subunit vaccine in older adults. N Engl J Med 2015;373:1576-1577.

23) Agrawal AS, Tao X, Algaissi A, et al. Immunization with inactivated Middle East respiratory syndrome coronavirus vaccine leads to lung immunopathology on challenge with live virus. Hum Vaccin Immunother 2016;12:2351-2356.

24) Bolles M, Deming D, Long K, et al. A double-inactivated severe acute respiratory syndrome coronavirus vaccine provides incomplete protection in mice and induces increased eosinophilic proinflammatory pulmonary response upon challenge. J Virol 2011;85:12201-12215.

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COVID-19関連追加(202111日)mRNAワクチンについて その2

17日追記しました

 

Pfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチン初回投与後の

アナフィラキシーを含むアレルギー反応】

Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine — United States, December 14–23, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 6 January 2021.

http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7002e1.

202113日時点で,米国ではCOVID-19は計20,346,372例,および349,246例の関連死が報告されている.現在,生涯にわたる後遺症(Long COVID)に関しては明らかではない; COVID-19生存者においては,最初は軽度の急性疾患を経験する人を含め,持続的な症状や重篤な合併症が報告されている* 20201211日,FDAは,Pfizer-BioNTech社製COVID-19予防ワクチン(21日間隔で2回接種)の緊急使用許可(EUA: Emergency Use Authorization)を発出した.20201212日,予防接種実施諮問委員会(ACIP: Advisory Committee on Immunization Practices)は,Pfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンの使用に関する中間勧告を発表しました(1); 医療従事者および長期療養施設入所者には初回投与が推奨された(2)20201223日時点で、米国ではPfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチン初回投与が1,893,360報告されており,接種後の有害事象4,393件(0.2%の報告がワクチン有害事象報告システム(VAERS: Vaccine Adverse Event Reporting System)に提出されているこのうち,アナフィラキシーを含む重篤なアレルギー反応の可能性がある症例として,175件の報告が確認された.アナフィラキシーは生命を脅かすアレルギー反応であり,ワクチン接種後に起こることは稀だが,通常数分から数時間以内に発症する(3)アナフィラキシーと判定された症例は21投与100万回あたり11.1)で,そのうち17件はアレルギーやアレルギー反応の既往歴のある人であったさらにそのうち7件はアナフィラキシーの既往歴があった)ワクチン接種を受けてから症状が発現するまでの間隔は中央値13分(range= 2-150分)であった追跡情報が得られた20件のうち,すべての人が回復したか,自宅退院していたアナフィラキシーではないと判断された残りの症例報告のうち,非アナフィラキシー性アレルギー反応86が判断され,非アレルギー性有害事象と61件が考えられた7件の症例報告は調査中であった.本報告書は,20201214日〜23日において米国でPfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンの初回投与を受けた後に,アナフィラキシーと非アナフィラキシーのアレルギー反応を含むアレルギー反応の症例報告の臨床的および疫学的特徴をまとめたものである.CDCは,米国で現在認可されているmRNA COVID-19ワクチンの使用に関する更新された暫定臨床的考慮事項(4)と,可能性のあるアナフィラキシーの管理準備のための暫定的考慮事項(5)を発表している.COVID-19ワクチンを投与する前に禁忌と注意事項をスクリーニングすることに加えて,ワクチンを投与する場所は,アナフィラキシーを管理するために必要な物資を用意し,接種後の観察期間を設けて,アナフィラキシー徴候や症状を経験した人にエピネフリンを筋肉内注射して直ちに治療しなければならない(4,5)

CDCFDA は,アナフィラキシーの疑いがある症例の通知を,医療従事者や公衆衛生当局による直接的アウトリーチや,CDCFDAが共同で運営している予防接種後の有害事象に関する全国的な受動的サーベイランス(自発的報告)システムであるVAERSへの報告など,複数のチャンネルを通じて受けた(6)CDCまたはFDAの注意を引くようになったアナフィラキシーが疑われるすべての通知もVAERSに記録された.CDCの医師は,重度のアレルギー反応とアナフィラキシーが疑われるVAERSの報告書をスクリーニングし,Brighton Collaborationの症例定義基準 (7) を適用した.これは症状の組み合わせを使用して診断確実性のレベルを定義し,アナフィラキシーのさらなる評価を正当化するのに十分な証拠を持つ症例を特定するものである.Brightonレベル1は,報告された症例が本当にアナフィラキシーの症例であるという診断上の確実性の最高レベルを表し,レベル2および3は診断上の確実性の低いレベルを順次表している.レベル4はアナフィラキシーとして報告されたが,Brighton Collaborationの症例定義を満たしていない症例である.レベル5はアナフィラキシーとして報告されなかった症例であり,症例定義を満たしていない症例である.アナフィラキシーを示唆する十分な証拠がある報告は,VAERS報告書に記載されている連絡先に電話で連絡を取り,追加の臨床的詳細(例えば,医療施設やtreating health care providers,場合によってはワクチン接種者)を収集したり,医療記録を収集したりするなど,直接的アウトリーチによって経過観察された.また,医師の報告者は,アナフィラキシーではないと考えられる報告を,非アナフィラキシー性アレルギー反応または非アレルギー性有害事象として分類するために、臨床的判断を用いた.非アレルギー性有害事象は,ほとんどが血管調節性(迷走神経性)または不安に関連したものであり,分析から除外された.ワクチン接種の翌日以降に症状が発現したアナフィラキシーおよび非アナフィラキシー性アレルギー反応の症例(すなわち,0-1日のリスクウィンドウ(risk window)外)も,これより後に症状が発現したアレルギー反応をワクチン接種と明確に関連付けることが困難であるため除外された†.CDCFDAは,症例について議論し,判定するための合同会議を実施した.Moderna社製COVID-19ワクチンのFDAによるEUAは,Pfizer-BioNTech社ワクチンのEUAよりも1週間遅く(20201218日),Moderna社製ワクチンは1221日からしか入手できなかったため,本報告書ではPfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンに焦点を当てる.Moderna社製COVID-19ワクチンの接種後に報告された有害事象の評価は,近日中に行う予定である.

20201214日〜23日において,Pfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンの初回投与1,893,360件(女性1,177,527, 男性648,327, 性差67,506件)後4,393件(0.2%)のワクチン接種後の有害事象の報告VAERSに提出されていたこれらの報告のうち175が,徴候や症状の記述に基づいてアナフィラキシーを含む重篤なアレルギー反応の可能性があると判断され,そのうち21Brighton Collaborationの症例定義基準を満たしており,投与100万回あたり11.1件の初期推定率に対応していた.すべての報告はBrightonレベル1または2であった(Table 1).アナフィラキシー患者の年齢中央値は40歳(range= 27-60歳)で,19件(90%)が女性に発生したワクチン接種から症状発現までの間隔は中央値13分(range= 2-150分)であり,15人(71%)が15分以内3人(14%)が1530分以内,3人(14%)が30分以降に発症していた(Figure報告21件中19件(90%)では,治療の一環としてエピネフリンが投与されていた; 1人はエピネフリン皮下投与を受けており,残りの18人は報告に基づいてエピネフリン筋肉内投与を受けたことが確認されたか,または受けたと推定された患者4人(19%)が入院し(集中治療室3人を含む),17人(81%)が救急部で治療を受けた; 患者20人(95%)はVAERSへの報告時点で,自宅退院あるいは回復していたことが確認されているPfizer-BioNTech社製COVID-19 ワクチン接種後のアナフィラキシーによる死亡は報告されていないアナフィラキシーを起こした患者21人のうち17人(81%)には,薬剤や医薬品(medical products),食品,虫刺されなどのアレルギーまたはアレルギー反応の既往歴があった; 患者7人(33%)は過去にアナフィラキシーのエピソードを経験しており,その中には狂犬病ワクチン接種後1人,そしてインフルエンザAH1N1)ワクチン接種後1人が含まれていた(Table 2.アナフィラキシー症例の地理的なクラスタリング(geographic clustering)は認められず,複数のワクチンロットの接種後に発症していた.この報告書の時点では,調査員は追跡調査にもかかわらず,7人におけるアナフィラキシーを確認または除外するための十分な情報を得ることができなかった; これらの症例は調査中のままである.

同期間にVAERSは,Pfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチン接種後,01日以内に症状が発現した非アナフィラキシー性アレルギー反応83を確認し,そのうち72件(87%)は重篤ではないと分類された§一般的に報告された症状には,掻痒,発疹,喉のかゆみ(itchy)・掻きむしり感(scratchy),および軽度の呼吸器症状が含まれていた.患者の年齢中央値は43歳(range= 18-65歳)であり,報告された反応の75件(90%)は女性であった.ワクチン接種から症状発現までの間隔は中央値12分(range= <1-20時間)であった; 61件(85%)は30分以内に発現11件は30分後に発現し,11件は発現時間が不明であった.56件(67%)の症例報告では,アレルギーまたはアレルギー反応の既往歴が記録されていた(Table 2)(Figure).

 

 

Figure: Interval (minutes) from vaccine receipt to onset of anaphylaxis (A)* and nonanaphylaxis allergic reactions (B)† after receipt of Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine — Vaccine Adverse Events Reporting System, United States, December 14–23, 2020.

The figure is a histogram showing the interval (minutes) from vaccine receipt to onset of anaphylaxis (A) and nonanaphylaxis allergic reactions (B) after receipt of Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine, using data from the Vaccine Adverse Events Reporting System, in the United States, during December 14–23, 2020.

 

 

Table 1: Characteristics of reported cases of anaphylaxis (n = 21) after receipt of Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine — Vaccine Adverse Events Reporting System (VAERS), United States, December 14–23, 2020.

 

Table 2: Characteristics of patients with report of anaphylaxis and nonanaphylaxis allergic reactions after receipt of Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine — Vaccine Adverse Events Reporting System (VAERS), United States, December 14–23, 2020.

 

Discussion

・接種者の性別の記録によるとワクチン接種の64%は女性であったが,Pfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチン接種後に報告されたアナフィラキシー症例のほとんど(90%)は女性に発生した.過去のインフルエンザ AH1N1)ワクチン後の即時型過敏症に関して女性が優位であったとVAERSに報告されているが(8),今回の所見は,分析期間中にPfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンを初回接種したのは女性の方が男性よりも多かったことが影響している可能性がある.

・本報告書の所見には少なくとも4つの限界がある.第一に,アナフィラキシーおよび非アナフィラキシーのアレルギー反応症例報告は,VAERSへの自発的報告に基づく受動的サーベイランスによって収集されている.自発的報告は報告バイアス(過少報告を含む)の影響を受けるが,臨床的に重篤な有害事象に対するVAERSへの報告効率は高いと考えられている(9).第二に,潜在的な安全性の懸念に対する一般市民や医療従事者の意識の高まりに関連した刺激的な報告から生じる可能性がある.第三に,データの遅れやワクチン投与の不完全な報告により,分子(アナフィラキシー症例)に対する分母(投与回数)が過小評価される可能性がある.最後に,Pfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンへの注目度は,製品の入手時期と投与量の関数である.1週間後に入手可能になったModernaワクチンのデータは限られていた.

CDCは,mRNA COVID-19ワクチンの使用とアナフィラキシーの管理に関するガイダンスを提供している(4,5).具体的には,接種場所では,@アナフィラキシー管理のために必要な物資,特に十分な量のエピネフリンを準備すること,A可能性のあるワクチン接種者をスクリーニングし,禁忌や注意事項を持つ人を特定すること,B 患者のアレルギー反応の既往歴に応じて,推奨される接種後の観察時間を15分または30分に設定すること,C医療従事者がアナフィラキシーの兆候や症状を早期に認識できるようにすること,Dアナフィラキシーが疑われる場合は直ちにエピネフリンを筋肉内投与すること; アナフィラキシーは急性で生命を脅かす性質を持っているため,エピネフリン投与に禁忌はない.アナフィラキシーを起こした患者は,適切な医療を受けられる施設に搬送されるべきである.観察期間が終了し,接種場所を離れた後にアレルギー反応の兆候や症状が現れた場合は,直ちに医療機関を受診するように患者に指示すべきである.医療提供者は,予防接種後の有害事象を認識し,VAERShttps://vaers.hhs.gov/reportevent.htmll)に報告することで,ワクチンの安全性において重要な役割を果たすことができる.

 

 

* https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/clinical-care/late-sequelae.html.

Anaphylaxis and nonanaphylaxis allergic reaction cases with symptom onset occurring later than the day after vaccination (i.e., outside of the 0–1-day risk window) were excluded because of the difficulty in clearly attributing allergic reactions with onset outside this risk window to vaccination. Three of the initial 86 nonanaphylaxis allergic reactions were excluded from the final analysis.

§ Based on the Code of Federal Regulations, a serious adverse event is defined if one of the following is reported: death, life-threatening illness, hospitalization or prolongation of hospitalization, permanent disability, congenital anomaly, or birth defect.

https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/cfrsearch.cfm?fr=312.32.

https://www.aaaai.org/about-aaaai/newsroom/allergy-statistics.

 

References

1) Oliver SE, Gargano JW, Marin M, et al. The Advisory Committee on Immunization Practices’ interim recommendation for use of Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine—United States, December 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1922–4.

2) Dooling K, McClung N, Chamberland M, et al. The Advisory Committee on Immunization Practices’ interim recommendation for allocating initial supplies of COVID-19 vaccine—United States, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1857–9.

3) McNeil MM, DeStefano F. Vaccine-associated hypersensitivity. J Allergy Clin Immunol 2018;141:463–72.

4) CDC. COVID-19 vaccination: clinical considerations. Interim clinical considerations for use of mRNA COVID-19 vaccines currently authorized in the United States. Atlanta, GA: US Department of Health and Human Services, CDC; 2020.

https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/info-by-product/clinical-considerations.html.

5) CDC. COVID-19 vaccination: clinical considerations. Interim considerations: preparing for the potential management of anaphylaxis after COVID-19 vaccination. Atlanta, GA: US Department of Health and Human Services, CDC; 2020.

https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/info-by-product/pfizer/anaphylaxis-management.html.

6) Shimabukuro TT, Nguyen M, Martin D, DeStefano F. Safety monitoring in the Vaccine Adverse Event Reporting System (VAERS). Vaccine 2015;33:4398–405.

7) Rüggeberg JU, Gold MS, Bayas JM, et al.; Brighton Collaboration Anaphylaxis Working Group. Anaphylaxis: case definition and guidelines for data collection, analysis, and presentation of immunization safety data. Vaccine 2007;25:5675–84.

8) Halsey NA, Griffioen M, Dreskin SC, et al.; Hypersensitivity Working Group of the Clinical Immunization Safety Assessment Network. Immediate hypersensitivity reactions following monovalent 2009 pandemic influenza A (H1N1) vaccines: reports to VAERS. Vaccine 2013;31:6107–12.

9) Rosenthal S, Chen R. The reporting sensitivities of two passive surveillance systems for vaccine adverse events. Am J Public Health 1995;85:1706–9.

10) Rossen LM, Branum AM, Ahmad FB, Sutton P, Anderson RN. Excess deaths associated with COVID-19, by age and race and ethnicity—United States, January 26–October 3, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1522–7.