COVID-19関連追加(2021111-2)感染力の持続期間

418日ファイル再掲とその「修正報告」.

★当院HP関連ファイル:

2020418

COVID-19のウイルス排出と伝播能力の経時的動態】

He Xi, et al. Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat Med. 2020 April 15.

https://doi.org/10.1038/s41591-020-0869-5.

Figure 1: Transmission of infectious diseases.

咽頭スワブ検体のウイルス量は発症時に最も多い.世代間隔は5.8日(95% CI 4.8, 6.8日),中央値5.2日(95% CI 4.1, 6.4日)と算出される.潜伏期間が平均5.2日とすると,感染性は発症前2.3日(95% CI 0.8, 3.0日)から獲得され,発症前0.7日(95% CI 0.8, 3.0日)がピークになると考えられる(Figure 1c

前症状感染伝播の推定比率は44%(95% CI 25, 69%であり,感染性は7日以内に急速に減少していくと推測される

 

Figure 2: Temporal patterns of viral shedding.

症状発症後にすぐに高いウイルス量が認められ,21で検出以下に減少していく(Figure 2.これは性別,年齢,重症度で明らかに差は認めなかった

 

 

 

 

 

 

【著者らによるその修正】

He, X., Lau, E.H.Y., Wu, P. et al. Author Correction: Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat Med 26, 1491–1493 (2020).

Published Aug 7, 2020.

https://doi.org/10.1038/s41591-020-1016-z.

ETH ZurichPeter AshcroftSebastian Bonhoefferらは,我々のオリジナル・コードの構文エラー(syntactical error),特に、我々が最初に指定した尤度が,最も負の世代間隔をもつ感染伝播ペアの確率をゼロにしてしまうということについて、非常に親切に警告した.彼らの指摘に従って,我々はまた,指標症例の発症日における不確実性を考慮して尤度に正規化係数(normalization factor)を適用した.しかし,一様分布(uniform distribution)を仮定すると,尤度は乗算係数(multiplicative constant)によってのみ異なり,同じ推定値が得られる.我々は,boostrap法を用いて95%信頼区間(CIs)を推定した.

そこで、感染性プロファイル(infectiousness profile)を再推定したところ(Figure 1c; 原文と修正版をここに示す),前症状感染伝播の割合は44%95%CI, 30-57%)であったが(原文のポイント推定値44%から変更なし),症状発現前12.3日(95%CI, 5.9-17日)(原文では2.3日)から感染性の獲得が始まり,症状発現時にピークを迎える(95%CI, 0.9-0.9日)(原文では−0.7日)ことがわかった.感染性獲得開始を症状発現前の5日目,8日目,11日目と仮定した修正した感度解析では,前症状感染伝播の比率は37-48%(原文では46-55%)と推定された(Extended Data Figure 1; 原文と修正版をここに掲載).

Figure 1cは,潜伏期間を約6日間と仮定した場合,感染性が実質的に上昇し始めたのは,症状発現前5-6日前,平均的な感染時期の前後のみであったことを示している(J.A. Backer, D. Klinkenberg & J. Wallinga, Eurosurveillance 25, 10-15; 2020).我々はさらに,感染伝播のわずか< 0.1%が症状発現7日前に発生し,1%5日前に発生し,9%3日前に発生することを観察したしたがって,接触追跡の観点からは,指標症例の最初の症状発現3日前までの濃厚接触を調査することが適切であるかもしれない.このように,前症状感染の拡大の割合と接触者追跡の対象となる時期についての結論は,再推定された感染性プロファイルを用いても変わらない

それゆえ,当初公開されたこの論文のバージョンでは,抄録第3文の括弧内の95%CIと,元本文第6段落の第3文の括弧内の95%CI25-69%)が正しくなかった.正しいCI30-57%である.その第6段落の第2文(「症状発現前2.3日(95%CI, 0.8-3.0日)から始まり,症状発現前0.7日(95%CI, 0.2-2.0日)でピークを迎えた」)の時間枠(および95CI値)が誤っていた。正しい時間枠(およびCI値)は,「症状発現前12.3日(95%CI, 5.9-17.0日)から始まり,症状発現時にピークを迎えた(95%CI, 0.9-0.9日)」である.その第2文の後に,次の文が含まれる: 「我々はさらに,感染伝播のわずか< 0.1%が症状発現7日前に発生し,1%5日前に発生し,9%3日前に発生することを観察した.」.

本文第7段落の値(「1日から7日まで」,「症状発現0-2日前」,「46%から55%」)は誤りである.正しい値は,「5811日目から」,「症状発現2日前から1日後まで」,「37%から48%」である.

本文第10段落の第1文の時間枠(「2日から3日」)は誤りであり,正しい時間枠は 「5日から6日 」である.

方法の項の「統計解析」の第4段落の冒頭に以下の文章を追加した: 「指標症例の症状発現日の不確実性を考慮するために正規化係数を追加することができる.一様分布を仮定すると,尤度は乗算定数によって異なるだけで,同じ推定値が得られる.」 また,段落の最後の文中の時間枠(「1日目から7日目まで」)が間違っており,正しい時間枠は 「5日目,8日目,11日目から 」である.

最後に,Figure 1cExtended Data Figure 1を適宜置き換え,Extended Data Figure 1レジェンド(「症状発現前1日(左上)から7日(右下)まで」)を言い換え,「症状発現前5日(上),8日(中),11日(下)から」として,修正されたFigureに合わせている.

 

 

Fig. 1c:

 

 

Extended Data Fig. 1:

 

 

 

 

 

 

COVID-19関連追加(2021111-2)感染力の持続期間

223日追記しました

NEJMIDSAから2編.

Covid-19入院患者における培養可能なSARS-CoV-2の持続期間】

Kim MC, et al. Duration of Culturable SARS-CoV-2 in Hospitalized Patients with Covid-19. Feb 18, 2021. N Engl J Med 2021; 384:671-673.

https://doi.org/10.1056/NEJMc2027040.

Covid-19の伝播性の持続期間と関連する感染力レベルは不明であった.我々は,Covid-19入院患者から得られた連続呼吸器サンプルでSARS-CoV-2を培養し,活性化ウイルス(viable virus)の排出期間を評価した.

ここに報告されたデータは,20202月〜6月において韓国ソウルのChung-Ang University Hospitalに入院していた,陽性リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査によって確認されたCovid-19患者によるものである.リアルタイムRT-PCR検査には,鼻咽頭および口咽頭サンプル用のAllplex 2019-nCoV AssaySeegene)を使用した1).少なくとも24時間開けて,リアルタイムRT-PCR2回連続して陰性または決定的でない結果が報告されるまで,患者は隔離された2)3).我々は,約2日間隔でサンプルを採取するように努めたが,これは常に可能ではなかった.ウイルスRNAは,SARS-CoV-2N遺伝子のCt値を用いて定量化した2)4).ウイルス培養は,少なくとも2つの連続した培養で増殖が見られなくなるまで,プラークアッセイを用いて行った.

我々は,”発症”から”培養におけるウイルスクリアランス”までの時間とリアルタイム RT-PCR検査におけるクリアランスまでの時間を比較した5).培養およびリアルタイムRT-PCRアッセイの詳細な方法および感度,ならびにウイルスクリアランスまでの時間の定義および推定については,NEJM.org で本レターの全文と一緒に入手可能なSupplementary Appendixに記載した.

Covid-19患者が合計21人登録された.患者の臨床的特徴は,Supplementary AppendixTable S1に示した.患者の年齢は中央値62歳で,患者の76%は男性であった.患者の71%に肺炎を認め,38%が補助酸素療法を受けていた.SOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment)中央値は 0score range 0-24; スコアが高いほど重度の臓器機能障害と死亡リスクが高い),APACHEIIスコア(Acute Physiology and Chronic Health EvaluationU)中央値は 5score range 0-24; スコアが高いほど重症疾患と死亡リスクが高い)であり,これらのスコアは軽症〜中等症疾患を示していた.1日〜5日の間隔(中央値は2日)で,合計165個のサンプルにリアルタイムRT-PCR検査を行った.これら165サンプルのうち89サンプルにおいてSARS-CoV-2培養検査を施行した.検査のタイミング,ウイルス量動態,および各患者の臨床経過をTable S2に示す.

培養検査を行った89サンプルのうち29サンプルでSARS-CoV-2が培養された(Figure 1).

 

Figure 1: Timing of Presence or Absence of Viable SARS-CoV-2 on Viral Culture and Cycle-Threshold Values for 165 Serial Samples Obtained from 21 Consecutive Patients Hospitalized with Covid-19.

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/2021/nejm_2021.384.issue-7/nejmc2027040/20210213/images/img_xlarge/nejmc2027040_f1.jpeg

 

培養検査を行った89サンプルのうち29サンプルでSARS-CoV-2が培養された(Figure 1).発症から培養におけるウイルスクリアランスまでの期間の中央値は7日(95%CI, 5-10日),発症からリアルタイムRT-PCRにおけるウイルス クリアランスまでの期間の中央値は34日(95%CIの下限,24日)であった(Figure S1, Table S4).最後のウイルス培養陽性結果は,発症から12日後であった(患者6).活性化ウイルスは,発熱改善3日後までに同定された(患者14).ウイルス培養が陽性となったのは,Ct値が28.4以下のサンプルのみであった.発症からの時間が長くなり,そしてCt値が高くなるにつれて,培養陽性率は低下した(Table S3).

我々の知見は,Covid-19患者の隔離期間の指針となり,また接触者追跡の濃厚接触者における二次感染伝播リスクを推定する上で有用であるかもしれない.サンプルサイズが小さいこと,サンプリングのタイミングに一貫性がないこと,および登録された患者が相対的に軽症であったことを考えると,我々の結果は,より大規模で多様性のある患者群で検証されるべきである.

 

 

References

1) Allplex 2019-nCoV assay: instructions for use. Seoul, South Korea: Seegene, 2020. (Cat. no. RP10250X/RP10252W.)

2) Response guidelines to prevent the spread of COVID-19. 8-1 Ed. Korea Disease Control and Prevention Agency, May 20, 2020. (In Korean) (http://ncov.mohw.go.kr.)

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4) He X, Lau EHY, Wu P, et al. Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat Med 2020;26:672-675.

5) Reich NG, Lessler J, Cummings DAT, Brookmeyer R. Estimating incubation period distributions with coarse data. Stat Med 2009;28:2769-2784.

 

 

 

 

 

3人の免疫不全患者におけるSARS-CoV-2の長期感染:

ウイルス排出の長期化からSARS-CoV-2の重複感染まで】

当院関連HPファイル:

20201110

Tarhini H, et al.

Long term SARS-CoV-2 infectiousness among three immunocompromised patients: from prolonged viral shedding to SARS-CoV-2 superinfection. The Journal of Infectious Diseases, jiab075, Published Feb 8, 2021.

https://doi.org/10.1093/infdis/jiab075.

Abstract

COVID-19患者の隔離中止に関するガイドラインは,主に症状に応じて1020日間の隔離が行われている.ここでは,それぞれ異なる臨床経過をたどった3人の高度免疫不全患者について述べる.無症状キャリア,症状の消失,または第2SARS-CoV-2株への重複感染が観察されたが,いずれも感染性ウイルス排出は数ヶ月間にわたって長期化していた.我々は,患者の疫学的,臨床的,血清学的データ,ウイルス培養を用いた感染性,ウイルス変異の蓄積を経時的に追跡した.長期化した感染症のメカニズムと頻度を理解することは,現在のガイドラインを適応させ,免疫不全集団での隔離を解除する前に系統的なPCR検査の使用を強化するために極めて重要である.

Introduction

CDCは,軽症〜中等度の臨床症状を呈していたが,少なくとも24時間以降に発熱がなく,他の症状が改善しているCOVID-19患者に対しては,10日間の隔離期間を推奨している.この期間は,重症感染または/そして重度の免疫抑制がある患者に対しては最大20日間まで延長される.SARS-CoV2RT-PCR検査が陰性であることは必須ではないが,免疫不全患者では隔離を解除する前に推奨されている[1].フランスにおける入院患者では,隔離期間は発症後から少なくとも14日間,そして症状消失後から48時間とされている.この期間は重症感染あるいは免疫不全患者では24日間まで延長される[2]。いくつかの研究では,ウイルス培養検査は行われていないが,5%未満の入院患者が発症後15日を超えてRT-PCR陽性が長期化したことが報告されている[3].しかし最近では,高ウイルス量を伴う感染性ウイルス排出が,長期間にわたる症例(35日,70日,119[4-6])が報告されている.

ここでは,それぞれが異なる臨床経過を示した高度免疫不全患者3人について報告する.いずれも感染性ウイルス排出は数ヶ月間にわたって長期化していた.我々は,患者の疫学的,臨床的,血清学的データ,ウイルス培養を用いた感染性,ウイルス変異の蓄積を経時的に追跡した.

 

 

Methods

SARS-CoV-2 PCR:

呼吸器サンプルは,Cobas® SARS-CoV-2(スイス,ロシュ)[7]またはNeumoDX®(ドイツ,QIAgen)を用いて、IP2 Institute PasteurおよびWHO E遺伝子プライマー[8]を用いて検査した.E遺伝子 Ct値をウイルス量の代理として使用した.

Antibody testing:

SARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)およびスパイク(SIgGは,chemiluminescent microparticle immunoassayArchitect, Abbott, USA)およびELISA assayEuroImmun, Lubeck, Germany)を用いて,それぞれ検出した.

Viral culture:

Vero E6細胞(ATCC, reference R CRL-1586)を,10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS, GibcoTM)を添加したDulbecco's modified Eagle's mediumDMEM, GibcoTM)において,37℃でCO2 5%で培養した.DMEM 800μLと混合した呼吸サンプルウイルス輸送培地200μLをろ過し,FBS 4%DMEM 500μLに添加する前に,1.105細胞を含む12-wells plates1時間播種した.6日間の培養後,細胞の上清における細胞変性効果(CPE: cytopathogenic effect)の評価およびRT-PCRによる定量を行い,新たなビリオン産生を評価した.細胞感度(cell sensitivity)を確保するためのポジティブコントロールとして過去に培養されたSARS-CoV-2株を系統的に添加した.

Viral whole-genome sequencing:

主要臨床サンプルからフルゲノムウイルスシーケンスを実施した.ライブラリは,NEBNext Companion Module for Oxford Nanopore Technologies, Ligation Sequencing (SQK-LSK 109)を用いて調製し、MinION R9.4.1フローセルを用いてシーケンスした.得られた配列はすべてGISAIDEPI_ISL_833191EPI_ISL_833200)に寄託されている.

Viral genomes analysis:

リードはNanofiltNanostat pythonスクリプト[9]を用いてフィルタリングした.リファレンスゲノムであるWuhan Hu-1Genbank ID NC_045512.2)上にminimap2を用いてマッピングした,アライメントカバレッジ,深度,全体的な品質は,Rスクリプトを用いて評価した.変異の呼び出しはbcftools suiteを用いて行い,Rスクリプトを用いて各サンプルにおける各変異の割合を検索した.最後に,患者3については、同じアンプリコンタイル上に位置する変異を,Rを用いて回収し,それらの連結性を評価した.

Results

患者1:

66歳のアフリカ系男性が,202064日に自律神経失調,錯乱の主訴のため入院した.HIV-1感染症(HIV-1血漿ウイルス量は275,000 copies/mLCD4細胞数は0mm3CD19細胞数は60mm3と減少)および,JCウイルスのCSF PCR陽性と画像所見より進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy)と診断された.SARS-CoV-2を含むCSF中の他のウイルスPCRはすべて陰性であった.鼻腔PCR陽性(Ct 22)と典型的な胸部CT所見でSARS-CoV-2感染と診断された.効果的な多剤抗レトロウイルス療法にもかかわらず,この患者はCSFJCウイルスPCR陽性が持続し,CD4細胞数の増加は認められず,神経所見は進行性に増悪し,3ヶ月後は疼痛刺激のみの反応であった(Glasgow coma scale= 8).

入院中,患者は呼吸困難や呼吸器症状は認めず,COVID-19病変の増加を示した.111日目まで,鼻腔PCRは常に陽性(Ct1525)であった.43日目および95日目に行われたウイルス培養は陽性であった(Figure 1A).はじめてSARS-CoV-2 PCRが陰性になったのは124日目に得られたサンプルであった.SARS-CoV-2血清学的検査(抗体)は常に陰性のままであった.75日目までに4回得られた配列では,一時的なC23718T変異の出現以外はどんな変異も認めなかった(Figure 1).ウイルス株は14変異においてWuhan参照株とは異なっていた.

患者2:

415日,免疫抑制療法(プレドニゾン,ミコフェノール酸,ベラタセプト)を受けている心臓移植後の71歳の欧州人男性患者が,無力症(asthenia),乾性咳嗽,筋肉痛,微熱を1週間認めたため入院した.彼は,糖尿病と慢性腎臓病(GFR 35mL/min)を併発した.入院中は呼吸困難を認めず,補助酸素療法も受けなかった.入院時および14日目の鼻腔スワブ検査ではSARS-CoV-2陽性であり,CTスキャンではCOVID-19病変は最小限(10%未満)であった.32日目のPCRは持続して陽性(Ct21)であったにもかかわらず,臨床的に改善したため,39日目に退院した.

初発から76日後の623日,患者は,乾性咳嗽,呼吸困難を認め,補助酸素療法が必要であった.呼吸器感染を契機に心不全を発症したため,集中治療室に入院した.CTスキャンでは,COVID-19病変の増悪(40%)を認めた.CD4< 200mm3CD19< 20mm3とリンパ球減少症を呈していた.再入院時(78日目)に採取した気管支肺胞洗浄液および鼻腔サンプルはSARS-CoV-2陽性であった(Ct値はそれぞれ3324).入院中,複数回の SARS-CoV-2 PCRとウイルス培養が行われた(Figure 1).ウイルス培養は103日目に採取した鼻腔サンプルで陽性であった.最後の鼻腔スワブのSARS-CoV-2 RT-PCRが陽性であったのは120日目であった.この患者の血清学的検査(抗体)は疾患経過の間ずっと陰性であった.2回目のエピソードにおける新たな感染の可能性を評価するために,1回目のエピソードからウイルス配列は得ることはできなかった.80日目,91日目,および103日目の80 日目、91 日目、および 103 日目の配列から,この2ヶ月間における最小限の進化が認められた(Figure 1).

患者3:

428日,リツキシマブ投与中(CD19+細胞数0/mm3Bリンパ球減少症)のチュニジアの35歳の関節リウマチ患者が発熱,咳嗽,軽度の呼吸困難を呈して来院した.鼻腔スワブにてSARS-CoV-2 PCR陽性(Ct21),CTスキャンによるCOVID-19病変(25%の広がり)が認められた.補助酸素療法は必要なく,3日目に退院した.49日目に持続性咳嗽,労作性呼吸困難,間欠的発熱のため再来院した.CTスキャンではCOVID-19病変の異なる分布が認められた.51日目に採取した鼻腔スワブのSARS-CoV-2 PCRは陰性であったが,56日目に行った気管支肺胞洗浄液では陽性であった(Ct25).特徴的な画像所見,そして細菌検査が陰性かつ抗菌薬の反応がないことから,post-COVID器質化肺炎と診断した.66日目からコルチコステロイド治療を開始し,一週間投与したところ臨床的に有意な改善がみられた.73日目に発熱,咳嗽が再発し,炎症性マーカーの上昇(CRP 125mg/L)を認めたが,4週間以内に徐々に改善した.84日目に採取した鼻腔スワブのRT-PCRは陽性(Ct19)であり,ウイルス培養も陽性であった.104日目のSARS-CoV-2 PCRは陰性であった.患者の血清学的検査(抗体)は,121日目まで陰性であった.

SARS-CoV-2の全ゲノムが,2日目の鼻腔スワブ,73日目の下気道サンプル,症状再発後である84日目の鼻腔スワブから得られた.2日目の68%の頻度で検出されたC5147T変異を除いて,2日目と73日目の塩基配列は類似していた(Figure 1).84日目には,70%に近い頻度で7つの変異が検出された密接した変異の2組が同じPCRタイルに存在していたこれらのペアの変異は強く関連しており,すなわち,タイルアンプリコンの約99%には変異がないか,または両方の変異が含まれていた(Table 1これは73日目の症状再燃に関連した7つの変異を有する第2のウイルス株による重複感染を示唆している

 

 

Figure 1: Virological follow up of the three patients.

 

 

Table 1: Main characteristics of the three patients presenting prolonged infectious viral shedding.

 

Discussion

本研究では,3人の重症免疫不全COVID-19患者が発症後4ヶ月まで感染性ウイルスを排出したことを報告し,長期にわたる感染性(long-term infectiousness)につながるさまざまな状況を示した.したがって,高度免疫不全集団における注意ならびにウイルス学的管理の必要性を強調する.

患者1は,123日間における高ウイルス量と定期的な培養陽性を示す一つの連続感染を呈していた.長期にわたるウイルス複製,呼吸器症状の欠如,変異選択(mutation-selection)の欠如は,この患者の完全な免疫抑制によって認められた.患者2は,121日間RT-PCRが陽性であり,103日目(再入院27日後)にウイルス培養陽性を呈した.残念ながら,再感染の可能性を除外するための,最初の入院中におけるウイルスゲノムの塩基配列を同定することはできなかった.患者3COVID-19症状が急速に消失した後,下気道におけるウイルス複製がまだ活発であるpost-COVID器質化肺炎を呈した.2回目の入院から32日後である84日目に,症状の再発,高ウイルス量,ウイルス培養陽性,7つの新しい変異を伴う重複感染の可能性があると考えられた(Figure 1も参照).これらの変異が,前回のシーケンスから11日間において生じたとは考えにくい.特にSARS-CoV-21年あたり1塩基に1.10-3回の変異があると推定されており(1ヶ月に23変異),他の2人の免疫不全患者では長期間に渡って選択された変異の数が非常に少ないことが強調されるこれらの7つの新しい変異は,100%の頻度では決して存在しなかったさらに,これらの変異のうち2組については,強い関連性が観察されたこのことは,症状の再発とともに,2つのウイルス株が共存している可能性のある重複感染の仮説を補強している.自宅にいない状態の患者(The patient homeless condition)は52日目まで複数回曝露したが,73日目に症状が再発したことから院内感染が示唆された.感染源を探るために,他の患者や病棟の医療従事者からのシーケンスデータを探索することはできなかった.入院期間中の隔離対策は維持され,観察されていた.

以前,100日以上にわたる長期のウイルス排出が認められたB細胞免疫不全症を呈する患者2例が報告されている[4,10].興味深いことに、我々の患者はすべて非常にCD19が枯渇していた.このような集団でのウイルス排出を減少させるために回復期血漿の使用が評価される可能性がある.我々の患者では検討できなかったT細胞免疫も,ウイルス排出の長期化に役割を果たしているかもしれない.いくつかの観察研究では,最初に検出されてから100日後にSARS-CoV-2 RT-PCRが陽性であった患者が確認されている[11,12].しかし,”再感染”と”ウイルス排出の長期化”における鑑別は確立されていない.さらに,これらの研究では,我々のようにウイルス培養を用いて患者の感染性を追跡していない.SARS-CoV-2の再感染は各国で発表されているが[13-15],第2SARS-CoV-2株による重複感染はこれまでに報告されていない.

Conclusions

呼吸器症状を伴わない(患者1: 43日目および95日目の鼻腔スワブのウイルス培養は陽性),遅発性の症状再発(late symptom relapse)(患者2: 103日目の鼻腔スワブのウイルス培養は陽性),またはSARS-CoV-2重複感染(患者3: 84日目の鼻腔スワブのウイルス培養は陽性)の免疫不全患者を提示し,これらは長期にわたるウイルス排出に大きな役割を果たしていることを報告した.長期にわたるウイルスの感染性の頻度と動態をよりよく理解するためには,さらなる研究が必要である.その間,ガイドラインでは,免疫不全患者の隔離を解除する前に,ウイルス培養やCt値測定(低Ct値)を用いたウイルス学的な感染性評価を推奨すべきである.

 

References

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