COVID-19関連追加(2021130日)接触時間の再考

★当院関連ファイル: 20201022日(米国CDC濃厚接触の定義変更)

【ナショナルフットボールリーグ(NFL)における緩和措置,検査,接触追跡】

Mack CD, Wasserman EB, Perrine CG, et al. Implementation and Evolution of Mitigation Measures, Testing, and Contact Tracing in the National Football League, August 9–November 21, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:130–135. DOI: http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7004e2.

The figure shows text describing that during the 2020 NFL season, safety protocols helped limit spread of COVID-19.

ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)とNFLプレイヤーズ・アソシエーション(NFLPA)は,施設内や移動および試合の間に大規模な緩和対策とサーベイランスを実施し,2020年のフットボールシーズンを7月から開始した.緩和プロトコル*は,ルーチンのSARS-CoV-2の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査; proximity devices; 詳細な聞き取り調査から得られたデータに基づいて評価・修正された.シーズン半ばには,累積接触時間が15分未満であった者に感染伝播が観察され,近接性と接触時間に加えて,マスクの着用,環境,部屋の換気を考慮する必要があるリスクが高い接触の定義の改訂につながった.またNFLは,NFLクラブで症例が確認された場合には,より厳格な感染予防措置を課す集中プロトコルを策定した.集中プロトコルでは,リスクが高い接触の発生を効果的に抑制し,集中プロトコルの下で追跡されたクラブでは,追跡症例の71%でリスクが高い接触は確認されなかった.近接性と時間を考慮することに加えて,マスクの着用,屋内・外の環境,換気を含む接触の性質および場所を結合させることで,SARS-CoV-2感染リスクが高い曝露者の同定が改善されたと考えられる.これらの人の隔離は,検査と集中プロトコルとともに,感染の拡大を減らすことができる.

モニタリング期間中(89日〜1121日)に,選手とスタッフ約11,400人に対してRT-PCR検査623,000件が実施され,COVID-19症例が329人(約2.9%)確認された.8月と9月初旬のintake screening¶ を行った後の7週間は,1週間に確認されたCOVID-19症例は10人未満であった(Figure).この間は,フィジカルディスタンス,マスキング,特定の場所での人数制限,その他の重要な行動や施設に関連するパラメータを重視した標準プロトコルが有効であった.しかし,927日〜1010日までに,選手とスタッフにおいて症例が合計41確認され,そのうち21人は1つのクラブ内における感染伝播によるものと考えられ,そのクラブ施設の閉鎖が必要となった.その後の接触追跡調査では,1.8メートル(6フィート)以内累積接触時間が15分未満で発生した可能性が高い複数の症例が確認された.クラブ内での感染伝播が疑われた21人のうち,12人はCOVID-19確定症例と連続した15分以上の接触はデバイスに記録されていなかった; 8人は連続して5分を超える接触はなく7人は1日あたりの累積15分を超える接触がなかったCOVID-19確定症例に対する他の既知の曝露はない)インタビューの結果,発生した短時間の接触において,いくつかは小さい部屋で,マスク着用することなく,ミーティングあるいは食事をしていたことが明らかになった.この1つのクラブの感染伝播グループ内でCOVID-19に感染した者は,陽性と判明する前,”曝露後の数日間”(すなわち,クラブ活動が中止された後)は,検査は陰性であった.

Figure: Laboratory-confirmed* COVID-19 cases (N = 329) and mitigation strategies† implemented — National Football League, United States, August 9–November 21, 2020.

* Reverse-transcription PCR tests were processed on two platforms (Roche Cobas and ThermoFisher QuantStudio) and transcription-mediated amplification on one platform (Hologic Panther Aptima).

Twenty-nine clubs spent 431 days under the intensive protocol beginning October 1; 189 high-risk contacts of 215 cases were identified and subsequently quarantined beginning October 15.

The figure shows text describing that during the 2020 NFL season, safety protocols helped limit spread of COVID-19.

 

 

このクラスター事例の後に,リーグ全体でいくつかの変更が実施された.1番目の変更点は,検査結果が陽性であった場合,クラブが7日間の集中プロトコルに移行することであった; 集中プロトコルでは,感染拡散を緩和するためにクラブ全体にさらなる制限が課せられた(Table 1).集中プロトコルは,施設にアクセスできる選手やスタッフがCOVID-19に感染した場合,または試合当日の検査(game-day test)で翌日に陽性反応が出た相手選手のいるチームと試合を行った場合に、どのクラブに対しても実施された.101日〜1121日までに,32クラブのうち29クラブが431日間,集中プロトコル下に置かれた.この間,1クラブ内で1日あたり,1.8メートル(6フィート)未満で連続して15分以上連続した施設内接触数の中央値は60から24へと60%減少し,2分以上連続した接触は1,691から1,222へと28%減少した2番目の変更点は,検査頻度を週6日から7日に増やしたことである3番目のリーグ全体の変更点は,4つの主要な要素から構成されているリスクの高い接触者の特定に焦点を当てた接触者追跡と感染リスク評価の拡大である.これらは,持続曝露時間と人同士の特定の距離を考慮することに加えて,フェイスマスクの使用の評価(例えば,医療用マスク vs 布製フェイスカバー,感染者と接触者における適切なマスクの使用、飲食のためのマスクの取り外し),環境と換気(例えば,屋外,大容量の屋内空間,小容量の屋内空間,交通機関)であった**拡大された接触者追跡では,曝露の完全な状況についての聞き取りと,各接触のリスクレベルについての医療専門家の評価とともに,施設外の者も含め,過去48時間以内にCOVID-19が確定した人に対するクラブ関連のすべての接触が対象とされた2つ以上の要素が関与する接触については,リスクが高い接触者を指定するために,医療専門家による見解(concern)が必要であった; マスクの使用と屋外環境は保護的であると考えられた.例えば,部分的にマスクを着用した短時間の車の運転は高リスクと考えられたが,適切にマスクを着用し,換気の良い環境(例えば,屋外)での長時間の接触(15分を超える)は高リスクとは考えられなかった.接触者追跡インタビューおよび接触が高リスクかどうかの判定は,通常は,検査結果が陽性と判明してから18時間以内で完了したCOVID-19患者のすべての接触者には,接触時間にかかわらず,高リスクかどうかの判定が完了するまでクラブ施設に立ち入らないよう指示された.家庭内同居者の検査結果が陽性であった場合も,高リスクの接触者に指定することができた(3); 家庭内同居者における症例の自己申告が必要となった.高リスク接触者に対する強制的な最低隔離期間は曝露後5日間でCDCのガイダンスで推奨されている期間よりも短くなっている(4); これは,24時間以内に結果がでる(<24-hour turnaroundRT-PCR検査を毎日行うことができるため,許容できると考えられる.隔離が終了した後も,高リスク接触者は毎日の検査と症状モニタリングが継続され,隔離後に陽性の検査結果を得た人を迅速に特定して隔離することができた.

 

 

※(4)について: Updated Dec 2, 2020. Options to Reduce Quarantine for Contacts of Persons with SARS-CoV-2 Infection Using Symptom Monitoring and Diagnostic Testing.

地方の公衆衛生当局は,その管轄区域の検疫オプションを決定し,確立する.CDCは現在,14日間の検疫期間を推奨している.しかし,地域の状況とリソースに基づいて,検疫を短縮するための以下のオプションが許容可能な代替手段となる.

検疫は10日目以降に検査を行わず,そして毎日のモニタリングで症状が報告されなければ終了することができる.

この方法では,検疫後の残留感染伝播リスクは約1%,上限は約10%と推定されている

●診断検査リソースが十分で利用可能な場合,診断検体が陰性であり,毎日のモニタリングにおいて症状が報告されなかった場合は,7日目以降に検疫を終了することができる.検体は,検疫中止予定時間の48時間前(例えば,検査の遅れを予想して)に採取して検査されるかもしれないが,検疫を7日目以降よりも早く中止することはできない.

この方法では,検疫後の残留感染伝播リスクは約5%,上限は約12%と推測されている

 

いずれの場合も,追加の基準(例えば,14日目までの継続的な症状モニタリングとマスキング)を満たさなければならない.

 

Table 1: Summary of standard and intensive COVID-19 mitigation protocols — National Football League/National Football League Players Association, United States, August–November 2020.

 

 

 

1015日〜1121日において,NFLの選手とスタッフの合計189が,COVID-19確定症例215人の高リスク接触者として同定され,その後隔離された.このうち,12クラブの20人(11%)が陽性反応を示しました(曝露からRT-PCR検体採取までの間隔の平均値と中央値= 5[range= 1-9])(Table 2これら20人のうち7人は5日間の隔離の解除後に検査結果が陽性となった; しかし,毎日検査を続け,厳格な緩和措置を遵守していたため,これらの人たちの間ではクラブ内における二次感染伝播は同定されなかった.自宅以外の場所で曝露した人のうち,すべての人が部分的または全くマスクを使用していないと報告しており,曝露の大部分はNFL環境以外の場所で起こっていた(例えば,乗り物の共有やレストランでの食事).検査結果が陽性となった時点ですでに集中プロトコル管理下にあったクラブにおいて追跡された107人のうち,76人(71%)は高リスクの接触者とは同定されなかった.

Table 2: Characteristics of high-risk interactions* between persons who were identified as high-risk contacts of a COVID-19 patient, quarantined, and subsequently received a positive SARS-CoV-2 test result (N = 20) — National Football League (NFL), United States, October 15–November 21, 2020.

 

 

 

Discussion

サーベイランスデータのリアルタイム評価とNFLクラブ内でのCOVID-19感染伝播イベントへの対応は,NFL-NFLPACOVID-19プロトコルの重要な変更につながった.COVID-19に曝露したクラブに対しては7日間の集中プロトコルを義務的に実施し,リスクの高い接触者に対する5日間の隔離,そして毎日のRT-PCR検査を実施することで,曝露を効果的に減らし,早期に症例を特定することができた.毎日の検査では,即時ではないにせよ、曝露後の隔離を必要とするような感染を早期に特定することができた(5); 高頻度の検査によって,リアルタイムプログラムが発展した.

これまでのところ,濃厚接触者の定義には限界がある.バーモント州の更生施設での調査では,合計15分を超える累積的な短時間接触が感染伝播につながることが確認されている(6)しかし,接触者追跡調査でクラブ内感染伝播の可能性があることが示されたNFLの感染者21人のうち,7は,wearable proximity devicesによるとCOVID-19感染者から1.8メートル(6フィート)以内の接触が1日あたりの累積時間15分を超えていなかった.この発見は,曝露時間と近接性に加えて,マスクの使用と環境の確認を含む高リスク接触の定義を改訂することにつながった.

proximity devicesは高リスクの可能性のある接触についての詳細な情報を提供したが,高リスクの行動を特定し,曝露者隔離を可能にするためには,このデバイスのデータを超えた迅速で詳細な接触者追跡が必要であった.その後にCOVID-19と診断されたすべての高リスク接触者は,少なくとも部分的にはインタビューで得られた情報から同定された.以前に報告されたように.屋内におけるマスク着用しない活動,乗り物の共有,密接した飲食は特に危険であった(7)

このような環境のために設計された集中プロトコルを,曝露がわかっている施設に適用することは,効果的な緩和対策となった.NFLクラブの中には,義務期間を超えて集中プロトコルによる制限を維持することを選択したクラブもある; 集中プロトコルの実施と完了は,”対策の緩み”を惹起させない重要な動機付けとなる(8).曝露者を隔離し,リスクが増加している時期に全雇用者がより制限的なプロトコルに移行できるようにすることは,長期療養施設,学校,占有率が高い環境などにも拡大できる介入である(9).隔離された高リスク接触者20人のうち7人は,5日間の隔離が終了するまで検査結果が陽性とならなかったため,集中プロトコルはSARS-CoV-2感染伝播を防ぐ上で重要であったと考えられる.毎日の検査を行わないシナリオでは,隔離と集中プロトコルのどちらの実施期間も延長する必要があるかもしれない.集中プロトコルによる制限は,それぞれの環境に合わせて調整することができ,最低でも,より広範なマスキングと屋外会場の使用,そしてアクセス,空間の容量,対面ミーティング,食事における交流をさらに制限することが含まれる.

10月と11月にNFLクラブで確認された症例の増加は,この時期の米国での発生率の増加を反映している(10).これらの感染は主に地域社会への曝露に関連し,接触者追跡調査に基づいており,そして家庭内曝露後にCOVID-19に感染した人の割合が高かったことが例示されている.集中プロトコルと高リスク接触者の指定は,主に業務上の曝露を防止することを目的としていたが,雇用者は家庭内および地域社会での曝露によるリスクについて定期的に教育を受けていた.集中プロトコルの実施により,この間に全国でCOVID-19の地域社会における曝露が増加したにもかかわらず、施設内での曝露は減少した.

Limitation: @wearable deviceの測定基準はアドヒアランスに依存しており,個人レベルのコンプライアンスは不明である.A高リスク接触者の同定はインタビューに基づいており,リコールおよび報告バイアスがある.B感染源と感染伝播日は確認できない.

Conclusions

NFLにおけるCOVID-19感染伝播は,連続または累積接触時間が15分未満でも確認され,環境変化に焦点を当てた集中プロトコルの実施,個人の保護の強化,そして乗り物の共有および同じ部屋/共有スペースでの食事などのリスクの高い接触の回避,高リスク接触の指定を組み込むための接触者追跡の構成要素の拡大により,感染伝播が減少した.

 

 

References

1) DiFiori JP, Green G, Meeuwisse W, Putukian M, Solomon GS, Sills A. Return to sport for North American professional sport leagues in the context of COVID-19. Br J Sports Med 2020.

2) Hoppe MW, Baumgart C, Polglaze T, Freiwald J. Validity and reliability of GPS and LPS for measuring distances covered and sprint mechanical properties in team sports. PLoS One 2018;13:e0192708.

3) Grijalva CG, Rolfes MA, Zhu Y, et al. Transmission of SARS-COV-2 infections in households—Tennessee and Wisconsin, April–September 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1631–4.

4) CDC. COVID-19: Options to reduce quarantine for contacts of persons with SARS-CoV-2 infection using symptom monitoring and diagnostic testing. Atlanta, GA: US Department of Health and Human Services, CDC; 2020.

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/more/scientific-brief-options-to-reduce-quarantine.html.

5) Sethuraman N, Jeremiah SS, Ryo A. Interpreting diagnostic tests for SARS-CoV-2. JAMA 2020;323:2249–51.

6) Pringle JC, Leikauskas J, Ransom-Kelley S, et al. COVID-19 in a correctional facility employee following multiple brief exposures to persons with COVID-19—Vermont, July–August 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1569–70.

7) Fisher KA, Tenforde MW, Feldstein LR, et al.; IVY Network Investigators; CDC COVID-19 Response Team. Community and close contact exposures associated with COVID-19 among symptomatic adults ≥18 years in 11 outpatient health care facilities—United States, July 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1258–64.

8) Neal ZP, Neal JW. Network analysis in community psychology: looking back, looking forward. Am J Community Psychol 2017;60:279–95.

9) Hatfield KM, Reddy SC, Forsberg K, et al. Facility-wide testing for SARS-CoV-2 in nursing homes—seven U.S. jurisdictions, March–June 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1095–9.

10) Dong E, Du H, Gardner L. An interactive web-based dashboard to track COVID-19 in real time. Lancet Infect Dis 2020;20:533–4.