COVID-19関連追加(2021年2月6日)ウイルス量と感染伝播リスク
【スペインカタルーニャ州における282クラスターのCOVID-19感染伝播コホート】
Marks M, et al. Transmission of COVID-19 in 282 clusters in Catalonia, Spain: a cohort study. Lancet Infectious Diseases. Feb 2, 2021.
https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30985-3.
<Introduction>
現在の証拠によると,COVID-19は主に呼吸器飛沫を介して人から人へと感染し,また汚染されたfomitesから口,鼻,眼へ間接的な接触を介して感染伝播する1)2).ほとんどの呼吸器ウイルス感染症と同様に,より小さなエアロゾルを介した感染が起こる可能性があるが,飛沫と比較した場合の相対的な寄与度は明らかではない.いくつかのアウトブレイク調査報告書によると,COVID-19感染伝播は,工場,教会,レストラン,ショッピングセンター,介護施設などの職場のような屋内閉鎖空間で特に効率的であることが示されている3)-6). スペインをはじめとする多くの国では,医療従事者のCOVID-19感染率が高くなっている7).
SARS-CoV-2拡散を促進する可能性がある因子に関するデータは,このウイルスの感染拡大を抑制するための介入を計画する上で不可欠である.利用可能なデータによって,曝露場所と曝露期間,呼吸器および眼の保護具の使用に関連した感染リスクに関する情報が提供されるが1)3)4)5)8),指標症例やその接触者の特徴に関連する他の要因に関しての情報は提供されない.感染過程では,発症1〜2日前に呼吸器管検体からウイルスが確認されており,軽症例では症状発症後数週間以上の長期にわたって持続することがある9).しかし,PCRによるウイルスRNAの検出は必ずしも感染性があるとは限らず,ウイルス量と症例からの感染伝播リスクとの正確な関係はまだ明らかにされていない10)11).
SARS-CoV-2拡散を促進する可能性がある因子に関するデータは,このウイルスの感染拡大を抑制するための介入を計画する上で不可欠である.利用可能なデータによって,曝露場所と曝露期間,呼吸器および眼の保護具の使用に関連した感染リスクに関する情報が提供される1)3)4)5)8).しかし、指標症例やその接触者の特徴に関連する他の要因には関係していない。感染の過程では、症状発現の1〜2日前に気道検体からウイルスが確認され、軽症例では発症後数週間以上の長期にわたってウイルスが持続することがある9).しかし,PCRによるウイルスRNAの検出は必ずしも感染性があるとは限らず,ウイルス量と症例からの感染伝播リスクとの正確な関係はまだ明らかにされていない10)11).症例接触ペアを調査した研究では,曝露の種類(すなわち期間,場所,前症状あるいは発症後)によって,二次発病率が大きく変化することが報告されている(すなわち,0.7%-75%の範囲)12)-15).
公衆衛生介入のもう一つの課題は,有症状性疾患に進行する感染者のリスク層別化である.ある現存のシステマティックレビューでは,PCR陽性の感染者のうち,有症状性疾患に進行する割合は約70-80%と推定されている16)-17).
潜伏期間の平均/中央値は一貫して5-7日と推定されている18)-20).
いくつかの研究によって,症例のウイルス量が疾患あるいは感染伝播リスクと関連している可能性が示唆されているが,これまでのところ,この問題を直接扱ったデータは発表されておらず,感染者においてCOVID-19症状を発症するリスクあるいは潜伏期間における変動に寄与する要因についてはほとんど知られていない.
本研究の全体としての目的は,曝露後予防試験(trial)を背景としたSARS-CoV-2感染伝播動態を評価することであった.具体的には,我々の研究の目的は以下の3つである: 症例の臨床的および人口統計的特徴とウイルス量との関連を調査すること,濃厚接触者へのSARS-CoV-2感染伝播におけるウイルス量の影響を評価すること,曝露者のウイルス量が症状発現および潜伏期間に及ぼす影響を明らかにすること.
<Methods>
■Study design:
本試験は,PCRでCOVID-19が確認された患者とその濃厚接触者を対象としたクラスター無作為化試験(cluster-randomised trial)であるBCN PEP CoV-2試験(NCT04304053)で収集されたデータの事後分析を行ったものである.この試験は,SARS-CoV-2アウトブレイクの第1波である2020年3月17日〜4月28日において,カタルーニャ州(スペイン北東部)の9つの医療圏のうち,総対象人口4,206,440人である3つの地域(Catalunya Central, Àmbit Metropolità Nord, and Barcelona Ciutat)で実施された.BCN PEP CoV-2試験のプロトコールは,Hospital Germans Trias Pujol(Badalona, Spain)の倫理委員会によって承認された.参加者全員から書面によるインフォームドコンセントを得た.オリジナルの研究の詳細については,別に報告されている21).
COVID-19症例は,カタルーニャ州保健省のカタルーニャ疫学的サーベイランス緊急サービスの電子レジストリを使用して同定された22).政府の条例に従って,サーベイランスサービスは,2020年3月16日以降に発生したすべてのCOVID-19の新規診断症例を登録した.このサーベイランスシステムには,最近の曝露歴を持つすべての接触者(PCRで確認された症例と15分以上距離2m以内で接触と定義)の積極的な追跡が含まれていた.
■Study participants:
我々の解析対象となったすべてのCOVID-19患者は入院歴がなく,ベースラインで定量PCRの結果が得られ、登録前5日以内に軽度の症状があり,登録前14日以内に居住場所(たとえば,家庭や介護施設)や職場でSARS-CoV-2感染症の症状が報告されていない成人(18歳以上)であった.解析のために選択された接触者は,登録前7日以内に最近の曝露歴があり,COVID-19様症状がない成人であった.接触者は,医療従事者,家庭内接触者,介護施設従事者,または介護施設居住者のいずれかとして指標症例に曝露していた.
本研究で行われた3つの解析のそれぞれについて,オリジナル試験(original trial)集団におけるすべての該当する個人を選択した.オリジナル試験と同様に,ヒドロキシクロロキンが感染伝播あるいは有症状性疾患への進行のいずれにも影響するという証拠は見出されなかった; したがって,本研究ではオリジナル試験における両群を対象とした.本研究で行われた3つの解析のそれぞれについて,オリジナル試験(original trial)集団におけるすべての該当する個人を選択した.オリジナル試験と同様に,ヒドロキシクロロキンが感染伝播あるいは有症状性疾患への進行のいずれにも影響するという証拠は見出されなかった; したがって,本研究ではオリジナル試験における両群を対象とした.第一に,定量PCRデータを有するCOVID-19症例すべてを,症例の臨床的および人口統計的特徴とウイルス量との関連性の解析に含めた.第二に,指標症例(すなわち,少なくとも1人の濃厚接触者を持つCOVID-19症例)のすべてのクラスターと,その指標症例についてウイルス量が定量化できるその接触者を用いて,感染伝播に関連する因子を同定した.最後に,ベースライン時にPCR結果が陽性であったすべての接触者について,指標症例のデータに関係なく,症状発現リスクおよび潜伏期間の変動を評価した.
■Study procedures and data collection:
専門のアウトブレイクフィールドチームが,1日目(登録日)と14日目に自宅または介護施設における症例および接触者を訪問した.1日目における最初の臨床評価では,COVID-19症状に関する質問票を含むベースライン評価を行い,構造化インタビュー(structured interview)を用いて関連する疫学的情報を収集した: 指標症例に初めて曝露した時間,接触した場所(病院,自宅,または介護施設),指標症例に近接した接触者による日常的なマスクの使用,指標症例に関する睡眠場所(例えば,同じ部屋や同じ家).症状のサーベイランスは,3日目と7日目の電話による能動的監視(active monitoring),14日目の自宅訪問,および発症した場合には必ず受動的監視(passive monitoring)を行った.発症した参加者は,症状を告知した当日(予定外の訪問)にフィールドチームが訪問し,発症日,症状の種類,症状の重症度を1〜4段階で評価して記録した.
すべての参加者は,1日目と14日目,および参加者がCOVID-19症状の発症を告知した予定外の訪問時に,鼻咽頭スワブからの連続SARS-CoV-2 PCR検査およびウイルス量負荷の滴定(titration)を行った(appendix 2 p1).SARS-CoV-2ウイルスの検出は,製造会社プロトコル(Thermo Fischer Scientific, Waltham, MA, USA)に従って,TaqMan 2019-nCoVアッセイキットを使用して,SYNLAB Diagnostics(Barcelona, Spain)において鼻咽頭スワブPCRによって行われた.ウイルス量は,米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によって開発された2019年新型コロナウイルスリアルタイムRT-PCR診断パネルガイドラインおよびプロトコルに基づいて,IrsiCaixa laboratory (Badalona, Spain)において鼻咽頭スワブのPCR増幅によって定量された23).絶対定量のために,SARS-CoV-2 plasmid (2019-nCoV_N_Positive Control, 2×105 copies per μL, Integrated DNA Technologies, Coralville, IA, USA))の1/5連続希釈を使用して標準曲線を構築し,すべてのPCR決定と並行して実行した.
■Outcomes and definitions:
感染伝播は,指標症例の濃厚接触者間における感染者と未感染者の数を調べることで特徴づけた.登録後14日以内の同一世帯または職場での接触のいずれかの時点(すなわち,1日目,14日目,または参加者が症状を訴えた場合に予定外のPCR検査を行った時点)におけるPCR陽性を感染伝播イベントと定義した.二次発病率とは,WHOのガイドラインに基づき,濃厚接触者の中でPCR検査が陽性の個人の割合と定義した.
有症状性疾患への進行は,発熱,咳,呼吸困難,筋肉痛,頭痛,喉の痛み,新規の嗅覚そして味覚障害,下痢のうち少なくとも1つの症状があり,SARS-CoV-2 RT-PCR検査が陽性である場合と定義された.潜伏期間は,最初の曝露から症状発現までの時間と定義し24),その後PCRによる感染の確認を行った.症状のある指標症例との最も早い曝露を各々の接触者について個別に決定した.
<Results>
2020年3月17日〜4月28日において,ウイルス量を検査したCOVID-19患者314人を同定した.このうち,女性は220人(70%),男性は94人(30%)であり,年齢中央値は41歳(IQR 31-52)であった.患者314人のうち282人(90%)に少なくとも1人の濃厚接触者が存在し,対応する282のクラスターには合計753人の接触者が認められた.クラスターには中央値2人(IQR 1-3)の接触者が存在し,最大で19人であった.クラスターの指標症例のほとんどは女性(202人[72%])であり,平均年齢は42歳であった(SD 13; Table 1).
Table 1: Baseline characteristics of linked transmission clusters.
初診は発症後中央値4日(IQR 3-5)であった.初診時のCOVID-19患者のウイルス量中央値は1×1108 copies/mL(IQR 1×1106-1×109)であった.多変量線形回帰では,COVID-19患者のウイルス量は発熱の存在と正の関連を示し,嗅覚消失の存在と負の関連を示したが(Table 2),COVID-19患者の年齢または性別,そして呼吸困難または咳嗽の存在との関連は認められなかった.予想されたように,ウイルス量は発症からの日数と負の関連を示した.
Table 2: Univariable and multivariable linear regression of association between index case variables and log10 viral load.
SARS-CoV-2感染伝播のリスク因子解析には,282クラスター,接触者753人の症例および接触者データを用いた.クラスターレベルでは,282クラスターのうち90クラスター(32%)で少なくとも1件の感染伝播イベントが発生しており,クラスターごとの感染伝播イベント数の分布は非常に偏っていた(Figure 1A).接触者の最初の受診は,指標症例に対する可能性があった最初の曝露後,中央値で5日(IQR 4-7)であった.接触者753人のうち125人(17%)が研究期間中にPCR陽性反応を示した.クラスター内でSARS-CoV-2が陽性であった接触者の割合(二次発病率)は,指標症例のウイルス量とともに進行性に増加していた: 指標症例のウイルス量が1×106 copies/mL未満の場合は12%であり,指標症例のウイルス量が1×1010 copies/mL以上の場合は24%であった(Figure 1B).多変量解析では,指標症例のウイルス量は以降の感染伝播リスクと強く関連していた(ウイルス量 log10増加あたりの調整オッズ比は1.3, 95%CI 1.1-1.5; Table 3).感染伝播イベント125件のうち114件(90%)は,指標症例のウイルス量が5.1 log10 copies/mL以上のクラスターで発生し,61件(50%)は指標症例のウイルス量が8.8 log10 copies/mL以上のクラスターで発生した.感染伝播リスクの増加と関連した他の因子は,家庭内接触(調整OR 3.0, 95%信頼区間 1.59-5.65)および接触者の年齢(1.02,1.01-1.04)であった.接触者によるマスク使用報告,指標症例の年齢または性別,および初回受診時における指標症例の呼吸器症状の存在と感染伝播リスクとの関連は観察されなかった(Table 3).
Figure 1: Transmission in a cluster.
Table 3: Risk factors for transmission of SARS-CoV-2.
我々は,指標症例のウイルス量と接触者の最初の陽性ウイルス量との間に関連性を示す証拠は見出せなかった(p= 0.10, appendix 2 p2).そして,これは,指標症例のベースラインのウイルス量が測定された発症日と接触者が登録されるまでの日数の両方で調整しても同様であった(p= 0.18).さらに,初診時にPCR陽性であった接触者を除外した後でも,指標症例のウイルス量とSARS-CoV-2 感染発症までの期間との間には関連性は認められなかった(ハザード比 [HR] 1.01, 95%CI 0.83-1.23).
全体では,接触者449人が初診時にPCR結果が陽性であった(指標症例のウイルス量データが得られたのは125人,得られなかったのは324人).449人のうち28人(6%)が初診時に症状があった.初診時に無症状だった421人のうち181人(43%)がフォローアップ期間内に有症状性COVID-19を発症した.年齢と性別を調整した多変量Cox回帰分析では,接触者の1日目のウイルス量レベルの増加が,有症状性疾患を発症するリスクの増加と関連していることが示された.ベースライン時にすでに症状のない接触者では,初期ウイルス量が1×107 copies/mL未満では有症状性疾患のリスクが約38%であったのに対し,初期ウイルス量が1×11010 copies/mL以上の人ではリスクが66%以上であった(ウイルス量 log10増加あたりのHRは1.12, 95%CI 1.05-1.20, p= 0.0006, Figure 2A).多変量解析では,性別または年齢,糖尿病の存在,または心血管疾患あるいは呼吸器疾患の存在と,有症状性COVID-19の発症リスクまたは発症までの時間との間には関連は認められなかった.
Figure 2: Risk of developing symptomatic COVID-19 according to characteristics of the contact at enrolment.
曝露から発症までの期間の中央値は7日(IQR 5-9)であった.有症状性疾患が発現するまでの期間は,初期ウイルス量が1×107 copies/mL未満では7日(5-10日)であったが,初期ウイルス量が1×107〜1×109 copies/mLでは6日(4-8日),初期ウイルス量が1×1010 copies/mL以上では5日(3-8日)と短縮した(Figure 2B).全体では,症状を発現した181人のうち110人(61%)が8日目までに,45人(25%)が8-10日目に,22人(12%)が11-14日目に発症していた.
<Discussion>
我々の研究において,COVID-19患者の鼻咽頭スワブにおけるウイルス量の増加は,接触者のSARS-CoV-2 PCR陽性率によって測定される感染伝播リスクの増加,および他の屋内環境での感染リスクと比較して家庭内環境での感染伝播リスクの増加と関連していることが示された.さらに,無症状接触者のスワブにおけるウイルス量が高くなるほど,有症状性COVID-19発症リスクがより増加し,これらの接触者はウイルス量が低い接触者より潜伏期間がより短いことも明らかになった.ウイルス量と感染性の関係は他の呼吸器ウイルスについても報告されており,我々の研究によって,SARS-CoV-2についても同様であることが示された.
我々の知る限り,これはCOVID-19患者のウイルス量と感染伝播リスクの関係を評価した最大規模の研究である.我々のコホートでは,多くの指標症例(282人のうち192人[68%])が二次感染を起こさなかった.しかし,我々は感染伝播イベントを伴う90(32%)クラスターを同定し,多変量解析を行った結果,ウイルス量の高い指標症例を中心としたクラスターは感染伝播を引き起こす可能性が有意に高いことが明らかになった.症例接触クラスター(case-contact clusters)のこれまでの解析9)12)14)と一致して,指標症例への家庭内曝露は,他の接触形式(other types of contact)よりも高い感染伝播リスクと関連しており,これはおそらく曝露期間とその近接性を反映していると考えられた.接触者の年齢が高いこともまた,多変量解析において,感染伝播リスクの有意な(控えめではあるが)決定因子として同定された.この因子は,他の場所で報告された結果では不均等な影響を示しているが,成人間では二次的な役割を果たしているようだ13)14).最後に,咳と感染伝播の関係を報告した以前の分析13)とは異なり,我々はこれらの関連は見出せなかった.この所見は,咳を認めないことが,特にウイルス量が高い場合には,有意な感染伝播を防ぐものではないことを示唆している.以上のことから,症状よりもむしろ,ウイルス量が感染伝播の主たる要因である可能性が示唆される.
重要なことは,無症状性接触者における曝露直後の高ウイルス量が,COVID-19の有症状性疾患の発症リスクと強く関連していることである.初期のウイルス量が1×107 copies/mL未満では有症状性疾患の発症リスクは約40%であったのに対し,ウイルス量が1×11010 copies/mL以上では66%以上と高いリスクがあった.これらのデータは,疾患を発症するリスク層別化の根拠となる可能性がある.さらに,初期ウイルス量が潜伏期間を有意にシフトさせており,ウイルス量が高い人では5日,低い人では7日であった.我々の知る限りでは,我々の研究は,初期ウイルス量と潜伏期間との関連を調査した初めての前向きデータ解析である.
Limitation: @無症状者は指標症例として登録されていなかったため,すべての感染伝播連鎖形式を完全に特徴づけることができなかった.Aマスク使用を報告した人の感染伝播リスクが低下したという証拠は見つからなかった.これは他で報告されている証拠と矛盾しているが8), 我々はマスクの種類(サージカル vs FFP2)やその他の個人用保護具(PPE)や感染管理方法に関する詳細なデータを持っていなかったため,PPEが感染伝播リスクに及ぼす影響について明確な推論を行うことができなかった.マスク使用はおそらく曝露の種類と相関があり,これがさらに関連を混乱させる可能性があるが,我々の未調整解析(Table 3)でも,曝露の種類を除いた多変量モデル(データは示されていない)でも,マスク使用とリスクとの間には何の関連も認めなかった.B我々は連続検査に基づくPCR検査陽性までの時間ではなく,発症までの時間(後に感染が確認)を使用した.それにもかかわらず,これが前向き研究であったこと,対面インタビューによって曝露を正確に特定したこと,および曝露された接触者の集中的な能動的および受動的なモニタリングを行ったことから,潜伏期間の正確な計算は可能であった.我々は参加者を14日間にわたって追跡調査したため,14日を超える潜伏期間は検出されなかったかもしれない.各クラスター内での感染伝播の方向性については完全には特定できないが,登録2週間前にCOVID-19様症状がないことを含む我々の包含基準は,症例から接触者への感染伝播と一致している.また,一部の個人が研究クラスター以外の個人から感染した可能性は除外できないが,国のガイドラインに従って,すべての接触者は指標症例に接触した後に隔離されており,他の場所における感染伝播の可能性が低くなっている.指標症例のサンプルは発症後中央値4日に採取され,接触者の最初のサンプルは曝露から平均5日後に採取されたため,ピークのウイルス量との関連を検出する能力が限られている可能性がある.これにもかかわらず,感染伝播リスクと発症までの時間のどちらにも関連して明らかなdose effectが示された.C我々の研究集団は,研究サンプルが採取された試験を反映したものであるため,女性の参加者と併存疾患が少なく,軽症から中等症の感染が多い参加者に偏っている: 他の集団における感染伝播リスクについてさらなるデータが必要である.
<Conclusions>
SARS-CoV-2感染伝播の決定因子,特にウイルス量の役割に関する証拠が提供された.ウイルス量が高い個人間における感染伝播リスクが高いことから,既存の証拠に加え,多数の濃厚接触者を持つ患者のウイルス量の評価が必要である.ウイルス量の高い患者が特定された場合,接触者追跡を強化し,検疫を実施することが,その後の感染伝播を減少させるために重要であるかもしれない.同様に,COVID-19の有症状性疾患への進行までのリスクと予想時間に関するこの研究の結果は,新たに診断されたSARS-CoV-2感染の初期ウイルス量に基づいたリスク層別化を促すものである.
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