COVID-19関連追加(202131日)

 

【フィットネスクラスにおけるSARS-CoV-2感染伝播】

(1)Lendacki FR, Teran RA, Gretsch S, Fricchione MJ, Kerins JL. COVID-19 Outbreak Among Attendees of an Exercise Facility — Chicago, Illinois, August–September 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 24 February 2021.

http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7009e2.

The figure describes the percentage of fitness class attendees who developed COVID-19 during 1 week.

202098日,シカゴ公衆衛生局(CDPH: Chicago Department of Public Health)は,運動施設(exercise facility)でCOVID-19アウトブレイクの可能性があるとの通知を受けた.2020824日〜91日に開催された対面クラスの参加者81人のうち55人(68%)にCOVID-19症例が確認され,リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査で確認された症例49人(60%)と矛盾しない症状があるもののRT-PCR検査結果が陰性または全くない参加者のうち6人(7%)の疑い症例が確認された全体では,COVID-19を発症した43人(78%)が,感染性の可能性がある状態で,複数のクラスに参加していた

COVID-19患者のうち22人(40%)が発熱を報告した.2人(4%)が救急外来を受診し,1人(2%)が8日間入院した.死亡例は報告されていない.発症日は819日〜911日までであった.陽性反応が出た当日またはその後に参加していた3人(5%)を含むCOVID-19の参加者22人(40%)は発症日当日あるいは以降にエクササイズクラスに参加していた.全体では,COVID-1943人(78%)が推定感染期間中にエクササイズクラスに参加していた.COVID-19の参加者は,中央値5つのエクササイズクラスに参加したと報告していた(IQR= 3-7).

COVID-19の参加者2人(参加者AB)は,819日〜20日に症状が出たと報告した; それぞれ症状が出ていた824日〜91日までに5つのエクササイズクラスに参加したと報告した(Figure参加者ABは施設閉鎖後にSARS-CoV-2RT-PCR結果が陽性と判明した; マスク着用率は60%以下であった(マスク使用頻度は低かった)

クラス内での行動に関する情報を提供したエクササイズクラスの参加者58人のうち,COVID-19の参加者38人のうち32人(84%),COVID-19でない参加者20人のうち12人(60%)を含む44人(76%)がマスクの使用頻度が低かったと報告した(主要解析: OR= 3.5; 95%CI= 0.9-15.1

Figure: Confirmed and probable COVID-19 cases (n = 45) among attendees of an exercise facility,* by date of reported symptom onset† — Chicago, Illinois, August 19–September 11, 2020.

This figure is a histogram showing the number of confirmed and probable COVID-19 cases that occurred during an outbreak among attendees of an exercise facility in Chicago, Illinois, during August 19–September 11, 2020.

 

屋内運動施設の閉鎖空間で発生する呼吸運動負荷の増加は,COVID-19の原因となるウイルスであるSARS-CoV-2感染伝播を促進する.運動施設での感染伝播を減らすためには,従業員と利用者は,6フィート以上離れた距離で高強度の活動をしていてもマスクを着用する必要がある.さらに施設は,1)換気の改善,2)一貫した正しいマスクの着用とフィジカルディスタンス(すべての人は6フィート以上の距離を維持し,身体的な接触,クラスサイズ,混雑した空間を制限する),3)COVID-19感染者と濃厚接触した後,そして検査結果を待つ間の隔離指針の遵守だけでなく,感染した従業員や利用者に対して,発症後10日間以上,または無症状では陽性検査日から10日間以上のステイホームと他人に近づかないように注意すること,4)手指衛生の機会を増やすこと,を含む管理を行うべきである.完全に屋外,あるいはバーチャルで運動活動を行うことによって,SARS-CoV-2感染伝播リスクをさらに低減させることができる.

 

 

 

 

 

(2)Groves LM, Usagawa L, Elm J, et al. Community Transmission of SARS-CoV-2 at Three Fitness Facilities — Hawaii, June–July 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 24 February 2021. http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7009e1.

202072日,ハワイ州保健局は,フィットネスインストラクター(インストラクターA)がCOVID-19に適合する徴候/症状を呈し,SARS-CoV-2の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査結果が陽性であったとの通知を受けた.当時,ホノルル郡では7日平均で10万人あたり23人のコミュニティ伝播が報告されていた(1).発症前,インストラクターAはホノルル市内の2つのフィットネス施設(施設XY)でクラスを担当していた.他のフィットネスインストラクター(インストラクターB)を含め,21人のCOVID-19症例がインストラクターAと関連していた.この2人のインストラクターが指導したクラスの曝露日が,インストラクター発症前1日未満発症前1日〜2日未満発症前2日以上における総発病率(aggregate attack ratesは,それぞれ95%21人のうち20人)13%8人のうち1人)0%33人のうち0人)であった二次感染者21人のうち,20人(95%)に症状があり,そのうち2人(10%)が入院したこのアウトブレイク発生時には,フィットネス施設ではマスク使用は要求されていなかった.フィットネス施設におけるSARS-CoV-2感染伝播を減少させるためには、スタッフおよび利用者はマスクを着用し(高強度のエクササイズ時を含む),施設は1)換気の改善,2)一貫した正しいマスクの使用とフィジカルディスタンス(すべての人との距離を6フィート以上に保ち,身体的接触とクラスサイズを制限し,混雑を防ぐ),3)すべての利用者およびスタッフに病気の場合はステイホームを促す,4)手指衛生の機会を増やす,などの技術的および運営上の管理を実施すべきである.完全な屋外,あるいはバーチャルにエクササイズを行うことで、SARS-CoV-2の感染伝播リスクをさらに減らすことができる.

Main

指標症例は37歳の男性フィットネスインストラクター(インストラクターAであった.インストラクターAは,629日の夕方に疲労感を認めた(Figure.翌日,悪寒,体の痛み,咳,鼻づまり,喉の痛み,頭痛を訴えた.彼は,71日にSARS-CoV-2 RT-PCR陽性結果を受け取った

インストラクターAは発症前の62728292つのフィットネス施設(XY)でクラスを指導していた(Table 1発症2日以上前(60時間)の627日の朝,施設Xで参加者27人を対象に1時間のヨガクラスを指導した.インストラクターAはマスクを着用していたが,参加者はマスクを着用していなかった.その後14日間は症状を報告した参加者はいなかった.73日にSARS-CoV-2 RT-PCR検査を受けた参加者は1人(4%)のみであり陰性であった. したがって,627日における施設 Xでの発病率は0%27人のうち0人)であった(Table 2

発症1日以上〜2日未満前(38時間)の628,インストラクターAは,第2の施設Yで参加者10人を対象に1時間の高強度エアロバイククラスを指導した.エアロバイクルームは,24フィート×17フィート(408平方フィート)の広さであった.ドアと窓は閉じられており,冷房のために3台の大型フロアファンが参加者に向けて設置されていた.インストラクターAはペダルに座って参加者に向かい,叫び声で指示と励ましを行っていた.インストラクターAは参加者から6フィート以上離れており,サイクリングステーションは6フィート以上離れていた.参加者10人のうち,4人はこのクラスの間にのみインストラクターAに曝露した; 4人全員が734日にSARS-CoV-2 RT-PCR検査陰性の結果を受けた(発病率= 0%[0].参加者6人は,翌日にインストラクターAにさらに曝露した.

発症4時間前の629に,インストラクターAは,施設Y628日と同じ形式/部屋で,参加者10人を対象に1時間のエアロバイククラスを指導した(Table 1エクササイズ中は誰もマスクを着用していなかった参加者のうち6人は前日にインストラクターAに曝露しており,4人は前日に曝露していなかった72日〜6日の間に10人全員がSARS-CoV-2 RT-PCR検査で陽性となった(発病率= 100%[10人のうち10])(Table 2.施設Yにおけるこれら10人のうち,7人は女性であり,7人はアジア人,3人はハワイ先住民または太平洋諸島人(Pacific Islander)であり,年齢中央値は37歳(range= 31-50歳)であった.すべての患者に症状を認め,そのうちの1人は別のフィットネスインストラクターであるインストラクターBであった

インストラクターB46歳の男性で,第3の施設Zでパーソナルトレーナーとして勤務していた.インストラクターAに初めて曝露してから4日後の72日夜に,発熱,悪寒,咳,息切れ,倦怠感などの症状が進行とともに,体の痛みや喉の痛みを訴えた.74日にインストラクターBSARS-CoV-2 RT-PCR検査で陽性の結果を得た; その後入院し,集中治療室への入院を必要とした

インストラクターBは,施設Yで初回曝露した2日後(そして発症2日以上前)の630に,施設Zで参加者10人(付き添い者1人)を対象に5回のパーソナルトレーニングおよび少人数制キックボクシングセッションを指導した.午前中のパーソナルトレーニングのセッションでは,インストラクターBを含む全員がマスクを着用していた.午後のキックボクシングのセッションでは,インストラクターBを含む全員がマスクを着用していなかったこれらの参加者のうち1人は76日のSARS-CoV-2 molecular検査は陰性であった; 5人はその後14日間症状がなかったと報告した(発病率= 0%[6人のうち0])(Table 2.参加者4人とその付き添い者は,72日にインストラクターBにさらに曝露した.

発症1日以上〜2日未満前(36時間)の71に,インストラクターBは施設Zで参加者4人にパーソナルトレーニングを行った.この参加者4人のうち1人はその後 14 日間症状がなかったと報告し,2 人は検査結果が陰性(76日に1; 78日と16日に1人),そして1人は76日にSARS-CoV-2 RT-PCR検査の陽性結果を受け取った(発病率= 25%[4 人のうち1]).

発症12時間前の72に,インストラクターBは,参加者10人(付き添い者1人)に指導した(1人にパーソナルトレーニング1回,9人にキックボクシング3)(曝露者11人); 630日のセッションにも参加者4人,付き添い者1人が参加していた.よって他の参加者6人にとっては,(72日が)インストラクターBへの唯一の曝露であった.インストラクターBはマスクを着用していなかった.参加者2人はマスクを着用していたが,2人とも感染した.1人は630日と72日のいずれにも曝露し,1人は72日のみ曝露した.全員がSARS-CoV-2 RT-PCR 検査を受け,参加者9人とその付き添い者1人は76日〜8日の間に陽性結果を受け取った.発病率は91%11人のうち10人)であった.

施設Zからの11人のうち,7人は女性で,7人はアジア人,3人は白人,1人はハワイ先住民または太平洋諸島人であり,年齢中央値は61歳(range= 53-81歳)であった.参加者2人(18%)はパーキンソン病であった.参加者10人は症状があり,1人は入院し,集中治療室への入院を必要とした

2人のインストラクターの発症日に関連した曝露時期別の総発病率は,発症前1日未満: 95%21人のうち20人); 発症前1日〜2日未満: 13%8人のうち1人); 発症前2日以上: 0%33人のうち0人)であったTable 2

Public Health Response:

ハワイ州保健局は,施設Yと施設ZでインストラクターABに曝露したすべての参加者に隔離と検疫指示を与えた.施設Xの参加者は,インストラクターAが発症する48時間以上前に曝露していたため,隔離されなかった.COVID-19症例率の増加とフィットネス施設のクラスターに対応して,ホノルル市と郡は2020722日に緊急命令を改正し,エクササイズ中を含むフィットネス施設ではすべての人にフェイスカバー(すなわち非医療用マスク)の着用を義務付けるようにした(3)

施設Yでは,プレキシガラス製衝立を設置してエアロバイクサイクルの間に挟み込み,エアロバイクを4台撤去し,クラスの参加者を6人に制限し,施設全体において”一方向への足の動き(single-direction foot traffic flow)”を導入した.また,施設Yでは,利用者がCOVID-19に一致した症状を持っていないことを確認するために,署名入りの確認書の提出を求めた.

 

 

Figure: Date of symptom onset or positive test result* among 21 COVID-19 cases epidemiologically linked to a fitness center instructor — Hawaii, June 29–July 11, 2020.

The figure is a histogram showing date of symptom onset in 21 COVID-19 cases epidemiologically linked to a fitness center instructor in Hawaii during June 29–July 11, 2020.

 

Table 1:

 

 

Table 2:

 

Discussion

発症前に指導していたフィットネスインストラクターに曝露したフィットネスクラスの参加者を対象としたこのSARS-CoV-2クラスター調査では,感染伝播率は2人のインストラクターとも発症日が最も高く,これは先行研究の結果と一致している(SARS-CoV-2感染者は症状発症2日前から7日後が最も感染性が高い)(4).感染伝播は,フェイスマスクを着用していないこと,長時間の接触,部屋の換気が悪いことによって促進された可能性が高い.SARS-CoV-2感染伝播は,エアロバイクの間隔が6フィート以上離れていたにもかかわらず発生した.1時間のエアロバイククラス中のインストラクターAによる叫び声が感染伝播に寄与したかもしれない; 発声中のエアロゾルの放出は声の大きさと相関があり(5),激しい運動と歌唱に関連したCOVID-19アウトブレイクが過去に報告されている(6-8)

このCOVID-19クラスターは,SARS-CoV-2 のコミュニティ感染伝播が少なかった時期に発生した(10万人あたり1日平均2-3人)(1).フィットネス施設におけるSARS-CoV-2感染伝播を減少させるためには,スタッフおよび利用者はマスクを着用すべきであり,施設は,換気の改善,一貫した正しいマスクの使用とフィジカルディスタンス(すべての人との距離を6フィート以上に保ち,身体的接触とクラスの大きさを制限し,混雑を防ぐ),手指衛生の機会の増加,および利用者およびスタッフが病気の場合はステイホームするように注意喚起することを含む技術的および運営上の管理を組み合わせるべきである.完全な屋外で,あるいはバーチャルでエクササイズを行うことで,SARS-CoV-2感染伝播リスクをさらに減らすことができる.20212月時点で,CDCのフィットネス施設向けガイダンスでは,SARS-CoV-2感染伝播を防止するために,職業上の危険有害性の階層構造(the occupational hazard hierarchy)を利用し,コントロールを組み合わせることを推奨している(9).施設は,占有スペースに新鮮な空気を最大限に供給すること,暖房,換気および空調ユニットのフィルター効率を高めること; 指示されたところでは,ポータブルHEPAフィルターユニットを使用すること,およびファンが利用者から別の利用者に空気を向けないようにすること,などにより換気を増加または改善すべきである(9)

Limitation: 本報告書の所見には少なくとも3つの限界がある.@多くの参加者は複数の曝露日を有していた; 曝露の影響は累積的なものであったかもしれないが,発病率は参加者の直近の曝露日に基づいて計算された.ASARS-CoV-2に感染した参加者の真の数が過小評価されている可能性がある.無症状の参加者の多くは,個人的な消極的な理由や検査が受けられなかったために,SARS-CoV-2検査を受けていない.B参加者が症状を過少申告したり,リコールバイアスや社会的望ましさのバイアス(social desirability bias),あるいは孤立を避けるために検査を拒否したりした可能性がある.

 

References

1) Hawaii Department of Health. Hawaii COVID-19 data. Accessed November 14, 2020. Honolulu, HI: Hawaii Department of Health; 2020.

https://health.hawaii.gov/coronavirusdisease2019/what-you-should-know/current-situation-in-hawaii/.

2) Caldwell KW, Amemiya RK. Amendment to Ho’oulu i Honolulu 3.0 emergency order 2020–15 (COVID-19 [novel coronavirus]). Honolulu, HI: Office of the Mayor, City and County of Honolulu; 2020.

https://www.honolulu.gov/rep/site/may/may_docs/Amendment_to_Hooulu_i_Honolulu_3.0.pdf.

3) Caldwell KW, Amemiya RK. Third amendment to Ho’oulu i Honolulu 4.0 emergency order 2020–20 (COVID-19 [novel coronavirus]). Honolulu, HI: Office of the Mayor, City and County of Honolulu; 2020.

https://www.honolulu.gov/rep/site/may/may_docs/Emergency_Order_No._2020-20_-_2.pdf.

4) He X, Lau EHY, Wu P, et al. Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat Med 2020;26:672–5. https://doi.org/10.1038/s41591-020-0869-5.

5) Asadi S, Wexler AS, Cappa CD, Barreda S, Bouvier NM, Ristenpart WD. Aerosol emission and superemission during human speech increase with voice loudness. Sci Rep 2019;9:2348. https://doi.org/10.1038/s41598-019-38808-z.

6) Jang S, Han SH, Rhee JY. Cluster of coronavirus disease associated with fitness dance classes, South Korea. Emerg Infect Dis 2020;26:1917–20.

https://doi.org/10.3201/eid2608.200633.

7) Atrubin D, Wiese M, Bohinc B. An outbreak of COVID-19 associated with a recreational hockey game—Florida, June 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:1492–3. https://doi.org/10.15585/mmwr.mm6941a4.

8) Hamner L, Dubbel P, Capron I, et al. High SARS-CoV-2 attack rate following exposure at a choir practice—Skagit County, Washington, March 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:606–10. https://doi.org/10.15585/mmwr.mm6919e6.

9) CDC. COVID-19 employer information for gyms and fitness centers. Accessed February 5, 2021. Atlanta, GA: US Department of Health and Human Services, CDC; 2020.

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/community/organizations/gym-employers.html.

10) Leung NHL, Chu DKW, Shiu EYC, et al. Respiratory virus shedding in exhaled breath and efficacy of face masks. Nat Med 2020;26:676–80.

https://doi.org/10.1038/s41591-020-0843-2.