COVID-19関連追加(202134日)

当院関連HP関連ファイル:

2020911日(参考文献(6)

2020108-2(家族の集まりにおけるアウトブレイク)

20201216-2(参考文献(7)

20201226日(公共空間のエアロゾル)

【観察研究を通じたコミュニティ曝露におけるCOVID-19リスクの同定】

Tenforde MW, et al. Identifying COVID-19 Risk Through Observational Studies to Inform Control Measures. JAMA. Published online February 22, 2021.

https://doi.org/10.1001/jama.2021.1995.

COVID-19のパンデミックになって1年が経過し,SARS-CoV-2の蔓延を制限し,公衆衛生的介入を通じて米国でのパンデミックを抑制する緊急の必要性が残っている.リスクの特定と感染拡大の緩和におけるシンプルな戦略の有効性を支持する明確な証拠があり,その証拠の多くは観察研究から得られている.コミュニティにおける感染リスク因子は,従来の症例対照研究アプローチ(case-control approach)を用いて,感染した人と感染していない人の間で最近の行動や曝露を比較することで特定することができる.これらの調査から特定された高リスク環境は,公衆衛生対策を支援し,感染リスクを低減するために個人の行動変容の動機付けとなるように,公衆に明確に伝える必要がある.

Key Lessons About Community Transmission of SARS-CoV-2:

COVID-19では,マスク着用の重要性と感染伝播のクラスタリングが示されており,感染者の20%SARS-CoV-2感染伝播の約80%を引き起こしていると推定されている1).感染伝播の約50%は無症候性または前症候性の人から発生していると考えられる2).このことは,無症候性の感染者が知らず知らずのうちにウイルスを拡散させてしまうことで,リスクの高い多様な活動を通じてコミュニティへの感染が拡大してしまうという予防上の重要な課題をもたらしている.

COVID-19アウトブレイクの調査では,感染伝播リスクに影響を与える要因が環境によって異なることが示されている.しかし,これらの局所的な要因は,特定されれば予防することができる,いくつかの確立されたパターンで発生している.例えば,換気の良い屋外空間と比較して,換気の悪い屋内空間では,マスクの一貫した使用ができないためにウイルス感染に対する物理的障壁が限られていることに加えて,長時間の近接接触(24時間を超えて15分以上,6フィート以内3))がある場合,感染リスクがより高くなる2).曝露の背景および強さはSARS-CoV-2拡散の鍵となる.大規模なアウトブレイクやスーパースプレッダーイベントは,一般的に,混雑した屋内空間と不十分なマスク使用不足のような,これらの要因が合わさるなど、これらの要因が合流することで特徴づけられる4).このような要因によって特徴づけられる生活環境や職場環境もまた,人種/民族,貧困,郵便番号(zip code)に関連したCOVID-19の発生率の高さに寄与している可能性がある2)

Identifying Modifiable Behaviors Associated With Spread:

調査は,まず感染者へのインタビューを行い,活動や接触者の時系列(timelines)を追跡することから始まる.初期のパンデミックの拡散を抑えることに成功した国でのCOVID-19対策の取り組みには,ビジネス部門でのマスク着用義務,集会制限,占有制限などの緩和戦略における一貫したコミュニケーションや政府の支援とともに,戦略的な頻回検査や,検疫上の注意を促し,強制するための広範な接触者追跡の実施が含まれていた.接触者追跡は資源集約的(resource-intensive)であるが,COVID-19確定症例の濃厚接触者の特定,検査,隔離には依然として重要な役割を果たす.SARS-CoV-2感染者との濃厚接触は,最終的に感染陽性となる最も強力な予測因子の一つであることに変わりはない.従来の”前向き”接触者追跡は,”後ろ向き(backward)”追跡,すなわちSARS-CoV-2感染者に最近の過去の活動やCOVID-19症例との接触の可能性について尋ね,スーパースプレッダーイベント5)の可能性を含む上流の感染源を特定することによって,保管することができる.

現在,米国ではSARS-CoV-2のコミュニティ感染が拡大しているが,個々の症例の可能性がある感染源や症例間の関連性を特定することは,保健所のリソースを必要とするため,より困難になってきている.従来の症例対照研究を含め,比較群を用いた研究は,感染伝播拡大時において感染を抑制するための修正可能な要因を特定する観点から,ますます重要になってきている.比較群は,感染リスクを増加させる共通の活動や曝露における対照を提供する.2020年半ばにステイホーム命令が緩和されたことを受けて,Fisher6)は,10州の成人314人を対象に電話調査を実施し,SARS-CoV-2検査が陽性である症候性患者と,SARS-CoV-2として評価されたが(individuals evaluated for SARS-CoV-2)検査陰性であった対照群との間で,曝露と行動を比較したこれは,対照群よりも症例群でより一般的な活動(すなわち感染リスクが増大する)を特定するために行われたこの調査では,SARS-CoV-2感染とレストランでの食事バーやコーヒーショップへの外出との間に関連性があることが確認された(Figure6)これらの活動に共通しているのは,飲食時に継続的なマスク着用が両立できない(incompatible)こと感染していて無症状の可能性のある人に長時間かつ激しく接触すること,そして,その間の安全な距離を維持することが困難であること,であるミシシッピ州の子供397人を対象とした2020年の同様の症例対照研究では,マスクを着用あるいはソーシャルディスタンスを保つ可能性が少ない社交行事のような世帯外の人との集まりは,SARS-CoV-2検査陽性と関連していることが明らかになった7)対照的に,学校や保育園に通うことは,SARS-CoV-2検査陽性とは関連しておらず,施設内での他の安全対策とともに,職員や子どもたちが定期的にマスクを使用することでリスクが軽減されていた可能性が示唆された

 

 

Figure: Community Exposures Associated With Confirmed COVID-19 Among Symptomatic Adults (N=314) in the US, July 1-29, 2020.

オッズ比(OR)は,SARS-CoV-2で陽性と判定された症候性患者(n= 154)と陰性と判定された対照群(n= 160)による曝露の比較を示すORは,人種/民族,性別,年齢,および1つ以上の併存慢性疾患の報告で調整された.ORは,一般化推定式を用いた無条件ロジスティック回帰を用いて推定され,Critically Ill Networkのインフルエンザワクチン有効性の場所レベルのクラスタリングを考慮した.第二のモデルは,COVID-19感染者との密接な接触を報告しなかった参加者(n= 225)に限定した.コミュニティ曝露に関する質問は,MWWRの出版物に規定されている6).この図は,Fisher6)から引用したものである.

 

リスクの増加に関連する行動や活動を特定するための現地調査から得られた知見は,緩和戦略に焦点を当て,コミュニケーションメッセージを伝えるために利用できる.どのように,そして,どんなリスク要因なのかを特定することは,症例調査,感染パターン分析,およびこれまでに得られた知見に依存する.これらの研究の結果は,携帯電話のデータを利用して可能性のある感染伝播のホットスポットを特定するための生態学的研究(ecological studies)のような他の研究から得られた証拠を補完するのに役立つ8)

Providing Evidence to Support Mitigation Strategies:

米国だけで,COVID-19による死者が約50万人発生しており,パンデミックは個人的,社会的,経済的に大きな影響を与え続けている.公衆衛生の専門家の役割は,パンデミックの拡大を抑制し,疾病と死亡を予防するために,科学的根拠に基づいたデータに基づいた提言を適時提供することである.パンデミック時の疾病負担を軽減するための意思決定は,多くの場合,不完全な情報によって行われる.緩和戦略の有効性と推奨行動の採用については,ワクチン接種が継続されている場合でも,パンデミック期間中は継続的に再評価されなければならず,予防戦略は,症例対照研究のような現地のデータに基づいて,現状および現地の背景に合わせて適応されなければならない.過去1年間でSARS-CoV-2感染伝播については非常に多くのことが明らかになっており,コミュニティ内でのウイルスの不均一な広がりを含む感染伝播ダイナミクスについての認識を深めることで,標的を絞った介入や政策の指針とすることができる.

 

 

References

1) Adam  DC, Wu  P, Wong  JY,  et al.  Clustering and superspreading potential of SARS-CoV-2 infections in Hong Kong.   Nat Med. 2020;26(11):1714-1719.

2) Honein  MA, Christie  A, Rose  DA,  et al.  Summary of guidance for public health strategies to address high levels of community transmission of SARS-CoV-2 and related deaths, December 2020.   MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69(49):1860-1867.

3) Pringle  JC, Leikauskas  J, Ransom-Kelley  S,  et al.  COVID-19 in a correctional facility employee following multiple brief exposures to persons with COVID-19: Vermont, July-August 2020.   MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69(43):1569-1570.

4) Chang  S, Pierson  E, Koh  PW,  et al.  Mobility network models of COVID-19 explain inequities and inform reopening.   Nature. 2021;589(7840):82-87.

5) Mahale  P, Rothfuss  C, Bly  S,  et al.  Multiple COVID-19 outbreaks linked to a wedding reception in rural Maine: August 7-September 14, 2020.   MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69(45):1686-1690. doi:10.15585/mmwr.mm6945a5

6) Fisher  KA, Tenforde  MW, Feldstein  LR,  et al.  Community and close contact exposures associated with COVID-19 among symptomatic adults 18 years in 11 outpatient health care facilities: United States, July 2020.   MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69(36):1258-1264.

7) Hobbs  CV, Martin  LM, Kim  SS,  et al.  Factors associated with positive SARS-CoV-2 test results in outpatient health facilities and emergency departments among children and adolescents aged <18 years: Mississippi, September-November 2020.   MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69(50):1925-1929.

8) Grantz  KH, Meredith  HR, Cummings  DAT,  et al.  The use of mobile phone data to inform analysis of COVID-19 pandemic epidemiology.   Nat Commun. 2020;11(1):4961. doi:10.1038/s41467-020-18190-5