COVID-19関連追加(2021314日)

当院HP関連ファイル:

20201222

20201228

202111-2

【英国変異株の死亡リスクについて】

Challen R, et al. Risk of mortality in patients infected with SARS-CoV-2 variant of concern 202012/1: matched cohort study. BMJ 2021; 372

https://doi.org/10.1136/bmj.n579.

(Published 10 March 2021)

Background

202012月に懸念のある変異株(variant of concern)に指定されたSARS-CoV-2の新しい変異株(VOC-202012/1)に感染した場合,循環しているSARS-CoV-2変異株と比較して,感染による死亡率に変化があるかどうかを確認することを目的とした.

Methods

Design: matched cohort studySetting: TaqPathアッセイ(VOC-202012/1感染のプロキシ指標)を用いた英国の地域社会ベース(pillar 2)のcovid-19検査センター.

Participants: 2020101日〜2021129日においてpillar 2SARS-CoV-2陽性反応を示した参加者のmatched pairs 54906組を,2021212日までフォローアップした.参加者は,年齢,性別,民族,多重剥奪指標,下層地方自治体地域(lower tier local authority region),陽性検体採取日でマッチさせた.そして唯一TaqPathアッセイを用いたスパイクタンパク遺伝子の検出のみが異なっていた.

Main outcome measure: 最初のSARS-CoV-2検査が陽性であった日から28日以内の死亡

Results

全体では,2020101日〜2021128日に,患者941518人(> 30歳)がTaqPathアッセイで1回陽性となった(Figure 1).この中から,年齢,検体採取日(サンプル日),性別,民族,地理的位置,多重剥奪指標(index of multiple deprivation)が少なくとも他の1人の個人とマッチし,S遺伝子の状態のみが異なる214082人が特定された.特徴的な人を確実に表現するために,これらのペアをサンプリングし,結果としてS遺伝子陽性54906人,S遺伝子陰性54906人の平均を含む,50 複製replicatesであった.すべての人は,最初の陽性反応が出てから最低でも14日間はフォローアップされ,85%を超える症例が全28日間にわたってフォローされた(詳細はsupplementary file参照).これら109812人のうち,367人(平均して50 複製replicatesを超える)が,covid-19検査結果が陽性となってから28日以内に死亡した(0.3%)(Table 1).マッチングとサンプリングのプロセスは、考慮されたすべての個人的/地理的変数を十分にコントロールしていることが観察された(マッチングと報告の規模の違いによるわずかなミスマッチはある).年齢のマッチングに5歳の許容範囲を設けた場合,試験群間の平均差は0.0歳であった.また検体採取日のマッチングに1日の許容範囲を設けた場合,平均0.2日の差が観察された(S遺伝子陰性の検体はS遺伝子陽性の検体よりも遅く採取されている).

Table 1:

 

 

Figure 1: Sample selection algorithm showing average figures for numbers of participants in each study arm.

マッチングは無作為に抽出し,50 複製replicatesを作成した.複数の理由で除外された症例もある.

死亡した参加者のサブセットは,過去にも報告されているように21),全体的に年齢が高く(平均66.9 vs 46.3歳),男性の割合が高かった. 症例,死亡ともに,イングランドの南西部と東部で少なかったが,これらの地域ではTaqPathアッセイが最近使用されたばかりで,S遺伝子の状態が報告されていなかった.

S遺伝子陰性群における54906人のうち,平均227人が死亡したのに対し,S遺伝子陽性群における54906人のうち141人が死亡した(ハザード比 1.64, 95%CI 1.32-2.04; P <0.001Table 2S遺伝子陰性者とS遺伝子陽性者の死亡率は,14日後から発散していたFigure 2.そのため,ハザード比は時間経過とともに一定ではなかったので,Coxモデルの比例ハザードの仮定から逸脱(violation)していた.この点についてはさらに検討したが(supplementary file参照),この逸脱は,0日目〜14日目までのハザード比と,15日目〜28日目までのハザード比を考慮することで修正できる可能性がある.最初の期間のハザード比は有意に増加しなかったが,1528日目のハザード比は2.401.66-3.47)であった

Table 2:

 

 

Figure 2: Kaplan-Meier survival curve for S gene positive (previously circulating variants) and S gene negative (new variant VOC-202012/1) participants in the UK.

両群ともに死亡率が低いため,Y軸は切り詰められている.

 

matched cohortデザインは,患者を個人的特徴,地理,検査時期でペアにすることにより,病院のキャパシティの違いなど,潜在的なバイアスのほとんどをコントロールする.その他,さらに存在する可能性のあるバイアスについても調査した.バイアスの1つの可能性は,S遺伝子陰性者とS遺伝子陽性者の検査受診のタイミングの違いであり,例えば,S遺伝子陽性者は受診が早く,それゆえ,進行が遅いように見える.入院データは,最終的に死亡した患者についてのみ入手可能であったが,検査から入院までの時間に非対称的な遅れがあるという証拠はなかった(Figure 3.国家統計局もこの点を調査し,S遺伝子陰性の患者は,検査受診がより早くなる可能性を明らかにした22)

 

 

Figure 3: Investigation of biases in S gene positive and S gene negative study arms.

 

この研究におけるペア症例は,時間とともに拡散しているが,202012月末〜20211月初旬に集中している(Figure 3).この期間にS遺伝子陽性に対するS遺伝子陰性の割合が変化したため,マッチングの大部分はS遺伝子陽性変異株からS遺伝子陰性変異株に優位性が移行し,初期にはS遺伝子陰性者をS遺伝子陽性相当者(equivalents)にマッチングさせるのが相当(comparatively)難しく,後期にはS遺伝子陽性者をS遺伝子陰性相当者にマッチングさせるのが難しかった(supplementary file参照).

N遺伝子のCt値(Cycle thereshold)は,S遺伝子陰性者の方が,S遺伝子陽性者よりも低く,この効果は死亡した参加者で増強されていた(Table 1, Figure 3).N遺伝子のCt値が低いということは,サンプリング時の参加者のウイルス量がより多いことを意味していた.死亡率の高さは,VOC202012/1変異の本質的な特性により,S遺伝子陰性者のウイルス量レベルが高いことと関連している可能性がある.あるいは,まだ知られていない何らかの理由で感染力(infectiousness)がピークに達していたS遺伝子陰性者に対しての検査のタイミングを示している可能性もある.このように,N遺伝子のCt値は,バイアスを示しているとも,あるいはS遺伝子陰性の感染の特徴とも考えられる.これをバイアスの原因と解釈した場合,Cox比例ハザードモデルでは,N遺伝子のCt値をコントロールすることができ(Table 2, second model),S遺伝子陰性の場合,ハザード比は1.3795%CI 1.09-1.72)となる.S遺伝子陰性感染の生物学的特徴であるウイルス量の増加を考慮しないとしても,ハザード比の残留増加は,ウイルス量だけでは説明できない死亡率の影響を意味する

Sensitivity analysis:

特定の遺伝子を同定するためのCt値を下げた場合,ハザード比の中央推定値は減少することが観察された(Figure 4)ように,遺伝子陽性の定義に用いたCtカットオフ値は,ハザード比の中央推定値に軽度の影響を与える.より低いCt値によって,特定のS遺伝子陽性/陰性の結果数が減少し,あいまいな結果数が増加(これらの結果はその後の解析から除外された)し,結果的に全体の症例数が減少した.Ct30未満で定義されたS遺伝子陽性の患者では,Ct値が一般的により高かったことを考えると,Ctカットオフ値のさらなる低下は,”曖昧な”より軽症であるS遺伝子陰性患者ではなく,S遺伝子陽性患者の再分類と関連する傾向がある.このことは,Ctカットオフ値を下げたことによるハザード比の減少が小さいことの説明になる可能性がある.Ctカットオフ値を30にすると,ハザード比の有意ではないわずかな増加が観察された.ほとんどの検査室がこの値を標準的なCtカットオフ値として使用しているため,これを中央推定値として選択した.

Figure 4: Sensitivity analyses.

赤色のバーは,のデフォルトの仮定(Ct <30; 年齢の許容範囲±5; サンプル日の許容範囲±1日)を示す.

 

患者をコホートにマッチングする時,より大きなミスマッチを許容すると,関連するハザード比の推定値に小さな変化が生じた.S遺伝子陰性者とS遺伝子陽性者の間の年齢に対するミスマッチの影響は,系統的なバイアスにはならず,両試験群間の平均年齢差は0.005歳未満であった(Figure 4.年齢はcovid-19において死亡率の強力な予測因子であることが確認されており,潜在的なバイアスが予想された; これはハザード比の計算に年齢を共変量として含めることでコントロールされている(Table 2).

S遺伝子陽性患者とS遺伝子陰性患者のサンプル日の不一致が大きくなると、ハザード比の希釈(dilution)が観察された(Figure 4研究期間中の有病率がS遺伝子陽性からS遺伝子陰性へ優位性が変化したため,サンプル日のミスマッチの程度を増やすと,S遺伝子陰性患者は一般的にS遺伝子陽性患者よりも後に確認されるという,最初の陽性検査結果の日付において系統的なペアワイズバイアス(systematic pairwise bias)が生じた(Figure 4.研究期間中に症例数が指数関数的に増加したことを考えると,研究期間中に病院のキャパシティが一般的に悪化したため,これが全体の結果に影響を与えた可能性がある.これを避けるために,本研究では,サンプル日の許容範囲を最小限にした(これは,厳格なマッチング基準によって生じる症例数の減少によって導かれる分散に対するバイアスの減少とトレードオフになる).

調査した組み合わせの違いにもかかわらず,すべての研究でVOC-202012/1に関連した死亡リスクの統計的に有意な増加が報告され,それは現実の影響があることが示唆され,ほとんどの中央推定値は1.5-1.7の範囲内であったsupplementary fileでは,その他の潜在的共変量について述べている.

Discussion

新しい変異株であるVOC-202012/1S遺伝子陰性で測定)による感染は,地域社会でcovid-19が陽性となった人の死亡リスクの増加(P <0.001)と関連していたハザード比の増加は1.32-2.04で,他の変異株よりも高く,32%104%の死亡リスクの増加に相当し,最も確率の高いハザード比の推定値は1.64,すなわち64%の死亡リスクの増加であった.しかし,この地域社会の参加者における絶対的な死亡リスクは,1,000例あたり2.5人から4.1人の増加であり,相対的に低いままである.

matched cohort approachを用いる際には,我々はいくつかのバイアスをコントロールした.特に,死亡率は,病院で集中治療を必要とする患者の数に影響される14); 研究期間(2020101日〜2021212日)に患者数が増加したことに加え,covid-19感染によるスタッフの欠勤や感染者との接触による隔離により,病院業務に大きな負担がかかり,患者に対するスタッフの比率が低下した.スタッフの欠勤が死亡率に影響を与えているかもしれない.そしてそれはバイアスの原因となる可能性がある.本研究では、患者を管理区域と陽性反応が出た時間(1日以内)でマッチングさせることで,この問題をコントロールした.これにより,ペアは同じ場所と時間で治療を受けることになり,同様のレベルの治療を受けることになる.年齢に関連した死亡率は,年齢(5年以内)でマッチングすることでコントロールしているが,それはCox比例ハザードモデルによってもコントロールしている.

本研究は地域社会ベースの研究であるため,病院の患者のS遺伝子の状態に関する情報はない.今回のデータセットにおける地域社会ベースの検査(pillar 2)は,病院ベースの検査(pillar 1)で検出された患者よりも年齢層が低く,したがって重症度も低い.地域社会で検出された患者の死亡は,病院で検出された患者の死亡と比較して,かなり稀な結果である.今回の研究では,この期間中に発生した全死亡例の約8%しか含まれていない.コロナウイルスによる死亡例のうち,約26%が地域社会で検出された患者で発生しており,S遺伝子の状態に関するデータは30%しか得られていない23)地域社会ベースの検査による死亡率の増加が,高齢者や入院患者にも認められるかどうかは,まだ明らかではない

我々は,選択バイアスを排除することはできない.地域社会での検査は,大部分が自己選択されたものであり,あるいは接触者の追跡によって行われている.症状のないS遺伝子陰性感染者が,S遺伝子陽性感染者よりも高い割合で検出されなかった場合,バイアスの可能性が残る.この場合、VOC-202012/1に感染した患者は,発見された時点で疾患がより進行しており,見かけ上の死亡率が高くなる可能性がある.このことは,S遺伝子陰性者で観察されたN遺伝子Ct値の低下と一致する可能性がある.今回の解析や,症状のある患者を対象とした後ろ向き研究では,これを検出することはできないが,初期の調査データによると,S遺伝子陰性感染者は,どちらかというと検査に来る可能性が高いことが示唆されている22).この潜在的なバイアスに対処するためには,S遺伝子が陰性または陽性の参加者の無症候性感染を検出できる研究デザインが必要である.

リスクの増加の一部は,併存疾患によって説明できる.しかし,我々が分析したデータでは,併存疾患に関する情報は得られなかったが,年齢,民族,多重剥奪指標のマッチングにより,この点は部分的にコントロールされるだろう.現在のところ,特定の併存疾患を持つ人がある変異株に感染し,別の変異株には感染しないというメカニズムを示す証拠はない.しかし,特定の併存疾患を持つ人は,VOC-202012/1に感染するリスクが高く,死亡率が高い可能性がある.この場合,VOC-202012/1のみに起因するハザード比は減少する傾向にある.

我々の暫定的なハザード比の推定値は1.9195%CI 1.35-2.71)で,今回発表された推定値よりもわずかに高く,不確実性を持っている23)24).これは,研究期間が短く,フォローアップが限られている,より厳密にマッチしていない66208人におけるS遺伝子陰性患者の死亡数94人とS遺伝子陽性患者の死亡数49人に基づいている.今回の新しい変異株のアウトブレイクに伴い,より多くのデータが得られるようになったため,ミスマッチの許容範囲を狭め,研究期間を延長し,フォローアップが完了した患者の割合を増やすことで,より正確な中央推定値を得ることができた.この研究のデザインは,かなり少数の患者を対象としているにもかかわらず,死亡リスクが増加しているかどうかを公平に判断するのに適している.ペアになっていないサンプルを用いた他の研究デザインでは,バイアスの可能性はあるものの,リスクの絶対的な増加をより正確に定量化できるかもしれない25).最近行われた他の研究でも,同様のハザード比の増加が推定されている.これらの研究では,同じ地域社会ベースの検査データを使用しているが,研究デザインと分析デザインが異なる.これらの研究の暫定的な結果は,死亡率のハザード比の点推定値(1.3-1.65)に互換性があり,これらの研究の信頼区間は今回説明したものと重なっている23).我々の研究と同様に,これらの他の推定値は,より多くのデータが取得されるにつれて継続的に再評価されており,その後の更新でいくつかの推定値が上方修正されている26)

Conclusions

VOC-202012/01の感染により死亡リスクが増加する可能性は高い.この所見が他の集団に一般化されるならば,VOC-202012/1への感染は,以前に流通していた変異株と比較して,かなりの死亡率の上昇を引き起こす可能性がある.

 

References

14) Wilde H, Mellan T, Hawryluk I, et al. The association between mechanical ventilator availability and mortality risk in intensive care patients with COVID-19: A national retrospective cohort study.medRxiv2021;01.11.21249461. d

oi:10.1101/2021.01.11.21249461

15) PHE reporting of COVID-19 deaths: technical summary – 12 August 2020. 2020;15. https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/916035/RA_Technical_Summary_-_PHE_Data_Series_COVID_19_Deaths_20200812.pdf

16) Seaman S, Samartsidis P, Kall M, et al. Nowcasting CoVID-19 Deaths in England by Age and Region.medRxiv2020;09.15.20194209doi:10.1101/2020.09.15.20194209.

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22) Steel K, Davies B. Coronavirus (COVID-19) Infection Survey: characteristics of people testing positive for COVID-19 in England, 27 January 2021. Office for National Statistics www.ons.gov.uk/peoplepopulationandcommunity/healthandsocialcare/conditionsanddiseases/articles/coronaviruscovid19infectionsinthecommunityinengland/characteristicsofpeopletestingpositiveforcovid19inengland27january2021

23) Horby P. NERVTAG note on B.1.1.7 severity. NERVTAG

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/955239/NERVTAG_paper_on_variant_of_concern__VOC__B.1.1.7.pdf

(accessed 31 Jan 2021).

24) Iacobucci G. Covid-19: New UK variant may be linked to increased death rate, early data indicate. BMJ2021;372:n230. doi:10.1136/bmj.n230 pmid:33500262

25) Brazauskas R, Logan BR. Observational Studies: Matching or Regression?Biol Blood Marrow Transplant2016;22:557-63. doi:10.1016/j.bbmt.2015.12.005 pmid:26712591

26) NERVTAG. Update note on B.1.1.7 severity, 11 February 2021. GOV.UK. www.gov.uk/government/publications/nervtag-update-note-on-b117-severity-11-february-2021(accessed 14 Feb 2021).

 

 

 

 

 

 

COVID-19関連(2021314日)英国株の死亡率に316日追記しました

SARS-CoV-2 B.1.1.7系統の地域社会検査症例における死亡率の上昇】

Davies NG, et al. Increased mortality in community-tested cases of SARS-CoV-2 lineage B.1.1.7. Nature. Published. Mar 15, 2021.

https://doi.org/10.1038/s41586-021-03426-1.

Abstract

20219月に英国で初めて検出されたSARS-CoV-2B.1.1.7系統は,世界の複数の国に広がっている1).いくつかの研究により,B.1.1.7は既存の変異株よりも感染伝播力が高いことが確認されているが,それが疾患重症度の変化につながるかどうかは明らかになっていない2).ここでは,202091日〜2021214日までイングランドにおける2,245,263件のSARS-CoV-2コミュニティ検査陽性者と17,452件のCOVID-19死亡例を結びつけたデータセットを分析した.これらの検査のうち1,146,534件(51%)については,この系統の変異がスパイク遺伝子ターゲットのPCR増幅を妨げるため(S gene target failure, SGTF1),B.1.1.7の有無を特定できる.SGTFの状態が判明している 4,945件の死亡例に基づき,年齢,性別,民族,貧困,介護施設での居住,居住地の地方自治体,検査日で調整した結果,SGTFに関連する死亡ハザードは55%95%CI 39-72%)高くなると推定されるこれは,地域社会検査で陽性となった後28日以内に,5569歳の男性の絶対死亡リスクが,0.6%から0.9%(95%CI 0.8-1.0%)に上昇することに相当するSGTF誤分類とSGTFの状態の見逃しを補正すると,B.1.1.7に関連する死亡ハザードは61%42-82%)高くなると推定される.今回の解析では,B.1.1.7は既存のSARS-CoV-2変異株よりも感染力が高いだけでなく,より重篤な疾患を引き起こす可能性があることが示唆された.

 

 

Figure 1:

a)本解析の対象期間である2020111日〜2021214日までの日別のSGTFあり/なしの検体数.b)分析に含まれる検体日別の陽性反応から28日以内に死亡した数.c)SGTFが測定されたサブセットにおいて,イングランドの地域社会で検査を受けた人の生存(95%CI)を示すKaplan-Meierプロット.挿入図はY軸の全範囲を示している.d-i)幅広い年齢層,および(d)性別,(e)居住地,(f)民族,(g)多重剥奪指標,(h)NHSイングランド地域,(i)検体採取日,によって層別した,検査陽性から28日以内の死亡についての,SGTF症例 vs SGTF症例における粗死亡率(点推定値および95%CI).横棒は,SGTFの有無にかかわらず,年齢層別の全体の粗死亡率(95%CI)を示す.