COVID-19関連追加(2021320日)

Oxford-AstraZenecaワクチンについてその3

当院HP関連ファイル:

202129

2021214日(当論文のプレプリント)

2021226

ChAdOx1 nCoV-19ワクチンを2回接種しても,B.1.351変異株に対して軽症〜中等症Covid-19の予防効果は認められない】

Madhi SA, et al. Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant. N Engl J Med. Mar 16, 2021.

https://doi.org/10.1056/NEJMoa2102214.

Introduction

Covid-19を予防するワクチンの開発は,かつてないほどのスピードで進んでいる1)-4)SARS-CoV-2の構造表面糖タンパク質抗原の配列を含む複製欠損チンパンジーアデノウイルスベクターであるChAdOx1 nCoV-19は,異なるプラットフォームに基づく6種類のCovid-19ワクチンのうちの1つであり5)-11), 最近では,さらに2種類のワクチンの有効性が報告されている12)13)

一方,SARS-CoV-2スパイク遺伝子には,受容体結合ドメイン(RBD: receptor-binding domain)とN末端ドメイン(NTD: N-terminal domain)に変異が蓄積されている14)15)

これらのドメインは,ワクチンによって引き起こされる抗体反応の主要な標的である.RBD変異には,アンジオテンシン変換酵素2ACE2)受容体に対するSARS-CoV-2の親和性を高めるN501Y変異が含まれている16).一方,E484KK417NRBD変異やNTDの変異は,中和抗体逃避に関連している17).英国で初めて確認されたB.1.1.7N501Y.V1)系統には,N501Y変異が含まれており,伝播性が53%増加することが示されている18).感染やB.1.1.7変異株に対するmRNAワクチンによる中和抗体活性は,大きな影響を受けない19).しかし,英国では,B.1.1.7変異株にE484K変異が加わっている20)

南アフリカで初めて確認されたB.1.351N501Y.V2)系統には,3つのRBD変異に加え,5つのNTD変異が追加されている14)15).プロトタイプ系統のウイルスに感染した回復期のドナーから採取した中和抗体に対するB.1.351の感受性をスパイク疑似ウイルス中和アッセイで評価したところ,血清サンプルの48%B.1.351を中和できず,残りは中和力価が1/31/86に低下した21).この結果は,活性化ウイルス中和アッセイ(live-virus neutralization)でも支持され,抗体活性の低下は1/6からB.1.351変異株の完全なノックアウトにまで及んだ14).ブラジルでは,E484KK417N,およびB.1.351NTD変異を含むSARS-CoV-2P.1)の別の独立した系統が確認されている22)23)

B.1.351P.1の変異株が出現する前に,英国,ブラジル,南アフリカで行われたChAdOx1 nCoV-19ワクチンの有効性に関するプール解析では,全体のワクチン有効性は66.7%95.8%信頼区間[CI], 57.4-74.0)と報告されている24).最近,英国で行われたChAdOx1 nCoV-19ワクチンのB.1.1.7変異株に対する有効性の解析では,74.6%95%CI, 41.6-88.9)であった25)

ここでは,南アフリカで実施された多施設共同第1b-2相試験の結果を報告する.この試験では,ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの安全性,免疫原性,および症候性Covid-19の予防効果を評価している.今回の中間解析では,安全性を評価する主要目的(primary objective)およびB.1.351変異株を含むウイルスに対してのワクチン有効性を評価する主要副次目的(primary and key objectives)に限定する.さらに,ChAdOx1 nCoV-19の免疫原性と,オリジナルのD614GウイルスおよびB.1.351変異株のワクチンが誘発する抗体に対する感受性について,事後(post hoc)の疑似ウイルスおよび活性化ウイルス中和アッセイを行ったことを報告する.

Methods

南アフリカで,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していない人を対象に,ChAdOx1 nCoV-19 ワクチン(AZD1222)の安全性と有効性を評価するため,多施設共同二重盲検無作為化対照試験を実施した.18歳〜65歳未満の参加者を,5×1010個のウイルス粒子を含むワクチンまたはプラセボ(0.9%塩化ナトリウム溶液)を2135日間隔で2回接種するよう11の割合で割り付けた.2回目接種後に25人の参加者から得られた血清サンプルを,オリジナルのD614GウイルスとB.1.351変異株に対する疑似ウイルス中和アッセイと活性化ウイルス中和アッセイで検査した.主要評価項目は,2回目接種から14日を超えて経過した症候性Covid-19確定症例に対するワクチンの安全性と有効性であった

Results

PARTICIPANTS:

2020624日〜119日にかけて,7つの施設で3022人をスクリーニングし,2026人のHIV陰性者を試験に登録した.ワクチンまたはプラセボを接種しなかった5人を除くすべての参加者を安全性解析に含めた.登録を開始した時期は,南アフリカにおけるCovid-19の第1波のピークと一致していた(Figure S2).全体として,1010人の参加者がワクチンを接種し,1011人がプラセボを接種した(Figure 1血清陰性の参加者1467人(ワクチン群750人,プラセボ群717人)が主要有効性解析の対象であった; 除外理由をFigure 1に示した

 

 

Figure 1: Enrollment of Participants, Randomization, Vaccine or Placebo Administration, and Follow-up.

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参加者の年齢中央値は30歳で,56.5%が男性,人種分布はアフリカ系黒人が70.5%,白人が12.8%,混血が14.9%であった.参加者の19%が肥満(BMI, 30-39.9で,42.0%が喫煙者,基礎疾患として,2.8%が高血圧,3.1%が慢性呼吸器疾患を持っていた.投与間隔の中央値は28日で,追跡期間の中央値は,登録から156日,2回目のワクチンまたはプラセボの接種から121日であった(2021115日時点).ベースラインの血清反応陰性集団の人口統計特性は,全集団と同様であった(Table 1).

Table 1: Baseline Characteristics of the Overall Population Contributing to the Safety Analysis and of the Population Contributing to the Primary Efficacy End Point Analysis.

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SAFETY:

局所および全身の反応性データは,Figure S3S4に示した.有害事象および重篤な有害事象の発生率は,ワクチン接種者とプラセボ接種者で同様であった(Table S3, S4ChAdOx1 nCoV-19ワクチンに起因する唯一の重篤な有害事象は,1回目の接種後に40℃を超える発熱であった; 発熱は24時間以内に収まり,2回目の接種後には反応原性は認められなかった.その他の事象はすべて,接種した注射とは無関係,あるいは関係がある可能性は低いと考えられた.

IMMUNOGENICITY:

ChAdOx1 nCoV-19ワクチンに対する液性応答(humoral response)では,初回接種後28日で強い中和抗体が誘導され(幾何平均力価, 132; IQR, 20-404),2回目の接種でさらに上昇した(幾何平均力価, 277; IQR, 124-526)(Figure 2A, Table S5).

グループ1(安全性解析の部分として実験測定値も評価された70人のグループ)には,登録時にSARS-CoV-2血清陰性で,2回目の接種後14日の時点で,オリジナルのD614Gウイルスに対する中和抗体活性を持っていた25人の参加者がいた.2回目の接種から14日後に得られたこれらの参加者の血清サンプルにおいて,さらに疑似ウイルスおよび活性化ウイルスアッセイを用いて,B.1.351変異株に対する中和活性を検査した.データの盲検化を解除したところ,血清25サンプルのうち6サンプルは,追跡期間中にオリジナルのSARS-CoV-2(南アフリカでB.1.351変異株が出現する前のもの)に感染した可能性のあるプラセボ接種者から得られたものであることが判明した.さらに,核酸増幅法による検査の結果,ワクチン接種者のうち6人も,2回目の接種後14日までにSARS-CoV-2に感染していた.過去のSARS-CoV-2感染歴のないワクチン接種者13人のうち6人(46%)は,RBD三重変異疑似ウイルス(RBD triple-mutant pseudovirus)(K417NE484KN501Y変異株を含む)に対する中和活性を示さず,13人のうち11人(85%)はB.1.351疑似ウイルスに対する中和活性を示さなかった(Figure 2B

幾何平均力価は,オリジナルウイルスに対する297から,RBDのみの変異に対する85B.1.351変異株に対する74まで低下した.核酸増幅検査で疾患が確認された(B.1.351が出現する前)ワクチン接種者は,疾患が確認されなかった参加者と同様の結果を示した(Figure S6).SARS-CoV-2感染したプラセボ接種者のサンプルも同様に中和活性が低く,RBD三重変異疑似ウイルスとB.1.351変異株に対する残存力価(residual titers)は100未満(または検出不能)であった(Figure 2B

活性化ウイルスアッセイでは,疑似ウイルスアッセイに比べて全体的に中和が低かった(Figure 2C).追跡調査前または追跡調査中に過去のSARS-CoV-2感染の証拠がないワクチン接種者13人のうち,1人はB.1.1およびB.1.351に対する中和活性が検出されなかった.B.1.1に対する中和活性を持っていた12人のうち7人(58%)は,B.1.351変異株に対する中和活性が検出されず,残りの5名は1/4.11/31.5と低い中和活性を示した(Figure 2C.疑似ウイルス中和アッセイと同様に,核酸増幅検査で疾患が確認された6人のワクチン接種者は,疾患が確認されなかった参加者と同様の結果を示した(Figure S6B,薄い灰色の点).最近SARS-CoV-2に感染した6人のプラセボ接種者では,全員がB.1.1変異株の中和を示したが,B.1.351変異株に対する中和活性は2人で検出されず,3人では中和が1/6.01/9.5に低下し,1人では変化を認めなかった(Figure2C

重症疾患からの防御におけるT細胞の重要性26)を考慮して,スパイク特異的T細胞の拡大(expansion of spike-specific T cells)をT細胞受容体可変β鎖シークエンス(T-cellreceptor variable beta-chain sequencing)で評価した英国のChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種者17人のデータを掲載した(Supplementary Appendix参照).ChAdOx1 nCoV-19ワクチンは,スパイクタンパクの特異的エピトープに対するCD4+およびCD8+Tリンパ球の拡大(expansion)を惹起したシーケンスによって同定されたスパイク特異的抗原87個のうち75個はB.1.351変異による影響を受けないままであった注目すべきは,B.1.351変異株に見られるD215G変異が,T細胞抗原反応が支配的な領域内にあることである(Figure S7

Figure 2: Pseudovirus and Live-Virus Neutralization Assay Findings.

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VACCINE EFFICACY:

Covid-1942人はすべて,軽症(ワクチン接種者15人,プラセボ接種者17人)または中等症(ワクチン接種者4人,プラセボ接種者6人)と判定された; いずれの群でも重症あるいは入院はなかった過去に血清陰性であった参加者のうち,2回目の接種から14日を超えて経過した時点で軽症〜中等症Covid-19が確認された発生率は,プラセボ群で93.6/1000人年,ワクチン群で73.1/1000人年であり,ワクチンの有効性は21.9%95%CI, 49.9-59.8)であったTable 2, Figure 3同様に,無作為化前または無作為化時に核酸増幅検査で反応がなかった者のうち,2回目の接種から14日を超えて経過した軽症〜中等症Covid-19の発生率は,プラセボ群(81.9/1000人年)とワクチン群(73.2/1000人年)で差がなかった; ワクチンの有効性は10.6%95%CI, 66.4-52.2)であった(Table S6

鼻腔ぬぐい液42サンプルのうち41サンプル(97.6%)のシーケンスに成功した; 39サンプル(95.1%)がB.1.351変異株,2サンプル(4.9%, いずれもプラセボ群)がB.1.1.1およびB.1.144系統に起因するものであった(Figure S8).系統分類の詳細についてはSupplementary Appendixを参照されたい.副次評価項目の解析では,B.1.351に対する有効性は明らかではなかった(ワクチンの有効性, 10.4%; 95%CI, 76.8-54.8Table 2

その他の副次評価項目および探索的有効性評価項目の解析結果は,Table S6に詳述されている.初回接種から14日を超えて経過したあらゆる重症度のCovid-19に対するワクチン全体の有効性は,33.5%95%CI, 13.4-61.7)であった.また,Table S6には,1回目と2回目の接種後のあらゆる症候性または無症候性SARS-CoV-2感染に対する有効性の推定値が示されている; 有効性の推定値の差は有意ではなく,軽症〜中等症Covid-19の推定値と同様であった.

20201031日までの単回接種から14日を超えて経過した時点でのワクチンの有効性を,non-B.1.351変異株感染の代用とした事後解析では(Figure S115)27),初回接種から14日を超えて経過した時点での軽症〜中等症Covid-19の全体的な発病率は,プラセボ接種者で 1.3%,ワクチン接種者で0.3%であり,ワクチンの有効性は 75.4%95%CI, 8.7-95.5)であった(Table S8).20201031日までに発生した評価項目を対象とした他の事後解析でも,同様の有効性の推定値が観察された.

Table 2: Vaccine Efficacy against Mild-to-Moderate Symptomatic Covid-19 Confirmed by Nucleic Acid Amplification Test.

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Figure 2: Kaplan–Meyer Plot of ChAdOx1 nCoV-19 Vaccine Efficacy against Symptomatic Covid-19 Illness of Mild or Moderate Severity after Two Doses, as Compared with Placebo.

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Discussion

この試験では,ChAdOx1 nCoV-19ワクチンを2回接種しても,B.1.351変異株に対して軽症〜中等症Covid-19の予防効果は認められなかった重症Covid-19で入院した症例は観察されなかったB.1.351変異株に対する有効性の欠如は,南アフリカでB.1.351変異株が出現する前に観察された,ChAdOx1 nCov-19ワクチン単回接種後14日を超えて発症する軽症〜中等症Covid-19の予防効果が75%95%CI, 8.7-95.5)であった背景において考慮すべきである.なお,B.1.351変異株によるCovid-19の予防効果は副次解析で推定された;本試験は,変異株の有無にかかわらず,あらゆる重症度のCovid-19を予防するワクチン効果が少なくとも60%であることを主要目的として検出力がある.さらに,登録された参加者の人口統計および臨床的プロファイルは,重症Covid-19症例がなかったことに寄与している; したがって,ChAdOx1 nCov-19ワクチンが,B.1.351変異株の感染によって引き起こされる重症Covid-19を予防できるかどうかについては,この試験結果は決定的ではない

しかし,疑似ウイルスおよび活性化ウイルスによる中和アッセイ実験では,B.1.351変異株に対するワクチンによって誘発された抗体の中和が減少または消失したことが示された.in vivoでの有効な中和抗体反応を損なう減衰の程度は不明であるが,活性化ウイルス中和アッセイで測定したワクチン接種者におけるB.1.351に対する中和の最高程度は1:20希釈であり,疑似ウイルス中和アッセイで測定したB.1.351に対する最高残存力価は1:200未満であった.RBD三重変異とB.1.351変異株を疑似ウイルス中和アッセイで比較すると,すべてではないが,ワクチンによって誘発された中和の多くがRBDに向けられていることが示唆された.Covid-19発生の第1波後に自然感染で誘導された抗体では,B.1.351変異株に対する中和活性が同様に失われていることが報告されている14)

我々の試験において,ChAdOx1 nCoV-19ワクチンを接種した人の疑似ウイルス中和アッセイで判定されたオリジナルSARS-CoV-2ウイルスに対する反応は,英国とブラジルで実施された試験のワクチン接種者の反応と同様であった(Figure 2A, Table S5).B.1.351(およびP.1)と類似した変異を持つ変異株によって,他のCovid-19ワクチンの有効性がどの程度影響を受けるかは,ワクチン接種によって誘導される中和抗体の大きさに依存する可能性がある.ChAdOx1 nCov-19ワクチンの1回目と2回目の接種間隔を長くすることで抗体反応が高まるかどうかは,他にも記載されている通り17)24),今回の試験で観察されたB.1.351変異株に対する残存中和活性よりも優れた中和活性をもたらすかどうかは不明である

mRNA Covid-19ワクチンの初回接種後の中和抗体活性は中程度だが,2回目の接種後の中和活性は,ChAdOx1 nCoV-19ワクチンや異種混合ワクチンである(heterologous)スプートニクV(アデノウイルス-26ベクターの次にアデノウイルス-5ベクター)Covid-19ワクチンの中和活性よりも大きく上昇する5)6)9).また,B.1.351変異株に対する2種類のmRNAワクチンの中和活性は,D614Gウイルスに対する活性と比較して,疑似ウイルス中和アッセイで1/8.6mRNA-1273ワクチン[Moderna])または1/6.5BNT-162b2ワクチン[Pfizer])と低いことが観察されているが,一方N510Y.V1B.1.1.7)様変異に対する違いは認めなかった19)28)29)

プレスリリースに記載されているNVX-CoV2373ナノ粒子スパイクタンパクCovid-19ワクチン(Novavax)の最近の中間解析の結果はまだ発表されていないしかし,このワクチンは,B.1.351変異株に対する有効性が,オリジナルウイルスやB.1.1.7変異株に対する有効性よりも低い可能性が示唆されている12).オリジナルのウイルスやB.1.351または他の変異株によるCovid-19に対する防御の相関関係が確立されていないため,軽症〜中等症Covid-19に対する他のCovid-19ワクチンの有効性の臨床的証拠が必要とされている.

南アフリカを含む最近の別の多国籍研究では,Ad26.COV2.S非複製アデノウイルス26型ワクチン(Janssen)の単回投与の有効性が評価された.南アフリカでの中間報告では,主にB.1.351変異型に起因する中等症〜重症Covid-19に対して57%,重症Covid-19に対して89%のワクチン効果が報告されている13)ただし,Ad26.COV2.Sワクチンの研究では,少なくとも3つの症状がある患者の核酸増幅検査で確認された症例のみが評価項目の判定とされている30); ワクチンの有効性の解析では大部分の症例が除外されている可能性がありうる.なお,Ad26.COV2.Sワクチンの免疫原性は,1回目と2回目の接種後のChAdOx1 nCoV-19ワクチンの免疫原性と同様である13)31)B.1.351変異株に対してAd26.COV2.Sワクチンによって誘発される中和抗体反応はまだ報告されていない.

抗体反応とワクチンの効果の相関性は高く,中和抗体反応が重要であることが示唆されているが,中和抗体力価が低くてもT細胞反応がCovid-19からの防御に寄与している可能性がある32)今回報告された事後解析では,ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後に拡大したスパイク特異的T細胞では,B.1.351変異株の認識において抗原とエピトープの大部分がそのまま残っていることがわかった

現在,B.1.351およびP1様変異株を標的とした第二世代のCovid-19ワクチンの開発が進められているが,2021年の大部分で入手できる可能性のあるCovid-19ワクチンは,オリジナルのウイルスを標的としたものだけである.ChAdOx1 nCoV-19は,現在承認されているCovid-19ワクチンの中で最も入手しやすいワクチンの一つであり33)34)2021年中に約30億回の製造が予想され,最もコストがかからない35).また,ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの有用性については,B.1.351変異株36)の世界的な広がりと地域社会での感染伝播の進行,および同様の変異を含む他のSARS-CoV-2系統の進化との関連で検討する必要がある.

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28) Muik A, Wallisch A-K, Sänger B, et al. Neutralization of SARS-CoV-2 lineage B.1.1.7 pseudovirus by BNT162b2 vaccine-elicited human sera. Science 2021 January 29 (Epub ahead of print).

29) Liu Y, Liu J, Xia H, et al. Neutralizing activity of BNT162b2-elicited serum. N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMc2102017.

30) Janssen Vaccines & Prevention B.V. A randomized double-blind, placebo-controlled phase 3 study to assess the efficacy and safety of Ad26.COV2.S for the prevention of SARS-CoV-2-mediated COVID-19 in adults aged 18 years and Older. Clinical protocol. 2020

(https://www.jnj.com/coronavirus/covid-19-phase-3-study-clinical-protocol).

31) Folegatti PM, Ewer KJ, Aley PK, et al. Safety and immunogenicity of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine against SARS-CoV-2: a preliminary report of a phase 1/2, single-blind, randomised controlled trial. Lancet 2020;396:467-478.

32) McMahan K, Yu J, Mercado NB, et al. Correlates of protection against SARS-CoV-2 in rhesus macaques. Nature 2021;590:630-634.

33) Gavi, the Vaccine Alliance. New collaboration makes further 100 million doses of COVID-19 vaccine available to low- and middle-income countries. 2020 (https://www.gavi.org/news/media-room/new-collaboration-makes-further-100-million-doses-covid-19-vaccine-available-low.)

34) Amnesty International. COVID-19: Oxford/AstraZeneca vaccine a boost for global access, but huge inequality remains. November 23, 2020

(https://www.amnesty.org/en/latest/news/2020/11/oxford-astrazeneca-vaccine-a-boost-for-global-access-but-huge-inequality-remains.)

35) McCarthy N. The cost per jab of Covid-19 vaccine candidates. Statista. December 1, 2020.

(https://www.statista.com/chart/23658/reported-cost-per-dose-of-covid-19-vaccines.

36) PANGO Lineages. Global report investigating novel coronavirus haplotypes. 2021 (https://cov-lineages.org/global_report.html.)