COVID-19関連追加(2021327日)ライノウイルスとの関係

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202098  (どちらかというと今回の報告とは逆の内容)

2021220

【ヒトライノウイルス感染は呼吸器上皮内でのSARS-CoV-2の複製を阻害する: COVID-19の疫学への示唆】

Dee K, et al. Human rhinovirus infection blocks SARS-CoV-2 replication within the respiratory epithelium: implications for COVID-19 epidemiology. The Journal of Infectious Diseases, jiab147. Published. Mar 23, 2021.

https://doi.org/10.1093/infdis/jiab147.

Abstract

ウイルスとウイルスの相互作用は,呼吸器感染症の疫学に影響を与える.しかし,上気道感染症の原因となるウイルスが,SARS-CoV-2の複製や伝播に与える影響については,現在のところ不明である.風邪の原因となるヒトライノウイルス(HRV: human rhinovirusは,ヒトの呼吸器ウイルスの中で最も多く見られるウイルスである.ライノウイルスと共存する呼吸器ウイルスとの相互作用が,宿主個人や集団レベルでのウイルス疫学を形成することが示されている.本研究では,ライノウイルスが存在する場合としない場合のヒト呼吸器上皮におけるSARS-CoV-2の複製動態を調べた.その結果,ヒトライノウイルスは,SARS-CoV-2の複製を阻害するインターフェロン応答を誘発することがわかった数理シミュレーションによると,ライノウイルスの流行が増加するとCOVID-19の新規症例数が減少することから,このウイルス-ウイルス間の相互作用は集団全体に影響を及ぼす可能性が高いと考えられる

Main

Background

COVID-19の急速な広がりと世界的な健康への影響によって,ウイルス性呼吸器疾患の重要性が強調されている.Orthomyxoviridae(例えば,インフルエンザウイルスAおよびB),Pneumoviridae(例えば,RS[respiratory syncytial]ウイルス),Picornaviridae(例えば,ライノウイルス),Coronaviridae(例えば,SARS-CoV-2)などのウイルス群は,ヒトの呼吸器官を宿主とする[1, 2].我々や他の研究者は,分類学的に異なる呼吸器ウイルスが共存する場合,その相互作用が感染パターンに影響を与えることを示した[3, 4]我々は,ヒトライノウイルス(HRVs: human rhinoviruses)とA型インフルエンザウイルス(IAVs: influenza A viruses)が,個々の患者や集団のレベルで負の相互作用をすることを示したさらに,2009年にフランスで発生したパンデミックH1N1インフルエンザウイルスの感染拡大が,HRVの循環によって遅れたと推測されている[5]宿主レベルでのウイルス干渉相互作用は,観察された集団動態に影響を与える上で重要であると考えられる.Wuらは,HRVがインターフェロン(IFN: interferon)応答を誘導し,分化気道培養(differentiated airway cultures)において,それに続くIAV感染を防御することを示した[4].一方,Gonzalezらは,RVがマウスモデルでインフルエンザの重症度を低下させることを示した[6].公衆衛生的介入は,SARS-CoV-2が呼吸器ウイルスの疫学に与える影響を判断する上で妨げとなってきた.しかし,SARS-CoV-2の出現がその生態(ecology)に影響を与える可能性がある.分化呼吸器上皮細胞のALIair-liquid interface, 気液界面)培養を用いた重複感染研究は,SARS-CoV-2が他のウイルスとどのように相互作用し,ウイルスの複製にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることができる.ここでは,ヒト呼吸器上皮細胞におけるHRVの存在下でのSARS-CoV-2の複製動態を調べた.HRVを選択した理由は,i)ヒト集団における高い有病率[7]ii)宿主および集団レベルでのIAVとの負の相互作用[3, 4]iii)強いIFN応答を誘導する能力[4]iv)IFNに対するSARS-CoV-2の感受性[8]である.我々は,実験結果を宿主内の感染動態のプロキシ(proxy, 代用)として用い,HRVの有病率が異なるシナリオの下で,HRVの循環がSARS-CoV-2の疫学に与える影響をシミュレーションした.

Methods

Viruses: SARS-CoV-2HCoV-19England022020は,Public Health EnglandGISAID accession: EPI_ISL_407073)から臨床分離されたものを入手し,VeroE6細胞で2回継代したものである.HRV-A16は,American Type Culture CollectionATCC)(ATCC VR-283)から入手したものである.

Infection of HBEC cultures:

ヒト気管支上皮細胞(HBECs: human bronchial epithelial cells)の感染.ALIair-liquid interface)開始後35日以上経過した時点で,HBECs培養物を感染させた.培養物のapical表面(apical surface)を,感染前にserum free DMEM2回洗浄した(感染の24時間前および感染の直前).細胞に104 PFUSARS-CoV-2またはHRV-A16のいずれか,あるいは両ウイルスを104 PFU含む混合物を接種し,37℃で120分間培養した(インキュベート).以前の実験では,ALI培養に10,000 プラーク形成単位(PFU: plaque forming units)を接種すると,HRVSARS-CoV-2が一貫して複製されることが示されている[9].接種物を除去し,培養物を1回洗浄した.この洗浄液をTCID50%50% tissue culture infectious dose)アッセイで滴定し(titrate: 滴定とは化学反応を用いて化学物質の量を測定する定量分析法),増殖曲線(growth curves)の0時間の時点とした.細胞は37℃,5%CO2でインキュベートした.各時点で,serum free DMEMを各培養物にapical(先端)から加え,37℃で30分間インキュベートした.これを除去して,分注し(aliquoted),それに続く滴定に先立って-80℃で保存した.各感染は,2つの独立した実験で実施し,各実験は少なくとも3つの技術的複製(technical replicates)から構成された.SARS-CoV-2およびHRV-A16の滴定は,それぞれVero E6 6F5細胞およびHeLa OH細胞で行った.ウイルスサンプルは,2%FBS1%NEAAを含むDMEM10倍に希釈し,コンフルエント(confluent: 細胞が培養容器をどのくらい覆っているか,細胞密度)である単層細胞で滴定した.各サンプルは3回に分けて滴定した.SARS-CoV-2 TCID50プレートは37℃で,HRV-A16プレートは33℃でインキュベートした.プレートを約72時間培養した後,8%ホルムアルデヒドで固定し,0.1%クーマシーブリリアントブルーで染色した.細胞変性効果(CPE: cytopathic effect)を記録し,Spearman and Kärberアルゴリズム[10]で算出したTCID50ml力価を求めた.BX795の実験では,ALI培養を,感染の18時間前に6uMBX795(またはDMSO)を含むPneumacultTM -ALI培地に移し,毎日培地を交換した.すべての感染実験は、バイオセーフティーレベル3の条件下で行われた.

Results

SARS-CoV-2HRVがヒト呼吸器上皮内で相互に作用しているかどうかを調べるため,ヒト気管支上皮細胞(HBECs: human bronchial epithelial cells)のALIair-liquid interface)培養(ALI-culture)に,SARS-CoV-2HRV,または両ウイルスを同時に感染させた.各ウイルスの複製動態に及ぼす重複感染の影響を評価するために,重複感染した細胞のapical(管腔側)洗浄液から感染後の異なる時期にHRVおよびSARS-CoV-2力価を測定し,それぞれのウイルスを単独で感染させた場合の力価と比較した.SARS-CoV-2の複製動態は,単独感染と重複感染において大きく異なっていた(p= 0.03928, Figure 1ASARS-CoV-2力価は,単独感染では感染後24時間(hpi)以降,96時間後(hpi: hours post-infection)までゆっくりと増加したのに対し,HRVとの重複感染では急速に減少し,48 hpiには検出されなくなった(Figure 1A一方,HRV力価は単独感染および重複感染でも同じ動態を示した: 最初の24時間で急速に増加した後,徐々に持続的に減少した(Figure 1B.自然感染では同時に重複感染は頻繁には起こらないと思われるので,HBECsALI培養に時間をずらして重複感染させた: HRVを感染させ,その24時間後にSARS-CoV-2を感染させた.この実験は,逆の順序(すなわち,まずSARS-CoV-2を感染させ,次にHRVを感染させる)でも繰り返した.同時に重複感染させた場合のように時間をずらした重複感染でもSARS-CoV-2の増殖は著明に障害された: SARS-CoV-2を接種した後にHRVを感染させた場合,SARS-CoV-2の複製は,SARS-CoV-2単独感染の場合と同様に,24 hpi48 hpiにおいて増加したが,それに続いて,48 hpi96 hpiには急激に減少した(p= 0.0260)(Figure 1CHRVを接種した後にSARS-CoV-2を感染させた場合,SARS-CoV-2の複製は接種力価を超えず,ウイルス力価はすぐに減少した(p= 0.0063)(Figure 1D一方,HRVの増殖は,感染の順序にかかわらず,SARS-CoV-2の影響を受けなかった(p= 0.2027)(Figure 1C, 1DSARS-CoV-2を先に接種した場合,HRVの成長曲線(growth curve)はシフトし,72 hpiでピークに達した(Figure 1C.これは,HRVの接種が遅れたことを反映する.我々は,SARS-CoV-2力価の減少が,HRVによるSARS-CoV-2受容体であるACE2[15]のダウンレギュレーションによるウイルス侵入の阻害によるものかどうかを検証した.そこで,我々は,HRVまたはSARS-CoV-2の単独感染および重複感染した上皮細胞のACE2を検出するために,免疫組織化学法(immunohistochemistry)を用いた.その結果,細胞の感染状態にかかわらず,上皮のapical表面(surface)にACE2が高レベルで発現していることが確認された(Figure S1これは,HRVは,ウイルスの侵入とは独立したメカニズムでSARS-CoV-2の感染を阻害していることを示唆する

Figure 1: Replication kinetics of SARS-CoV-2 and HRV in ALI-cultures of HBECs. (A) SARS-CoV-2 titers in single SARS-CoV-2 infections (solid red line) and simultaneous SARSCoV-2/HRV coinfections (dashed red line). (B) HRV titers in single HRV infections (solid cyan line) and simultaneous SARS-CoV-2/HRV coinfections (dashed cyan line). (C & D) SARS-CoV-2 (red) and HRV (cyan) titers in single infections (solid lines) and staggered SARS-CoV-2/HRV coinfections (dashed lines). The order of infections is described below each graph. SARS-CoV-2 is shown in red and HRV is shown in cyan.

SARS-CoV-2IFNに感受性があり,IFN産生の上流と下流のシグナル伝達経路を変化させる複数の遺伝子をコードしている[8]HRVが,ALI培養でIAVを阻害するインターフェロン介在性自然免疫応答を誘導することから[4],今回観察されたSARS-CoV-2複製の阻害は,HRVに惹起されたIFN応答によるものではないかと我々は仮説を立てた.この仮説を検証するために,蛍光顕微鏡を用いて,各ウイルスによって誘発されるIFNによる自然免疫の活性化を調べた.具体的には,IFN産生時に高アップレギュレートされるIFN刺激遺伝子によってコードされるタンパク質であるMxAin situにおける発現を比較した[11]Figure 2は,HRVに感染したHBECsALI培養が高レベルのMxAを発現していることを示しており,SARS-CoV-2に感染したALI培養では低レベルのMxAが観察されたのと対照的であるまた,HRVを単独で感染させた場合と同様に,重複感染させた培養でも高レベルのMxAの発現が見られた(Figure 2さらに,SARS-CoV-2のヌクレオカプシド(N: nucleocapsid)に対する抗体を用いて免疫蛍光法を行ったところ,Nの発現は,SARS-CoV-2に単独で感染した上皮細胞のapical部(apical area)を中心にはっきりと検出されたが,重複感染した細胞では検出されなかった(Figure 3これらの実験結果から,i)HRVの存在下では,HBECsALI培養内においてSARS-CoV-2の複製は進行しないことii)HRVSARS-CoV-2と比較して,より速く,おそらくはより強いIFN応答を惹起することが確認された.そこで我々は,SARS-CoV-2の複製が阻害されるのは,HRVによって惹起される自然免疫応答によるものではないかと仮説を立てた.我々は,この仮説を検証するために,呼吸器上皮の分化培養(differentiated cultures of respiratory epithelium)においてIFN介在性自然免疫反応を阻害することが示されているTANK結合キナーゼ1TANK-binding kinase)の阻害剤であるBX795[4]の存在下でHRVおよびSARS-CoV-2重複感染を実施した.BX795の存在下では,HRVが存在するにもかかわらず,SARS-CoV-2の呼吸器上皮における複製能力は,SARS-CoV-2単独感染と同等のレベルまで回復している(Figure 4Aこのことから,HRVとの重複感染で観察されたSARS-CoV-2複製の阻害は,HRVによって誘導された自然免疫応答によって引き起こされた負の相互作用の結果であることが確認された興味深いことに,BX795の存在下ではHRV複製も増加し,その力価は,DMSO対照重複感染(DMSO control coinfection)やHRVの単独感染で観察されたように減少するのではなく,48 hpi96 hpiにおいてプラトーになる(Figure 4Bこれは,ウイルスによって誘導された自然免疫シグナルが,HBECsにおけるHRVの複製を阻害することを示している

 

 

Figure 2: MxA expression in ALI-cultures of HBECs. Representative images of MxA expression by fluorescence microscopy at various times post infection. ALI-cultures were mock infected, infected with SARS-CoV-2 only, HRV only, and coinfected with SARS-CoV-2 and HRV. Nuclei are colored in blue and MxA is colored in magenta. The scale bar indicates 50 μm.

 

 

Figure 3: Detection of SARS-CoV-2 in ALI-cultures of HBECs. Representative images of SARS-CoV-2 N detection by immunofluorescence in cells infected with SARS-CoV-2 (A); coinfected with SARS-CoV-2 and HRV (B); or mock infected (C). Nuclei are colored in blue and SARS-CoV-2 N protein is colored in red. The scale bar indicates 50 μm.

Figure 4: Replication kinetics of SARS-CoV-2 and HRV in ALI-cultures of HBECs coinfected simultaneously with SARS-CoV-2 and HRV in the presence or absence of BX795. (A) SARS-CoV-2 titers. (B) HRV titers. SARS-CoV-2 is shown in red and HRV is shown in cyan. Solid and dotted lines show infections in the presence of absence of BX795, respectively.

 

 

HRVの有病率が高いことを考慮すると,観察された宿主内干渉が,集団におけるCOVID-19の新規感染者数に影響を与えうるかどうかを検証したい.そこで,モーメント母関数式(the moment generating function equation[16]を用いて数理シミュレーションを行い,HRV感染のエピソードによってCOVID-19に耐える集団がある場合の,SARS-CoV-2感染の増殖率の変化を導き出した(Data analysis S1 in Supplementary Material).その結果,HRV感染者数の増加に伴ってSARS-CoV-2の新規感染者数が減少し,この減少はHRVの有病率が高く,干渉効果の持続期間が長いほど大きくなることがわかった(Figure 5SARS-CoV-2の増殖率が低い場合,HRVの循環によって,SARS-CoV-2の感染が広がらないことがある一方で,HRVがない場合は指数関数的な増殖が予想される

Figure 5: Reduction in COVID-19 growth rate for varying prevalence of rhinovirus infections in a given population and different assumptions for the duration of the refractory period. The growth rate in the absence of rhinovirus is assumed to be a 5% increase/day. Colors show the reduction in growth rate expressed as percentage.

Discussion

ヒト気道上皮の呼吸器外植片(respiratory explants)およびALI培養は,高度に制御された細胞環境を提供し,感染のnatural siteをかなりの程度まで模倣することができるため,ウイルスのトロピズムと自然免疫応答が宿主内の感染動態に与える影響をモデル化することができる[17]ここで我々は,HRVに感染すると,ヒト呼吸器上皮内でのSARS-CoV2の複製と拡散が阻害されることを示した本研究では,HRVが間接的な負の相互作用を行使し,SARS-CoV-2に対して優位に抑制するフェノタイプを持つことを示した具体的には,HRVIFN応答を誘発し,ほとんどの細胞をSARS-CoV-2感染に対して非寛容(nonpermissive)にする一方で,HRVSARSCoV-2の存在に影響されないことを示したSARS-CoV-2IFN応答に感受性があることは(susceptibility),SARS-CoV-2遺伝子に,自然免疫応答を克服するために割り当てられた遺伝子数が多いことからもわかる([18]に総説あり).また,たとえSARS-CoV-2感染の24時間後にHRVを接種した場合でも,HRVSARS-CoV-2複製を阻害することも明らかになった.今回の結果は,HRV感染によって引き起こされるウイルス干渉相互作用が,呼吸器上皮におけるSARS-CoV-2複製を阻害することを示しており,ウイルスとウイルスの相互作用に関するこれまでの疫学的,モデリング的,実験的研究を踏まえたものである[3-5, 19].今後,ウイルス干渉の分子メカニズムを解明する研究が進めば,ウイルス-ウイルス相互作用をうまく利用して,制御戦略や治療手段として用いることができるようになるかもしれない.例えば,抗SARS-CoV-2活性を持つHRV誘導遺伝子をスクリーニングすることは,コロナウイルスに対する抗ウイルス治療法を開発するための将来の研究手段を構成するかもしれない.

最近,Wu[4]は,HRVによって引き起こされるIFN応答がIAVの複製にも干渉することを示した.これらの研究結果を総合すると,呼吸器上皮でIFN応答を刺激するウイルスは,SARS-CoV-2IAVに干渉する可能性があることが示唆される.これらの知見は,HRVを含む軽症である風邪ウイルス感染によって誘発される免疫介在効果(immune-mediated effects)が,SARS-CoV-2に対してある程度の防御効果を与え,COVID-19の重症度を軽減する可能性を示唆しており,重要な意味を持つ.HRVの高い伝播力と有病率を考慮すると,この効果は集団規模でのCOVID-19による疾病負担に影響を与える可能性があり,異なる年齢層においてHRVの有病率による不均一性(heterogeneitiesが予想される.例えば,この干渉効果は,HRVの有病率が高い学童(school-aged children)と,HRVの有病率が比較的低い成人集団との間のSARS-CoV-2感染伝播の違いに寄与する可能性がある

ウイルスは,体内の限られた種類の細胞にしか感染できない偏性細胞内病原体(obligate intracellular pathogens)である(トロピズム[tropism]と呼ばれる特性).ウイルス-ウイルス相互作用は,呼吸器官だけでなく,消化器官のような複数のウイルスが存在する環境でも起こる可能性があり、腸管感染症は腸管ウイルス叢(gut virome)によって調節され[20],弱毒生ポリオワクチンの免疫原性にも影響を与える[21]このような相互作用の性質(すなわちpositive, negatve, neutral)はほとんど知られておらず,関与する特定のウイルス,各感染のタイミング,各ウイルスに対する宿主反応の間の相互作用,によって影響される可能性がある

進化がウイルス-宿主相互作用に与える影響については,膨大な知見がある[22-25].多くの研究では,ウイルスと宿主の間の進化競争(evolutionary arm race)に焦点が当てられており,宿主の免疫システムはウイルス複製を阻止するために抗ウイルスメカニズムを進化させ,ウイルスは抗ウイルスタンパク質を回避するために進化する.我々は,ウイルス-ウイルス相互作用がこの競争(arm race)に影響を与え,分子間の相互作用の形成に寄与していると考えている.例えば,ヒトのHRV感染は,相互に利益をもたらす可能性があると考えることができる: HRV側の視点から見ると,ヒトは,HRVの複製と伝播を可能にする一方で,競合する可能性のある他のウイルスを阻止するように,厳密に制御された免疫反応を進化させた一方,宿主側の視点から見ると,通常は軽症であるHRVの感染は,抗ウイルス反応を刺激し,SARS-CoV2IAVといったより重症である(時に致死的な)ウイルスの感染を防ぐことができる.今後,ウイルス-ウイルス相互作用における生態と進化の役割や,ウイルスの宿主範囲,伝播,疾患への影響を明らかにするためには,重複感染を用いた研究が必要である.

 

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