COVID-19関連追加(202144日)

B.1.1.7変異株は急性感染期間が長い可能性】

Kissler SM, et al. Densely sampled viral trajectories suggest longer duration of acute infection with B.1.1.7 variant relative to non-B.1.1.7 SARS-CoV-2. medRxiv. Posted. Feb 19, 2021.

https://doi.org/10.1101/2021.02.16.21251535.

Abstract

B.1.1.7変異株の急性感染では,鼻咽頭ウイルス量レベルがより高く,あるいはより持続するかを検証するために,我々は,B.1.1.7に感染した7人を含む,毎日サーベイランス検査を受けているSARS-CoV-2感染者65人のコホートに行われたPCR検査の縦断的に評価を行った.B.1.1.7感染者増殖期間(proliferation phase)は平均5.3日(90%CI, 2.7-7.8クリアランス期間(clearance phase)は平均8.0日(6.1-9.9全感染期間(増殖+クリアランス)は平均13.3日(10.1-16.5であったこれに対し,非B.1.1.7感染者の増殖期間は平均2.0日(0.7-3.3),クリアランス期間は平均6.2日(5.1-7.1),全感染期間は平均8.2日(6.5-9.7)であったB.1.1.7系統ウイルスのピーク濃度は19.0 Ct15.8-22.0)であり,B.1.1.7以外のウイルスのピーク濃度は20.2 Ct19.0-21.4)であったこれは,B.1.1.7では8.5 log10 RNA copies/ml 7.6-9.4),非B.1.1.7では8.2 log10 RNA copies/ml 7.8-8.5)に相当する.これらのデータは,SARS-CoV-2変異株であるB.1.1.7系統は,非B.1.1.7系統のSARS-CoV-2と比較して,同程度のピークウイルス濃度でより長い感染期間を引き起こす可能性があることを示している.この感染期間の長さが,B.1.1.7変異株の感染伝播力の増加に寄与している可能性がある.

Main

SARS-CoV-2変異株B.1.1.7の感染伝播力が増強した理由は不明である.B.1.1.7は,スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD1)に複数の変異があり,ACE2との結合が強化され2),結果としてウイルスの感染伝播効率が高まっている可能性がある.また,鼻咽頭のウイルス量レベルが高い,あるいは持続することで,感染伝播力が高まる可能性もある.B.1.1.7変異株の急性感染では,鼻咽頭ウイルス量レベルが高くなる、あるいはより持続するかどうかを検証するために,我々は,B.1.1.7に感染した7人を含む,毎日サーベイランス検査を受けているSARS-CoV-2感染者65人のコホートに行われたPCR検査の縦断的に評価を行い,全ゲノム配列決定によって確認した.

各個人について,(1)最初にウイルスが検出されてからウイルス濃度がピークに達するまでの時間(増殖時間),(2)ウイルス濃度がピークに達してから検出限界に最初に戻るまでの時間(クリアランス時間),(3)ウイルス濃度のピーク値,をそれぞれ推定した(Supplementary Appendix3).これらの量の平均値を,B.1.1.7系統と非B.1.1.7系統感染者に分けて推定した(Figure 1).B.1.1.7感染者では,増殖期間は平均5.3日(90%CI, 2.7-7.8),クリアランス期間は平均8.0日(6.1-9.9),全感染期間(増殖+クリアランス)は平均13.3日(10.1-16.5)であった.これに対し,非B.1.1.7感染者では増殖期間は平均2.0日(0.7-3.3),クリアランス期間は平均6.2日(5.1-7.1),前感染期間は平均8.2日(6.5-9.7)であった.B.1.1.7系統ウイルスのピーク濃度は19.0 Ct15.8-22.0)であり,B.1.1.7以外のウイルスのピーク濃度は20.2 Ct19.0-21.4)であった.これは,B.1.1.7では8.5 log10 RNA copies/ml 7.6-9.4),非B.1.1.7では8.2 log10 RNA copies/ml 7.8-8.5)に相当する.データとコードはオンラインで入手することができる4)

Figure 1: Estimated viral trajectories for B.1.1.7 and non-B.1.1.7 SARS-CoV-2.

B.1.1.7系統(赤)と非B.1.1.7系統SARS-CoV-2(青)の平均ピークウイルス濃度(A),平均増殖期間(B),平均クリアランス期間(C),平均総急性感染期間(D),平均ウイルス濃度事後軌跡(posterior viral concentration trajectory(E)の事後分布.(A)(D)では,各統計量の事後分布を2,000回引き出して得られたカーネル密度推定を分布で示した.各統計量の個人レベルの事後平均を表している.(E)では,実線は推定された平均ウイルス軌跡(viral trajectory)を示している.shaded bandsは,平均ウイルス軌跡の90%信頼区間(95%CI)を示す.

 

これらのデータは,SARS-CoV-2変異株であるB.1.1.7は,非B.1.1.7と比較して,同程度のウイルス濃度のピークでより長い感染期間を引き起こす可能性があり,この感染期間の延長がB.1.1.7変異株の感染伝播力の増加に寄与していると考えられる.今回の結果は,B.1.1.77人に基づいた,暫定的なものである.しかし,追加のデータによって裏付けられれば,このウイルスによる二次感染を効率的に阻止するためには,現在推奨されている発症後10日間の隔離期間5)よりも長い隔離期間が必要になるかもしれないB.1.1.7変異株ウイルスの軌跡を明らかにするためには,より大規模で多様なコホートにおけるPCRおよび検査陽性率の縦断的なデータを収集する必要がある.また,B.1.351P.1など,他のSARS-CoV-2変異株についても同様の解析を行う必要がある.

 

Methods

省略.

 

References

1) Galloway SE, Paul P, MacCannell DR, Johansson MA, Brooks JT, MacNeil A, et al. Emergence of SARS-CoV-2 B.1.1.7 Lineage — United States, December 29, 2020– January 12, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021;70(3):95–99. doi:10.15585/mmwr.mm7003e2

2) Yi C, Sun X, Ye J, Ding L, Liu M, Yang Z, et al. Key residues of the receptor binding motif in the spike protein of SARS-CoV-2 that interact with ACE2 and neutralizing antibodies. Cell Mol Immunol. 2020;17(6):621–630. doi:10.1038/s41423-020-0458-z

3) Kissler SM, Fauver JR, Mack C, Olesen SW, Tai C, Shiue KY, et al. SARS-CoV-2 viral dynamics in acute infections. medRxiv. Published online 2020:1–13. doi:10.1101/2020.10.21.20217042

4) Kissler S. Github Repository: CtTrajectories_B117. Published 2020. Accessed February 8, 2020. https://github.com/skissler/CtTrajectories_B117

5) Centers for Disease Control and Prevention. Duration of Isolation and Precautions for Adults with COVID-19. COVID-19. Published 2020. Accessed February 8, 2020. https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/duration-isolation.html