COVID-19関連追加(2021415日)mRNAワクチンについてその7Immunocompromaised peopleについて)

Immunocompromaised people(固形臓器移植,リウマチ疾患,免疫チェックポイント阻害剤,血液透析)について】

(1)Boyarsky BJ, et al. Immunogenicity of a Single Dose of SARS-CoV-2 Messenger RNA Vaccine in Solid Organ Transplant Recipients. JAMA. Published online March 15, 2021. https://doi.org/10.1001/jama.2021.4385.

Key findings

・固形臓器移植を受けた患者436人を対象に,BNT162b2ワクチンまたはmRNA-1273ワクチンの初回投与後,中央値20日目に抗スパイクタンパク抗体反応を評価した.

・固形臓器移植を受けた患者のうち,SARS-CoV-2 mRNAワクチンの1回の接種で抗体反応が得られたのは,わずか17%95%CI, 14%-21%であった.

抗体反応は,BNT162b2ワクチンに比べて,mRNA-1273ワクチン(調整済み罹患率比[aIRR: adjusted incidence rate ratio] 2.15[95%CI, 1.29-3.57]の方が高かった

・他の患者と比較して,高齢患者(60歳以上, aIRR 0.83[95%CI, 0.73-0.93])および代謝拮抗薬による免疫抑制治療を受けている患者(aIRR 0.22[95%CI, 0.15-0.34])では,抗体反応が促進する可能性が低かった.

Discussion

固形臓器移植を受けた患者を対象に,mRNAを用いたSARS-CoV-2ワクチンの初回投与時の免疫原性を検討した結果,大多数の参加者は評価できる抗スパイク抗体反応を示さなかったしかし,若年者,代謝拮抗薬による維持免疫抑制治療を受けていない者,およびmRNA-1273を接種された者では,抗体反応が起こりやすかった.これらの結果は,mRNA-1273では接種後15日目までに5)BNT162b2では接種後21日目までに6),抗スパイク抗体が100%検出されることを含む,mRNAワクチンの臨床試験で観察された強固な初期免疫原性とは対照的であった.

Limitationとしては,利便性の高いサンプルであるため一般化できない可能性があること,ワクチン接種後の連続した測定が行われていないこと,免疫抑制薬を使用していない対照群が同時に存在しないことなどが挙げられる.また,これらのデータは,2回接種のうち1回目の接種に対する液性応答である.

臓器移植を受けた患者では,mRNAワクチンの初回接種後の抗スパイク抗体反応が乏しいというこれらの知見は,このような患者はワクチン接種を受けてもCOVID-19の初期リスクが高いままである可能性を示唆している.ワクチン接種後の移植患者のイムノフェノタイピングをより詳細に行うことは,メモリーB細胞およびT細胞応答の特徴づけを含め,ワクチン接種戦略および2回目の接種後の免疫応答を決定する上で重要である.

 

 

Table: Demographic and Clinical Characteristics of Study Participants, Stratified by Immune Response to the First Dose of SARS-CoV-2 Messenger RNA Vaccine, and Associations With Developing an Antibody Response (N=436).

 

 

References

5) ackson  LA, Anderson  EJ, Rouphael  NG,  et al; mRNA-1273 Study Group.  An mRNA vaccine against SARS-CoV-2preliminary report.   N Engl J Med. 2020;383(20):1920-1931.

6) Walsh  EE, Frenck  RW  Jr, Falsey  AR,  et al.  Safety and immunogenicity of two RNA-based Covid-19 vaccine candidates.   N Engl J Med. 2020;383(25):2439-2450.

 

 

 

 

 

 

(2)Boyarsky BJ, et al. Antibody response to a single dose of SARS-CoV-2 mRNA vaccine in patients with rheumatic and musculoskeletal diseases. Annals of the Rheumatic Diseases. Mar 23, 2021.

http://dx.doi.org/10.1136/annrheumdis-2021-220289.

Key Findings

・非生物学的疾患修飾抗リウマチ薬(DMARDs)(n= 23),生物学的DMARDsn= 17),コルチコステロイド(n= 4),またはそれらの併用療法(n= 45)を受けていたRMD患者126人を対象に,BNT162b2ワクチンまたはmRNA-1273ワクチンの初回投与から中央値20日後に抗スパイク抗体反応を評価した.

リウマチ・筋骨格疾患(RMD: rheumatic and musculoskeletal diseases)患者のほとんど(74%[95%CI, 65%-81%])が,1回のSARS-CoV-2 mRNAワクチン接種で抗体反応を示した.接種したワクチンによる違いは報告されていない.

ミコフェノール酸リツキシマブを投与された患者は,これらの治療を受けていない患者に比べて,抗体反応が促進される可能性が低かった

Discussion

RMD患者におけるSARS-CoV-2 mRNAワクチンの初回投与に対する免疫応答を調べた本研究では,大多数の参加者が検出可能な抗SARS-CoV-2 RBD抗体を獲得したが,ミコフェノール酸リツキシマブを含むレジメンを使用している患者では,抗体反応を獲得する可能性が低くなった.全体として,診断疾患や免疫調整療法の有無による大きな違いは見られなかったが,先行研究と同様に,若年層の患者において抗体反応が促進する傾向が観察された.また,TNF療法を受けている患者のほぼ全員において検出可能な抗体が獲得された.これらの関連性については,さらなる調査が必要である.

リツキシマブとメトトレキサートは,インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンに対する液性応答を低下させることが示されている2)3).本研究では,リツキシマブを投与されている患者では,抗体反応が発現しにくく,メトトレキサートは抗体発現にnegativeな影響を及ぼさないことが示唆された.これは,固形臓器移植患者におけるSARS-CoV-2 mRNAワクチン接種の経験4)や,SLE患者におけるヒトパピローマウイルスワクチン接種に対する抗体反応低下と一致している5)

本研究のLimitationは,少数の非無作為化サンプル,免疫調整薬の投与量と時期に関する情報が限られていること,連続測定の欠如,自然感染後の抗体反応を検出するように設計されているEIAの使用などである.さらに,これらのデータは,2回接種スケジュールの初回接種時の反応に関するものである.

RMD患者の半数近くが,データの少なさを理由に,SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種をためらい,望まないとされているが6),今回の報告は,患者とその医療者に安心感を与えるものである.このサブグループの免疫原性を高めるための探索的戦略としては,免疫調節療法,投与量,ワクチン接種のタイミングなどを調整することが考えられる.

Table1:

 

 

Table 2:

 

References

2) Bingham CO, Looney RJ, Deodhar A, et al. Immunization responses in rheumatoid arthritis patients treated with rituximab: results from a controlled clinical trial. Arthritis Rheum 2010;62:64–74.

3) Park JK, Lee YJ, Shin K, et al. Impact of temporary methotrexate discontinuation for 2 weeks on immunogenicity of seasonal influenza vaccination in patients with rheumatoid arthritis: a randomised clinical trial. Ann Rheum Dis 2018;77:898–904.

4) Boyarsky BJ, Werbel WA, Avery RK, et al. Immunogenicity of a single dose of SARS-CoV-2 messenger RNA vaccine in solid organ transplant recipients. JAMA 2021.

5) McMahan ZH, Bingham CO. Effects of biological and non-biological immunomodulatory therapies on the immunogenicity of vaccines in patients with rheumatic diseases. Arthritis Res Ther 2014;16:506.

6) Felten R, Dubois M, Ugarte-Gil MF, et al. Vaccination against COVID-19: expectations and concerns of patients with autoimmune and rheumatic diseases. Lancet Rheumatol 2021;16.

 

 

 

 

 

 

(3)Waissengrin B, et al. Short-term safety of the BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine in patients with cancer treated with immune checkpoint inhibitors. Lancet Oncology. Apr 1, 2021. https://doi.org/10.1016/S1470-2045(21)00155-8.

20201220日,イスラエル保健省は,Pfizer社のBNT162b2 mRNAワクチンを用いて,20211月末までにすべての高リスク者に迅速にワクチンを接種することを目的とした全国COVID-19ワクチン接種キャンペーンを開始した1)2).ワクチンはすぐに入手でき,無料で提供された.全身性抗がん剤治療を受けたことがあるがん患者は,COVID-19死亡リスクが著しく高いため3)4)5)6)COVID-19ワクチン接種の優先順位が高いグループとして考慮する必要がある.

BNT162b2の主要なワクチン接種試験では,健常者または安定した慢性疾患を持つ者のみを対象としていたため1),大きな障害は,治療を受けたことがある,または治療中のがん患者におけるワクチンの安全性と有効性に関するデータがないことであった.しかし,一部の専門家は,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者において,ワクチンが免疫関連の副作用を誘発または増強する可能性について懸念を示した.このため,厚生省は,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者へのワクチン接種については,治療を担当する医師の判断に委ねた.

Tel Aviv Sourasky Medical Center (TLVMC)腫瘍科とBnei-Zion Medical Center腫瘍科では,治療の種類にかかわらず,治療を受けているすべてのがん患者にワクチン接種を許可および推進する機関方針をとっていた.COVID-19はこれらの感受性のある患者にとって特に危険であるため,病期,PSperformance status),余命にかかわらず,ワクチン接種が奨励された.過去にSARS-CoV-2に感染した患者や,活動性状態(すなわち,活動性のある感染症や,活動性がありコントロールできない免疫関連の副作用)である患者のみが,ワクチン接種キャンペーンから除外された.ワクチンは,1日目と21日目に標準的な推奨量が接種された.1回目の接種後にSARS-CoV-2に感染した場合は,2回目の接種は省略された.

前述の安全性に関する懸念から,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者の副作用は,1回目のワクチン接種から1721日後,および2回目のワクチン接種から中央値19日後(IQR, 12-13)に行われた詳細な電話アンケートにてモニタリングされた.ここでは,2つの参加施設で免疫チェックポイント阻害剤を投与された患者コホートにおけるBNT162b2 mRNAワクチンの安全性について報告する.免疫チェックポイント阻害剤投与群と対照群の副作用を比較した.全国キャンペーンの開始にあたり,TLVMCではボランティアを含む全スタッフにBNT162b2 mRNAワクチンの接種を促し,接種したスタッフ2241人も副作用調査に参加した.2回目のワクチン接種を受けたがん患者はそれぞれ,TLVSMCのコホート内の健常者と性別および出生年でマッチングを行った.出生年が一致しなかった唯一の患者は93歳で,89歳のTLVMCボランティアとマッチングされた.

2021111日〜225日において,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者170人にワクチンを提供し,調査した.33人(19%)がワクチン接種を拒否したが,その理由の多くは副作用への不安であった.137人(81%)の患者が1回目の接種を受け,そのうち134人(98%)が2回目の接種を受けた.3人の患者が1回目の接種後に死亡し,そのうち1人はCOVID-19が原因で,2人は病気の進行が原因であった.残りの134名の患者の特徴をappendix p1に示す.初回投与後に最も多く見られた副作用は局所性であり,134人のうち28人(21%)が注射部位の痛みを訴えた.全身性の副作用としては,倦怠感(5, 4%),頭痛(3, 2%),筋肉痛(3, 2%),悪寒(1, 1%)などが認められた.

2回目の接種後の観察期間中,134人のうち4人(3%)が入院したが,そのうち3人はがん関連の合併症,1人は発熱によるものであり,治療後に全員が退院した.すでに報告されているように1)2回目のワクチン接種後には,1回目の接種後よりも多くの全身性および局所性の副作用が認められた.最も多かった局所副作用は,注射部位の痛み(134人のうち85, 63%),局所発疹(3, 2%),局所腫脹(12, 9%)であった.一方,最も多かった全身性副作用は,筋肉痛(46, 34%),倦怠感(45, 34%),頭痛(22, 16%),発熱(14, 10%),悪寒(14, 10%),胃腸合併症(14, 10%),インフルエンザ様症状(3, 2%)であった(Figure; appendix p2).報告された副作用のうち,入院やその他の特別な介入を必要としたものはなかった.

Figure: Systemic side-effects after the second dose of the BNT162b2 mRNA vaccine among patients with cancer treated with immune checkpoint inhibitors and matched controls.

ほとんどの患者(116, 87%)は免疫チェックポイント阻害剤の単独投与を受け,18人(13%)は免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用投与を受けた.全身性の副作用の発生率は、両治療群で同程度であった(116人のうち37[32%] vs 18人のうち8[44%]; χ2検定, p= 0.29).

最も重要な点は,新たな免疫関連の副作用や既存の免疫関連の副作用の増悪が観察されなかったことである

副作用プロファイルは健常対照者とがん患者で類似していたが,筋肉痛はがん患者で有意に多く認められた(Figureしかし,患者および対象者において,ワクチン接種後の免疫関連筋炎(immune-related myositis)と診断された者はいなかったこの観察結果は,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けているがん患者におけるBNT162b2 mRNAワクチンの安全性をさらに裏付ける

また,過去に発症した免疫関連の副作用とワクチンの副作用との関連性の可能性についても検討した.患者134人のうち72人(54%)が,ワクチンを接種する前にグレード2以上の免疫チェックポイント阻害剤関連の副作用を経験していた.2回目のワクチン接種後に全身性の副作用を報告した患者数は,過去に免疫関連の副作用を報告した患者とそうでない患者の間で,有意差は認めなかった72人のうち24[33%] vs 62人のうち21[34%], p= 0.94重要なことは,過去に免疫関連の副作用があった患者であっても,ワクチン関連の副作用は軽度であり,入院やがん治療の中止には至らなかったことである

免疫チェックポイント阻害剤による治療中の各種ワクチンの安全性に関するデータはほとんどないが,一般的にこの集団におけるワクチン接種の安全性は示唆されていた8)

例えば,インフルエンザワクチンは,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けているがん患者370人に対して安全であることが確認されている9)今回のデータは,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けているがん患者におけるBNT162b2 mRNAワクチンの短期的な安全性を支持するものである.ワクチンを2回接種した患者134人では,ワクチンに関連する重篤な有害事象や免疫チェックポイント阻害剤に関連する重篤な有害事象は観察されなかったため,一般的な副作用が見逃された可能性は低い.

しかし,より大規模なコホートを調査すれば,まれな副作用が確認されるかもしれない.COVID-19に感染したがん患者の死亡率が高く,一部の患者集団では40%にも達する3)ことを考えると,ワクチン接種のメリットは潜在的な有害性を上回ると思われる.これらのデータが他のCOVID-19ワクチンにも適用できるかどうかを判断するには,さらなる研究が必要だが,今回の結果は,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者へのワクチンの使用に何らかの安心感を与えるかもしれない.

COVID-19に対するワクチンの有益性と有害性を完全に評価するためには,より長期の追跡調査による大規模な研究が必要であることは明らかである.しかし,パンデミックによって深刻な影響を受けている地域の患者にワクチンを接種するかどうかを決定するために,十分にデザインされた前向き臨床試験のデータが蓄積されるまで待つことはできない.したがって,エビデンスはないが,202135日に更新された米国臨床腫瘍学会のガイドラインでは,”現時点では,治療中の患者は,あらゆるワクチン成分の禁忌がない限り,COVID-19に対するワクチン接種が提供されてもよい”とされている.

今回発表されたデータによって,免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けているがん患者におけるBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンに関する安全性を初めて提供できる治療中のがん患者におけるCOVID-19による高い死亡率を考慮すると,今回のデータは現行のガイドラインを支持し,特にパンデミックの急増時には、免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者にワクチンを接種することを推奨する

 

References

1) Polack FP Thomas SJ Kitchin N et al.

Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine.

N Engl J Med. 2020; 383: 2603-2615

2) Harel A

Israel's ambitious vaccine drive is set for success as Netanyahu seeks election campaign boost. Haaretz.

https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-israel-s-ambitious-vaccine-drive-is-set-for-success-as-netanyahu-seeks-election-gain-1.9406513

Date: Dec 29, 2020

Date accessed: March 26, 2021

3) Venkatesulu BP Chandrasekar VT Girdhar P et al.

A systematic review and meta-analysis of cancer patients affected by a novel coronavirus.

medRxiv. 2020; (published online May 29.) (preprint).

https://doi.org/10.1101/2020.05.27.20115303

4) Giannakoulis VG Papoutsi E Siempos II

Effect of cancer on clinical outcomes of patients with COVID-19: a meta-analysis of patient data.

JCO Glob Oncol. 2020; 6: 799-808

5) Kuderer NM Choueiri TK Shah DP et al.

Clinical impact of COVID-19 on patients with cancer (CCC19): a cohort study.

Lancet. 2020; 395: 1907-1918

6) Lee LYW Cazier JB Angelis V et al.

COVID-19 mortality in patients with cancer on chemotherapy or other anticancer treatments: a prospective cohort study.

Lancet. 2020; 395: 1919-1926

7) Guidelines for COVID-19 vaccination

Ministry of Health, Epidemiology division.

https://www.health.gov.il/UnitsOffice/HD/PH/epidemiology/td/docs/365_Corona.pdf

Date: Jan 9, 2021

Date accessed: March 26, 2021

(in Hebrew).

8) Desage AL Bouleftour W Rivoirard R et al.

Vaccination and immune checkpoint inhibitors: does vaccination increase the risk of immune-related adverse events? A systematic review of literature.

Am J Clin Oncol. 2021; 44: 109-113

9) Chong CR Park VJ Cohen B Postow MA Wolchok JD Kamboj M

Safety of inactivated influenza vaccine in cancer patients receiving immune checkpoint inhibitors.

Clin Infect Dis. 2020; 70: 193-199

 

 

 

 

 

 

(4)Goupil R, et al. Short-term antibody response and tolerability after one dose of BNT162b2 vaccine in patients receiving hemodialysis: A report from the Quebec Renal Network COVID-19 study. medRxiv. Posted Apr 1, 2021.

https://doi.org/10.1101/2021.03.30.21254652.

Abstract

Background

センター内で血液透析(HD: hemodialysis)を受けている患者は,死亡率の高いSARS-CoV-2に曝露するリスクが高く,ワクチン接種への反応は明らかではない.

Methods

HD患者58人と医療従事者(HCW32人から,BNT162b2 mRNAワクチンの1回接種前後の連続血漿と,COVID-19から生還したHD患者11人の回復期血漿を採取した.抗RBDSARS-CoV-2 Spikeタンパク質の領域結合ドメイン)IgGおよびIgMレベルをELISAで測定した.グループは,過去のSARS-CoV-2感染の証拠によって層別化された.

Results

SARS-CoV-2感染既往がないHD患者では,ワクチン接種後4週および8週間の時点で,抗RBD抗体レベルはHCW3週間後(p< 0.001)および回復期血漿(p= 0.002)に比べて有意に低かったRBD IgGは,HCW1/166%)に対し,HD患者の29/4663%)で検出されなかった(p< 0.00014週で検出できなかった患者で,8週で抗RBD抗体を認めた者はいなかったSARS-CoV-2感染既往があるHD患者では,8における平均抗RBD IgG レベルは,3における対照群(p= 0.16)および回復期血漿(p= 0.45)と同様であった(液性免疫応答が遅れた.標準化質問票では,ワクチン接種の7日後に症状を訴えた患者はいなかった.

Interpretation

BNT162b2ワクチンは,血液透析患者では忍容性が高かったが,SARS-CoV-2未曝露(naïve)患者の大部分では,長期間観察しても,単回投与では液性免疫応答を引き起こすことができなかったまた,SARS-CoV-2感染既往のある患者では,ワクチン接種後の液性免疫応答が遅れたHD患者がT細胞応答を起こすかどうかは,さらなる研究が必要である.それまでは,推奨される3週間の間隔ですべてのHD患者に2回目の接種を行い,ワクチンの有効性が証明されるまでは,透析施設において厳格なSARS-CoV-2感染予防・管理対策を継続することを助言する.

 

 

Figure: 医療従事者(HCW)(n= 16)ではワクチン接種3週後,血液透析(HD)患者(n= 46)ではワクチン接種4週後に,SARS-CoV-2 Spikeタンパク質の領域結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体を検出した.

Chart showing antibody response of hemodialysis patients and healthcare workers