COVID-19関連追加(2021426-2)再感染に対する防御効果についてその2

当院HP関連ファイル:

2021322

【イングランドにおける抗体陽性あるいは抗体陰性の医療従事者のSARS-CoV-2感染率: 大規模な多施設共同前向きコホート研究(SIREN)】

Hall VJ, et al. SARS-CoV-2 infection rates of antibody-positive compared with antibody-negative health-care workers in England: a large, multicentre, prospective cohort study (SIREN). Lancet. Apr 9, 2021.

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)00675-9.

Summary

Background

COVID-19回復者が,将来のSARS-CoV-2感染から保護されるかどうかについて理解を深めることは,緊急の課題である.我々は,SARS-CoV-2に対する抗体が,症候性および無症候性の再感染のリスク低下と関連するかどうかを調査した.

Methods

イングランドの全地域の公的資金で運営されている病院から参加者を募集し,大規模な多施設共同前向きコホート研究が行われた.12ヶ月間フォローアップに従える病院に勤務するすべての医療従事者,サポートスタッフ,事務職員が”The SARS-CoV-2 Immunity and Reinfection Evaluation studySIREN)に参加するための適合基準であった.登録後にPCR検査が行われなかった場合,20201231日以降に登録した場合,またはコホートの割り当てに必要なPCRおよび抗体のデータが不十分な場合は除外された.参加者は,SARS-CoV-2 PCR検査と抗体検査を定期的に実施され(24週間ごと),2週間ごとに症状や曝露に関するアンケートに回答した.参加者は登録時に,陽性コホート(抗体陽性,または過去にPCR検査や抗体検査が陽性だった)と陰性コホート(抗体陰性,過去にPCR検査や抗体検査が陽性ではなかった)のいずれかに割り当てられた.主要評価項目は,PCR検査によって,陽性コホートでは”再感染”、陰性コホートでは”一次感染”とした.再感染の可能性は,臨床的に検討され,症例定義(confirmed, probable, or possible),および症状の状態によって分類された.陰性コホートにおける一次感染は,PCR検査が初めて陽性となった場合と定義し,PCR検査の陽性を伴わないセロコンバージョンは除外した.2つのコホートの感染率を比較するために,ポアソン分布を用いた比例ハザード・フレイルティ・モデル(proportional hazards frailty model using a Poisson distribution)を用いて罹患率比(IRR: incidence rate ratios)を推定した.

Findings

2020618日〜20201231日までに,30,625人の参加者が研究に登録された.51人の参加者が研究を取りやめ,4913人が除外され,25,661人の参加者(抗体検査とPCR検査のデータがリンクしている)が解析に含まれた.データは202125日にすべてのソースから抽出され,2021111日までのデータが含まれている.2,047,113人日の追跡調査が行われ,ベースラインの陽性コホート8278人から155例の感染が検出された.一方,2,971,436人日の追跡調査が行われ,陰性コホートの17,383人から1704例の新たなPCR陽性感染が検出された20206月〜20211月における発生密度は,陽性コホートでは10万人日あたり76例の再感染陰性コホートでは10万人日あたり57.3例の一次感染が認められた調整済みIRRは,PCRで確認された一次感染と比較して,すべての再感染で0.15995%CI 0.13-0.19)であった.一次感染と再感染の間隔の中央値は200日を超えていた.

Figure : Weekly frequency of SIREN participants with a first positive PCR test result by baseline cohort assignment, from March, 2020, to January, 2021.

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Interpretation

SARS-CoV-2感染歴があると,感染リスクが84%低下し,防御効果の中央値は初感染から7ヶ月間観察された.この期間は,セロコンバージョンが含まれていないため,最小の蓋然的効果(probable effect)である.この研究は,SARS-CoV-2に過去に感染したことで,ほとんどの人に将来の感染に対する有効な免疫が誘導されることを示している.

 

 

 

 

 

 

【症例報告: 中和抗体を保持する医療従事者のSARS-CoV-2再感染】

Brehm TT, et al. SARS-CoV-2 Reinfection in a Healthcare Worker Despite the Presence of Detectable Neutralizing Antibodies. Viruses 2021, 13(4), 661. Published, Apr 12, 2021.

https://doi.org/10.3390/v13040661.

Abstract

これまで,SARS-CoV-2の再感染に関する報告はわずかしかなく,免疫学的およびウイルス学的な詳細データを欠いていることが多い.今回,免疫不全のない女性医療従事者が,遺伝的に異なるSARS-CoV-2変異株に再感染し,軽度の経過をたどったことを報告する.この2つ目のウイルス変異株には,明らかなウイルス逃避変異は観察されなかった.患者の血中に中和抗体が存在していたにもかかわらず,再感染時に感染性ウイルスが患者から排出された.今回のデータは,1回目の感染後の中程度の免疫応答が,ウイルスの逃避ではなく,再感染と活性化ウイルスの排出を可能にしたことを示している

Key findings

・免疫不全のない医療従事者(27歳の女性看護師)が,初感染から282日後SARS-CoV-2に再感染し,S1/S2抗体価の4倍を超える上昇を伴い,軽度の症状を示したFigure 1).

再感染により,遺伝的に異なるSARS-CoV-2変異株が分離された.

再感染したウイルスには,逃避変異は認めなかった

初感染後,中程度の免疫応答が認められた.

中和抗体の存在にもかかわらず,再感染時にはウイルスの排出が認められた

Figure 1: SARS-CoV-2 RNAの定量的検出値[log copies/mL]()と抗SARS-CoV-2 S1/S2抗体の定量検出値[log AU/mL]()の時系列RNAレベルは、初感染時が1×106 copies/mL,再感染時が2×107 copies/mLであった.抗SARS-CoV-2スパイク(S1/S2IgGは初感染後40 IU/mLで,再感染時には4倍を超えるブースター効果が観察された(20201229日に97 AU/mL2021113日に> 400AU/mL).

Viruses 13 00661 g001 550

 

 

Figure 2:

Viruses 13 00661 g002 550

再感染の原因となったSARS-CoV-2変異株は,ウイルス細胞培養でうまく分離された(Figure 2a).virus rescueを試みるための最初の感染のサンプルは入手できなかった.そこで,再感染の前後に採取した患者の血清を用いて,地元ハンブルグの基準分離株(HH-1)と再感染時に分離されたウイルス(HH-24.II)の両方で中和抗体測定(NT IC50)を行った.その結果、HH-1HH-24.IIの両分離株では,初回感染後に1:801:160の同程度の中和力価が観察され,再感染後にはそれぞれ1:12801:2560の強い中和力価の上昇が観察された(Figure 2b).

 

 

Figure 3: 次世代シークエンス(NGS: next generation sequencing)により,3月における最初のウイルス変異株(HH-24.I)と12月における変異株(HH-24.II)のウイルス配列は,それぞれpangoline系統B.3B.1.177に属することが明らかになった(Figure 3b).両者の配列は,スパイクタンパク質におけるA222VD614G2つの典型的な変異を含む合計21の位置で異なっていた(Figure 3b).