COVID-19関連追加(202157日)

バリシチニブについてその2COV-BARRIER Study

当院HP関連ファイル:

202138

【成人COVID-19入院患者に対するバリシチニブと標準治療の併用】

Marconi VC, et al. Baricitinib plus Standard of Care for Hospitalized Adults with COVID-19. medRxiv. May 3, 2021. https://doi.org/10.1101/2021.04.30.21255934.

(preprint)

Abstract

Background

経口の選択的ヤヌスキナーゼ1および2阻害薬であるバリシチニブは,成人COVID-19入院患者を対象とした前回の無作為化比較試験において,レムデシビルとの併用により転帰を改善した.

Methods

この第3相国際共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験では,標準治療(SOC)を受けているCOVID-19入院患者1525人を11回のバリシチニブ4mgN= 764)またはプラセボ(N= 761)に無作為に(1:1)割り付け,最大14日間投与した.SOCには全身性コルチコステロイドが含まれており,79%の被験者がコルチコステロイドを投与されていた(デキサメタゾンは90%主要エンドポイントは,28日までに高流量酸素療法,非侵襲的人工呼吸,侵襲的機械式人工呼吸,死亡のいずれかに移行した割合であった主要な副次エンドポイントは,28日までの全死亡率であった

Results

全体では,バリシチニブ投与群で27.8%,プラセボ投与群で30.5%が進行した(主要エンドポイント, オッズ比 0.85, 95%CI 0.67-1.08; p= 0.1828日全死亡率は,バリシチニブ投与群で8.1%,プラセボ投与群で13.1%であり,38.2%の死亡率の低下が認められた(ハザード比[HR] 0.57, 95%CI 0.41-0.78; 名目上の[nominal]p= 0.002; バリシチニブ投与群20人につき1人の追加死亡が予防された.死亡率の低下は,事前指定されたベースラインの重症度のすべてのサブグループで認められた(最も顕著だったのは,ベースラインで高流量酸素-侵襲的人工呼吸を行っていた参加者であった[バリシチニブ投与群17.5% vs プラセボ投与群29.4%; HR 0.52, 95%CI 0.33-0.80; nominal p= 0.007]).有害事象,重篤な有害事象,重篤な感染症,静脈血栓塞栓症の発生頻度は両群間で同等であった.

Conclusions

疾患の進行の抑制は統計的に有意ではなかったが,COVID-19入院患者のグループ間で,SOC(主にデキサメタゾン)に加えてバリシチニブを投与することにより,同様の安全性プロファイルで死亡率が有意に減少した.(NCT04421027

 

Main

Introduction

SARS-CoV-2入院患者は,しばしば激しい炎症性亢進となり,ARDS,敗血症性ショック,そして死を含む多臓器不全を引き起こす可能性がある1)-4).最近では,レムデシビル,デキサメタゾン,トシリズマブなどの治療法が進歩しているが,入院患者の死亡率を下げることは依然として重要なunmet needである5)-8)

バリシチニブは,選択的ヤヌスキナーゼ(JAK1/JAK2阻害薬9)-11)であり,自己免疫疾患患者における抗炎症作用が知られている12)-14)20202月,人工知能プラットフォームにより,バリシチニブがCOVID-19の抗ウイルス作用を持つ可能性があることが確認された15)16).その後,バリシチニブがSARS-CoV-2ウイルスの増殖に関与するhuman numbassociated kinasesAAK1BIKEGAK)を生化学的に阻害することが確認された17).また,バリシチニブは,COVID-19の病態生理に関与する複数のサイトカインやバイオマーカーを減少させた18).これらの知見に触発されて,COVID-19入院患者を対象とした小規模コホート研究が行われ,バリシチニブの投与による臨床的改善が初めて証明された19)20)

NIHが主催したCOVID-19入院患者を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照第3相試験であるACTT-2試験6)では,バリシチニブ+レムデシビルは,回復時間の短縮においてレムデシビル+プラセボより優れており(p= 0.03),28日死亡率は5.1% vs 7.8%(統計的に有意ではない)と報告された.また重篤な有害事象(SAEs)も少なかった.食品医薬品局(FDA)は202011月,補助酸素を必要とするCOVID-19入院患者へのバリシチニブとレムデシビルの併用使用について緊急使用許可を出した21)

COV-BARRIERは,成人COVID-19入院患者に対するバリシチニブと標準治療(SOC: standard of care)の併用による有効性と安全性を評価するためにデザインされた.

Methods

Study Design and Oversight:

この多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第3相試験には,アジア,欧州,北米,南米の12ヶ国から101施設が参加した.参加者は,プラセボまたはバリシチニブ4mg1:1で無作為に割り付けられた.参加者は,重症度,年齢,地域,COVID-19でのコルチコステロイドの使用状況などのベースライン因子によって層別化された.バリシチニブまたはプラセボを経口投与(または経鼻胃管用に粉砕したもの)し,毎日,最長14日間または退院まで,いずれか早い方の期間投与した.ベースラインのeGFR ≥30<60mL/min/1.73m2でバリシチニブ4mgに無作為に割り付けられた参加者には,バリシチニブ2mgが投与された.すべての参加者は,COVID-19管理のための地域の臨床慣行に沿って,コルチコステロイドや抗ウイルス薬などのバックグラウンドSOCを受けた.RECOVERY試験に記載されているように,デキサメタゾンの使用は許可された; 併存疾患のために必要な場合を除き、コルチコステロイド投与量は制限された.静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolic events)の予防は,重大な禁忌がない限り,すべての参加者に義務付けられた.

有効性と安全性は28日目まで評価された.参加者は,試験薬の最終投与後〜28日と〜60日に,治療後の追加フォローアップを受けた; 60日のフォローアップのデータは,入手可能になり次第公開される.参加者定義はFigure 1に示されており,中止理由には有害事象(AEs)(死亡を含む)が含まれている.

Figure 1: Trial profile.

SOC=standard of care. *Included in the intent-to-treat population. †Includes all randomized participants who received ≥1 dose of study drug and who did not discontinue the study for the reason of ‘lost to follow-up’ at the first post-baseline visit. ‡159 deaths total reported by day 28. There were an additional 3 deaths that occurred after treatment period disposition but within 28 days.

COV-BARRIERは,ヘルシンキ宣言の倫理原則およびGood Clinical Practiceのガイドラインに従って実施された.すべての施設で,公認の機関審査委員会の承認を得た。すべての参加者(または法的に認められた代理人)は,インフォームド・コンセントを得た.独立した外部のデータモニタリング委員会(DMC)が本試験を監督し,盲検化されていない中間データを評価して、有効性,無益性,安全性の分析を行った.盲検化された独立した臨床事象委員会が,VTEsおよび死亡の可能性を判定した.

Participants:

対象となったのは,検査でSARS-CoV-2感染が確認されて入院し,肺炎または活動性で,有症候性COVID-19であり,1つ以上の炎症マーカー(CRPDダイマー,LDH,フェリチン)が上昇している18歳以上の患者であった.試験開始時に侵襲的人工呼吸が必要な場合(National Institute of Allergy and Infectious Disease Ordinal Scale [NIAID-OS] 7),免疫抑制剤(高用量コルチコステロイド,生物学的製剤,T細胞またはB細胞を標的とした治療薬,インターフェロン,JAK阻害薬)の投与を受けている場合,COVID-19に対して回復期血漿または静脈内免疫グロブリンの投与を受けている場合は除外された.ACTT-2において,ベースラインで補助酸素を受けていない参加者は進行する可能性が低いという結果が開示されたため,ベースラインで補助酸素を必要とする参加者に登録を限定するプロトコルの修正が行われた(OS 5/OS 6

Outcomes:

複合主要エンドポイントは,プラセボ+SOCと比較して、バリシチニブ+SOCを投与された参加者において,28日目までに高流量酸素または非侵襲的換気(OS 6),侵襲的機械式換気またはECMOOS 7),死亡(OS 8)に進行した参加者の割合であった.主要エンドポイント解析では,進行後の転帰を区別していない.すべての死亡は,別の主要副次エンドポイントである28日全死亡率で評価した主要評価対象となったのは,集団1: 無作為化されたすべての参加者,および集団2: ベースラインで補助酸素を必要とし,COVID-19に対する全身性コルチコステロイド投与を受けていなかった参加者のサブ集団,である

主要副次エンドポイントは多重性(multiplicity)を調整し,以下の項目を含む(特に指定のない限り,128日で評価): 全死亡率; 4日目,7日目,10日目,14日目にNIAID-OS1ポイント以上の改善または退院した参加者の割合; 人工呼吸離脱日数(ventilator-free days; 回復までの期間(NIAID-OS 13; 4日目,7日目,10日目,14日目に評価したNIAID-OSにおける全体的な改善; 入院期間; ベースラインから4日目,7日目,10日目,14日目までに酸素飽和度が94%未満から94%以上に変化した参加者の割合.事前指定された副次アウトカムおよび選択された探索的アウトカムは,Supplementary Appendixに記載した.有害事象は128日において記録され,Medical Dictionary for Regulatory Activitiesversion 23.1)によってコード化された.

Statistical Analyses:

主要エンドポイントが2つの主要集団のうち1つ以上で成功するように検出力が計算され,外部のDMCによって評価された中間解析(20211月)で評価されたように,主要エンドポイントの非盲検サンプルサイズの再推定22)を用いてサンプルサイズが増加する可能性を考慮して試験がデザインされた.主要および副次エンドポイントは,事前指定された解析計画に従って解析された.0.05の両側2アルファレベルで全体的なファミリーワイズタイプ1エラー率をコントロールするために,主要エンドポイントと主要副次エンドポイントの検定にはgraphical testing procedureを用いた.主要エンドポイントが満たされなかったため(Table 2およびFigure S2),本稿では主要副次エンドポイントの名目上(nominalp値を報告する.その他の解析では,多重比較を行っていない.

有効性データは,無作為化された全参加者と定義したintent-to-treat集団で解析した.2値エンドポイント(dichotomous endpoint)にはロジスティック回帰を,順序エンドポイント(ordinal endpoint)には比例オッズモデルを,連続エンドポイント(continuous endpoint)には分散分析モデルを,連続エンドポイントの経時的評価には反復測定による混合効果モデル(MMRM: mixed-effects model of repeated measure)を用いた.Time-to-event解析には,Log-rank検定とCox比例ハザードモデルによるハザード比(HR)を用いた.これらの統計モデルは,治療およびベースラインの層別化因子で調整された.安全性解析には,無作為化された参加者のうち,試験薬を1回以上投与され,ベースライン後の最初の診察時に”追跡調査不能”という理由で試験を中止しなかった者がすべて含まれた.有害事象は28日間の治療期間中に発生したものとした.治療効果の統計検定は,他に記述がない限り,両側有意水準0.05で実施した(すなわち,graphical multiple testing strategy).統計解析にはSAS® Version 9.4以降またはRを使用した.

Results

Participants:

2020611日〜2021115日において,1525人の参加者が,11回のプラセボ+SOCN= 761)またはバリシチニブ4mgSOCN= 764)の投与に無作為に割り付けられ,83.1%の参加者が28日の治療期間を完了した(Figure 1).治療期間中に中止した16.9%のうち,中止の62.6%が死亡によるものであった.治療目的で無作為化された参加者が除外されることはなかったが,Table S2に示すように,異なる統計手法に必要とされる様々な情報のために,特定の分析から除外された参加者もいた.

ベースラインにおける人口統計と疾患特性は,治療群間でバランスが取れていた.参加者の平均年齢は57.6歳(SD 14.1),63.1%が男性で,登録は世界中で行われた(Table 1).参加者数の> 10%を占めた国は,ブラジル(21%),米国(21%),メキシコ(18.4%),アルゼンチン(13.6%)であり,ヨーロッパ,インド,日本,韓国,ロシアからも参加者が登録された.全体では,参加者の61.6%が白人,11.7%がアジア人,5.0%が黒人またはアフリカ系アメリカ人であった(米国の参加者のうち,黒人またはアフリカ系アメリカ人は10.3%).参加者の大部分(83.3%)は,登録の7日以上前に症状を認めていたベースライン時の臨床状態は,OS412.3%OS563.4%OS624.4%であったベースライン時で,大多数(79.3%)の参加者が全身性コルチコステロイドを投与されており,そのうち91.3%がデキサメタゾンを投与されていたレムデシビルを投与された参加者のうち,91.6%がコルチコステロイドを投与されていた.参加者の大部分(99.7%)は、1つ以上の併存疾患を有していた.ベースラインの人口統計と臨床特性をベースライン時の全身性コルチコステロイド使用別にTable S4に示した.

 

 

Table 1:

 

Primary Endpoint:

28日目までに進行した割合という複合主要エンドポイントは,集団127.8% vs 30.5%; vsプラセボのオッズ比[OR]0.85, 95%CI 0.67-1.08, p= 0.18)または集団228.9% vs 27.1%; OR 1.12, 95%CI 0.58-2.16; p= 0.73)において,バリシチニブ投与群とプラセボ投与群で統計的に有意ではなかったTable 2.事前指定されたベースラインサブグループNIAID-OSおよび地域別の主要エンドポイントについては,それぞれTable S5およびS6に記載した.プラセボと比較して,進行した被験者が約3%少なかった; この傾向は,全集団およびベースラインのすべてのOSサブグループで観察された

Table 2:

Key Secondary Endpoint – All-cause Mortality:

バリシチニブの投与により,主要副次エンドポイントである28日全死亡率で測定した死亡が減少した死亡率は、バリシチニブ投与群で8.1%,プラセボ投与群で13.1%であり,38.2%の死亡率低下が認められた(HR 0.57, 95%CI 0.41-0.78; nominal p= 0.002; 全体として,バリシチニブ投与群では,20人あたり1人の死亡が防止されたTable 2, Figure 2A, Figure 3集団2(バリシチニブ5.2%, プラセボ14.7%; HR 0.31, 95%CI 0.11-0.88; nominal p= 0.030)では,64.6%の死亡率低下が認められた(Figure 2B, Figure 3OS41.1% vs 4.1%; HR 0.24, 95%CI 0-2.18; nominal p= 0.23)およびOS55.9% vs 8.7%; HR 0.72, 95%CI 0.45-1.16; nominal p= 0.11)のように,事前指定したベースライン時の重症度サブグループにおいて,バリシチニブはプラセボと比較して死亡率を数値的に減少させる(numerical reduction)ことが認められた(Figure 2C, Figure 3).OS6では,バリシチニブ投与群がプラセボ投与群に比べて死亡率を有意に低下させた(17.5% vs 29.4%; HR 0.52; 95%CI 0.33-0.80; nominal p= 0.007)(Figure 2D, Figure 3; このサブグループでは,バリシチニブ投与群9人あたり1人の死亡が防止された全身性コルチコステロイドの投与を受けている群9.3% vs 13.9%; HR 0.63, 95%CI 0.45-0.89; nominal p= 0.017),全身性コルチコステロイドの投与を受けていない群3.3% vs 11.0%; HR 0.28, 95%CI 0.10-0.77; nominal p= 0.011)またはレムデシビルを併用していない群8.0% vs 13.8%; HR 0.52, 95%CI 0.36-0.74; nominal p= 0.001)において,バリシチニブはプラセボと比較して死亡率を有意に減少させた; ベースライン時にレムデシビルを併用していた18.9%の参加者(91.6%は副腎皮質ステロイドも併用していた)では,死亡率の数値的減少(numerical reduction)が観察された(Figure 2E-F, Figure S3, Figure 3).バリシチニブはプラセボと比較して,地域に関係なく死亡率の数値的減少が認められた(Figure 3, Table S7).28日目における全集団の参加者のNIAID-OSFigure 2Gに示す.その他の副次エンドポイントおよび探索的目的(exploratory objective)である薬物動態については,Supplementary ResultsTable S8,およびFigure S4Figure S5に記載されている.

 

 

Figure 2: Kaplan-Meier estimates of mortality in the overall population, Population 2, by baseline NIAID-OS and by baseline systemic corticosteroid use, and distribution of NIAID-OS status over time.

For time-to-event endpoints, the p-value was calculated using an unstratified log-rank test. The HR with 95% CI was calculated using a Cox proportional hazards model. p-values are for comparisons of baricitinib 4-mg with placebo. For panels A-F, the number at risk at day 27 represent the number of participants with available data at day 28. Distribution of NIAID-OS status over time was analyzed in the intent-to-treat population with baseline OS and at least one post-baseline OS using last observation carried forward. CI=confidence interval. HR=hazard ratio. NIAID-OS=National Institute of Allergy and Infectious Disease Ordinal Scale. OS=ordinal scale. OS score of 5=hospitalized, requiring supplemental oxygen. OS score of 6=hospitalized, receiving high-flow oxygen devices or non-invasive ventilation.

 


Figure 3: Mortality according to subgroup.

The HR with 95% CI was calculated using a Cox proportional hazards model. CI=confidence interval. HR=hazard ratio. NIAID-OS=National Institute of Allergy and Infectious Disease Ordinal Scale.

 

 

 

 

Safety:

1つ以上のtreatment-emergent AETEAE)(治療前には認められず治療期間中に発生した事象,または治療前の状態と比較して悪化した事象)を発症した参加者の割合は,バリシチニブ投与群で44.5%,プラセボ投与群で44.4%であった; SAEsについては,それぞれ14.7%18%であった(Table 3.最も多かったSAEsについては,Table S9に記載されている.AEが原因で死亡したと報告された頻度(1.6% vs 4.1%)とAEによる試験治療の中止(7.5% vs 9.3%)は,バリシチニブ投与群の方がプラセボ投与群よりも数値的(numerically)に低かった.重篤な感染症は,バリシチニブ投与群で8.5%,プラセボ投与群で9.8%と報告された(Table 3; ベースライン時にコルチコステロイドを使用していた参加者では,重篤な感染症は両群間でほぼ同様であった(それぞれ9.6% vs 10.7%)(Table S10positiveに判定された(positively adjudicatedVTE2.7% vs 2.5%)および主要心血管有害事象(1.1% vs 1.2%)は,バリシチニブ投与群とプラセボ投与群でそれぞれ同程度の分布を示した.消化管穿孔の報告はなかった(Table 3).安全性データは,Table 3Table S10,およびSupplementary Resultsにさらに記載されている.

Table 3:

 

 

 

 

Discussion

この国際多施設共同試験では,複合エンドポイントである”疾患の進行(disease progression)”において,バリシチニブ+SOCとプラセボ+SOCの間に有意差は認められなかったしかし,事前設定した主要副次エンドポイントにおいて,バリシチニブによる治療は,プラセボと比較して,28日全死亡率を38.2%減少させた(HR 0.57, 95%CI 0.41-0.78, nominal p= 0.002全集団において,1人の追加死亡を防ぐためのバリシチニブによる治療必要数(NNT: number needed to treat, 1人に効果が現れるまでに何人に介入する必要があるのかを表す)は20であった.また,ベースラインのコルチコステロイドの使用状況やOSサブグループにかかわらず,バリシチニブによる死亡率の低下が認められた; OS6サブグループでは、バリシチニブによる1人の追加死亡を防ぐためのNNT9であった

COV-BARRIER試験の期間中,SOCはコルチコステロイドのルーチン使用を含むように大幅に変更され、20206月に非盲検のRECOVERY試験7)(デキサメタゾンはSOCと比較して死亡率を10.9%相対的に減少させた[22.9% vs 25.7%; 年齢調整済み率比0.8395%CI 0.75-0.93; p< 0.001])の結果が開示されガイドライン23)24)が更新された.RECOVERYにおけるtocilizumab(抗IL-6抗体)の評価では,SOCに比べ,28日死亡率の相対リスクが12.1%減少した(29% vs 33%; HR 0.86, 95%CI 0.77-0.96; p= 0.0078)ACTT-2試験では,バリシチニブ+レムデシビル群の28日死亡率は5.1%,プラセボ+レムデシビル群は7.8%であったが,両群間の死亡率の差を検出するための検出力はなかった6)COV-BARRIER試験では,バリシチニブとSOCの併用は,デキサメタゾンを含むSOCと比較して,死亡率を38.2%相対的に減少させた(8.1% vs 13.1%, HR 0.57, 95%CI 0.41-0.78; nominal p= 0.002).我々の知る限り,入院患者を対象とした他の無作為化試験と比較しても5)-8)COVID-19治療薬の中でバリシチニブは死亡率に対する最大の効果サイズを示している

TEAEsSAEs,感染症,VTEsの発生頻度は,バリシチニブ群とプラセボ群で同等であり,急性期医療における新たな安全性シグナルは検出されなかった.

COV-BARRIERは,COVID-19入院患者に対するバリシチニブと全身性コルチコステロイドおよびレムデシビルを含むSOCの有益性の可能性および安全性を評価するためにデザインされた,初めての多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験である.本試験は,COVID-19入院患者の治療戦略の最適化に関する重要な知識のギャップを解消する.また,進化するSOCの複雑さや,異なる地域での治療の不均一性を考慮すると,COV-BARRIERの登録時期は適切であった(The enrollment timeline of COV-BARRIER is also relevant considering the complexity of evolving SOC).COVID-19入院患者を対象とした試験では,全死亡率が最も重要なアウトカムであり,バリシチニブとSOCの併用は,特に,高流量酸素療法および非侵襲的人工呼吸を受けている患者にとって,プラセボとSOCの併用に比べて死亡率の有意な低下を示した

Limitation: 主要アウトカムとして,補助酸素レベルを含む臨床状態で測定される疾患の進行を選択したことかもしれない.NIAID-OSに基づいて疾患の進行を測定することは,治療上の決定を反映しており,異なる地域における臨床診療の不均一性の影響を受ける可能性がある.バリシチニブは,複合主要エンドポイントの3つの構成要素において,プラセボに対して一貫した進行抑制効果を示したが,統計的有意差に到達しなかった.対照的に,死亡率は客観的かつ決定的な患者の転帰であり,地域によって変わることはない.死亡率は,肺への影響を含むが肺のみに限定されないCOVID-19の多臓器への影響を統合した結果であるため,バリシチニブは主要エンドポイントにおいて有意差に到達しなかったが,死亡を防止できる可能性がある.バリシチニブの抗炎症作用は,肺機能だけでなく,すべての臓器に影響を与える18).長期的な有効性と安全性のデータは,現在進行中のCOV-BARRIER試験で評価されるだろう25)

Conclusions

COV-BARRIER試験では,複合エンドポイントを用いたCOVID-19の進行をSOCに対して抑制しなかったしかし,副次エンドポイントである28日全死亡率は,バリシチニブ+SOC併用群で有意に改善し,プラセボ+SOC併用群と比較して,治療を受けた20人に1人の割合で死亡を防止する結果が示された全死亡率における38.2%の減少は,試験集団全体で観察され,事前指定された重症度と地域のサブグループにも一貫して認められたまた,COVID-19入院患者において,バリシチニブとSOCを比較した場合の安全性プロファイルも同様であった.これらの結果は,バリシチニブが現行のSOCよりも死亡率をさらに低下させることを示唆しており,今回のCOVID-19パンデミックで観察された世界的な死亡率の負担を考慮すると,治療の選択肢になり得ると考えられる.

 

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25) ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2020 June 9. Identifier (NCT04421027), A study of baricitinib (LY3009104) in participants with COVID-19 (COV-BARRIER). 2020. (Accessed April, 18, 2021, at

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04421027.)

SUPPLEMENTARY APPENDIX

 

 

 

 

 

 

 

COVID-19関連追加(202157日)バリシチニブについてその2COV-BARRIER Study)に202192日追記しました

COV-BARRIER trial,正式にアクセプト】

Marconi VC, et al. Efficacy and safety of baricitinib for the treatment of hospitalised adults with COVID-19 (COV-BARRIER): a randomised, double-blind, parallel-group, placebo-controlled phase 3 trial. Lancet Respiratory Medicine. Sep 1, 2021.

https://doi.org/10.1016/S2213-2600(21)00331-3.

 

PIIS2213260021003313.pdf