COVID-19関連追加(2021522日)HIV患者の血清有病率と抗体価について

SARS-CoV-2の血清有病率,および感染後のIgG濃度と疑似ウイルス中和抗体価のHIV感染状況における比較: マッチドケースコントロール観察研究】

Spinelli MA, et al. SARS-CoV-2 seroprevalence, and IgG concentration and pseudovirus neutralising antibody titres after infection, compared by HIV status: a matched case-control observational study. Lancet. Apr 29, 2021.

https://doi.org/10.1016/S2352-3018(21)00072-2.

Introduction

SARS-CoV-2感染に対する感受性あるいは重症疾患へ進行する傾向がHIV感染者の集団で高まっているかどうかを理解することは,HIV感染者と医療を提供する者の双方にとって重要である1)HIV感染者の中には,marginal housingのために屋内退避できない人もいるが2),これまでの研究では,HIV感染者のCOVID-19発症率は一般人口と比較して同等3)-6),あるいは低い7)8)とが明らかになっており,HIVSARS-CoV-2感染のリスク要因になる可能性は低いと考えられている.HIV感染者は,HIVに対する感受性が高いと認識されていることや,HIVの流行を経験していることから,より慎重に行動し,SARS-CoV-2に曝露する機会が少ないと考えられている1).逆に,HIV感染者の炎症が持続している,あるいはCD4/CD8細胞比が非HIV感染者よりも低かったりすると、ウイルス感染に対する感受性が高まる可能性がある9)

HIV感染者におけるCOVID-19の正確な発生率を明らかにすることは,集団ベースのデータに限界があるため困難であった.また,SARS-CoV-2の無症候性感染の割合が高いことを考慮すると,集団間の検査率の差によって発生率の推定値に偏りが生じる可能性がある1)HIV感染者のCOVID-19感染率に関する最大規模集団の3つの研究(マドリッド[スペイン],バルセロナ[スペイン],武漢[中国],ニューヨーク州[米国])ではHIV感染者のCOVID-19感染率は,非HIV感染者と比べて同程度または低いことが示されたが,これらの研究では検査率や検査陽性率は報告されていなかった4)6)-8).しかし,米国で行われた3つの研究では,HIV感染者の検査率の違いの懸念が浮上した2)3).ロサンゼルス(米国カリフォルニア州)の統合医療システムでは,HIV感染者の検査陽性率はより低く,検査率は高かったが,HIV感染者と非感染者のCOVID-19症例の割合は同程度であり,HIV感染者の検査率が高いことが示唆された3).また,退役軍人高齢者コホート研究解析では,HIV感染者の方が非感染者よりも検査率が高く,同程度の感染罹患率(infection incidence)を示した5).一方,サンフランシスコ(米国カリフォルニア州)の都市全体を対象とした解析では,HIV感染者の検査陽性率が非感染者よりも高く,HIV感染者の検査不足が示唆された.この研究では,HIVSARS-CoV-2の重複感染者の半数以上が,marginal housingを経験し,ウイルス量は抑制されていなかった2).重症COVID-19転帰がHIV感染者に偏っているかどうかについてのデータは,重症疾患はより少ないCD4細胞数をもって発生することが示唆している6)10)11).また,HIV感染者には多くの合併症があるため,重症疾患が発生する可能性がある1)

PCRを用いた検査では,SARS-CoV-2感染の確認が不十分になる可能性があるため,感染率を正確に把握するためには,集団ベースの血清有病率研究が必要である.しかし,HIV感染者の人口は一般人口に比べてはるかに少なく,パンデミックが続く中で臨床研究を行うことは困難であることから,HIV感染状況によってSARS-CoV-2感染率を比較する系統的な血清有病率研究は,ウンブリア(イタリア)で行われた小規模な血清有病率研究12)を除き,まだ行われていない.我々は,HIV感染者のSARS-CoV-2血清有病率を,非HIV感染者と比較して推定することを目的とした.感染した後,IgG抗体および中和抗体価は自然に低下することを考慮し,我々は過去に感染がPCRで確認された基層における感染からの時間を調節し,過去に感染した証拠がある者における定量的SARS-CoV-2 IgG濃度,中和抗体価,抗体アビディティ(antibody avidity)におけるHIV感染状況による違いを調べることを目的とした.

Methods

Study design:

このマッチドケースコントロール観察研究では,202081日〜1031日の間に,大規模なHIVクリニックを併設し,市の医療システムを支えるサンフランシスコ総合病院で定期的な外来検査を受けたすべてのHIV感染者から,メタボリックパネルの残余血清サンプルが収集された.HIV感染者の各サンプルは,採取日(同日)と年齢(±5歳)で,同じ病院で外来のメタボリックパネル検査を受けている内科および家庭医療クリニックの無作為に選ばれた成人(18歳以上)のサンプルと1:1でマッチさせた(40人のHIV感染者のサンプルは,適切なサンプルが1つしかない時は2:1でマッチさせた)(Figure 1).また,残余のサンプルのみを使用し,参加者の秘密を守るための措置を講じたため,カリフォルニア大学サンフランシスコ校の機関審査委員会は,研究参加に対するインフォームド・コンセントを要求しなかった.

 

 

Figure 1: Flow diagram of matching process for participants and specimens enrolled in the study.

 

 

SARS-CoV-2 anti-RBD IgG measurement:

SARS-CoV-2抗体濃度は,スパイクタンパクの受容体結合ドメイン(RBD: receptor-binding domain)を標的としたPylon COVID-19 IgG assayET HealthCare, Palo Alto, CA, USA)を用いて血清における濃度を定量した.過去の感染に対するIgG assayの感度は,同じ医療機関(サンフランシスコ総合病院)の外来患者および入院患者79人を対象とした内部検証試験で得られたものを使用した.RBD IgG assayは,PCRで感染が確認された患者の過去の感染に対する感度が89%であり,我々は本研究では調整済み血清有病率を推定するために使用した13)IgG assayの感度は,無症候性感染の割合が高い場合は十分に確立されていないため,検査感度を70%と仮定して感度解析を行った.最後に,RBD IgG assayの特異度は,20186月以前に採取された80人の血液ドナー検体を用いて100%であったため,我々の解析では特異度の調整は行わなかった13).過去の感染の証拠がある者は,連続IgG濃度を測定し,RFUrelative fluorescent units)で表した.

Pseudovirus neutralisation and antibody avidity:

疑似ウイルスの中和は,thin-film interferometry immunoassay analyser14)を用いたlabel-free surrogate neutralisation assay(サンフランシスコ総合病院の研究所で開発)で測定した.label-free surrogate neutralisation assayは,血清中の抗体でRBDを中和した後,SARS-CoV-2 RBDのアンジオテンシン変換酵素2受容体への結合能力を測定するneutralisation indexは,中和しない場合の完全な結合力に対する中和後のRBDの受容体への結合力の比として算出される中和抗体価は,50% neutralisation indexをもたらす希釈の逆数として定義されるSARS-CoV-2スパイクRBDに対する抗体の機能的親和性の指標である抗体アビディティは,既述の方法15)で測定した抗体アビディティは,基準(running buffer)に対する解離剤(尿素)を使用した後に測定したRBD-IgG-IgG複合体の比として計算され,パーセンテージで示されるIgGアビディティは,一般的に感染からの経過時間が長いほど高くなるが,集中治療室への入院が必要となったCOVID-19患者は,そうでない患者よりもアビディティが高くなる15)

Clinical data:

2型糖尿病,心血管疾患(高血圧,脳血管疾患,冠動脈疾患,心不全を含む),慢性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患,喘息,肺高血圧症,間質性肺疾患を含む),そしてHIVを含む医学的状況は,過去6ヶ月以内に医療記録からダウンロードした国際疾病分類(ICD)(改訂10版)コードを用いて評価した.重症COVID-19は,室内気SpO2 94%未満,呼吸数 30/分を超える,P/F 300mmHgを超える状態と定義した.ホームレスの経験(experience of homelessness)は診療記録によって評価され,HIV感染者についてのみ入手可能であった.

Statistical analysis:

血清有病率の絶対値と検査感度の95%CIを調整した16).多変量混合効果ロジスティック回帰モデルを用いて,データのmatched structure(マッチした群のランダム効果)を考慮し,年齢(10歳ごと),性別,人種・民族,臨床的因子(心血管あるいは肺疾患の既往,そして2型糖尿病など)を調整して,HIV感染状況別に血清有病率を比較した.HIV-specific modelでは,HIV特異的因子が含まれた: CD4細胞数(200/μLで二分),ウイルス量(200 copies/mLが二分),ホームレス経験の有無.過去の感染の証拠(IgGまたはPCR)がある参加者における重症COVID-19を,年齢と性別を調整した多変量混合効果ロジスティック回帰でHIV感染状況別に比較した(結果が非常に少ないため,プロファイル尤度CIsを使用した).SARS-CoV-2 IgG反応がみられた参加者については,年齢と性別を調整した自然対数変換後の混合効果線形モデル(natural log-transformed mixed-effects linear models)を用いて17)IgG濃度(RFUで測定)をHIV感染状況別に比較した; 過去にPCR検査が陽性であった参加者については,PCRで確認された感染後の期間を調整した上で,同じ作業を繰り返した.過去に感染したことのある参加者の中和抗体価をHIV感染状況別に比較するために,同じ因子を調整して自然対数変換後の混合効果の区間回帰を用いた.また,HIV感染状況別に抗体アビディティパーセンテージを比較するために,二項分布からの混合効果一般化線形モデルを用い,同じ因子で調整した.自然対数変換したIgG濃度,自然対数変換した疑似ウイルス中和抗体価,抗体パーセンテージアビディティの相関関係は,Spearmanの順位相関を用いて調べた.統計解析はStata SE(バージョン15.1)で行い,グラフはR(バージョン4.0.5)で作成した.

Results

HIV感染者955人の1138サンプルと,非感染者1062人の1118サンプルを検査した(Figure 1; Table 1).SARS-CoV-2 IgG検査で陽性の証拠を示したのは101人の103サンプルで,HIV感染者31人の33サンプルに対し,非HIV感染者70人の70サンプルが入手可能であった.HIV感染者31人のうち24人(77%)は出生時の性別が男性であったのに対し,非HIV感染者70人のうち男性は34人(49%)であった.年齢中央値はそれぞれ50歳(IQR 40-56),51歳(43-58)であった.過去のSARS-CoV-2感染に一致する血清陽性者101人のうち48人(HIV感染者18人,非感染者30人)(48%)が,医療システム内で過去にPCR検査の陽性反応が記録されていた(HIV感染者の過去の記録は中央値で66[IQR 41-111], 非感染者の過去の記録は56[28-94], p= 0.48).

Table 1:

 

HIV感染者では,SARS-CoV-2 IgGの調整後血清有病率は3.7%95%CI 2.4-5.0)であり,HIV感染者以外では7.4%5.7-9.2)であった(調整後オッズ比[OR]0.5095%CI 0.30-0.83感度解析では,もし検査感度が70%に低下したならば,血清有病率はHIV感染者で4.7%95%CI 2.9-6.4),HIV非感染者で9.4%6.9-12.0)に上昇すると考えられた

年齢,性別,人種や民族,その他の慢性疾患を調整すると,HIV感染者における過去のSARS-CoV-2感染のオッズは50%低かった(Table 2ラテン系民族は,HIV感染状況にかかわらず,非ラテン系の白人に比べて過去の感染のオッズが6倍を超えて高かった(Table 2.その他の慢性疾患は,SARS-CoV-2血清陽性反応とは関連していなかった(Table 2).HIV感染者のSARS-CoV-2 IgG陽性反応に関連する因子を調べたモデルにおいて,CD4細胞数が200/μL未満,ウイルス量が抑制されていないこと,ホームレス経験はSARS-CoV-2血清陽性反応と関連していなかった(Table 2

Table 2:

 

重症COVID-19症例は全体的に非常に少なかったが(HIV感染者では5[0.5%],非感染者では2[0.2%]),過去の感染の証拠(IgGまたはPCR)がある144人のうち,年齢と性別で調整した結果,重症COVID-19のオッズはHIV感染者の方が5倍を超えて高かった(調整後OR 5.52, 95%CI 1.01-64.48重症COVID-19を発症したHIV感染者のうち,5人のうち3人はCD4細胞数が200/μL未満であり,アウトカムが非常に少ないため信頼区間は非常に広かったが,CD4細胞数が少ないと重症疾患のオッズが25倍を超えることを反映している(OR 25.49, 95%CI 1.41-1805.02

SARS-CoV-2血清陽性の証拠がある者では,年齢と性別を調整すると,HIV感染者の方がHIV非感染者よりもSARS-CoV-2 IgG濃度が低かった(percentage change42%, 95%CI 16-59)(Figure 2.以下の因子はIgG濃度のpercentage changeと関連していなかった; 年齢(7%, 95%CI 6-22, per 10years; 性別(3%, 32-37; 心血管疾患(4%, 32-37; 2型糖尿病(29%, 10-83; 肺疾患(4%,-57152).IgG濃度は,CD4細胞数が200/μL未満の者では,95%信頼区間は広かったが200細胞/μL以上の者に比べて低かった(percentage change −50%, 95%CI 81-29; 抑制されていないウイルス量(unsuppressed viral load)はIgG濃度と関連していなかった(10%, 56-280IgG疑似ウイルス中和抗体については,HIV感染者は非感染者よりも抗体価が低かった(percentage change 53%, 95%CI 1-78; Figure 3.抗体アビディティは,HIV感染者と非感染者でほぼ同様だった(percentage change 10%, 95% CI 28-48; Figure 4).

Figure 2: SARS-CoV-2 IgG concentrations compared between people living with HIV (n=31) and people without HIV (n=70).

 

 

Figure 3: SARS-CoV-2 IgG pseudovirus neutralising antibody titres compared between people living with HIV (n=31) and people without HIV (n=70).

 

 

Figure 4: SARS-CoV-2 IgG percentage antibody avidity compared between people living with HIV (n=31) and people without HIV (n=70).

 

過去にPCR検査で感染が確認され者において,PCR検査からの経過時間を調整して解析を行った.この調整により,HIV感染者のIgG濃度は,HIV非感染者に比べて低かった(percentage change 53%, 95%CI 4-76疑似ウイルス中和抗体についても,HIV感染者の方が非感染者よりも抗体価が低かった(percentage change 67%, 95%CI 25-86.抗体アビディティは,HIV感染者は非感染者と比較して同様であった(percentage change 7%, 95%CI 73-87).自然対数変換後の濃度と自然対数変換後の疑似ウイルス中和抗体価には相関性があり(ρ= 0.6, p< 0.0001; 中和抗体価と抗体アビディティには負の相関性があり(ρ= 0.3, p= 0.0060; IgG濃度と抗体アビディティには相関性がなかった(ρ= 0.1; p= 0.40

 

 

Discussion

COVID-19が流行していた時期に自治体の医療機関で行われた外来患者を対象としたこの研究では,SARS-CoV-2の血清有病率は,HIV感染者が非HIV感染者の約2倍低かった.全体として,SARS-CoV-2の血清有病率は両群とも10%未満であり,米国の他の地域と比較してサンフランシスコでは比較的流行が抑えられていたことを反映している.HIV感染者のSARS-CoV-2感染がより少なかったのは,より慎重に行動し,屋内退避(sheltering in place)の結果であると考えられ,これは感受性の高さ,HIVの流行の経験,あるいはその両方に起因すると思われるHIV以外のCOVID-19に関連する慢性疾患を持つ人々は,SARS-CoV-2への曝露が減少しなかったことを考えると,Ryan White Care Program(保険に加入していない人々のための米国の最終手段)やその他のサービス(食料,住居,心理社会的支援など)を通じてHIV感染者が利用できる追加サービスが,彼女/彼らの屋内退避能力力を促進した可能性もある.COVID-19のリスクが継続していることを考えると,これらのプログラムは継続または強化されるべきである.さらに,ラテン系民族とSARS-CoV-2感染歴との間には強い関連性が認められており,これは地域(および全国)の流行のダイナミクスを反映したものである18)COVID-19パンデミックにおける格差の悪化を避けるため,SARS-CoV-2ワクチン接種は,不均衡な影響を受けているコミュニティを対象とすべきである.

今回のコホートでは,重症COVID-19症例は7例のみであったが(したがって,この分析は探索的なものと考えるべきである),HIV感染者サンプルと比較して,HIV感染者全体のSARS-CoV-2感染数が少ないにもかかわらず,重症COVID-19症例数が多かったHIV感染者の重症患者5人のうち3人はCD4細胞数が少なく,これまでの知見と同様であった10)11)HIV感染者の重症疾患リスクについては、より大規模な集団ベースの研究で調査すべきであり,系統的な血清有病率の解析により,異なる検査(differential testing)や無症候性感染の可能性を考慮する必要がある.

今回の研究で,HIV感染者のIgG濃度と疑似ウイルス中和抗体価が非感染者よりも低かったことは,SARS-CoV-2の自然感染に対する反応が低下していることを示唆しており,他のウイルス性病原体のワクチンに対するHIV感染者の血清反応について知られていることを反映している19)-23).我々の発見は,HIV感染状況によるIgG濃度や疑似ウイルス中和価の違いを認めなかったAlrubayyiらの報告(n= 8224)や,HIV感染状況によるIgG濃度の違いを認めなかったPallikkuthらの報告(n= 3625)とは対照的である.調査対象者の違い(Alrubayyiらの報告では,2年以上抗レトロウイルス療法を受けたウイルス抑制状態のHIV感染者,Pallikkuthらの報告では平均CD4細胞数が859/μLのウイルス抑制状態のHIV感染者)や,潜在的な交絡因子(年齢,性別,感染からの経過時間)を調整した我々の研究デザインの違いが,今回の結果の違いを説明しているのかもしれない.HIV感染者は,黄熱病ワクチン接種に対する中和抗体価が急速に低下し22)B型肝炎ワクチン接種に対する反応が低く19)-21)CD4細胞によっては他のワクチンに対する同等の免疫応答が得られない23).中和抗体反応が持続しないのは,CD4/CD8細胞比率が低いこと25),抗レトロウイルス療法にもかかわらず慢性的な炎症状態が続くこと,胚中心構造が変化していること26)が原因と考えられる.SARS-CoV-2感染による急性症状には,免疫機能の乱れ(perturbations),特にリンパ球減少が含まれる27)-29).特に,ベースラインで総リンパ球あるいはCD4リンパ球に異常がある場合,HIV感染者はこのような影響を受けやすいかもしれない.さらに,リンパ球減少は,COVID-19重症度を予測することができる30).最後に,NovavaxCOVID-19ワクチンの南アフリカの施設の研究者は,HIV 感染者を除外した場合,ワクチン有効性が49%95%CI 6-73)から60%20-80)に上昇したことを報告している31)

HIV感染者と非感染者の抗体価が同程度であったことは,採取日を一致させた外来患者コホートにおいて,感染からの時間が同程度であったことを示している可能性がある15).無症候性感染の割合が高いコホートでは,抗体反応は疾患重症度の影響を受けにくいかもしれない15).今後,感染に対する免疫応答を調べる研究では,本研究で行ったように,感染後の時間を調整することが望まれる.

Limitation: この研究で使用されたSARS-CoV-2 IgGは,優れた特異度と良好な持続性を示したが,感度は低い13).検証研究にサンプルを提供した集団よりも,無症候性感染者が多い集団では,感度が低くなる可能性がある.今後の研究では,検査の感度と特異度を考慮する必要がある.さらに,より感度の高い検査をスクリーニング検査として組み合わせるdual antibody approachを検討することも可能である.今回の研究では血清有病率が相対的に低かったため,感度解析で示されたように,検査感度の役割は有病率の高い環境よりも小さいと思われる.残余サンプルの系統的な検査は,HIV感染者や非HIV感染者の基本的な集団を正確に表していない可能性があり,外来での検査の受診を避けている部分集団が異なっている場合には,バイアスが生じる可能性がある.さらに,COVID-19によって死亡した参加者は,フォローアップ検査を受けることができないため,今回の解析には含まれていない.今回の結果は,地方自治体の病院で外来診療や検査サービスを受けている人々を反映したものと考えるべきである.本研究では,HIV感染者と非感染者の比較を主な目的としたため,潜在的なバイアスが結果に質的な影響を与えることはないと考えられる.全体的に,このコホートでは重症例やCD4細胞数が少ない者はほとんどおらず,これらの解析は探索的なものと考えるべきである.最後に,今回の研究では,抗体の時間的動態や抗SARS-CoV-2 T細胞活性を測定することができず,過去にPCRで感染が確認された人もほとんどいなかった.今後の研究では,ワクチン接種後も含めて,HIV感染者と非感染者の間での抗体の時間的動態とT細胞応答の特徴を明らかにする必要があると考えられる.

Conclusions

都市部の医療機関において,HIV感染者のSARS-CoV-2血清有病率は,非感染者の約2であった.これまでの解析では,異なった検査により重症疾患に対する感染の比率が不正確に説明されていた可能性があるが,より大規模な集団ベースの研究で解析を繰り返す必要がある.感染が確認された者のうち,IgG濃度の絶対値と疑似ウイルス中和抗体価は,HIV感染者の方が低かった.重症COVID-19症例を防ぐために十分な免疫応答が得られていることを確認するために,可能であれば抗体やT細胞活性を測定して,HIV感染者をワクチン接種後に追跡調査する必要がある.

 

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