COVID-19関連追加(2021524日)マスクの最新エビデンスその2

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【フェイスマスクは,SARS-CoV-2の伝播確率を効果的に制限する】

Cheng Y, et al. Face masks effectively limit the probability of SARS-CoV-2 transmission.

Science 20 May 2021: eabg6296

https://doi.org/10.1126/science.abg6296.

Abstract

ウイルスの拡散には,飛沫やエアロゾルによる空気媒介性伝播が重要である.フェイスマスクは確立された予防策であるが,SARS-CoV-2伝播を軽減する効果についてはまだ議論の余地がある.本研究では,マスクの有効性の変化は,ウイルス量が異なる管理状況(different regimes of virus abundance)によって説明でき,集団平均感染確率と再生産数に関連することを示すSARS-CoV-2では,感染性を持つ者のウイルス量は桁違いに変化する.ほとんどの環境や接触者は、ウイルス量が制限された条件(virus-limited)にあり,サージカルマスクがウイルス拡散防止に有効であることがわかった.医療センターや病院など,ウイルスが多く存在する可能性のある屋内環境では,より高度なマスクやその他の保護具が必要である.マスクは,換気や距離の取り方など,他の予防策との組み合わせで特に効果を発揮する.

Main

空気媒介性伝播は,SARS-CoV-2をはじめとする呼吸器ウイルスの主要な感染経路の一つである(1).感染を軽減するために,フェイスマスクの着用が広く提唱されている.マスクは,空気媒介性飛沫やエアロゾルを介した呼吸器ウイルスの放出と拡散を抑制する「発生源制御」と,空気媒介性呼吸器ウイルスの吸入を軽減する「着用者保護」の2つの面で人々を保護すると考えられている.

しかし,マスクの有効性についてはいまだに議論されている.粒子透過率(particle penetration)が非常に低い(約5%N95/FFP2レスピレーターに比べて,サージカルマスクや類似のマスクは透過率が高く,かつ変動しやすい(約3070%(2, 3).呼吸時,特にくしゃみや咳の際に放出される大量の粒子を考えると(4),マスクを透過する呼吸器粒子数は相当なものであり,これがマスクの感染予防効果に疑問を抱かせる主な理由の一つとなっている.さらに,無作為化臨床試験の結果は一貫性あるいは決定的なものはなく,マスクを使用してもわずかな効果しか得られない,あるいは効果がないと報告している研究もある(5, 6).そのため,サージカルマスクや類似のマスクはしばしば効果がないと考えられてしまう.一方,観察データによると,マスク着用者の割合が多い地域や施設では,COVID-19のコントロールが良好であることが示されている(7, 9).では,このような対照的な結果や明らかな矛盾をどのように説明すればよいのだろうか.

我々はここで,これらの対照的な結果を説明できる空気媒介性ウイルス曝露の定量的モデルを開発し,フェイスマスクの有効性を定量化するための基盤を提供する.その結果,マスクの有効性は空気媒介性ウイルス量に強く依存することがわかった空気サンプル中のSARS-CoV-2を直接測定し,集団レベルでの感染確率を調べた結果,ほとんどの環境ではウイルス量が十分に少なく,マスクが空気媒介性伝播の低減に有効であることがわかった

マスクの効果を評価する際には,我々は感染確率Pinfに対するマスクの効果を理解し,定量化したい.吸入された単一のウイルス(ビリオン)が人に感染する機会は同じであると仮定すると,Pinfはシングルヒット感染モデル(single-hit model of infection)によって計算することができる.

ここで,Psingleは単一のウイルスに対する感染確率、Nvはその人が曝露されたウイルスの総数を表している(10).空気媒介性伝播の場合,ある期間の感染確率Pinfは,吸入されたウイルス数Nvの関数としてプロットすることができる.

Figure 1は,シングルヒットモデル(Eq.1)に基づき,そして感染確率が50%となる感染量(infectious dose)の中央値IDv,50(10)でスケーリングしたNvにおけるPinfの依存性を示している.これは,Nvの変化に対するPinfの感度が非常に非線形である(nonlinear sensitivity)ことを示している.したがって,Nvの絶対値が同じであれば,Pinfは異なる変化を示すことになる.NvIDv,50よりもはるかに高いウイルスが豊富な状況では(Figure 1A, B)では,Pinf1に近く、Nvの変化には敏感ではない.この場合,マスクを着用するだけでは感染を防げない可能性がある.しかし,NvIDv,50に近いか低いようなウイルス量が制限された状況では,PinfNvに強く依存し,マスクを着用してNvを下げることで感染確率が大幅に低下する(Figure 1C, D).このように,マスクの有効性を理解するためには,空気中のウイルス量の状況を明らかにする必要がある.

 

 

Figure 1: Schematic illustration of different regimes of abundance of respiratory particles and viruses.

The solid curve represents the infection probability (Pinf) as a function of inhaled virus number (Nv) scaled by median infectious dose IDv,50 at which Pinf = 50%. In the virus-rich regime (A and B), the concentration of airborne viruses is so high, that both number of viruses inhaled with or without mask (Nv,mask, Nv) are much higher than IDv,50 and Pinf remains close to ~1 even if masks are used. In the virus-limited regime (C and D), Nv and Nv,mask are close to or lower than IDv,50 and Pinf decreases substantially when masks are used, even if the masks cannot prevent the inhalation of all respiratory particles. In panels B and D, the red dots represent respiratory particles containing viruses, and the open green circles represent respiratory particles without viruses.

エアロゾル粒子やより大きな飛沫を含む呼吸器粒子は,ウイルスを運ぶことが可能であり,空気媒介性ウイルス伝播を可視化するためにしばしば用いられる(4)呼吸器活動の代表的な平均値をとると(11),人は通常,30分間に約3×106個の粒子を放出することがわかる(supplementary text, section S1.1.この非常に大きな数は,屋内環境が通常,呼吸器粒子が多い状況であることを示唆している.粒子の捕集効率が約50%のサージカルマスクでは,1人あたり数百万個の粒子の放出と他者による吸入を防ぐことはできない(Figure 1B, Dにおける緑色の点).つまり,人が放出する呼吸器粒子数は非常に多いため,我々はたとえサージカルマスクを着用していても,他者が産生した粒子を吸い込むことは避けられない.仮に,すべての呼吸器粒子に1つ以上のウイルスが含まれているとすると,呼吸器疾患の感染量の中央値IDv,50は通常,数十から数千個のウイルスのオーダーであるため(12-14),屋内環境はしばしばウイルスの多い状況になる

しかし,呼吸器粒子が多い状況は,本当に呼吸器ウイルスが多い状況なのだろうか?この疑問に答えるために,我々は,コロナウイルス(HCOV-NL63, -OC43, -229E, -HKU1),インフルエンザウイルス(A, B),ライノウイルス,SARS-CoV-2など,呼出された空気サンプルと屋内空気サンプルの特徴的なウイルス分布を調べた(supplementary text, section S1).我々は,呼出された呼吸器粒子のうち,ウイルスを含む割合はごくわずかであることがわかった一方,30分間の呼出された空気サンプル中のウイルス数(Nv,30,ex)は,コロナウイルス(HCOV-NL63, -OC43, -229E, -HKU1)の平均値が約53,インフルエンザウイルス(AおよびB)の平均値が約38,ライノウイルスの平均値が約96と通常は少ない(11)supplementary text, section S1.2, and Figure 2Figure 2A, BはそれぞれIDv,50= 100あるいは1000の特徴的な感染量を仮定して,可能性のある吸入されるウイルス数(Nv,30)に対して,呼出されるウイルス数(Nv,30,ex)を挿入して得られた感染確率を示している(12-14).様々な医療機関におけるSARS-CoV-2について,我々はNv,30の平均値を約1600の範囲で得た(15-18)supplementary text, section S1.3).これは,IDv,50= 1000の場合には約0.1%10%IDv,50= 100の場合には約1%100%の範囲のPinf値に相当する.Nv,30/IDv,50およびPinf値の範囲が広いことから,屋内環境ではウイルスが制限された状態とウイルスが豊富な状態の両方が起こりうることがわかる

Figure 2: Infection probabilities and abundance regimes of SARS-CoV-2 and other respiratory viruses.

(A and B) Individual infection probabilities (Pinf) plotted against inhaled virus number (Nv) scaled by characteristic median infectious doses of IDv,50 = 100 or 1000, respectively. The colored data points represent the mean numbers of viruses inhaled during a 30-min period in different medical centers in China, Singapore, and the USA, according to measurement data of exhaled coronavirus, influenza virus, and rhinovirus numbers (blue circles) (11) and of airborne SARS-CoV-2 number concentrations (red symbols) (15–18), respectively. The error bars represent one geometric standard deviation. (C) Population-average infection probability (Pinf,pop) curves assuming lognormal distributions of Nv with different standard deviations of σ = 0, 1, and 2, respectively. The x-axis represents the mean value of log(Nv/IDv,50). The shaded area indicates the level of basic population-average infection probability, Pinf,pop,0, for SARS-CoV-2 as calculated from the basic reproduction number for COVID-19 and estimated values of average duration of infectiousness and daily number of contacts.

 

Figure 2 A, Bに示したNv,30およびPinfのばらつきの多さは,呼吸器液(respiratory tract fluids)のウイルス量の広い分布と一致しており(19),集団平均の感染確率Pinf,popを推定する際に考慮する必要がある(supplementary text, section S4.そこで我々は,最近報告された呼吸器液中のSARS-CoV-2ウイルス量分布(19)に基づいて,SARS-CoV-2Nvを標準偏差(σ)が約12の範囲にある対数分布としてモデル化した(supplementary text, section S4).Figure 2Cに示すように,σ> 0の場合の集団平均感染確率は,Pinf,pop< 50%のウイルスが制限された状況で一様に曝露した場合(σ= 0)よりも高くなっている.言い換えれば,集団平均感染確率がPinf,pop,0< 0.5のウイルスが制限された状況にある場合(Figure 2C),分布がより広い(σがより大きい)と,ウイルス量が多い条件での伝播イベント(例えばスーパースプレッダーイベント)の割合が増加し,全体のマスク効果が低下することを意味している

COVID-19の基本再生産数(R0 2-4; (20))は,R0= Pinf,pop0cd(21)により,基本人口平均感染確率Pinf,pop,0に関連づけることができる.平均的な感染性期間(duration of infectiousness)(d 10日)と1日あたりの人との平均接触回数(c 1025/日)を考慮すると(22, 23)Figure 2Cの斜線部分で示したように,Pinf,pop,0の推定値は約0.8%4%となる.Pinf,pop,0が低いレベルであることは,ウイルスが制限された状況が広く普及していることを示している

ウイルス量が多い状況の違いは,呼吸器粒子とウイルスの区別だけでなく,ウイルスの種類も関連する.例えば,伝播性が高いウイルス,すなわち排出/呼出の負荷や速度が大きく(higher loads and rates of emission/exhalation),環境における持続性が高く,IDv,50が低いウイルスは,ウイルス量が多い状況となり,麻疹などの感染力が強い感染症で観察されるように,基本再生産数が高くなる可能性がある.我々の解析によると,PinfおよびR0レベルは,ウイルスの種類によって大きく異なる可能性がある.このことは,エアロゾル感染が必ずしも麻疹のような高いR0につながるわけではなく,PinfおよびR0の値が相対的に低いからといって空気媒介性伝播が否定されるわけではないことを意味している.IDv,50でのスケーリングに基づき,Figure 1からFigure 3に示した曲線は,B.1.1.7のような新しく感染性が強いSARS-CoV-2変異株に対するマスクやその他の予防手段の有効性を評価するために容易に適用することができる

Figure 3: Reduction of airborne transmission by face masks worn by infectious persons only (source control), by susceptible persons only (wearer protection), or by all persons (universal masking).

(A) Population-average infection probability in case of mask use (Pinf,pop,mask) plotted against infection probability without face masks (Pinf,pop); and (B) corresponding mask efficacy, i.e., relative reduction of infection probability, ΔPinf,pop/Pinf,pop, plotted against Pinf,pop for surgical masks. (C and D) same as (A) and (B) but for N95/FFP2 masks; plots with linear scaling are shown in fig. S8. The lines represent the results obtained for source control (red line), wearer protection (yellow line), and the combination of both measures, i.e., universal masking (blue line) in a population where the virus exposure is lognormally distributed with a standard deviation of σ = 1 (supplementary text, section S5). The shaded areas indicate the level of basic population-average infection probability, Pinf,pop,0, corresponding to the basic reproduction number for COVID-19.

 

Figure 3は感染性のある者のみがマスクを着用した場合(発生源制御),感受性の高い者のみがマスクを着用した場合(着用者保護),あるいはすべての者がマスクを着用した場合(ユニバーサルマスキング)によって,サージカルマスクとN95/FFP2マスクの効果が,ウイルス量が少ない状況とウイルス量が多い状況でどのように変化するかを示しているFigure 3Aでは,サージカルマスクを使用した場合の人口平均感染確率(Pinf,pop,mask)を,マスクを使用しない場合の感染確率(Pinf,pop)に対してプロットしている.マスクなしの感染確率(maskless infection)が低い場合には,サージカルマスクによって感染確率が大きく減少するが,マスクなしの感染確率が高い場合には,減少が次第に小さくなることがわかるFigure 3Bは,これに対応するマスクの効果,すなわち感染確率の減少率(percentage reduction of infection)(ΔPinf,pop/Pinf,pop= (Pinf,pop - Pinf,pop,mask)/ Pinf,pop)を示している.Figure 3C, Dは,N95/FFP2マスクの等価プロットを示す.

Figure 3は,発生源制御のみの方が着用者保護のみよりも効果的であるが,ユニバーサルマスキングが最も効果的であることを示しているこの理由は,マスクはより大きな粒子の除去においてより効果的であり(Figure 4),産生されてまもない呼吸器粒子は通常,発生源において最も大きく,屋内空気中で蒸発すると小さくなるからである(20).なお,Figure 3は,ウイルスの空気媒介性伝播のみを考慮している点に注意が必要である.他の伝播形態を考慮すると,発生源制御の相対的な重要性はさらに高まる可能性がある(supplementary text, section S5(20)

 

 

Figure 4: Volume size distributions of respiratory particles emitted during different respiratory activities with and without masks.

Sneezing (A), coughing (B), speaking (C), and breathing (D). The open circles are measurement data obtained without masks, and the solid lines are bi- or trimodal fits to the measurement data (25–27) (supplementary text, section S1.1). The dashed and dotted lines are obtained by scaling with the filter efficiency curves of surgical masks and of N95/FFP2 masks, respectively (supplementary text, section S3). The symbols vp and Dp represent the volume concentration and diameter of respiratory particles, respectively, and dvp/dlog Dp represents the volume distribution function (supplementary text, section S1.1).

 

マスクの効果が感染リスクに非線形に依存することは,マスク使用による感染確率の変化率が吸入粒子数の変化率に比例するという仮定とは異なる(20).この仮定の下では,マスクの着用は,感染確率がどのレベルであっても、ウイルス疾患の伝播に同じ影響を与えることになる.しかし我々の解析によると,フェイスマスクの有効性は,感染確率とウイルス量のレベルに大きく依存している: マスクは,ウイルス量が少ない状況では,呼吸器粒子に対するフィルター効率と同程度に感染確率を低下させるが,ウイルス量が多い状況では,それよりもはるかに低い値となる(Figure 3そのため,ウイルス量が多い状況で実験を行うと,マスクの効果が低い観察結果になる可能性がある.一貫性のある正しいマスク着用(supplementary text, section S7.3)のような他の影響因子と合わせて,ウイルス量が多い環境とウイルスが少ない状況の間の変化は,異なる状況での実験研究や無作為化比較試験から報告された結果の相違の原因となるかもしれない(20)supplementary text, section S8).より重要なことは,ウイルス量が少ないときにマスク使用の効果が高まるということは,換気やソーシャルディスタンスのような空気媒介性ウイルス濃度を低下させる他の予防策とマスクを組み合わせることで,相乗効果が得られることを示唆している.例えば,換気は,ウイルス量が多い環境からウイルス量が少ない環境へと変化させることができ,SARS-CoV-2量が相対的に多く存在する医療機関では特に重要であると考えられる(Figure 2 and supplementary text, section S6).一方,ウイルス量が多い環境では,フェイスマスクの有効性だけでなく,フィジカルディスタンスの有効性も低下する可能性がある(supplementary text, section S6).より多くの対策を講じれば,それぞれの対策がウイルス伝播を抑制する効果を高めることになる.現在議論されているように(24),吸入量が感染症の重症度にも影響を与える可能性がある場合は(14),吸入量の減少によっても感染してしまう場合でも,マスクは有効であると考えられる.

Figure 4は,さまざまなヒトの活動によって放出される呼吸器粒子のサイズ分布を示している(25-27).エアロゾルは,物理的には,空気媒介性の直径100μm未満の固体または液体の粒子と定義され,長時間にわたって浮遊し続ける(懸濁し続ける, remain suspended)ことができることに注意が必要である.しかし,医学的な研究では,いわゆる「エアロゾルモード」と「飛沫モード」を区別するために,直径5μmの閾値がしばしば使用されている.我々は,呼出された空気と外気の測定データを分析した結果,いわゆる「エアロゾルモード」(< 5μm)の方が,いわゆる「飛沫モード」(> 5μm)よりも多くのウイルスを含んでいることを示している(11)(後者の方が気道から放出される液体の量が多いが[tables S1, S2]).これは,小さいエアロゾル粒子が生成される下気道で発生するウイルス量が多いこと(28),あるいは,小さいエアロゾル粒子の生成に伴い,有機界面活性剤やウイルスが濃縮されること(29),などのメカニズムで説明できる.エアロゾル中のウイルスが濃縮されると,粒子が小さくても浮遊時間が長くなり,空気中での蓄積と拡散が強くなるため,ウイルス伝播が促進される.これにより,空気媒介性ウイルス濃度や吸入ウイルス数が多くなり,特に換気の悪い密室や長時間の曝露では,感染リスクが高まる可能性がある.さらに,小さなエアロゾル粒子は浸透率(penetration rate)が高く,下気道に到達する確率が高くなる(Figure S5, S6).

我々は,直径が100μmよりも小さい呼吸器粒子と飛沫(従来のエアロゾルの物理的定義(30))に焦点を当てて解析を行った.100μmより大きい飛沫は,重力による急速な沈降のため,数秒以内で空気中から除去されるが,それでも密接に接触した人の上気道に到達し,その非常に大きな液量(very large liquid volume)の中に大量のウイルスを運ぶことで感染を引き起こす可能性がある.例えば,1 millimeterの飛沫1つで,呼吸器液1 millimeterあたりのウイルス量が108個の場合,約50,000個のウイルスを運ぶことができる.これは現実的で,SARS-CoV-2の推定感染量(14)よりも高い値である.しかし,このような大きな飛沫は,単純なマスクであっても非常に効率的(約100%)に除去でき(Figure 4 and supplementary text, section S3),感染防止のためのフェイスマスクの重要性と有効性がさらに強調される.このようにサイズ依存性が強く,曖昧さを避けるためにも,微細な呼吸器エアロゾル粒子や大きな飛沫による空気媒介性伝播を論じる場合には,直径の範囲を明示することを提案する.

我々の結果は,SARS-CoV-2を含む空気媒介性ウイルス伝播の予防策を理解し,伝える上で重要な意味を持つ.人々は,会話や咳によって呼出される何百万もの呼吸器粒子の画像やビデオを見ると,ろ過効率の低い(例えば3070%)単純なマスクでは,これらの粒子の吸入から本当に防御することはできないのではないかと不安になるかもしれない.しかし,ウイルスを含む呼吸器粒子はごくわずかであり,ほとんどの環境はウイルス量が制限された状況であるため,マスクを着用することで,吸入されるウイルス数を確かに低いPinf状況に保つことができ,フェイスマスクによるCOVID-19の拡散防止に対する有効性が観察されたことを説明できる.しかし,COVID-19患者を治療する医療機関などの特定の屋内環境では,好ましくない条件やウイルス量の大きな変動により,ウイルス量が多い状況になる可能性がある.このような環境では,感染リスクを低く抑えるために,高効率のマスクと,効率的な換気などのさらなる保護手段を用いるべきである.マスクの有効性が空気媒介性ウイルス濃度に非線形に依存する,すなわち,ウイルスの存在量が少ないほどマスクの有効性が高くなることからも,マスクと他の予防手段を組み合わせることの重要性が浮き彫りになった.効果的な換気とソーシャルディスタンスを置くことで,周囲のウイルス濃度が低下し,ウイルス伝播を抑制するフェイスマスクの効果が高まる.さらに,ユニバーサルマスキングの再生産数減少効果を確実にするためには,マスクの高いコンプライアンスと正しい使用法が重要である(supplementary text, section S7.3, and fig. S11(20)

 

 

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