COVID-19関連追加(2021526日)増強抗体による非古典的ADE

【抗体が標的とするSARS-CoV-2のスパイクタンパク質上の感染増強部位】

Liu Y, …, Arase H. An infectivity-enhancing site on the SARS-CoV-2 spike protein targeted by antibodies. Cell. Published May 24, 2021.

https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.05.032.

Highlights

1) SARS-CoV-2感染性は,Fcレセプターとは無関係に特異的Absによって増強される

2) オープンRBD状態(open RBD stateは,NTD上の特定部位に結合したAb上に誘導される

3) RBD-up sate誘発に必要なスパイクの二価架橋divalent bridging

4) 重症COVID-19患者に検出された感染増強Abs

Abstract

SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体は,SARS-CoV-2感染を防ぐ.しかし,他のスパイクタンパク質ドメインに対する抗体の効果については,ほとんど知られていない.そこで我々は,COVID-19患者から得られた一連の抗スパイクモノクローナル抗体をスクリーニングしたところ,N末端ドメイン(NTDに対する抗体の一部は,受容体結合ドメイン(RBD)のオープンコンフォメーション(open conformation)を誘導し,スパイクタンパク質のACE2への結合能とSARS-CoV-2の感染性を高めることがわかった.変異解析の結果,すべての感染増強抗体がNTD上の特定部位を認識していることが明らかになった.構造解析の結果,感染増強抗体はいずれもNTDに同様に結合することがわかった.この感染増強部位に対する抗体は,重症患者で高濃度に検出された.さらに,感染していないドナーからも,頻度は低いものの感染増強部位に対する抗体が検出された.これらの結果から,SARS-CoV-2感染時には,中和抗体だけでなく,感染増強抗体も産生されることが明らかになった.

 

Introduction

SARS-CoV-2は,COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスである(Zhou et al., 2020b)SARS-CoV-2感染は重症化し,一部の患者では高い死亡率を伴うが,ほとんどの感染者はそのような重篤な症状を示さないため,重症COVID-19への進行を促進する追加的な要因があると考えられる (Tabata et al., 2020; Zhou et al., 2020a) SARS-CoV-2はエンベロープを持つ一本鎖(positve-strandRNAウイルスであり,感染には宿主細胞膜との融合が必要である(V'Kovski et al., 2021).スパイクタンパク質は,SARS-CoV-2の主要なエンベロープタンパク質であり,S1サブユニットとS2サブユニットから構成されている.S1サブユニットはさらに,N末端ドメイン(NTD)と受容体結合ドメイン(RBD)に分かれている(Cai et al., 2020; Wrapp et al., 2020)RBDと宿主細胞の受容体であるACE2との相互作用が,SARS-CoV-2の宿主細胞への感染に関与している(Hoffmann et al., 2020; Shang et al., 2020)

COVID-19患者はスパイクタンパク質のRBDに対する抗体を産生し,SARS-CoV-2感染を阻止する(Brouwer et al., 2020; Robbiani et al., 2020; Zost et al., 2020).したがって,スパイクタンパク質に対する抗体産生は,SARS-CoV-2感染に対する宿主防御に極めて重要な役割を果たしている (Brouwer et al., 2020; Robbiani et al., 2020; Zost et al., 2020).しかし,ウイルスに対する抗体は常に防御的であるとは限らない (Bournazos et al., 2020).例えば,デングウイルスタンパク質に対する抗体は,Fc受容体を介する重篤な疾患を引き起こす可能性がある(Wang et al., 2017).また、猫伝染性腹膜炎コロナウイルス(FIPV: feline infectious peritonitis coronavirus)感染は,スパイクタンパク質のワクチン接種あるいはFIPVを感染させた動物の血清抗体の養子移入(adaptive transfer)によって増悪することから(Vennema et al., 1990; Weiss and Scott, 1981),コロナウイルス感染を増強する抗体の存在が示唆されているが,このような抗体によるFIPVの感染増強の正確なメカニズムは不明のままである(Olsen, 1993).したがって,SARS-CoV-2感染時に産生される抗体の機能を理解することは,COVID-19の病因を解明する上で極めて重要である.本研究では,様々な種類の抗スパイク抗体を検討し,特にACE2の結合を増強する抗体とSARS-CoV-2の感染を促進する抗体に着目した.

Results

Enhanced ACE2 binding to the spike protein by a subset of anti-NTD antibodies:

我々は,COVID-19患者から一連の抗スパイクモノクローナル抗体を作製することで、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する抗体の機能に取り組んだ(Brouwer et al., 2020; Chi et al., 2020; Robbiani et al., 2020; Zost et al., 2020).全長スパイクタンパク質を発現する細胞への組換えACE2結合(the binding of recombinant ACE2)に対する抗体の影響を解析した(Figure 1A).生理的条件下での抗体の特異性を調べるために,FLAGタグを付けたNTDRBDS2サブユニットを,I型膜タンパク質であるPILRαの膜貫通-細胞質ドメインと融合させて発現させたトランスフェクタント(形質移入株)(※トランスフェクション(transfection)とは核酸を動物細胞内へ導入する過程を指す)を用いた (Saito et al., 2017; Satoh et al., 2008) Figure S1A).これらのドメインはすべて,抗Flag抗体を用いて細胞表面に検出されたが,S2-TMの細胞表面発現レベルは,NTD-TMRBD-TMよりも低かった(Figure S1B).また,これまでの報告において,8D2(Chi et al., 2020; Zost et al., 2020)のように組換えS1スパイクタンパク質に結合しなかった抗スパイク抗体の中には,細胞表面に発現したNTDを特異的に認識するものがあり,細胞表面に発現したNTDの抗原性は組換えスパイクタンパク質の抗原性とは異なることが示唆された(Figure 1B; Figure S1B).一方,組換えACE2は,スパイク全体およびRBD-TMトランスフェクタントに結合したが,NTD-TMやモック(mock: 疑似)トランスフェクタントには結合せず,組換えACE2がスパイクタンパク質のRBDに特異的に結合することを示している(Figure S2A).予想通り,RBDドメインに対する抗体のほとんどはスパイクタンパク質に対するACE2の結合を阻害し,S2ドメインに対する抗体はACE2の結合に影響を与えなかった(Figure 1B).しかし,NTDドメインを標的とした抗体−8D2 (Chi et al., 2020)22102369249025822660(Zost et al.,2020)−の特定のサブセット(「増強抗体: enhancing antibodies」と表記)は,スパイクタンパク質に対するACE2の結合を増強することがわかった(Figure 1B; Figure S2A).一方,2016(Zost et al., 2020)4A8(Chi et al., 2020)などの他の抗NTD抗体は,全長スパイクタンパク質とNTDドメインを増強抗体と同程度に認識したものの,スパイクタンパク質に対するACE2の結合には影響を与えなかった(Figure 1B; Figure S1B).増強抗体の存在下でのスパイクタンパク質に対するACE2の結合の増加はRBD-TMNTD-TMトランスフェクタントでは観察されなかった(Figure S2A).さらに,増強抗体の存在下でのスパイクタンパク質に対するACE2の結合の増加は,用量依存的であった(Figure 2Aこれらのデータから,RBDに対するACE2の結合増強には,NTDに対する抗体結合が関与していることが示唆されたNTDに対する抗体結合とACE2結合の増強との関係を解析するために,我々は各増強抗体による抗体結合とACE2結合のEC50値(50%効果濃度: half maximal Effective Concentration)を比較した(Figure S2BおよびS2C).抗体結合のEC50ACE2結合のEC50が異なっていたことから,増強抗体の親和性が異なることが示唆された一方,各抗体のACE2結合のEC50は,抗体結合のEC50と同じかそれ以上であった

最近のSARS-CoV-2ウイルスの多くは,野生型ウイルスよりも高い感染力を示すD614G変異を保有している(Grubaugh et al., 2020; Hou et al., 2020; Korber et al., 2020; Li et al., 2020; Plante et al., 2020; Yurkovetskiy et al., 2020).変異株の構造解析により,野生型スパイクタンパク質に比べると,RBDACE2結合界面がより露出したオープンコンフォメーションになっている可能性が高いことが明らかになった (Li et al., 2020; Plante et al., 2020; Yurkovetskiy et al., 2020). そこで,増強抗体の影響をD614G変異の影響と比較した.上記の知見と互換性があり,D614Gスパイクタンパク質に結合した組換えACE2の量は,スパイクタンパク質の細胞表面の発現量は同等であったが(Figure S1C),野生型スパイクタンパク質の量よりも多かった(Figure 2B注目すべきは,野生型スパイクタンパク質に対するACE2の結合に対する増強抗体の影響の大きさが,D614G変異の場合よりも高かったことであるさらに,増強抗体は,D614Gスパイクタンパク質に対するACE2の結合も,野生型スパイクタンパク質と同程度に増加させた(Figure 2B

スパイクタンパク質に対するACE2の結合を阻害する抗RBD抗体は,SARS-CoV-2感染に対する抗体を介した宿主防御に中心的な役割を果たしていることから(Brouwer et al., 2020; Robbiani et al., 2020; Zost et al., 2020),我々は増強抗体が中和性抗RBD抗体(neutralizing anti-RBD antibodies)によるACE2阻害活性にどのような影響を与えるかを解析した.増強抗体を,異なる濃度の中和性抗RBD抗体C144(Robbiani et al., 2020)と混合した.その結果,増強抗体の存在下では,C144を濃度1μg/mlまで増加させて添加しても,スパイクタンパク質に対するACE2の結合が増加することがわかった(Figure 2C同様の結果は,C144とは異なるエピトープを認識する他の抗RBD中和抗体,C009およびC135を用いても得られた(Robbiani et al., 2020)Figure S2D.また,増強抗体の前に中和抗体を添加した場合にも増強効果が認められた(Figure S2E).これらのデータから,RBD抗体の中和活性は,増強抗体の存在下で実際に低下することが示唆された

Enhancing antibodies facilitate SARS-CoV-2 infectivity:

スパイクタンパク質に対するACE2の結合に対する増強抗体の影響は,D614G変異の影響と同様に (Hou et al., 2020; Korber et al., 2020; Li et al., 2020; Plante et al., 2020)SARS-CoV-2の感染性も増加することを示唆した.この疑問を調べるために我々は,代表的な増強抗体がSARS-CoV-2感染に及ぼす影響を定量化するため,水胞口炎ウイルス(VSV/ΔG-GFP SARS-CoV-2スパイク疑似ウイルス(SARS-CoV-2 PV)を利用した.予想通り,増強抗体は,ACE2をトランスフェクトしたHEK293細胞に対するSARS-CoV-2 PVの感染性を,増強抗体用量依存性に増加させた(Figure3A; Figure S1D一方,抗NTD抗体(4A2)は,スパイクタンパク質に対するACE2の結合を増強しなかったため(Figure 1B),感染性の増強は見られなかったさらに,抗体の存在下での感染性の増強は,ウイルスの量にかかわらず認められた(Figure 3B

次に我々は,本物(authentic)のSARS-CoV-2ウイルスを用いて,増強抗体の影響を調べた.ACE2をトランスフェクトしたHEK293細胞における本物のSARS-CoV-2ウイルスの複製は,増強抗体の存在下で4倍を超えて増加した(Figure 3Cまた,ACE2の発現量は少ないが,SARS-CoV-2に感受性があるHuh7細胞のSARS-CoV-2感染も,増強抗体の存在下で有意に増強された(Figure 3Cこれらのデータは,増強抗体がSARS-CoV-2ウイルスのACE2発現細胞に対する感染性を強固に増強することを示している

Overlapping epitopes in NTD recognized by enhancing antibodies:

我々は,感染性-増強抗体のエピトープを特定するために,competitive binding assaysを採用した.驚くべきことに,すべての増強抗体がスパイクタンパク質の結合を互いに競合したことから,NTD上の類似したエピトープを認識していることがわかった(Figure 4A).次に我々は,TMドメインをもつNTDのアラニン変異体を作製し(Figure S1A),増強抗体との結合を解析した.8D2抗体は重鎖CDR3に負電荷を帯びたアミノ酸を含んでいるため,我々はリジンまたはアルギニン変異したNTDとの結合を解析した.R214A変異体とK187A変異体は8D2抗体に認識されなかった(Figure 4B).次に,R214またはK187に構造的に近いアミノ酸残基をアラニンに変異させた一連のNTD変異体を解析したところ,W64AH66AK187AV213AR214A変異体では,NTDに対する増強抗体の結合が大幅に減少した(Figure 4B).これらの残基に変異がある完全長スパイクタンパク質でも同様の観察結果が得られた(Figure 4C).さらに,W64A-H66AおよびV213A-R214Aの二重変異体は,単一変異体よりも24902369などのいくつかの増強抗体の結合を減少させた.さらに,W64H66V213R214の四重変異体は,どの増強抗体にも認識されなかった.興味深いことに,これらの変異は,非増強抗NTD抗体(4A8),抗RBD抗体(C144),抗S2抗体(2454)によるNTDの認識に影響を与えず(Figure S3A)図S3A),これはNTDの変異がスパイクタンパク質の全体的な構造に影響を与えていないことを示唆しているこれらのデータから,NTD上の特定部位への抗体の結合が,スパイクタンパク質に対するACE2の結合増強に関与していることが示唆された

高い感染性を示す最近のB.1.1.7変異株は,H69V70を欠失しており,ほとんどの増強抗体が認識するエピトープに非常に近い.SARS-CoV-2では,H69V70の欠失により感染性が増強されることが報告されている(Kemp et al., 2021).そこで,B.1.1.7スパイクタンパク質に対する増強抗体の影響を解析した.6つの増強抗体のうち,2369を除くすべての抗体が,野生型スパイクタンパク質と同じレベルでB.1.1.7スパイクタンパク質に結合した(Figure S3B).増強抗体の非存在下でも,B.1.1.7スパイクタンパク質はACE2結合能が非常に高かったが,B.1.1.7に結合する5つの増強抗体によってACE2結合がさらに増強された(Figure S3C).これらのデータは,増強抗体がB.1.1.7変異株に対して機能することを示唆しているが,増強抗体の影響はSARS-CoV-2変異株によって異なる可能性がある.

Structures of infectivity-enhancing antibodies bound to spike protein:

アラニン変異によって明らかになった感染増強抗体のエピトープは、NTD表面の狭い領域に及んでいた(Figure 5A, 5B).観察されたエピトープに基づいて,我々は抗体とスパイクタンパク質の複合体のdocking modelsを作成したところ,それぞれの抗体がNTDに対して同様に結合することが予測された(Figure 5C).これらの予測を確認するために,アポ(apo)スパイクタンパク質,ならびに増強抗体8D2および2490Fab断片と複合体を形成したスパイクタンパク質の低温電子顕微鏡法による単粒子解析(Cryo-EM解析)を行った.データの解析には,不均一な精密化(heterogenous refinement)を行った後,抗体モデルと既知のスパイクタンパク質三量体を均一に精密化(homogenous refinement)し,rigid-body fittingを行った(Figure 5D; Figure S4D).その結果,1つのRBDがオープンコンフォメーションになっている単一のアポタンパク質構造が観察された.8D2 Fabについては,5つの構造が得られた(Figure S4E-S4I).そのうちの1つはFabが結合しておらず,アポ構造とよく一致しており(Figure S4E),単一の8D2 Fabフラグメントを含むものが4つあった(Figure 5C and 5D).2490 Fabについては,2つのFabフラグメントが結合した構造および3つのFabフラグメントが結合した,2つの構造が得られたことから,8D2と比較して2490の結合親和性が高いことが示唆された(Figure S4JおよびS4K).2490Fabの結合様式は,8D2のそれと類似していた(Figure 5D).これらのデータから,docking modelによって予測された構造は,低温電子顕微鏡密度とよく一致することが示唆されたすべての増強抗体がスパイクタンパク質に同様に結合したことから,この結合様式が抗体の感染増強効果に必要であると考えられる

Induction of open conformation of RBD by the enhancing antibodies:

NTD上の他の部位を認識する他の抗NTD抗体はACE2の結合を増強しなかったことから,NTD上の特定部位に対する抗体の結合がスパイクタンパク質に対するACE2の結合増強に関与していると考えられる.ACE2は,RBDのオープンコンフォメーションに優先的に結合することが報告されている(Henderson et al., 2020; Lu et al., 2020)そのため,Cryo-EM解析において,増強抗体のFabフラグメントの存在下ではRBDのオープンコンフォメーションが増加しなかったが(Figure 5),増強抗体がRBDのオープンコンフォメーションを誘導している可能性があるこの可能性に対処するため,我々はRBDのオープン状態(open RBD state)で露出している潜在性エピトープ(cryptic epitope)を認識する唯一の抗体H014を用いて(Lv et al., 2020),増強抗体の影響を解析した.さらに,RBD上の異なるエピトープを認識するが,オープンしたRBDとクローズしたRBDの両方を認識する抗RBD中和抗体,C009C114C135を使用した(Robbiani et al., 2020)H014抗体の結合は,増強抗体の存在下で高度に増強された(Figure 6A; Figure S5A.一方,スパイクタンパク質に対するH014抗体の結合は,非増強抗NTD抗体4A8および4A2では増強されなかった.また,増強抗体は,C009C114C135RBD抗体の結合に明らかな影響を与えなかった.さらに,増強抗体によるACE2結合の増強とH014抗体結合の増強の間には,非常に強い相関関係が見られた(R= 0.91これらのデータは,増強抗体がオープンRBD状態を誘導することで,ACE2の結合を増強することを示唆している(Figre 6B

抗体は二価であるため,我々は次に,増強効果に対する価数(valence)の役割を調べた.この疑問を解決するために,強化抗体2490F(ab')2フラグメントまたはFabフラグメントを用いて,ACE2結合の増強およびオープンRBDの誘導に対する強化抗体,2490の影響を解析した(Figure 6C).2490抗体のF(ab')2フラグメントは,全IgG抗体と同様にオープンRBDを誘導し,ACE2結合を増強したが,Fabフラグメントは誘導しなかった.これらのデータは,単量体の増強抗体がNTDに結合するだけでは,RBDのオープンコンフォメーションを誘導するのに十分ではないことを示唆している.次に,両腕が同じスパイク上の2つのNTDドメインに結合することが可能かどうかを解析した.しかし,テンプレートとして既存の完全長IgG抗体を用いる結合様式をモデル化することはできなかった.そこで我々は,単一のIgG抗体が2つのスパイクタンパク質を架橋する可能性を検討したところ,V-C linker regionを再構築することで,そのような構造を作り出すことができた(Figure 6D).以上のことから,RBDのオープンコンフォメーションを引き起こすためには,二価の抗体でスパイクタンパク質を架橋することが必要であると考えられるこれらのデータは,Fab結合スパイクタンパク質ではRBDのオープン状態の誘導が観察されなかったという我々のCryo-EM解析結果と一致するFigure 5

Infectivity-enhancing antibodies in COVID-19 patients:

増強抗体はSARS-CoV-2の感染性を高めることから,我々はその存在が疾患重症度と相関しているのではないかと考えた.この可能性を検討するため,まず,COVID-19患者の増強抗体の血清レベルを未感染者のものと比較した.血清中の増強抗体の濃度を調べるために,組み換えスパイクタンパク質とDyLight 蛍光標識(fluorescence-labeled8D2増強抗体を用いたcompetitive binding assayを使用した(Figure 7A).また,蛍光標識C144RBD中和抗体を用いて,中和抗体の血清レベルを測定した.spike protein-coated beadsに対する増強抗体8D2と中和抗体C144の結合は,COVID-19患者の血清の存在下では減少したが,未感染ドナーの血清では減少しなかった(Figure 7B).我々は,Figure 1Aで使用したCOVID-19患者由来の抗NTD抗体およびS2抗体を解析することで,増強抗体のcompetitive binding assayの特異性を検証した.ACE2結合を増強しない少数の抗体の存在下では,8D2結合が部分的に減少したが,抗体によるACE2結合の増強効果は8D2遮断活性と負の相関があった(R= 0.77, p= 2.0 x 10-12)(Figure S6A).また,抗RBD抗体は8D2結合に影響を与えなかった.したがって,8D2 competition assayで測定された増強抗体レベルは,血清中の増強抗体レベルをほぼ反映していると思われた.C144結合もまた,ほとんどの抗NTD抗体およびS2抗体によって有意な影響を受けなかったが,いくつかの抗RBD抗体はACE2結合と同様にC144結合を遮断した(Figure S6A).一方,抗RBD中和抗体にはいくつかのエピトープがあり,C144 competition assayではすべての中和抗体を検出するには不十分であることが示唆された.そこで,C144抗体を,RBD上の異なるエピトープを認識する他の抗RBD抗体であるC009およびC135と比較した.スパイクタンパク質に対するC144抗体の結合は,COVID-19患者の血清抗体によってC009およびC135抗体と同等以上に遮断されたことから,中和抗体の血清レベルを推定するためには,C144抗体を用いたcompetition assayC009およびC135抗体よりも感度が高いことが示唆された(Figure S6B).これらのデータから,8D2およびC144抗体を用いたcompetition assayにより,増強抗体と中和抗体の血清レベルをおおよそ推定できることが示唆されたが,無関係な抗体がcompetitive binding assayに影響を与える可能性も残されている

我々は次に,COVID-19患者と未感染者における増強抗体と中和抗体の抗体価を測定した(Figure 7C未感染者では増強抗体と中和抗体は検出されなかったが,重症COVID-19患者では両方とも検出された増強抗体力価と中和抗体力価のバランスは,患者によって異なっていた.増強抗体の影響は,中和抗体のレベルに影響されるため(Figure 2C),全体的な影響を力価差(増強−中和)で定量化した.観察された力価差は,重症患者の方が非重症患者よりも高かったFigure 7DCOVID-19患者を対象としたより詳細で広範な研究が必要であるが,今回のデータは,増強抗体と重症COVID-19との間に相関関係があることを示唆している可能性がある.

Infectivity-enhancing antibodies in uninfected individuals:

SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する抗体を少数の未感染者が保有していることが報告されている (Anderson et al., 2021; Ng et al., 2020).それゆえ我々は次に,未感染者が増強抗体を保有しているかどうかを調べた.COVID-19患者の解析に用いたcompetitive binding assayは,未感染者の低レベルの増強抗体を検出するには感度が不十分であったため,野生型NTDトランスフェクタントと増強エピトープ欠損SARS-CoV-2 NTDトランスフェクタント(W64AH66AK187AV213AR214A)に対する血清抗体結合の差を比較することで,増強抗体のレベルを定量化した(Figure 7E).

興味深いことに,#13のように何人かのドナーは野生型および変異NTDを同程度に認識する抗体を保有しており,これらのドナーが増強抗体を持っていないことが示唆される(Figure 7F一方,#18のように野生型NTDに対して特異的な抗体を持っているドナーは,増強抗体を持っていることを示唆する一部のドナーはまた,低レベルの抗RBD抗体を保有していたが,抗RBD抗体と増強抗体の力価の間には相関関係はなかった(Figure 7GこれらのデーSARS-CoV-2スパイクタンパク質の特定部位に対する抗体反応は,個人によって大きく異なる可能性タから,が示唆される

Discussion

ウイルス感染の抗体依存性増強(ADE: antibody-dependent enhancement)は、デングウイルス(Wan et al., 2020),猫伝染性腹膜炎(FIP: feline infectious peritonitis)コロナウイルス(Hohdatsu et al., 1998; Vennema et al., 1990)SARS(Jaume et al., 2011; Kam et al., 2007)MERS(Wan et al., 2020)などいくつかのウイルスで報告されている.ビリオンと複合した抗ウイルス抗体に対するFc受容体の結合は,ADEに関与すると考えられている(Wang et al., 2017).しかし,Fc受容体を介したADEは,単球やマクロファージなどのFc受容体を発現する細胞への感染に限定される.本研究で我々は,非古典的な(non-canonical),Fc受容体に依存しないADEのメカニズムを発見した.SARS-CoV-2スパイクタンパク質のNTD上の特定部位に対する抗体は,ACE2とスパイクタンパク質の結合を直接的に増強し,その結果,SARS-CoV-2の感染性を高めることがわかった.増強抗体によって誘導されるADEは,デング熱などの他のウイルスで観察されるFc受容体を介したADEよりも相対的に低い(lower)が,この新しいタイプのADEにはFc受容体は関与していない.したがって,Fc受容体を発現していない細胞の広範囲において,増強抗体はSARS-CoV-2感染に関与する可能性がある.今のところ,野生型SARS-CoV-2D614G変異SARS-CoV-2に完全に置き換えられている. しかし,D614G変異によるACE2結合増強効果は,増強抗体によって誘導される影響よりも小さかった.このことから,スパイクタンパク質のACE2結合能の増大は,たとえそれが小さくても,SARS-CoV-2感染に重要な役割を果たしていると考えられる.

興味深いことに,観察されたすべての増強抗体がNTD上の特定部位を認識していることがわかった.Cryo-EM分析とdockingにより,すべての増強抗体がスパイクタンパク質に対して,4A8などの抗NTD中和抗体とは異なる(Chi et al., 2020),非常によく似た方法で結合することが明らかになった .この発見は,この非古典的ADEには特異的な結合様式が必要であることを示唆している.スパイクタンパク質RBDはかなり柔軟性があり,ACE2RBDのオープンコンフォメーションに優先的に結合する(Henderson et al., 2020; Lu et al., 2020).野生型スパイクタンパク質の構造研究のほとんどは,オープンコンフォメーションにおいて1つのRBDを示していた.対照的に,より感染性の強いD614G変異では,オープンコンフォメーションにおいて,2つまたは3つのRBDが観察されたことから,RBDのコンフォメーションがSARS-CoV-2の感染性に重要な役割を果たしていることが示唆されている(Henderson et al., 2020; Yurkovetskiy et al., 2020)RBDのオープンコンフォメーションに対して特異的な抗体を用いることで,我々は増強抗体はNTDに結合するとRBDのオープンコンフォメーションを誘導することがわかった.一方,非増強抗NTD抗体では,RBDのオープンコンフォメーションが誘導されなかった.このことから,NTDに対する抗体結合だけではオープンRBD状態は誘導されず,抗体がNTDの特定部位に結合しないとこの状態は誘導されないことがわかった.ACE2は二量体であることから,抗体によるスパイクタンパク質の多量体化(multimerization)が,単純にアビディティを高めることでACE2の結合促進に関与している可能性が考えられる.しかし,スパイクタンパク質の多量体化だけでは,特定の増強部位に結合する特異的抗体でACE2結合の増強が観察される理由を説明できない.さらに,増強抗体のF(ab')2フラグメントは,Fabフラグメントではなく、オープンRBDを誘導し,ACE2結合を増強した.このことは,Cryo-EM解析によって,Fab結合スパイクタンパク質にオープンRBDの誘導が観察されなかった理由と考えられる.単量体のFabフラグメントの親和性は二価のF(ab')2フラグメントの親和性よりも低いため,Fabフラグメントがスパイクタンパク質に十分に結合せず,オープンRBDが誘導されなかった可能性がある.しかし,フローサイトメトリー解析の結果,FabF(ab')2の両フラグメントはスパイクタンパク質に同等に結合していることがわかった,さらに,低温電子顕微鏡で解析したところ,Fab-スパイク複合体をHPLCで精製した後も,2490個のFabフラグメントがほとんどのスパイクタンパク質上の3つのNTDすべてに結合していることがわかった.さらに,我々は単一スパイクタンパク質に両腕が結合した完全長IgG分子の構造モデルを作成することはできなかった.これらのことから,単量体の増強抗体がNTDに結合しても,RBDのオープンコンフォメーションを誘導するには十分ではなく,増強部位は二価の抗体によって架橋される必要があることが示唆された.以上のことから,増強抗体がACE2の結合を増強する主なメカニズムは,2つのスパイクのNTDドメインを結合させることでRBDのオープンコンフォメーションを誘導することであると考えられる.

RBDは,隣接する鎖のNTDとしっかりと結合(pack)している(Roy et al., 2020; Wrapp et al., 2020).最近の実験・計算構造研究により,RBDドメインは隣接するNTDドメインとの相互作用によってクローズした位置に保持されていることが明らかになった(Henderson et al., 2020; Mori et al., 2021).さらに,スパイクタンパク質自体は、そのlong stalksの中にいくつかのhingesがあるため,非常に動的である(Turonova et al., 2020).つまり,異なるスパイクタンパク質上にあるNTD2価の抗体で架橋すると,スパイク内のNTD-RBD間の相互作用が切り離され,NTD上の抗体結合部位に応じてRBDがオープンコンフォメーションをとることが可能になる.これらの研究は,NTD上の特定部位を認識する抗体がRBDのオープン状態を誘導するという我々のメカニズム的洞察と一致している.これは,増強抗体が認識するエピトープ周辺の構造が,RBDのコンフォメーションの制御に重要な役割を果たしていることを示唆している.最近のB.1.1.7およびB.1.135の変異株には,それぞれH69-V70の欠失とD215G変異があり,これらは増強抗体の結合部位に非常に近いことが注目されている.最近の研究では,H69-V70欠失がSARS-CoV-2の感染性を高めることが示唆されている(Kemp et al., 2021).実際,ACE2は,増強抗体がない場合でも,野生型よりもB.1.1.7スパイクタンパク質と結合していた.さらに,近縁のウイルスを比較したところ,NTDはスパイクタンパク質の他の部分よりもはるかに多様であり,激しい分子進化を示唆していた(Saputri et al., 2020).これらの観察結果から,増強部位のエピトープ周辺にさらなる変異が予想され,SARS-CoV-2の感染性に影響を与える可能性があると考えられる.

今回使用した増強モノクローナル抗体はすべてCOVID-19患者由来のものであり,増強抗体がCOVID-19患者で産生されることを示している.また,蛍光標識した増強抗体を用いて,我々は血清中の増強抗体を検出する単純なアッセイを開発した.その結果,増強抗体と中和抗体は,非重症患者と重症患者の両方で産生され,重症患者では増強抗体と中和抗体のレベルが高いことが明らかになった.これらの観察結果は,重症患者で抗スパイク抗体が高レベルで産生されるという過去の報告と一致している(Chen et al., 2020; Lau et al., 2021)中和抗体が高いレベルにあるときには増強抗体は機能しないため,一般的には増強抗体は機能しないと考えられるしかし,中和抗体のレベルがまだ低い感染前や感染初期においては,増強抗体のレベルがCOVID-19の疾患進行の経過に影響を与える可能性があるまた,最近のSARS-CoV-2変異株では,中和抗体の主要なエピトープが失われており(Supasa et al., 2021; Wang et al., 2021)増強抗体の影響がSARS-CoV-2変異株によって異なる可能性を示唆している.新たな変異株と増強抗体の関係を明らかにするためには,さらなる大規模な臨床研究が必要である.

注目すべきは,未感染者が,極めて低い頻度ではあるが,NTD上の感染増強部位を認識する抗体を持っていることである.感染増強抗体のエピトープには電荷を帯びた残基が含まれていることから,NTDへの結合は多反応性抗体(polyreactive antibodies)を介して行われている可能性がある.しかし,感染増強部位に対する血清抗体は,RBDトランスフェクタントに結合しなかったことから,感染増強部位に特異的に結合していると考えられる最近の研究では,未感染者からしばしば検出される抗スパイク抗体のほとんどが,季節性ヒトコロナウイルスのものと比較的似ているS2サブユニットに対するものであることが示された(Anderson et al., 2021; Ng et al., 2020)一般的なヒトコロナウイルスに対するNTDの配列相同性は,S2サブユニットに比べて低い特に,増強部位の抗体エピトープは,他のコロナウイルス間で保存されていない一部の未感染者で増強抗体が産生される原因は不明であるSARS-CoV-2NTDと類似したタンパク質を持つ特定の病原体が,一部の未感染者での増強抗体の産生に関与している可能性がある.また,SARS-CoV-2感染やワクチン接種によって,増強抗体の産生が促進される可能性もある.そのため,増強部位を含むエピトープを持たないスパイクタンパク質は,既存の増強抗体を持つ人の増強抗体の産生を刺激しないと考えられる.COVID-19の治療法として、回復したCOVID-19患者の血漿を輸血することが提案されている(Liu et al., 2020).しかし,血清中の中和抗体と増強抗体のレベルは、COVID-19患者によって異なる.そのため,ドナーの増強抗体の血漿レベルが治療効果に影響する可能性があるCOVID-19の複雑な病因を理解するためには,COVID-19患者と未感染者の両方における増強抗体の役割についてのさらなる研究が重要であろう.

Limitation: 本研究では,8D2抗体とC144抗体を用いたcompetitive binding assayにより,血清中の増強抗体と中和抗体のレベルを解析した.competitive binding assayは,血清中の増強抗体と中和抗体のレベルを反映していると思われるが,competitive binding assayで解析した増強抗体と中和抗体のレベルが,無関係な抗体の影響を受けている可能性も否定できない.実際,ほとんどの抗スパイク抗体は,8D2抗体およびC144抗体のスパイクタンパク質への結合に影響を与えなかったが,増強抗体および中和抗体以外にも,8D2抗体およびC144抗体の結合を部分的に遮断する抗体がいくつか存在した.また,抗RBD中和抗体にとっては複数のエピトープが存在するため,C144抗体を用いたcompetition assayで検出される中和抗体のレベルは,全中和抗体のレベルを正しく反映していない可能性がある(C144competitive assayは,少なくとも他の抗RBD抗体と同等の感度を有していたと考えられるが).また,SARS-CoV-2変異株のスパイクタンパク質上の変異は,これらの抗体の結合に影響を与えるため,増強抗体および中和抗体の影響は,変異株ごとに異なると予想される.そのため,増強抗体の存在が必ずしも疾患転帰と相関しない可能性がある.増強抗体の正確な機能を明らかにするためには,より多くのCOVID-19患者のサンプルを用いて,増強抗体,中和抗体,および感染したSARS-CoV-2変異株に関するより広範な研究が必要である.

 

 

Figure 1: Effect of anti-spike antibodies on ACE2 binding.

(A) The HEK293 cells transfected with vectors expressing NTD-TM, RBD-TM, and S2-TM were stained with anti-spike antibodies. The effect of antibodies on ACE2-binding to spike-transfectants was analyzed with ACE2-Fc-fusion protein. (B) The mean fluorescence intensities (MFI) of the stained cells were shown (top three columns). The binding of ACE2-Fc-fusion protein to full-length spike transfectants was analyzed in the presence of the indicated antibodies at 1 µg/ml (bottom column). The antibodies that enhanced ACE2-Fc binding to the spike transfectants by more than 1.9 times are indicated in red. See also Figure S1 and S2.

 

 

Figure 2: Enhanced ACE2 binding to spike protein by anti-NTD antibodies.

(A) ACE2-Fc binding to the spike transfectants in the various concentrations of antibodies. (B) ACE2-Fc binding to the wild-type or D614G spike protein in the presence of 3 µg/ml of 2490 mAb. The statistical significance derived from an unpaired t-test is indicated. (C) ACE2-Fc binding to wild-type spike protein in the presence of the indicated antibodies at 3 µg/ml and various concentrations of anti-RBD neutralizing antibody C144 (red line). ACE2-Fc binding in the absence of the enhancing antibodies was shown as the control (black line). The data from triplicates are presented as mean ± SD. The representative data from three independent experiments are shown. See also Figure S2.

 

 

Figure 3: Enhanced SARS-CoV-2 infectivity by specific anti-NTD antibodies.

(A) The ACE2-expressing HEK293 cells (MOI: 0.3) were infected by a SARS-CoV-2-spike pseudovirus carrying a GFP reporter gene in the presence of various concentrations of indicated antibodies. The proportion of GFP-positive infected cells is shown. (B) The ACE2-expressing HEK293 cells were infected with a SARS-CoV-2-spike pseudovirus carrying a GFP reporter gene at different MOIs with (red line, 3 µg/ml) or without (black line) the indicated antibodies. (C) HEK293 cells, ACE2-expressing HEK293 cells, and Huh7 cells were infected with authentic SARS-CoV-2 virus in the presence (+) or absence (–) of enhancing antibody 2490 at 1 µg/ml. The amounts of SARS-CoV-2 virus produced in the cell culture supernatants were analyzed 48 h after infection. The statistical significance derived from an unpaired t-test is indicated. NS: Not significant. The data are presented as mean ± SD. The representative data from three independent experiments are shown. See also Figure S1.

 

 

Figure 4: Epitope mapping of the SARS-CoV-2 infectivity-enhancing antibodies.

(A) The binding of the enhancing antibodies (binder) to full-length spike transfectants was analyzed in the presence of the indicated antibodies (competitor). The effect of competitors on ACE2-Fc binding to the spike transfectants was also analyzed. The non-enhancing anti-S2 antibody, 2147, was used as a control. Relative antibody or ACE2 binding levels observed in the presence of competitor are shown. (B) Relative antibody binding levels to a series of NTD mutants compared to wild-type NTD are shown. Non-enhancing anti-NTD antibody 4A8 was used as a control. The most affected residues were shown as red. (C) The full-length mutant spike proteins were stained with the indicated enhancing antibodies (red line). Staining of wild-type spike were shown as shaded histogram. See also Figure S3.

 

 

Figure 5: Structures of SARS-CoV-2 infectivity enhancing antibodies bound to spike protein.

(A) Amino acid residues that affected the binding of each enhancing antibodies are shown as a heatmap based on their percent reduction of the MFIs in Figure 4B, with higher reduction indicated by darker shades as shown in bar in the figure. NTD: dark grey, RBD: medium grey, other regions: light grey. (B) The MFIs reduction of the affected residues are averaged across the six antibodies and shown as a heatmap with higher reduction indicated by darker shades as shown in bar in the figure. (C) Each SARS-CoV-2 infectivity enhancing antibody was docked onto the spike protein as described in Methods. (D) A spike model built from PDBID: 7KEB was found to fit the Apo density best, while another model built from PDBID: 7K8W fit the two other antibody-bound densities best. The spike subunit in the one RBD"up" form is colored green. Antibodies are colored pink (heavy chain) and blue (light chain). The scale bar is 30 Å. See also Figure S4 and Table S1.

 

 

 

 

Figure 6: Induction of the open conformation of RBD by the divalent enhancing antibodies.

(A) The binding of antibodies specific to open RBD (H014) or open and closed RBD (C009, C144, C135) against spike transfectants was analyzed in the presence of the indicated enhancing antibodies (3 ug/ml). ACE2 binding to spike protein was also analyzed. The non-enhancing anti-NTD antibodies, 4A8 and 4A2, was used as a control. Relative antibody or ACE2 binding levels observed in the presence of anti-NTD antibodies are shown. (B) H014 antibody binding and ACE2 binding to spike protein in the presence of indicated antibodies were shown. Correlation coefficient between them was indicated in the figure. (C) H014 antibody binding and ACE2 binding to spike protein in the presence of various concentrations of Fab and F(ab’)2 and fragments of the enhancing 2490 antibody. (D) A model of spike protein bound with divalent enhancing antibodies, 8D2 and 2490. Spike protein and Fab complexes demonstrated in Figure 5D were used as a template for the models. See also Figure S5.

 

 

 

 

Figure 7: SARS-CoV-2 infectivity-enhancing antibodies in COVID-19 patients and uninfected individuals.

(A) A method of detecting the enhancing or neutralizing antibodies using a competitive binding assay. DyLight 650-labeled 8D2 and C144 were used to detect the enhancing and neutralizing antibodies, respectively. (B) The binding of the enhancing antibody, 8D2, or the neutralizing antibody, C144, to beads coated with the spike protein was analyzed in the presence of the serially diluted serum of a representative COVID-19 patient or an uninfected donor. (C) The levels of SARS-CoV-2 infectivity-enhancing antibodies and neutralizing antibodies in non-infected individuals, non-severe and severe COVID-19 patients. (D) Enhancing antibody titers subtracted with neutralizing antibody titers were compared between non-severe and severe COVID-19 patients. The statistical significance derived from Mann– Whitney U test was indicated. (E) The enhancing antibodies were detected by comparing the antibody binding to the wild-type NTD-TM (WT) to the antibody binding to the mutant NTD TM lacking the enhancing antibody epitopes (Mut). (F) The serum levels of antibodies in uninfected individuals against the wild-type NTD (blue bar) and mutant NTDs whose epitopes for the enhancing antibodies were mutated (red bar). (G) SARS-CoV-2 infectivity-enhancing antibody titers were calculated by subtracting the antibody levels against the mutant NTD from those against the wild-type NTD in uninfected individuals (red bar). Anti-RBD antibody titers were analyzed using RBD-TM transfectants (blue bar). See also Figure S6.