COVID-19関連追加(202164日)感染そしてワクチン接種後のMIS

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2020108日(MIS-A

 

SARS-CoV-2感染およびCOVID-19ワクチン接種後の多系統炎症症候群】

Salzman MB, Huang C-W, O’Brien CM, Castillo RD. Multisystem inflammatory syndrome after SARS-CoV-2 infection and COVID-19 vaccination. Emerg Infect Dis. 2021 July [date cited].

https://doi.org/10.3201/eid2707.210594.

Abstract

米国カリフォルニア州で,予防接種とSARS-CoV-2感染後に多系統炎症症候群(MIS: multisystem inflammatory syndrome)を発症した3人の患者を報告する.同時期に,成人患者集団の≈7%1回以上のワクチンを接種した時期に,ワクチンを接種していない成人3人がMISを発症した.

Introduction

小児(MIS-C)および成人(MIS-A)の多系統炎症候群(Multisystem inflammatory syndrome: MIS)は、炎症マーカーの上昇を伴う熱性症候群であり,通常,SARS-CoV-2感染後26週間で発症する(1-3).最近、SARS-CoV-2予防接種後の患者の評価に使用するためのBrighton Collaboration Case Definition for MIS-C/Aが発表された(3); SARS-CoV-2予防接種がMIS-C/Aの引き金になるのではないかと懸念する科学者もいる.我々は,米国南カリフォルニアの大規模な統合医療機関で発生した6例のMISを報告する; このうち3例は,MISの治療を受ける直前にSARS-CoV-2ワクチン接種を受けていた6人の患者は全員,確定症例の診断上の確実性を示すBrighton Collaboration Level 1を満たし,2021115日〜215日の間にMISを発症した.Southern California Permanente Medical GroupChief Compliance Officerが本ケースシリーズをレビューし,医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act)に準拠していることを確認した上で掲載する.

The Study

患者120歳のヒスパニック系女性で,3日前からびまん性の全身性発疹,蝕知できる(tactile)発熱,咽頭痛,軽い首の不快感,倦怠感があったため,医療機関を受診した.咳嗽,鼻閉,頭痛,腹痛は認めなかった.彼女は嘔吐と下痢を呈していたが,入院の8日前には治まっていた.彼女は,入院の15日前SARS-CoV-2ワクチンの初回接種を受けていたCOVID-19曝露歴はないが,SARS-CoV-2 PCRおよびヌクレオカプシドIgG陽性であった.救急部へ来院時,彼女は低血圧を呈しており,強心剤による治療(ionotropic support)が必要であった.トロポニンと脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が上昇し,最初は左室駆出率は45%と軽度の低下であったが,翌日には3035%に低下した.彼女は,静脈内免疫グロブリン(IVIG: intravenous immunoglobulin)とメチルプレドニゾロンによる治療に良好な反応を示した(Table 1).

Table 1: Demographic, laboratory, and clinical characteristics of 3 patients who had multisystem inflammatory syndrome after SARS-CoV-2 immunization, Southern California, USA.

 

 

 

患者240歳のヒスパニック系男性で,6日前から101.7°Fまでの高熱が続いたため,医療機関を受診した.労作時呼吸困難,頭痛,首の痛み,倦怠感(lethargy),腹痛,下痢などの症状が認められた.胸痛は認めなかった.SARS-CoV-2ワクチン接種歴と,検査で確認された軽度〜中等度COVID-19の既往があり,いずれも受診前48日以内であった(Figure.診察では,発汗,触診時のびまん性腹痛,頻脈,頻呼吸が目立った.患者2は,MIS-ABrighton Level 1 criteriaを満たしており,発熱,消化器症状,神経学的症状,炎症マーカーおよび心臓マーカーの上昇,心筋炎を疑う心電図変化(3)が認められた.デキサメタゾンによる治療に良好な反応を示した(Table 1).

 

 

Figure: Timeline displaying intervals between coronavirus (COVID-19) vaccine, acute COVID-19 symptom onset, and MIS symptom onset in patients in California, USA. MIS, multisystem inflammatory syndrome.

Timeline displaying intervals between coronavirus (COVID-19) vaccine, acute COVID-19 symptom onset, and MIS symptom onset in patients in California, USA. MIS, multisystem inflammatory syndrome.

 

患者318歳のアジア系アメリカ人男性で,3日間にわたる104°Fの高熱に加え,頭痛,嘔吐,下痢,腹痛(abdominal cramping)といった症状があったため,救急部を受診した(Figure).彼は,上気道症状を否定していた.発症の6週間前に検査でCOVID-19感染が確認された経緯があり,発症18日前にSARS-CoV-2ワクチンの初回接種を受けていた.救急部を受診したところ,低ナトリウム血症と低血圧が認められました(Table 1).診察では,頻脈と腹部圧痛が目立った.また,炎症マーカーの上昇,血小板減少,リンパ球減少が認められた.心エコーでは,軽度〜中等度の(左室)収縮能の低下が認められ,駆出率は4045%であった.メチルプレドニゾロン,IVIG,アナキンラによる治療に良好な反応を示した.

患者462歳のアジア系アメリカ人男性で,5日間続く発熱のために救急部を受診した.彼は,1週間で改善した軽度〜中等度のCOVID-1923日後6日間続く嘔気と嘔吐を呈した.彼はまた,4日間続く両耳の難聴を認めた.彼は低血圧を認め,強心剤の治療が必要であった.また,血小板減少,炎症マーカーの上昇,心電図のびまん性ST上昇を伴うトロポニンの上昇が認められた(Table 2).メチルプレドニゾロンによる治療に良好な反応を示し,難聴も改善した.

 

Table 2: Demographic, laboratory, and clinical characteristics of patients who had multisystem inflammatory syndrome without SARS-CoV-2 immunization, California, USA.

 

 

 

患者529歳のヒスパニック系女性で,検査でCOVID-19が確認されてから28日後,発熱,悪寒,頭痛,嘔気を認めた.彼女は,救急部を受診し,強心剤による治療が必要な低血圧を認めた.臨床医は,結膜炎,腹部画像上の大腸炎の証拠,炎症マーカーの上昇,リンパ球減少,BNPの上昇を根拠に,MIS-Aと診断した.メチルプレドニゾロンとIVIGによる治療に良好な反応が得られた(Table 2).

患者623歳のヒスパニック系男性で,検査で確認された軽度〜中等度のCOVID-1938日後に発熱と腹痛を認めた.低血圧を呈しており,強心剤の投与が必要であった.腹部画像では腸間膜リンパ節炎(mesenteric adenitis)が認められた.炎症マーカーの上昇,好中球減少,リンパ球減少,心エコーでの左心室駆出率20%が認められた.彼はIVIGとメチルプレドニゾロンで治療された(Table 2).彼は,入院から12日後に死亡した

Conclusions

我々の研究当時,我々の医療グループは,医療従事者と75歳を超える患者にのみワクチンを接種していた.今回接種を受けた3人の患者は,医療機関における労働者あるいはボランティアであったため,早期接種の対象となった.これらの患者は,南カリフォルニアでCOVID-19症例が急増した≈1ヶ月後に発生した.これらの患者が医療機関を受診した時点で,Kaiser Permanenteの患者グループ(会員数約3,776,000人)に属する成人(> 18歳)のうち,1回以上のSARS-CoV-2ワクチンを接種していたのはわずか≈7%であったが,本研究ではMISを発症した6人の患者のうち3人がワクチンを接種していた.この6人の患者は,南カリフォルニアにある15Kaiser Permanente medical centersのうち5つの医療センターに入院していた.ワクチン接種後のMIS-C/Aが理論的に懸念されていることを考えると,我々はSARS-CoV-2ワクチン接種後の時間的な関連性は注目に値すると考えている(3)我々は,最近のSARS-CoV-2感染がなく,ワクチン接種後にMISを発症した患者は同定しなかった(We did not identify any patients with MIS after vaccination who did not have recent SARS-CoV-2 infection.我々のmember populationに含まれる他の症例患者が,我々の15の医療センター以外の場所で入院したために、このケースシリーズに取り込まれた可能性もある.

全体として,MISは成人では稀である.それに比べて我々は,960,000人の小児人口の中で,20211月から20212月において> 50人,20205月以降は> 100人のMIS-C小児患者を治療した.

米国疾病管理予防センター(CDC)は、SARS-CoV-2感染後のワクチン接種を、急性疾患からの回復後,および隔離期間後に行うことを認めており,感染からワクチン接種までの推奨最小間隔は定めていない(4)MIS-C/Aのほとんどの症例は,曝露あるいは感染から26週間後に発症するが(1-3),我々は,感染や曝露が確認されてから810週間後という遅い時期に治療のため来院した子供たちを何人か見てきたSARS-CoV-2感染そして予防接種後におけるMIS-C/Aの監視を続ける必要があり,特に,MISのリスクが高い子供たちにワクチンを接種する場合には注意が必要であるCDCと米国食品医薬品局(FDA)は,VAERSthe Vaccine Adverse Event Reporting System)を共同管理しており,COVID-19ワクチン接種後の有害事象の監視に使用されている.MIS-C/Aは,ワクチン接種後の特別な関心を要する有害事象(postvaccination adverse event of special interest)として挙げられており(5)VAERSに報告する必要がある(6)

 

References

1) Morris  SB, Schwartz  NG, Patel  P, Abbo  L, Beauchamps  L, Balan  S, et al. Case series of multisystem inflammatory syndrome in adults associated with SARS-CoV-2 infection—United Kingdom and United States, March–August 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69:1450–6.

2) Godfred-Cato  S, Bryant  B, Leung  J, Oster  ME, Conklin  L, Abrams  J, et al.; California MIS-C Response Team. California MIS-C Response Team. COVID-19–associated multisystem inflammatory syndrome in children—United States, March–July 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69:1074–80.

3) Vogel  TP, Top  KA, Karatzios  C, Hilmers  DC, Tapia  LI, Moceri  P, et al. Multisystem inflammatory syndrome in children and adults (MIS-C/A): Case definition & guidelines for data collection, analysis, and presentation of immunization safety data. Vaccine. 2021;39:3037–49; Epub ahead of print.

4) US Centers for Disease Control and Prevention. Interim clinical considerations for use of COVID-19 vaccines currently authorized in the United States. April 27, 2021 [cited 2021 May 12].

https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/info-by-product/clinical-considerations.html

5) US Centers for Disease Control and Prevention. Vaccine Adverse Event Reporting System (VAERS) standard operating procedure for COVID-19 (as of 29 January 2021). 2021 [cited 2021 May 12].

https://www.cdc.gov/vaccinesafety/pdf/VAERS-v2-SOP.pdf

6) US Department of Health and Human Services. Vaccine Adverse Event Reporting System. COVID-19 vaccine EUA reporting requirements for providers.

https://vaers.hhs.gov/index.html