COVID-19関連追加(2021613日)

mRNAワクチンについてその14(未接種者への防御)

SARS-CoV-2ワクチンによる未接種者の防御に関する

コミュニティレベルのエビデンス】

Milman, O., Yelin, I., Aharony, N. et al. Community-level evidence for SARS-CoV-2 vaccine protection of unvaccinated individuals. Nat Med (2021).

https://doi.org/10.1038/s41591-021-01407-5.

Abstract

大規模ワクチン接種は,ワクチンを接種した者を疾患から守り,ワクチンを接種していない者への感染の可能性を低くすることで,現在のCOVID-19パンデミックを抑制する可能性がある.Pfizer-BioNTech社のBNT162bワクチンが広く接種され,疾患だけでなくSARS-CoV-2への感染も防ぐ高い効果を示していることから,疾患の根絶には欠かせない集団レベルでの効果の可能性が示唆されている.しかし時空間的に大きく変動する流行のダイナミクスを考慮すると,この推定される効果を観察することは困難である.本研究では,177の地理的に定義されたコミュニティの大規模集団を対象に、ワクチン接種記録と検査結果を解析し,各コミュニティにおけるワクチン接種率が,ワクチンを接種していない16歳未満のコホートにおける感染の大幅な減少と関連していることを明らかにした平均して,ある集団でワクチン接種を受けた者が20 percentage points増えるごとに,ワクチンを受けていない集団の検査陽性率は約2倍減少した.これらの結果は,ワクチン接種が,接種を受けた者を防御するだけでなく,コミュニティの未接種者をも相互に防御することを示す観察的証拠となる.

Main

我々は,SARS-CoV-2感染者の割合が少ないことから,自然免疫獲得率(low rate of natural immunization)が低いと推定される177の異なるコミュニティのワクチン接種率と検査結果に焦点を当てて解析した.イスラエルで2番目に大きい医療維持組織であるMaccabi Healthcare ServicesMHS)のメンバーを対象に,2020129日〜202139日までの予防接種日と検査結果を検索した.自然免疫による交絡効果を最小限に抑えるため,202031日以降の検査記録を考慮し,202139日までに陽性と判定された者の割合が10%未満であったコミュニティのみを対象とした(177コミュニティ; Methods and Extended Data Figure 1).このようにコミュニティを除外しても,ワクチン接種者やSARS-CoV-2感染患者の年齢分布に顕著なバイアスは見られなかった(Extended Data Figure 2).

本研究では,流行の時空間的な変化を抑制するために,我々は各コミュニティにおける一定期間内の陽性率の相対的な変化に着目した(それゆえ,グローバルな時間的パターンとコミュニティ間の本質的な差異を考慮した).まず,各コミュニティにおいて,バイスタンダーである16歳未満の未接種コホートと相互作用する可能性が高いと想定される1650歳の個人について,3週間の連続した2つの間隔(V1, V2)で,1回目のワクチンを接種した患者の平均累積割合を算出した(Figure 1a).次に,このようなワクチン接種の時間間隔ごとに,ワクチン接種を受けた者の想定されるimmunizationとそれに続くワクチン未接種者の相互防御が有効になるように対応するタイムシフトした3週間の検査間隔を28日遅らせて設定した(Figure 1a, b).この2つの検査間隔で,ワクチン接種していないバイスタンダーコホート(P1, P2)の陽性検査割合を算出した(Figure 1b).次に,第1の間隔と第2の間隔を比較して,ワクチン未接種者の陽性検査割合の変化(P2/P1)と,ワクチン接種の変化(V2V1)の関係を検討した(Figure 1c).

Figure 1: An increase in the fraction of vaccination in a community is associated with a later reduction in the number of confirmed infections of the unvaccinated cohort in the same community.

Fig. 1

a,b, The accumulated fraction vaccinated among 16–50-year-old individuals (a) and the positive test fraction among the 0–15-year-old bystander unvaccinated cohort (b, 7-d moving window average; to avoid a logarithm of zero, time windows with zero positive tests are plotted as having a single positive test) are shown for each community as a function of time. The vaccination intervals (a) and their corresponding time-shifted testing intervals (b) are indicated above each panel (dark gray and light gray). The black trajectory highlights an example community, indicating its mean vaccination fraction for each of the intervals (V1, V2), and the mean positive test fractions in the testing intervals (P1, P2) (see Methods; the example community is highlighted only for demonstration). c, For each community (n=177), the change in positive test fraction between time intervals (P2/P1) is shown as a function of the change in the vaccinated fraction in the corresponding vaccination intervals (V2V1). Data are mean±1s.e.m. The dotted line shows linear fit (P=0.0003) (see Methods). The community highlighted in a and b is indicated (black x, error bar and arrow). d, The association is robust to a shift in interval dates. For the same communities (n=177), slopes and P values are shown as a function of the first vaccination interval start date (keeping the same delay of 28d between vaccination and test intervals). Circles and error bars represent maximum likelihood estimator (MLE)±2s.e. (95% confidence intervals). The slope corresponding to the intervals used in ac is indicated (filled black circle). **P<0.005; ***P<0.0005.

 

ワクチン未接種者の陽性検査割合は,各コミュニティでのワクチン接種率に比例して低下した.線形フィットにより,陽性検査割合の対数変換したオッズ比とワクチン接種割合の増加との間に強い負の相関関係が示された(log(P2/P1)= a(V2V1)b; a= 4.1 (95%信頼区間, 6.3-2), P= 0.0003)(Figure 1c; MethodsCorrelation analysis参照).ワクチン接種者が20 percentage points増えるごとに,ワクチン未接種者の陽性検査割合は約2倍減少した; このような増幅は,複数回の感染サイクルによって生じる可能性がある.これらの結果は,間隔の長さ(a= 3.6 (95%信頼区間, 4.8-2.3), 4週間の間隔ではP< 10-4, 間隔の日付(Figure 1d),そしてメンバーとコミュニティの除外基準(Extended Data Figure 3, 4)の変化においても強固であった.さらに,1回以上の感染サイクルを加えたワクチン誘発性免疫のための既知の時間と一致して,この効果は24日を超える時間的なずれに対して強固に現れる(Extended Data Figure 5).ワクチン接種コホートの年齢を考慮すると,考慮したワクチン接種コホートが基準となる1650歳のワクチン接種コホートよりも若い場合に関連性が強く,66歳以上のワクチン接種コホートでは有意ではないことがわかった(Extended Data Figure 6).また,各コミュニティにおいて,1回あたりの検査ではなく,人口1人あたりの陽性検査割合を考慮すると,強い負の相関が見られた(a= 8.7 (95%信頼区間, 11.3-6.1), P< 10-4).以上のことから,今回の解析では,コミュニティにおける成人へのワクチン接種と,その後の若年層のバイスタンダーコホートの感染減少との間に,強力で強固な負の関係があることが示された.

Limitation: @ワクチンによる免疫だけでなく,ワクチンを接種していない者の感染も,自然に獲得した免疫の影響を受ける可能性がある.本研究では,累積感染者数が少ない地域に焦点を当てることで,この交絡因子を最小限に抑えることができたが,今後の研究は,この影響をより直接的にコントロールすることができるだろう(例えば,血清保有率のデータを含めること).A202118日〜27日の間に実施されたロックダウンの実施と遵守を含む個人の行動と公共政策の指針は,ワクチン接種率と相関し,ワクチン未接種グループの感染可能性にも影響を与える可能性がある.B測定された陽性検査割合と実際の感染率との間の比率は,各コミュニティにおいて異なる可能性があり,また時間とともに変化する可能性もある.対数導関数log(P2/P1)を用いた本研究では,各コミュニティで感染率と陽性検査割合の比率が異なる可能性や,この比率が時間とともに一様に変化する可能性を考慮しているが,これらの比率がコミュニティごとに異なる形で時間とともに変化する可能性を考慮することはできない.C今回の調査対象者はMHSのメンバーに限られており,各コミュニティ全人口の一部しか代表していない.

 

Supplementary appendix