COVID-19関連追加(2021620日)感染1年後の中和について

【感染1年後のSARS-CoV-2に対する自然に増強された中和の幅】

Wang Z, et al. Naturally enhanced neutralizing breadth against SARS-CoV-2 one year after infection. Wang, Z., Muecksch, F., Schaefer-Babajew, D. et al. Naturally enhanced neutralizing breadth against SARS-CoV-2 one year after infection. Nature (2021).

https://doi.org/10.1038/s41586-021-03696-9.

Abstract

SARS-CoV-2を原因とするCOVID-19パンデミックは,いくつかの優れたワクチンが登場したにもかかわらず,依然として制御が困難な状況にある.また,より伝播性があり,抗体に対してより抵抗性を持つようである変異株の出現により1)2),パンデミックの制御が遅れている.ここでは,COVID-19回復者63人のコホートについて,感染後1.3ヶ月,6.2ヶ月,12ヶ月の時点で評価した(そのうち41%mRNAワクチンを接種した).ワクチンを接種していない場合,SARS-CoV-2の受容体結合ドメイン(RBD: receptor binding domain)に対する抗体反応性,中和活性,そしてRBD特異的メモリーB細胞の数は,6ヶ月〜12ヶ月まで比較的安定しているワクチンを接種した場合,液性応答のすべての構成要素が増加し,そして予想通り,VOCに対する血清中和活性は,未感染者にワクチンを接種した場合に得られるオリジナルWuhan Hu-1に対する中和活性と同等もしくはそれ以上になる2)5)-8)このような広範な反応の背景には,抗体体細胞変異(antibody somatic mutation),メモリーB細胞のクローン交代の進行(memory B cell clonal turnover),そしてVOCに見られるものも含めたSARS-CoV-2 RBD変異に対して極めて高い耐性を持つモノクローナル抗体の産生(development of monoclonal antibodies),というメカニズムがある4)9)さらに,広範で強力な抗体を発現するB細胞クローンは、時間の経過とともに選択的にレパートリーに保持され,ワクチン接種後に劇的に拡大する.これらのデータは,回復者の免疫は非常に長く持続することを示唆しており,そして利用可能なmRNAワクチンを接種した回復者は,循環しているSARS-CoV-2変異株に対して防御を持つ抗体とメモリーB細胞を産生することになるだろう.

Main

我々はまず,感染から1.3ヶ月および6.2ヶ月後の回復者コホートにおけるSARS-CoV-2に対する免疫反応を特徴づけた3)4)202128日〜326日において,26歳〜73歳(中央値47歳)までの63人が12ヶ月間の追跡調査のために登録された.そのうち26人(41%)は,ModernamRNA-1273)またはPfizer-BioNTechBNT162b2)のいずれかのワクチンを,調査訪問(study visit)の平均40日前(range, 2-82日)および急性疾患発症後311日後(range, 272-373日)に少なくとも1回接種していた(Supplementary Table 1).参加者の性別はほぼ均等(女性43%)で,12ヶ月後に再訪した者のうち,入院した者は10%のみで,残りの者は比較的軽度の初期感染(initial infections)を経験していた.12ヶ月後に長期的な症状が持続していると報告した者は14%にとどまり,6ヶ月時点の44%から減少していた4).症状の持続性は,急性疾患の期間や重症度,ワクチン接種状況とは関連していなかった(Extended Data Figure 1a-c).12ヶ月後の時点に行った唾液を用いたPCR4)では,参加者全員の活動性感染は陰性であった.参加者の人口統計および臨床的特徴をSupplementary Tables 1および2に示す.

Plasma SARS-CoV-2 Antibody Reactivity:

血漿中のRBDおよびヌクレオタンパク(N)に対する抗体反応は,酵素結合免疫吸着法(ELISA)で測定した3).血漿中の抗RBD抗体は,中和活性と強い相関関係があることから3)10)-12),我々はRBDに限定して解析を行った.ワクチンを接種していない回復者は,6ヶ月〜12ヶ月の間,抗RBD IgM103%)、IgG82%)、IgA72%)価をほとんど維持していた(Figure 1a and Extended Data Figure  2a-k).これまでの報告5)-8)と同様に,ワクチン接種によって血漿抗RBD抗体レベルが上昇し,IgG抗体価はワクチン未接種者に比べて約30倍増加した(Figure 1a right).抗体価の上昇が見られなかった2人は,サンプル採取の2日前にワクチン接種を受けていた.比較的安定していた抗RBD抗体価とは対照的に、抗N抗体価はワクチンに関係なく,このアッセイでは6ヶ月〜12ヶ月の間に有意に減少した(Figure 1b and Extended Data Figure 2l-n).

SARS-CoV-2スパイクタンパクで疑似ウイルス化したHIV-1を用いて3)4)13)63人の参加者の血漿中和活性を測定した(Figure 1c,d and Extended Data Figure 2o).感染から12ヶ月後,ワクチンを接種していない37人の幾何平均NT5075で,6.2ヶ月後の同じ参加者で有意差はなかった(Figure 1c).一方,ワクチンを接種した者の幾何平均NT503,684で,ワクチンを接種していない者に比べて50倍近く大きく,抗RBD IgG抗体の30倍の増加に比べてやや良好であった(Figure 1a, c, d).中和活性はIgGRBD抗体価と直接相関していたが(Extended Data Figure 2p),抗N抗体価とは相関していなかった(Extended Data Figure 2r).SARS-CoV-2感染後6ヶ月〜12ヶ月の間,中和価は相対的に変化せず,ワクチン接種によってさらに50倍近く活性が向上すると,我々は結論づけた.

我々は,中和活性を調べるために,以下のSARS-CoV-2 VOC/VOIB.1.1.7B.1.351B.1.526P.11)14)15)Sタンパク質で疑似ウイルス化したHIV-1を用いた中和アッセイを行った.感染から12ヶ月後,これらの変異株に対する中和活性は,同じアッセイで野生型SARS-CoV-2ウイルスに対する中和活性よりも全般的に低く,B.1.351に対する活性が最も低下していた(Figure 1e).ワクチン接種後,幾何平均NT50は,B.1.351B.1.1.7B.1.526P.1に対して,それぞれ11,49348,34122,10926,553に上昇した.これらの抗体価は,我々や他の研究者が報告している野生型SARS-CoV-2に対する中和力価よりも一桁高いものであり,感染者および両用量のmRNAワクチンを接種した未感染者(naïve individuals)の初期反応のピーク時のものである(Figure 1d and 2-8).同様の結果は,authentic SARS-CoV-2 WA1/2020およびB.1.351を用いても得られた(Extended Data Figure 2s).

 

 

Figure 1: Plasma ELISAs and neutralizing activity.

Memory B cells:

メモリーB細胞コンパートメントは,多様な抗体を含む免疫リザーバーとして機能している16)17)SN末端ドメインやその他の部分に対する抗体も中和することができるが,我々は、抗RBD抗体を産生するメモリーB細胞が最も数が多く,強力であることから,解析対象をRBDに限定した18)19)RBD特異的メモリーB細胞を列挙するために,biotin-labeled RBD3)を用いてフローサイトメトリーを行った(Figure 2a and Extended Data Figure 3a and b).ワクチンを接種していない場合,12ヶ月目に存在するRBD特異的メモリーB細胞の数は,それ以前の時点に比べて1.35倍にしかならなかった(p= 0.027, Figure 2a).一方,これまでの報告5)8)20)と同様に,mRNAワクチンを接種した回復患者では,循環しているRBD特異的メモリーB細胞の数が平均8.6倍に増加していた(Figure 2a).また,野生型およびK417NE484KN501Y変異RBDの両方に結合する抗体を発現するB細胞をフローサイトメトリーで計数した(Extended Data Figure 3c).変異株RBDの交差反応性B細胞の数は,野生型RBD結合B細胞に対して正比例していたが,比較すると1.63.2倍低かった(Figure 2a).メモリーB細胞コンパートメントは,感染後初めの6ヶ月の間に変異を蓄積し,クローン進化を遂げている4)9)21)22).そこで,感染後6ヶ月〜12ヶ月の間にメモリーB細胞コンパートメントが進化し続けているかどうかを調べるために,より早い時点で検査を受けた10人(うち6人はワクチン接種済み)から,1105個の重鎖と軽鎖のペアの抗体配列を得た(Figure 2b, Extended Data 3d, Supplementary Table 3).発現したIGHVおよびIGLV遺伝子については,ワクチン接種群と未接種群の間,あるいは1.3ヶ月,6ヶ月,1年の各時点で,ほとんど有意差はなかった(Extended Data Figure 4a-c3)4)IGHV3-30およびIGHV3-53は,ワクチン接種に関係なく,依然として過剰発現していた10)18)Extended Data Figure 4a).

12ヶ月目に測定したすべての参加者において,近縁のIGHVおよびIGLV遺伝子を発現するRBD結合メモリー細胞クローンが拡大していた(Extended Data Figure 4a).これらのクローンに属する細胞の相対的な割合は,レパートリーの754%であり,ワクチン接種群と未接種群の間に有意差はなかった.全体的なクローンの構成は,6ヶ月と12ヶ月の間で,すべての参加者において異なっており,クローン進化が進行していることを示唆している(Figure 2b and Extended Data Figure 3d).12ヶ月後に発見された89のクローンのうち,61%は以前に検出されなかったもので,39%は以前のいずれかの時点で存在していたものであった(Figure 2b and Extended Data Figure 3d).ワクチン接種を受けた者では,メモリーコンパートメントのサイズにおける増加は,すべての持続的クローン(persistent clones)を代表するB細胞の絶対数における増加と平行していた(Extended Data Figure 5a).このように,RBD特異的メモリーB細胞クローンは、調べた6人の回復者すべてにおいて,ワクチン接種によって再び拡大した(Figure 2b and Extended Data Figure 3d and Extended Data Figure 5a).

抗体遺伝子の体細胞超変異(somatic hypermutation)は,感染後6ヶ月〜12ヶ月の間,続いていた(Figure 2c).ワクチン未接種者では,ワクチン接種者に比べてわずかに高いレベルの変異が見られたが,これはワクチン接種者の拡大したメモリーコンパートメントに新たに形成されたメモリー細胞が呼び込まれたことが理由の可能性がある(Figure 2c, Extended Data Figure 5b).ワクチン接種者では,12ヶ月後の時点で,保存されたクローンと新たに発生したクローンの間で,変異に大きな違いは見られなかった(Extended Data Figure 5c).さらに,系統解析(phylogenetic analysis)の結果,6ヶ月目と12ヶ月目に発見された配列は混在しており,変異していない共通の祖先(unmutated common ancestors)から同じように離れていた(Extended Data Figure 5c).以上のことから我々は,ワクチン接種に反応してメモリー細胞クローンが再増殖しても,胚中心に再侵入して増殖した場合に予想されるような,大量の体細胞変異(somatic mutations)の追加蓄積とは関連しないと結論づけた.

Figure 2: Anti-SARS-CoV-2 RBD B cell memory.

 

Neutralizing Activity of Monoclonal Antibodies:

感染後12ヶ月でメモリーB細胞から得られた抗体がRBDに結合するかどうかを調べるために,我々はELISAを行った(Figure 3a).ELISAで検査した174抗体である: 1)1年後に1回だけ出現した抗体から無作為に選んだ53抗体; 2)複数の時点で拡大したクローンまたはシングルとして出現した91抗体; 3)新たに出現した拡大クローンの代表30抗体である(Supplementary Tables 4 and 5).試験した174抗体のうち,173抗体がRBDに結合したことから,抗RBD抗体を発現しているB細胞を同定するために用いたフローサイトメトリー法は効率的であることがわかった(Supplementary Tables 4 and 5).12ヶ月後に得られた抗体の幾何平均EC50ELISA half-maximal concentration)は2.6 ng/mlで,ワクチン接種に関係なく,6ヶ月後に比べて有意に低く,親和性の向上(increase in affinity)が示唆された(Fig. 3a, Extended data Fig. 7 a and b and Supplementary Tables 4 and 5).この観察結果と一致して,血漿中の抗体の見かけのアビディティ(apparent avidity)は,1.3ヶ月〜12ヶ月の間に全体的に増加していた3)4)p< 0.0001, Extended data Figure 7c).

12ヶ月後に得られた174RBD結合抗体すべてについて,SARS-CoV-2疑似ウイルス中和アッセイによる中和活性を調べた.その結果,幾何平均IC50half maximal inhibitory concentration)は,171 ng/mL1.3ヶ月)→116 ng/mL6ヶ月)→79 ng/mL12ヶ月)と向上し,ワクチン接種者と未接種者の間に有意差は見られなかった(Fig. 3b and Extended data Figure 7d, Supplementary Table 4).中和活性の増加は,ワクチン接種と関係なく,観察期間中ずっと保存されていたB細胞の拡大クローンによって発現された抗体で特に顕著であった(p= 0.014, Figure 3b right, Extended Data Figure 7e-h and Supplementary Table 5).保存されているクローンの中和活性が全体的に増加したのは,強力な中和活性を持つ抗体を発現するクローンが蓄積され,測定可能な活性を持たない抗体を発現するクローンが同時に失われたためである(p= 0.028, Figure 3b right pie charts).この観察結果と一致して,12ヶ月後にクローン増殖したB細胞から得られた抗体は,同じ時点で唯一のB細胞から得られた抗体よりも強力であった(p= 0.029, Figure 3b).

Figure 3: Anti-SARS-CoV-2 RBD monoclonal antibodies.

 

Epitopes and Breadth of Neutralization:

非中和抗体の経時的な消失が,特定のエピトープを標的とする抗体の優先的な消失によるものかどうかを調べるために,我々は,あらかじめ形成した抗体−RBD複合体を,構造的に定義された3種類のエピトープ3)23)のうちの1つを標的とする第2のモノクローナル(second monoclonal)に曝露させるBLI実験を行った(Figure 4aの模式図を参照).我々は,1.3ヶ月と12ヶ月の時点で,中和活性が同等の60抗体を無作為に選択して測定した.この60抗体は,2つの時点で、中和剤(neutralizers)と非中和剤(non- neutralizers)の間で均等に分布していた(Figure 4).RBDに対する抗体の親和性(affinities)は,同じ時点で得られた中和剤と非中和剤の間で類似していた(Figure 4b, Extended Data Figure 8).1.3ヶ月と12ヶ月に得られた2セットの非関連抗体を比較したところ,中和活性に関係なく,経時的に親和性が有意に増加した(Figure 4b, Extended Data Figure 8).競合実験では,30の非中和抗体のうち2つを除いたすべての抗体が,試験したクラス 1C105),2C121およびC144),3C135)の抗体の結合を阻害できなかったため,それゆえこれらのクラスの抗体のエピトープとは重ならないエピトープに結合する必要があると考えられた(Figure 4c, and Extended Data Figure 9).一方,30の中和剤のうち2つを除いたすべては,RBDの細胞内受容体であるアンジオテンシン変換酵素2ACE223)24)と相互作用するRBDのコンポーネントを標的エピトープとするクラス1または2抗体を阻害した(Figure 4c and Extended Data Figure 9).さらに,1.3ヶ月後に得られた15の中和抗体のうち9抗体がクラス12の両方の抗体を阻害したのに対し,12ヶ月後に得られた15抗体のうち阻害したのはわずか1抗体のみであった.また初期の時点と対照的だが,1.3ヶ月後に得られた15の中和抗体のうち13抗体は,クラス2の抗体であるC121のみを阻害した3)23)Figure 4c and Extended Data Figure 9).我々は,中和抗体は保持され,そしてACE2と相互作用しないRBD表面を標的とした非中和抗体は,時間の経過とともにレパートリーから削除されていると結論づけた.

中和の幅が経時的に増加しているかどうかを調べるために,60の抗体の中和活性を,流通しているVOCR346S, K417N, N440K, A475V, E484K, N501Y)に関連する残基を含むRBD変異のパネルに対して測定した(Figure 4d and Supplementary Table 6).K417NN440KA475VE484KN501Yに対しては,活性の増加が見られた(Figure 4d and Supplementary Table 6).我々はこのことから,抗体のレパートリーが進化することで,時間の経過とともに中和の幅が広がると結論づけた.メモリーB細胞抗体の幅と全体的な効力の増加は,レパートリーのシフト,クローンの進化,またはその両方によるものと考えられる.そこで,特定のクローンの変化が親和性や中和の幅における増加に関連しているかどうかを調べるために,我々は,全観察期間中にレパートリーとして維持されたB細胞の拡大クローンで発現した抗体のうち,マッチさせた2つの抗体の相対的な親和性(affinity)と中和の幅(neutralizing breadth)を測定した3)4)1.3ヶ月および12ヶ月時点で存在する抗体のSARS-CoV-2中和活性は,各時点を独立して考えると,いずれの時点でも親和性との間に有意な相関はなかった(Figure 4e).しかし,測定可能な中和活性を持たない4ペアの抗体を含めて,全体的な親和性は時間の経過とともに有意に増加した(Figure 4f and Supplementary Table 7).中和の幅は,中和抗体の3つの主要なクラスに割り当てられたエピトープを標的として,無作為に選んだ15ペアの抗体について測定した3)23)25)26).選択した抗体のうち7つは,12ヶ月後に野生型SARS-CoV-2に対して同等または低下した(Figure 4g and Supplementary Table 8).しかし,15ペアすべてにおいて,たとえ野生型に対する中和活性が変化しないか低下した場合でも,1.3ヶ月〜12ヶ月の間に中和の幅が増加した(Figure 4g and Supplementary Table 8).1.3ヶ月後に得られた15の抗体のうち1抗体だけが,試験したすべての変異を中和した(Figure 4g).一方,同じクローンから12ヶ月後に得られた15の抗体のうち10は,B.1.351に見られる3重変異K417N/E484K/N501Yに対して1 ng/mlと低いIC50をもって,試験したすべての変異を中和した(Figure 4g and Supplementary Table 8).同様の結果は,authentic WA1/2020B.1.351でも得られた(Extended Data Figure 7i).結論として,12ヶ月を超える抗SARS-CoV-2抗体の持続するクローン進化は,(中和の)効力と幅を増加させ,幅広い変異株に対して優れた活性を持つモノクローナル抗体が得られることがわかった.

 

 

Figure 4: Epitope targeting and evolution of anti-SARS-CoV-2 RBD antibodies.

 

 

Discussion

免疫応答の際,活性化B細胞は,cognate T細胞と相互作用し,そして抗原に対する親和性に基づいて,形質細胞,メモリー,胚中心B細胞のいずれかのコンパートメントに選択される前に分裂を開始する17)27)-31).高親和性の抗体を発現するB細胞は,長寿命(long-lived)の形質細胞コンパートメントに入ることが好ましいが,メモリーコンパートメントはより多様で,活性化B細胞から直接,または胚中心から発生することができる17)27)-31).胚中心から発生したメモリー細胞は,活性化B細胞から直接発生したメモリー細胞よりも,追加の分裂サイクルを経るため,より多くの変異を持つ32)

骨髄の形質細胞が長寿(longevity)であることと同様に,SARS-CoV-2に感染すると,血清中の抗RBD抗体が持続し,中和反応も持続する.血漿中和活性のほぼ93%6ヶ月〜12ヶ月の間に維持される33)34).ワクチンを接種すると,メモリーB細胞からさらに形質細胞が分化することで,中和反応が1.5桁も向上する5)7)35).広範囲で強力な中和活性を持つ抗体を産生する進化したメモリーB細胞が形質細胞コンパートメントに取り込まれることが,VOCに対するワクチン接種を受けた回復者の卓越した血清学的活性を説明できる可能性が高い20)35)36).メモリーB細胞の選択と維持についてはあまり知られていない.SARS-CoV-2感染は,体細胞変異の蓄積,新しいクローンの出現,親和性の増加など,感染後12ヶ月を超えて進化し続けるメモリーコンパートメントを作り出し,これらはすべて,胚中心の長期的な存続(long-term persistence of germinal centers)と一致する.SARS-CoV-2変異に対する活性の増加は,親和性の増加と平行しており,そして二量体化(dimerization)や二重特異性抗体(bi-specific antibodies)の生成によって抗SARS-CoV-2抗体の見かけ上の親和性(apparent affinity)を高めることで,RBD変異に対する耐性も高まるという知見と一致している37)-40)

胚中心で抗体が進化し続けるためには,これらの構造体に長期間にわたって保持される抗原が必要である29).また,SARS-CoV-2のタンパク質と核酸は,感染後少なくとも2ヶ月間は腸内に存在することが報告されている4).抗原の供給源と関係なく,抗体の進化はRBD上のACE2結合部位と重なるエピトープを好むが,これはおそらく,これらのエピトープが三量体スパイクタンパク質(trimeric spike protein)やウイルス粒子上に優先的に露出するからであろう.

SARS-CoV-2感染後にワクチンを接種すると,新しいB細胞クローンがメモリー細胞に採用され、永続的なクローンが拡大することで,RBD結合メモリー細胞の数が1桁以上増加することがわかった.このことは,ヒトメモリーB細胞のクローン拡大は,胚中心への再侵入(re-entry into germinal centers)を必要とせず,活性化B細胞コンパートメントを介して行われることを示している17)27)-31)

感染後の(中和の)幅の顕著な拡大,そしてmRNAワクチン接種による血清反応とB細胞メモリーの強固な増強は,ワクチンを接種した回復者が,既存のワクチンを変更することなく,新たな変異株に対して高レベルの防御を享受できることを示唆しているワクチンを接種した未感染者においてメモリー反応が同様に進化するのであれば,入手可能なワクチンを適切なタイミングで追加のブースト接種することで,循環している変異株に対する防御免疫が得られるはずである

 

References

省略.