COVID-19関連追加(202172日)

異種混合ワクチンについてその2Com-COV試験)

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2021629

Com-COV試験の安全性および免疫原性報告−アデノウイルスベクターおよびmRNA COVID-19ワクチンの異種混合および同種プライム・ブースト・スケジュールを比較する単盲検無作為化非劣性試験】

Liu X, et al. Safety and Immunogenicity Report from the Com-COV Study – a Single-Blind Randomised Non-Inferiority Trial Comparing Heterologous And Homologous Prime-Boost Schedules with An Adenoviral Vectored and mRNA COVID-19 Vaccine. Posted June 25, 2021. Preprint with The LANCET.

https://ssrn.com/abstract=3874014.

https://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3874014.

Abstract

Background

異種混合COVID-19ワクチンスケジュールを利用することによって,COVID-19の大規模免疫が可能となるが,しかし我々は以前,アデノウイルスベクターワクチン(ChAd, Vaxzevria, Astrazeneca社)とmRNAワクチン(BNT, Comirnaty, Pfizer社)を4週間の間隔で組み合わせた異種混合スケジュールは,同種スケジュールよりも反応性が高いことを報告した.ここで我々は,これらのスケジュールの免疫原性について報告する.

Methods

Com-COVISRCTN: 69254139, EudraCT: 2020-005085-33)は,ワクチンの反応原性および免疫原性を評価する参加者盲検非劣性試験である.50歳以上の成人(十分にコントロールされた併存疾患を持つ者を含む)を対象に,ChAd/ChAdChAd/BNTBNT/BNTBNT/ChAdを,それぞれ28日または84日間隔で接種する8群に無作為に割り付けを行った.

主要エンドポイントは,プライムワクチンが同じの,異種混合スケジュールと同種スケジュールの間で,ブースト後1ヶ月時点における血清SARS-CoV-2抗スパイクIgGレベル(ELISA)の幾何平均比(GMR: geometric mean ratio)である.GMRの非劣性は,0.63marginを用いて検証した.主要解析は,ベースライン時に血清陰性であったper-protocol集団を対象とした.安全性の解析は,試験用ワクチンを少なくとも1回接種した参加者を対象に行った.

Results

20212月,830人の参加者が登録され,無作為化された.そのうち463人は28日のプライム・ブースト間隔で接種され,その結果を本論文で報告する.参加者の平均年齢は57.8歳であり,45.8%が女性,25.3%が少数民族(ethnic minorities)の出身であった. ChAd/BNT接種群のブースト後28日目のSARS-CoV-2抗スパイクIgG幾何平均濃度(GMC: geometric mean concentration)は,ChAd/ChAd接種群(1,392 ELU/ml)と比較して非劣性を示し,幾何平均比(GMR: geometric mean ratio)は9.2(片側97.5%CI: 7.5, ∞)であったBNTでプライミングした参加者では,異種混合スケジュール(BNT/ChAd, GMC 7,133 ELU/ml)の同種スケジュール(BNT/BNTGMC 14,080 ELU/ml)に対する非劣性を示すことができず,GMR0.51(片側97.5%CI: 0.43, ∞)であったブースト後28日のT細胞応答の幾何学的平均値は,ChAd/BNT185 SFC/106PBMCsspot forming cells/106 peripheral blood mononuclear cellsであったのに対し,ChAd/ChAdBNT/BNTBNT/ChAdではそれぞれ508099 SFC/106PBMCsであった

Figure 1: Consort Diagram.

 

 

Figure 2: Subgroup analyses for immune responses between heterologous and homologous prime/boost schedules at 28 days post boost dose in the 28-day boost study arms.

 

 

Figure 3: Correlation between A) SARS-CoV-2 anti-spike IgG and Pseudotype virus neutralising antibodies, B) SARS-CoV-2 anti-spike IgG and Cellular response by IFN-γ ELISpot, and C) Pseudotype virus neutralising antibodies and Cellular response by IFN-γ ELISpot at 28 days post boost, and D) SARS CoV-2 anti-spike IgG and Cellular response by IFN-γ ELISpot at 28 days post prime.

 

 

Figure 4: Kinetics of immunogenicity by vaccine schedule: A) SARS-CoV-2 anti-spike IgG; B) Pseudotype virus neutralising antibodies; and C) Cellular response by IFN-γ ELISpot.

For A) and C), data points are medians with IQRs. Data presented at D0, D28 and D56 are based on all participants in the modified ITT population, while data at D7, D14, 35 and D42 are for the modified ITT population in the immunology cohort only. For B) boxplots for different schedules are presented at D0 and D56 in the modified ITT population. The boxplot represents the median, 25th and 75th percentiles, the whiskers extend up to the largest value, not  greater than 1.5 times the IQR beyond the box. Values greater than this are not shown.

 

 

Supplementary Figure 1: Kinetics of immunogenicity by vaccine schedules in the immunology cohort A) SARS-CoV-2 anti-spike IgG and B) Cellular response by IFN-γ ELISpot.

Safety:

接種後1週間の有害事象の調査結果については,既に報告されている(14).要約すると,異種混合スケジュールを受けた参加者では,同じプライムワクチンを用いた同種スケジュールと比較して,ブースト後に全身性反応原性の増加が認められた.28日間隔群に無作為に割り付けられた参加者では,ブースト接種後28日までに178人の参加者に有害事象が発生した(Supplementary Table 1).ワクチンスケジュール間に有意な差は認められなかった(p= 0.89).グレード3以上の有害事象については,Supplementary Table 2に記載した.202166日(date of data-lock)までの全参加者において,7件のAESIsが発生し,そのうち4件がCOVID-19診断であった(Supplementary Tables 3 & 4).non-COVID-19AESIsは,予防接種に関連していないと考えられた.すべてのグループで4人の参加者がCOVID-19を発症した.3人はプライム接種から7日以内,1人は54日後で,旅行のため予定していた28日目のブースト接種を受けていなかった(Supplementary Table 4).data lockまでの試験では,全群において4件のSAEsが発生したが,いずれも予防接種に関連しているとは考えられなかった(Supplementary table 5

Discussion

我々は今回,初めて無作為化比較臨床試験を実施し,28日のプライム・ブースト間隔を設けた異種混合および同種ChAdおよびBNTワクチンスケジュールの免疫原性について報告する. その結果、すべてのスケジュールで,SARS-CoV-2抗スパイクIgG濃度が,412週間のプライム・ブースト間隔で接種すると症候性COVID-19の予防に有効である承認済ChAd/ChAdスケジュール(19)の場合と同等以上に高くなることがわかったしかしながら,BNTを含むスケジュールは,同種ChAd/ChAdスケジュールよりも免疫原性が高く,そして異種混合スケジュールはいずれもBNT/BNT免疫で誘導される抗体を上回る結合型または疑似ウイルス中和抗体を生成しなかったことは注目に値する細胞性免疫応答についても,BNTワクチンを含むスケジュールでは,いずれもChAd/ChAd群と同等以上に高くBNT/ChAdでは、ブースト後28日で末梢循環ワクチン抗原に反応するT細胞が最も拡大した

28日同種ChAd/ChAdは,本試験の4つのスケジュールの中で最も免疫原性が低いものであったが,第3相無作為化臨床試験データによると,このレジメンは症候性疾患に対して76%,重症疾患に対して100%の有効性があることが示されている(20).また,ChAd/ChAd812週間のスケジュールで実施した場合,AlphaB.1.1.7)とDeltaB.1.617.2)変異株による入院に対して,それぞれ86%92%の有効性が示されている(21-24).液性応答とワクチン有効性の関連性が確立されていることを考えると(19),今回の試験で得られた2つの異種混合スケジュールも高い有効性を示す可能性があり,状況によっては国のワクチンプログラムで検討することができるだろう.

今回の研究は,我々の知る限り,BNT/ChAd異種混合スケジュールの免疫原性を報告した初めての無作為化比較試験である.ChAd/BNTスケジュールの結果は,スペインで行われた無作為化試験の予備データを基にしている.この試験では,1860歳の参加者がChAdによるプライミングの23ヶ月後にBNTを接種し,ブースト後14日においてSARS-CoV-2抗スパイクIgG37倍に増加した(これは本試験のブースト後7日における22倍,28日における19倍の増加よりも高かった)(12).これらの違いの説明としては,プライム・ブースト間隔が長いこと,サンプリングの時期が異なること,スペインの研究(12)では対象者が若いことなどが考えられる.しかし,細胞性応答の増加は同程度であった(4 vs 3.5倍).ドイツで行われた前向きコホート研究の初期の結果では,医療従事者にBNT/BNT3週間間隔で接種した場合とChAd/BNT812週間間隔で接種した場合を比較したところ,ブースト後3週間の結合抗体濃度は同程度で,細胞性応答はChAd/BNT接種者の方が高かった(25).ドイツで行われた別のコホート研究では,2546歳の参加者26人が,8週間のプライム・ブースト間隔でChAd/BNTを接種したが,BNT/BNT接種非無作為化コホート(26)で観察された場合よりも,BetaおよびDelta変異株に対する中和活性の維持がより優れていることが示唆され,強固な液性免疫応答が報告されている(26)

今回発表された免疫学的データは,T細胞ELISpot redoutsがスケジュール間で類似しているという証拠とともに,ChAd/BNTおよびBNT/ChAdが許容可能な選択肢であることを裏付けている.しかし,最近の非ランダム化試験や非盲検試験とは対照的に,28日のChAd/BNTスケジュール(14)では,ChAd/ChAdと比較して反応原性の増加が観察された.この違いは、プライム・ブースト間隔の違いによるものと思われるが,本試験の84日のプライム・ブースト間隔の参加者から近日中に得られるデータによって,この違いが明確になるだろう.これらの軽度,中等度の症状は一過性のものであったが,年齢の低下に伴い反応原性が増加する傾向が報告されていることから(27, 28),このスケジュールを導入する際には,特に本試験に登録した参加者よりも若年である場合は,注意する必要がある.さらに,異種混合スケジュールを実施する際に考慮すべき点としては,複雑なパブリックコミュニケーションと共に,医療インフラにおける物流上の課題が挙げられる.

現在,Moderna社とNovavax社が製造したワクチン(30)を組み込んだCom-COV2を含む,多数の無作為化異種混合プライム/ブーストCOVID-19ワクチン試験が進行中または計画中である(29)

重要なのは,これらの研究のいくつかに,CanSinoBIO(中国),Gamaleya Research InstituteSputnik V, ロシア),Sinovac(中国)が製造したワクチンが含まれていることである.これらのワクチンは,低・中所得国で広く使用されており、異種混合スケジュールに頼る可能性が高いと考えられる.異種混合ワクチン接種に関するこれらのデータは,現在,北半球の2021/2022年の冬に備えて検討され(31)、現在進行中の”Cov-Boost”研究(32)で検討されている”3回目接種”ブースター免疫プログラムにも情報を与えてくれるだろう.

Limitation: まず,免疫原性と反応原性の研究として,サンプルサイズはワクチンスケジュールの有効性を評価するのに十分ではない.結合抗体と中和抗体の両方が症候性疾患の予防によく相関しているという証拠があるが(19,33,34),未知のある閾値を超えるこれらの指標の変動が重症疾患の予防にどの程度影響するかはあまり明らかではない.同様に,現時点では,ブースト接種後28日で測定された抗体濃度が高ければ,ワクチンによって誘発された抗体がより高レベルで維持されるのかどうかを判断することはできない(これは,登録後1年までの進行中の研究対象で評価されるだろう).さらに,本試験の参加者の年齢が5070歳であることから,これらの結果の若年者への一般化には限界がある.ウイルスベクターおよびmRNAワクチンの同種スケジュールに関する過去のRCTでは,若年者(1855歳)と高齢者(> 55歳)の間でブースト後の免疫原性が同等であること(27,35,36),若年者で反応原性が高いこと(27,35,36)が報告されており,異種混合スケジュールでもこの点が異なると考える理由はないが,この点は広く実証されていない.最後に,今回発表されたデータは28日のプライム・ブースト間隔のスケジュールから得られたものであるが,一方WHOが推奨するChAd/ChAdのプライム・ブースト間隔は812週間である(37)ChAd/ChAd(19)BNT/BNT(38)では,プライム・ブースト間隔を長くすることで,ブースト後のSARS-CoV-2抗スパイクIgG反応がより高くなるという証拠があるが,今回の研究ではプライム・ブースト間隔を長くすることが異種混合スケジュールにどのような影響を与えるかは明らかではない.この問題については,84日のブーストを含むスケジュールの免疫原性データが入手可能になった時点で検討する予定である.

Interpretation

BNT/ChAdレジメンは非劣性基準を満たさなかったものの,両異種混合スケジュールのGMCsは,COVID-19および入院に対する有効性が証明されているライセンス・ワクチン・スケジュール(ChAd/ChAd)のGMCよりも高かった.これらのデータは,ChAdおよびBNT COVID-19ワクチンを用いた異種混合プライム・ブーストワクチン接種の柔軟性を支持するものである.   

References省略.

SSRN-id3874014 (1).pdf