COVID-19関連追加(202174日)mRNAワクチン接種後の心筋炎について

mRNAワクチンの接種後に発生した心筋炎】

Editorial: Shay DK, et al. Myocarditis Occurring After Immunization With mRNA-Based COVID-19 Vaccines. JAMA Cardiol. Published online June 29, 2021.

https://doi.org/10.1001/jamacardio.2021.2821.

JAMA Cardiology誌の最新号に掲載された2つの報告によると,米国で使用が許可されているBNT162b2-mRNAPfizer-BioNTech社)またはmRNA-1273Moderna社)のメッセンジャーRNAmRNA)ベースのCOVID-19ワクチンを接種した患者に急性心筋炎が発生した1)2).これらの患者の臨床評価では、心筋炎の別の病因は検出されなかった.

初めの報告は,単施設三次医療機関(Duke University Medical Center)で評価を受けた,mRNAワクチンの2回目接種を受けてから15日後に症状が発現した心筋炎の4例(BNT162b2-mRNAワクチン接種2例,mRNA-1273ワクチン接種2例)である1)3例は2336歳の男性,4例目は70歳の女性に発症した; 4例目の患者の病歴に関する詳細は明らかにされていないが,評価中に冠動脈造影を受け,動脈硬化は認められなかった.全員が激しい急性の胸痛を呈し,心電図異常があり,トロポニンレベルの上昇によって心筋傷害の証拠が示された.ワクチン接種後3日目〜5日目に心臓MRIを実施したところ,最近の専門家によるコンセンサスガイドラインで定義されている急性心筋炎と一致する所見が得られた3)

次の大規模な症例報告は,米軍医療システムからのもので、mRNAワクチン接種後4日以内に発症した急性心筋炎の23人について記載されている2).患者は全員男性であり,23人のうち22人が現役兵で,年齢の中央値(range)は25歳(2051)であった; 20人はmRNAワクチンの2回目接種後に発症した.臨床症状と検査所見は,小規模なケースシリーズ1)に記載されているものと同様であった; 今回の報告の患者23人のうち8人が心臓MRIを受け,8人全員が急性心筋炎と一致する所見を示した2)

また、Marshallらは,より若年者,すなわちBNT162b2mRNA COVID-19ワクチンの2回目接種後,4日以内に心筋炎または心筋心膜炎を発症した1419歳の米国の青年男性7人を報告している4).これらの青年には,トロポニンレベルの上昇,心電図異常,急性心筋炎に一致する心臓MRIの所見が認められた.

これら3つの報告では,急性心筋炎の別の病因の検索範囲は患者ごとに異なっていたが1)2)4),健常者において一般的な急性心筋傷害の原因を示す証拠は見当たらず,エンテロウイルスやアデノウイルス感染検査の結果も陰性であった.これらの患者の症状の顕著な類似性,mRNAワクチンを最近接種したこと,急性心筋炎の他の病因がないことから,ワクチン接種との関連性が示唆された.これらのワクチンの臨床試験では,心筋炎や心膜炎は検出されなかったが,数10万人以下の参加者を対象とした臨床試験では,関連性が認められないほど稀なケースである可能性もある.これらの米国でのケースシリーズに記載されている患者は,シンプルな支持療法後に症状が改善,あるいは回復している.そして急性疾患からの回復中は引き続き監視が必要である.

心筋炎とmRNAベースのCOVID-19ワクチンによる免疫との関連性の可能性について,何がわかっていて、何がわかっていないのだろうか?ワクチン接種の35日後通常は2回目の投与後急性の胸痛が発症することが報告例の典型的な特徴であり,免疫介在性メカニズムを示唆している5)他のワクチン接種後の心筋炎は稀であり,そして天然痘ワクチン接種(smallpox immunizationとの因果関係のみが認められている6).例えば,心筋心膜炎は健常成人が複製能を有するワクシニアウイルス生ワクチンを接種した後に報告されている7).これらの反応原性の高い天然痘ワクチンは,現在COVID-19の予防に使用されているmRNAベースの脂質ナノ粒子ワクチンとは,組成や免疫応答(immunologic responses)が大きく異なる.mRNAベースのCOVID-19ワクチンに対する免疫応答が心筋炎につながる具体的なメカニズムは分かっていない.さらなる調査が重要であり,ほとんどの症例が2回スケジュールの2回目接種後に発生しており,中にはCOVID-19の既往歴のある患者もいたという事実を考慮する必要がある.SARS-CoV-2に感染すると,かなりの割合の入院患者が急性心不全に陥ることがわかっており,そして,SARS-CoV-2による直接的な傷害または心筋組織の免疫病理学的な傷害のいずれかにつながるメカニズムは不明であり,現在積極的に調査中であるが,COVID-19の証拠がある大学の競技選手では心筋炎を示唆する心臓MRIの所見が得られる可能性がある8)

米国のケースシリーズ報告はいずれも集団ベースではないため1)2)4)COVID-19ワクチン接種後の心筋炎の発生率の推定には問題がある.しかし,これまでに得られたデータに基づけば,COVID-19ワクチン接種後に発生する心筋炎は稀であると言えるだろう.Kim1)は,彼らの3次医療機関を取り巻く6つの郡で,2021430日までに560,000を超える人がmRNAベースのCOVID-19ワクチンを2回接種したと推定した; 彼らは同日までに4例の心筋炎患者を検出した1)

軍医療システムでは,2021430日までに280万回を超えるmRNAワクチンが投与され,23人の心筋炎患者が検出された2).軍は,ワクシニア関連心筋炎9)について豊富な経験を持っていることから,軍のシステムは、多くの民間医療センターよりも軽度の心筋炎患者を検出する可能性があるかもしれない.2回のmRNAワクチン接種を受けた436,000人の男性現役軍人のうち,Montgomery2)は、心筋炎のバックグラウンド発生率(background incidence rate)に関する米国のデータに基づいて,08例の心筋炎が予想されると推定したが,彼らはそのグループで19例の心筋炎を検出した2)mRNAワクチン接種後の心筋炎のリスクに関する最も包括的なデータは,イスラエルから得られている.イスラエル保健省が最近発表したデータによると,mRNAワクチンの2回目の接種後30日以内に発生した心筋炎は121例で,この被接種者の2回目接種後の発生率は100万人あたり約24例であることが示唆されている10)

mRNAワクチンCOVID-19接種後の心筋炎の発生率や関連するリスクについては,米国疾病対策センターのVaccine Safety Datalinkなど,大規模集団ベースのワクチン有害事象モニタリングシステムによって最終的にはより明確なデータが提供されるだろうが11),いくつかの中間的な結論を出すことができる.SARS-CoV-2感染後には心筋傷害が発生し,重篤な転帰をたどる可能性がある8).現在入手可能なデータによると,現行のmRNAベースのワクチン接種後に心筋炎が発生することは稀である.この症候群の特徴と,米国で使用が許可されているmRNAベースのCOVID-19ワクチン接種との関係をより明確にするために,心筋炎の可能性がある症例はすべて米国のVaccine Adverse Events Reporting Systemに報告する必要がある.現時点では,2021年春に報告された青年のCOVID-19による入院率の増加を考慮すると,重篤なmorbidityを予防するという予防接種の利点から,COVID-19ワクチン接種を継続することが望ましいとされている12).多くの疑問が残っている.COVID-19ワクチンの初回接種後に心筋炎の可能性がある,または確認された既往歴がある人に対して,ワクチンスケジュールの変更があるとすれば,どのようなことを考慮すべきか?特に,これまでに報告された明らかに良好な結果,あるいは支持療法や保存療法だけで成功した場合を考慮すると,ワクチン接種後の心筋炎はどのように管理すべきか?これらの患者に対して,繰り返しの心臓画像診断を含む経過観察評価をどのくらいの頻度で行うべきか?また,心筋炎と診断された後,激しい運動を避けるよう推奨することに,経過観察評価がどのように影響するか?単純性(uncomplicated)急性心筋炎のすべての症例は,より確定的な診断のために心臓磁気共鳴画像を必要とするか?このような疑問に答えるために必要なデータは現在収集中だが,心筋炎専門の研究者にとって,mRNAベースのCOVID-19ワクチン接種に伴う急性心筋炎の自然史,病因,治療に関する包括的な全国評価を行う機会がある.

最後に2021623日〜25日にかけて,米国疾病対策予防諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)が公開会議を開催した.623日の委員会では,心筋炎および心膜炎の疫学,mRNAベースのCOVID-19ワクチン接種後の心筋炎を含むCOVID-19ワクチンの安全性に関する最新情報,青年および若年成人におけるCOVID-19 mRNAワクチン接種プログラムのベネフィット・リスク評価に関する発表が行われた.Advisory Committee on Immunization Practices(予防接種実施諮問委員会)の議論と勧告は,米国疾病対策センターのウェブサイトにまとめられている13)

 

References

1) Kim  HW, Jenista  ER, Wendell  DC,  et al.  Patients with acute myocarditis following mRNA COVID-19 vaccination.   JAMA Cardiol. Published online June 29, 2021.

2) Montgomery  J, Ryan  M, Engler  R,  et al.  Myocarditis following immunization with mRNA COVID-19 vaccines in members of the US military.   JAMA Cardiol. Published online June 29, 2021.

3) Ferreira  VM, Schulz-Menger  J, Holmvang  G,  et al.  Cardiovascular magnetic resonance in nonischemic myocardial inflammation: expert recommendations.   J Am Coll Cardiol. 2018;72(24):3158-3176.

4) Marshall  M, Ferguson  ID, Lewis  P,  et al.  Symptomatic acute myocarditis in seven adolescents following Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccination.   Pediatrics. Published online June 4, 2021.

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7) Petersen  BW, Damon  IK, Pertowski  CA,  et al.  Clinical guidance for smallpox vaccine use in a postevent vaccination program.   MMWR Recomm Rep. 2015;64(RR-02):1-26.

8) Chung  MK, Zidar  DA, Bristow  MR,  et al.  COVID-19 and cardiovascular disease: from bench to bedside.   Circ Res. 2021;128(8):1214-1236.

9) Engler  RJ, Nelson  MR, Collins  LC  Jr,  et al.  A prospective study of the incidence of myocarditis/pericarditis and new onset cardiac symptoms following smallpox and influenza vaccination.   PLoS One. 2015;10(3):e0118283.

10) Surveillance of myocarditis (inflammation of the heart muscle) cases between December 2020 and May 2021. News release. Israeli Ministry of Health; June 6, 2021. Accessed June 22, 2021.

11) McNeil  MM, Gee  J, Weintraub  ES,  et al.  The Vaccine Safety Datalink: successes and challenges monitoring vaccine safety.   Vaccine. 2014;32(42):5390-5398.

12) Havers  FP, Whitaker  M, Self  JL,  et al; COVID-NET Surveillance Team.  Hospitalization of adolescents aged 12–17 years with laboratory-confirmed COVID-19—COVID-NET, 14 states, March 1, 2020–April 24, 2021.   MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021;70(23):851-857.

13) US Centers for Disease Control and Prevention. COVID-19 ACIP vaccine recommendations. Accessed June 22, 2021.

 

 

 

 

 

 

 

【米軍兵士におけるmRNA COVID-19ワクチン接種後の心筋炎について】

Montgomery J ,et al. Myocarditis Following Immunization With mRNA COVID-19 Vaccines in Members of the US Military. JAMA Cardiol. Published online June 29, 2021.

https://doi.org/10.1001/jamacardio.2021.2833.

Importance

心筋炎はCOVID-19で報告されているが,COVID-19ワクチン接種後に起こりうる有害事象としては明確に認識されていない.

Objective

軍医療システム内のCOVID-19ワクチン接種後に発症した心筋炎について報告する.

Design, Setting, and Participants

この後ろ向き症例シリーズでは,20211月〜4月においてCOVID-19ワクチン接種後に心筋炎を経験した米軍医療システム内の患者を調査した.COVID-19ワクチン接種後に胸痛で治療を求め,そしてその後,臨床的心筋炎(clinical myocarditis)と診断された患者を対象とした.

Exposure

202111日〜430日におけるメッセンジャーRNAmRNACOVID-19ワクチン接種.

Main Outcomes and Measures

COVID-19ワクチン接種後における,他の原因が確認されない臨床的心筋炎の診断.

Results

20211月〜4月にかけて,mRNA COVID-19ワクチン接種後に急性発症した胸痛を訴えた男性患者23人(現役軍人22, 退職軍人1; 年齢中央値[range], 25[20-51])を対象とした.世界各地の15の異なる地域でケアが行われ,診断評価は様々であった.各患者の最終診断は心筋炎であり,感染性,虚血性,自己免疫性の病因は認められなかった.診断は判定プロセスで検討され,CDCによる心筋炎疑い症例の定義基準を満たしていた(Table 1).合計8人の患者は,心臓磁気共鳴画像(cMRI)によるT2強調画像で,心膜下に後期ガドリニウム増強および/または局所的な心筋浮腫を示し、Lake Louiseの心筋炎の基準に合致していた1)

 

 

Table 1: Case Definition Criteria for Myocarditis Following Immunizationa.

 

患者の人口統計および臨床特徴をTable 2にまとめた.すべての軍人は,軍の基準に照らして身体的に健康で,心疾患の既往歴,重大な心疾患の危険因子,心毒性薬剤への曝露歴はなかった.すべての患者が急性胸痛を訴え,心筋トロポニンレベルが有意に上昇した(それぞれの基準範囲上限の10倍〜400倍).症状は,mRNA COVID-19ワクチン接種後1296時間以内に始まった16人はmRNA-1273ワクチン(Moderna社),7人はBNT162b2-mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech社)を接種していた.3人を除くすべての患者が,心筋炎発症前に2回目のワクチンを接種していた初回のワクチン接種後に発症した3人の患者では,全員がワクチン接種の2ヶ月より以前にCOVID-19感染が確認されていた

すべての患者に心電図と心臓超音波検査を行った(Table 2).心電図異常は19人(83%)に認められた; ST上昇,T波反転,非特異的ST変化などを含む.4人(17%)の患者の心エコー検査では,左心室駆出率の低下(40%50%)が認められた.いずれの心エコー図でも構造的な異常は認められなかった.合計16人の患者が冠動脈の画像診断を受けたが(11人が心臓カテーテル検査,5人が冠動脈コンピュータ断層撮影を受けた),いずれも冠動脈疾患の証拠は認められなかった.

19人の患者は,発症時に呼吸器検体によるPCR検査を受けたが,急性SARS-CoV-2感染の証拠はなかった.他の感染症検査を受けた13人の患者と,自己免疫疾患検査を受けた9人の患者には陽性所見はなかった.

16人の患者では,心臓症状は発症後1週間以内に消失した本報告の時点で,7人の患者が引き続き胸部不快感を訴えている; 現在も経過観察を続けている

 

 

Table 2: Demographic and Clinical Characteristics of 23 Military Heath System Patients With Myocarditis Following COVID-19 Vaccination, January-April 2021.

 

2021430日までに軍医療システムによって投与されたmRNA COVID-19ワクチンの接種回数をTable 3に示す.全体では,2,810,000回の接種が行われた; 1,065,000回の2回目接種が行われた; 544,000回の2回目接種が軍人に行われ,436,000回の2回目接種が男性の軍人に行われた.ワクチン接種後の30日間に発生する心筋炎の予想数は,国際的な発生率である100,000人年あたり225),または米国の発生率である100,000人年あたり1106)を用いて推定することができる.特に,mRNA COVID-19ワクチンの2回目接種を受けた軍人を対象とした場合,軍医療システムにおける心筋炎の観察数は、予想数の一部を上回るものであった(Table 3).

Table 3: Expected vs Observed Cases of Myocarditis in Military Health System Patients Based on Number of Messenger RNA (mRNA) COVID-19 Vaccine Doses Administered.

 

Discussion

この症例シリーズでは、mRNA COVID-19ワクチン接種後に心筋炎の臨床的証拠があり,CDCの症例定義であるprobable myocarditis(心筋炎の可能性)を満たした23人の患者について報告した.8人の患者が心筋炎と一致するcMRIの所見を示した.このシリーズのすべての患者は,人口統計特性,直近のワクチン接種回数,発症間隔,ワクチン関連心筋炎の特徴に大きな類似性が見られた.臨床症状の一貫したパターン,急速な回復,他の原因の証拠がないことから,過敏性心筋炎(hypersensitivity myocarditisの診断が支持された.心筋生検を行わない限り,組織学的な定義はできないが,臨床経過は,他の薬剤関連心筋炎やワクチン関連心筋炎の報告にあるように1)-3)好酸球性過敏性心筋炎(eosinophilic hypersensitivity myocarditisを示唆している.2回目ワクチン接種後に発症,あるいは3人の患者ではSARS-CoV-2感染後のワクチン接種によって発症したことを考えると,過敏反応には事前曝露が関係していることが示唆される

天然痘ワクチンを除いて,予防接種が過敏性心筋炎と関連することはほとんどない.臨床症状には様々なものがあり,医療機関を求める患者や、医療従事者の認識に依存しているため,この疾患の真の発生率を判断することは困難である7)Englerらは,天然痘ワクチン接種後の心筋炎/心膜炎の発生率が,ワクチン接種者の積極的な前向き観察によって有意に高いことを報告しているが2),これは受動的な症例発見とは対照的である.彼らは,これらの患者の60%が研究プロトコル外の症状で医療機関を受診することはなかっただろうと述べている2).ワクチン関連の心筋炎を認識することは臨床的に重要であり,診断は管理,運動の推奨,心筋症のモニタリングに影響を与える8)

注目すべきことに,現行のCOVID-19ワクチンの臨床試験では,ワクチン接種後に心筋炎の症例は報告されていない9)10)あらゆる種類の心臓の有害事象は,臨床試験参加者の0.1%未満で報告されており,その割合はプラセボと比較してワクチン接種者では高くなかった稀な有害事象を特定できないことは,各試験でワクチン接種した参加者が20,000人未満であることから,承認前試験では理解できる

一般人口における心筋炎のバックグラウンド発生率は様々であり,決定するのは難しいかもしれない.前述のように,世界における推定発生率は,100,000人年あたり22人である5)最近の米国の推定発生率はより低く(100,000人年あたり110人),予防接種の安全性を評価する際の予想される診断率の推定にはより適しているかもしれない6).米国と世界のバックグラウンド発生率の両方を米軍におけるワクチン接種集団に適用すると,この期間における心筋炎の予想症例数の範囲が得られる(Table 3).mRNAワクチンの2回目接種後に心筋炎を発症した男性軍人数は相対的に少ないものの,予想される数よりも大幅に多いことが分かった

最後に,ワクチンに関連した心筋炎の可能性に関する懸念を,現在のパンデミックの状況に照らし合わせることが重要である.SARS-CoV-2感染は,多くの患者に重篤な心筋傷害をもたらす原因となっている11).傷害のメカニズムは,直接的な感染,免疫介在性反応,あるいは直接的または間接的な影響の組み合わせである.心筋傷害の罹患率は重症患者において60%と高い可能性がある特筆すべきことに,軽症COVID-19に感染した健康度の高いスポーツ選手の約1%cMRIで心筋炎の証拠を示している12)13)COVID-19ワクチンの感染予防効果が非常に高いことを考えると,予防接種後の稀な有害事象リスクは,予防接種の非常に大きなメリットと慎重に比較検討する必要がある.

臨床評価のばらつきもあり,症例シリーズであるため一般化できない上,長期的な転帰については不明であるが,これら23人の患者の臨床症状は,mRNA COVID-19ワクチンの2回目接種後に心筋炎を発症した最近の他の症例報告14)15)と一致していることは注目に値する.

Conclusions

mRNA COVID-19ワクチン接種と時間的に一貫した関連性のある,過敏性心筋炎の可能性がある症例シリーズを報告した.この有害事象の真の発生率は現時点では不明であるが,発現パターンと臨床経過から,ワクチン接種による炎症反応との関連が示唆される.予防接種後の潜在的な有害事象として,心筋炎への関心を高めることが必要である.予防接種後の稀な有害事象に対する懸念が,予防接種の価値に対する全体的な信頼性を低下させるべきではない.

 

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