COVID-19関連追加(2021710-2

【体操施設に関連してDelta株のアウトブレイク事例】

Dougherty K, Mannell M, Naqvi O, Matson D, Stone J. SARS-CoV-2 B.1.617.2 (Delta) Variant COVID-19 Outbreak Associated with a Gymnastics Facility — Oklahoma, April–May 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 9 July 2021.

http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7028e2.

COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2B.1.617.2Delta)変異株は,2020年末にインドで確認され,その後,約60ヶ国で検出されている(1)B.1.617.2変異株は,他の変異株と比べて伝播率が高い可能性がある(2)2021512日〜18日にかけて,オクラホマ州保健局(OSDH)の急性疾患サービス(ADS)は,OSDH公衆衛生研究所(PHL)から,オクラホマ州中央部に時間的・地理的に集積したSARS-CoV-2 B.1.617.221検体について通知を受けた.公衆衛生サーベイランスデータによると,これらの症例は地元の体操施設(施設A)に関連していた.OSDHADSと地域の保健所スタッフが,B.1.617.2変異株陽性者に再インタビューを行い,接触者の追跡調査を行った.2021415日〜53日に発生したこのアウトブレイク事例では,検査でB.1.617.2変異株と確認された21人と疫学的に関連した26人を含む,47人のCOVID-19症例(年齢範囲= 5-58歳)が発生した症例は,体操選手16コホート*のうち10コホートと3人のスタッフで発生した; 二次感染は,アウトブレイク症例に関連した26世帯のうち7世帯(27%)で発生した施設全体の発病率(attack rate)は20%,世帯全体の発病率は53%であったアウトブレイク関連COVID-19患者のうち40人(85%)はCOVID-19ワクチンの接種を受けておらず(未接種)3人(6%)は検査結果が陽性となる14日以上前にModernaまたはPfizer-BioNTechワクチンを1回接種したが,2回目接種を受けていなかった(部分接種),4人(9%)は検査結果が陽性となる14日以上前にModernaまたはPfizer-BioNTech2回接種またはJanssenJohnson & Johnson)ワクチンの1回接種を受けていた(完全接種).これらの結果から,B.1.617.2変異株は,屋内スポーツ場や家庭内で高い伝播性を持つことが示唆された.SARS-CoV-2感染拡大を抑制するためには,屋内スポーツ参加者とその接触者を含め,ワクチン接種を含む多面的な予防戦略が引き続き重要である.

 

 

Figure: Symptom onset date* of COVID-19 cases associated with a SARS-CoV-2 B.1.617.2 (Delta) variant outbreak at gymnastics facility A (N = 47) — Oklahoma, April 15–May 3, 2021.

The figure is a histogram showing symptom onset date of COVID-19 cases associated with a SARS-CoV-2 B.1.617.2 (Delta) variant outbreak at a gymnastics facility (N = 47) in Oklahoma during April 15–May 3, 2021.

* Or date of specimen collection, for asymptomatic or presymptomatic cases.

Table 1:

Table 2:

 

Discussion

今回のアウトブレイク事例は,202141日〜13日にSARS-CoV-2感染が検出されなかった1人以上のスタッフまたは体操選手に発生した可能性が高い.体操競技会を含む他の潜在的な曝露源を検討したが,この期間に競技会に参加したコホート数が限られていたため,アウトブレイクの初期におけるコホート間の症例分布を説明できなかった.

アウトブレイク関連の47人のうち,検体を入手できた21人の患者のウイルスの塩基配列を調べたところ,21人全例にB.1.617.2Delta)変異株が確認された.新たな証拠によって,B.1.617.2変異株の発病率は,B.1.1.7Alpha)変異株(2, 4)など,他のVOCsの発病率よりも高い可能性が示唆された今回のアウトブレイクの曝露された体操選手とスタッフにおける20%という発病率は,これまでに報告されている他のハイリスクな活動をしている人の発病率と同様であり(5-7),この変異株は,推奨される疾患制御対策が十分に行われていないハイリスク環境下では容易に伝播することが示された.さらに,今回のアウトブレイクにおける家庭内発病率(53%)は,他のSARS-CoV-2系統で報告されている二次発病率(17%)††よりも高かった(8)

この報告書で得られた知見には,少なくとも6つのlimitationがある.@インタビューを行ったのは,施設Aに関連するSARS-CoV-2検査結果が陽性と報告された患者のみであり,同施設の患者と接触し,無症候性または軽症感染であった可能性のある他の体操選手やスタッフにはインタビューや検査を行っていないため,症例が過小評価されている可能性がある.A国のサーベイランスシステムに報告されなかった症例は,症例数が過小評価されている可能性がある.B任意のインタビューや,追跡調査からロストした人,あるいはインタビューを拒否した人により,接触者,接触状況,患者の詳細が過少に報告されている可能性がある.C州の予防接種登録データの報告が遅れたため,予防接種の確認が不完全になった可能性がある.Dアンプリコン解析を完了したのは,アウトブレイク症例の半分にも満たない.Eアウトブレイクに関連するすべての人にインタビューすることができず,州の予防接種登録データが不完全であったため,ワクチンの有効性を算出することができなかった.

これらの結果から,B.1.617.2変異株は,屋内スポーツの現場や家庭内で高い伝播性を持つことが示唆され,曝露された人の発病率が高くなる可能性があるB.1.617.2変異株に対するCOVID-19ワクチンの実際の有効性は現時点では不明であるが,米国で緊急使用許可を得て承認されたワクチンは,この変異株に対して有効であることが現在の証拠で示されている.競技選手や競技スタッフを含むすべての対象者,特にフィジカルディスタンスが限定される激しいスポーツを行う者は(9)COVID-19ワクチンの接種を受けるべきである.さら,屋内スポーツに参加している人とその接触者のSARS-CoV-2伝播を減少させるためには,複数の要素からなる予防戦略(検査,症状の監視,その他の環境に応じた対策など)が引き続き重要である.

 

References

一部省略.

8) Madewell ZJ, Yang Y, Longini IM Jr, Halloran ME, Dean NE. Household transmission of SARS-CoV-2: a systematic review and meta-analysis. JAMA Netw Open 2020;3:e2031756.

https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2020.31756.