COVID-19関連追加(2021726日)イベルメクチンについてその3

当院HP関連ファイル:

20201223-2

2021125

 

イベルメクチンについては有効性を示したメタアナライシスがあるが,論文データの捏造が発覚したようで20217月時点では評価ができない.むしろ機械式換気を要する患者が増加したというRCTsもあり,その和訳を掲載する.

 

COVID-19患者の入院を予防するためのイベルメクチンの

無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(IVERCOR-COVID19)】

Vallejos, J., Zoni, R., Bangher, M. et al. Ivermectin to prevent hospitalizations in patients with COVID-19 (IVERCOR-COVID19) a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. BMC Infect Dis 21, 635 (July 2, 2021).

https://doi.org/10.1186/s12879-021-06348-5.

Background

SARS-CoV2は,我々の生活を大きく変えた.科学界では,COVID-19患者の疾患進行を防ぐために,再利用可能な治療法を研究している.

Methods

早期COVID-19患者に対して,イベルメクチン治療によって入院を予防できるかどうかを評価することを目的とした.アルゼンチンのコリエンテスにおいて,COVID-19を発症した非入院患者を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.鼻腔ぬぐいスワブでSARS-CoV-2陽性の患者に対して,48時間以内に電話で連絡し,試験参加を呼びかけた.この試験では,2020819日〜2021222日の間に501人の患者を無作為化した.

患者は,イベルメクチン(n= 250)またはプラセボ(n= 251)の両群に無作為に割り付けられ,患者の体重に応じて投与量を調節し,2日間投与された.包含基準を満たした患者を,イベルメクチン+標準治療(SOC: standard of care)またはプラセボ+SOCに無作為に割り付けた.SOCは,アルゼンチン保健省の勧告に従った.使用したイベルメクチンの用量は,アルゼンチンで寄生虫疾患などの他の疾患の治療に承認されている用量で,体重に応じて調節された.体重80Kg未満には,6mgの錠剤を2錠投与し,最初の投与から24時間後にさらに6mgの錠剤を2錠投与した(合計24mg).体重80kg以上110kg以下には,初回投与時に6mgの錠剤を3錠,初回投与の24時間後に6mgの錠剤を3錠投与した(合計36mg).体重> 110kgには,初回投与時に6mgの錠剤を4錠,初回投与の24時間後に6mgの錠剤を4錠投与した(計48mg).プラセボに無作為に割り付けられた参加者は,ベースライン時と24時間後に,イベルメクチンの体重に基づく投与量と同数のプラセボ錠を投与された.

イベルメクチンによる入院予防効果を主要アウトカムとした.そして,安全性およびその他の有効性エンドポイントとの関連において,副次アウトカムを評価した.

Figure 1: Enrollment and randomization.

Fig. 1

 

Results

平均年齢は42歳(SD±15.5)で,発症から試験に参加するまでの期間の中央値は4日(IQR 3-6であった.

入院という主要アウトカムを満たしたのは,イベルメクチン群では14/250人(5.6%),プラセボ群では21/251人(8.4%)であった(オッズ比 0.65; 95%CI, 0.32-1.31; p= 0.227入院までの期間の中央値は,イベルメクチン群では4.5日(IQR 3-5),プラセボ群では3日(IQR 2-5)であり,各群間で統計的な差はなかった(p= 0.59)(Figure S2

Figure S2:

無入院生存期間についても,有意な差はなかった(ハザード比0.66; 95%CI 0.33-1.29; log-rank test p= 0.22)(Figure 2).

Figure 2: Proportion of hospitalization-free survival time HR: hazard ratio; 95% CI: 95% confidence interval.

figure2

侵襲的機械式換気サポート(MVS: mechanical ventilatory support)が必要となったのは,イベルメクチン群では4人(1.6%),プラセボ群では3人(1.2%)で,統計的な差は認めなかった(オッズ比1.34; 95%CI 0.30-6.07; p= 0.7)(Figure S3

Figure S3:

試験登録から侵襲的MVSまでの平均期間は,イベルメクチン群で5.25日(SD±1.71),プラセボ群で10日(SD±2)であった(p= 0.019(Figure S4)

Figure S4:

 

鼻腔スワブのRT-PCR結果を解析すると、3日目(±1)の結果は,イベルメクチン群の113人(47.08%)とプラセボ群の120人(49.79%)でSARS-Cov-2が陰性となり,統計的に有意な差は見られなかった(オッズ比0.90; 95%CI 0.63-1.28; p= 0.55)(Figure S5).12日目(±2)のRT-PCRでは,イベルメクチン群の212人(89.08%)とプラセボ群の221人(92.47%)でSARS-Cov-2が陰性なったが,統計的に有意な差は見られなかった(オッズ比0.76; 95%CI 0.45-1.27; p 0.29)(Figure S6).

Figure S5:

 

Figure S6:

 

透析の必要性,有害事象,全死亡率などで評価した安全性プロファイルは,各群間で同様であった.透析が必要となったのは501人のうち2人のみで,各群で1人ずつであった(各群0.4%; オッズ比1.00; 95%CI 0.06-16.14; p= 1)(Figure S7).全死亡は501人のうち7人(1.40%)で,そのうちイベルメクチン群で4人(1.60%),プラセボ群で3人(1.20%)であり,統計的に有意な差は見られなかった.(オッズ比1.34; 95%CI 0.30-6.07; p= 0.72)(Figure S8).最終来院時からその後30日間のフォローアップ期間では,新たな死亡は記録されなかった.

最後に,イベルメクチンの安全性ポイントを有害事象の観点から解析すると,試験期間中にプロトコル通りの重篤な有害事象は観察されなかった.非重篤な有害事象は501人のうち79人(15.77%)に発生し,合計98件の非重篤な有害事象がイベルメクチン群で45件(18.00%),プラセボ群で53件(21.11%)に分布した(p= 0.6)(Figure S9).有害事象のために試験薬の投与を中止した患者はいなかった.

事前規定したサブグループを解析したところ,入院には有意な差は見られなかった(Figure S10-S15, Table S1-S6).

Discussion

・侵襲的機械式換気サポートについては有意な差は認められなかった.イベルメクチン群ではプラセボ群に比べて4.75日早く機械式換気サポートが必要となった.侵襲的機械式換気を必要としたのは試験参加者全体のうち7人だけだったが,このイベルメクチン群における機械式換気に必要性の早さの違いは統計学的に有意であった.これは,イベルメクチンを投与された患者が薬剤の影響でより多くのサポートを必要としたのか,イベルメクチンを投与されサポートを必要とした患者がより重篤な状態にあったのか,あるいはこの事象を呈した患者の数が少なかったため偶然によるものなのかなど,さまざまな異なる仮説が考えられる.

Limitation: @主要アウトカムに関連するイベントの割合が推定値を下回ったため,この試験は検出力不足であった.Aイベルメクチンの平均投与量は192.37 μg/kg/daySD±24.56)であり,これはおそらく有効であると提案されている用量を下回っている.Bこのセクションで挙げた最初のポイントに従って,入院イベントがサンプルサイズ算出時に設定した10%を下回った中高年層を対象としたことである.一方で,このような特徴を持つ集団を含めることで,研究の外的妥当性が高まる.今後の試験では,入院リスクの高い集団におけるイベルメクチンの有効性を解析することも検討されるだろう.C血中イベルメクチン濃度が測定されていないため,これらの患者における薬剤のバイオアベイラビリティや,到達した血中イベルメクチン濃度を知ることはできない.D登録された患者の重症度を判断する尺度を入れていない.IVERCOR-COVID19に組み入れられた時点では,患者は入院基準を持っていなかったため,組み入れられた集団のほとんどが軽度または中等度の状態であったのか,あるいは両グループの間に同様の分布があったのかを判断することはできない.

Conclusions

IVERCOR-COVID19試験では,過去48時間以内に鼻腔スワブによるRT-PCR法が陽性となった患者において,イベルメクチンを患者体重で調節した用量で2日間投与しても,COVID-19患者の入院を予防する有意な効果は認められなかった.また,入院を必要とした患者の試験登録から入院までの経過時間などの副次アウトカムにも有意な差は認められなかった.さらに,侵襲的機械式換気サポート,透析の必要性,試験登録後3日および12日目の鼻腔ぬぐいスワブの陰性化,全死亡率にも有意な差は認められなかった.イベルメクチンを投与された患者では,侵襲的機械式換気がより早期に必要となった.イベルメクチンの使用による有害事象の増加は認められなかった.

 

 

 

 

 

 

 

COVID-19関連追加(2021726日)イベルメクチンについてその3

202192日追記しました

【軽症COVID-19成人患者の症状消失までの時間に対するイベルメクチンの効果:

無作為化臨床試験】

López-Medina E, et al. Effect of Ivermectin on Time to Resolution of Symptoms Among Adults With Mild COVID-19. A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2021;325(14):1426-1435. Mar 4, 2021.

https://doi.org/10.1001/jama.2021.3071.

Abstract

Importance

イベルメクチンは,その臨床的有用性が不明確であるにもかかわらず,COVID-19の潜在的治療薬として広く処方されている.

Objective

軽症COVID-19に対してイベルメクチンが有効な治療法であるかどうかを判断する.

Design, Setting, and Participants

コロンビア・カリ市の単一施設で実施された二重盲検法による無作為化試験.試験参加候補者は,試験期間中に症状があり,検査でCOVID-19が確認された患者について,州の保健局の電子データベースから単純無作為抽出で特定された.2020715日〜1130日の間に,軽症で7日以内に症状が出た(自宅または入院中)成人患者476人を登録し,20201221日まで追跡調査を行った.

Intervention

イベルメクチン溶液(ivermectin in solution)を1日あたり体重300μg/kgで経口投与するか,同量のプラセボを5日間投与した.イベルメクチンは,Tecnoquímicas SA社から0.6%溶液の経口投与用ボトルで提供された.患者は,スクリーニングと無作為化の手続きが行われた後に投与された最初の試験日を除き,空腹時に治験薬を服用するよう求められた.

2020826日までは,生理食塩水に5%ブドウ糖を加えたものと,蒸留水に5%ブドウ糖を加えたものをプラセボとして使用し,それ以降は,メーカーから提供されたイベルメクチンと同様の感覚刺激性(organoleptic properties)を持つ溶液をプラセボとして使用した.イベルメクチンと生理食塩水/ブドウ糖のプラセボの味や匂いが異なるために盲検化が損なわれる可能性があるため,メーカーのプラセボが入手可能になるまでは,1世帯につき1人の患者のみが試験に参加した.二重盲検法を保証するため,試験期間中,イベルメクチンとプラセボのボトルは同一のものを使用した.

Procedures:

試験担当医師は,試験に参加する可能性のある患者に電話で連絡を取り,適格性の選択基準を確認し,インフォームド・コンセントを得た.その後,自宅または病院において,看護師が肝酵素評価のための採血と妊娠尿検査を行いった.適格な患者では,登録,ベースラインの人口統計学的および臨床的情報の記録,および治験薬の調剤のために,試験担当看護師が再訪した.2日目から5日目までは,自己投与のために治験薬が患者に残された.その後,2日目から5日目,8日目,11日目,15日目,21日目に研究スタッフが患者に電話で連絡し,構造化インタビューを行った.試験担当医師は,入院中の患者の医療記録を確認し,プロトコルで必要とされる情報を入手した.試験終了後(21日目),治験薬の未使用または空のボトルを回収し,アドヒアランスを証明した.データは電子データベースに入力され,施設の品質管理部門により検証された.

Main Outcomes and Measures

主要アウトカムは,21日間の追跡調査期間内に症状が消失するまでの時間であった.治験実施計画書に規定した有害事象(solicited adverse events)および重篤な有害事象も収集された.

Results

Patients:

無作為化を行った476人の患者のうち,238人をイベルメクチン投与群,238人をプラセボ投与群に割り付けた(Figure 1).2020929日〜1015日の間に無作為化された75人の患者は,主要解析集団からは除外されたが,治療歴のある集団には残っていた.3人の患者は,無作為化後に不適格と判定されたため,すべての解析から除外された(無症候性の患者1人,登録前5日以内にイベルメクチンを投与された患者2人).主要解析対象者は398人(イベルメクチン投与群200人,プラセボ投与群198人)であった.両群ともに,発症から無作為化までの中央時間は5日(IQR, 4-6であった

両群の患者は,ベースライン時の人口統計学的特性および疾患特性においてバランスが取れていた(Table 1; eTable 1 in Supplement 2).主要解析対象者の年齢中央値は37歳(IQR, 29-48),231人(58%)が女性で,316人(79%)はベースライン時に既知の併存疾患を持っていなかった.無作為化時,National Early Warning Score 2の中央値は3IQR, 2-4)で,ほとんどの患者(n= 232, 58.3%)は自宅で日常生活を送ることができた.最も多かった症状は,筋肉痛(310, 77.9%)と頭痛(305, 76.6%)で,次いで嗅覚および味覚障害(それぞれ223[56%]199[50%]),咳(211, 53%)(乾性咳嗽が最も多かった(181, 45.5%)(eTable 2 in Supplement 2).

イベルメクチンを投与されたが,主要解析から除外された75人の患者のベースライン特性は,コホート内の残りの398人の患者と有意な差はなかった(eTables 1 and 3 in Supplement 2).

Table 1:

Primary Outcome:

イベルメクチン投与群とプラセボ投与群では,症状が消失するまでの時間に有意な差はなかった(中央値, 10 vs 12; , 2[IQR, 4-2]; 症状消失のHR, 1.07[95%CI, 0.87-1.32]; P 0.53Figure 2 and Table 2.イベルメクチン投与群とプラセボ投与群では,21日目までにそれぞれ82%79%の患者で症状が消失した(Table 2

患者が受けたプラセボの種類は結果に影響しなかった(イベルメクチン vs 生理食塩水/ブドウ糖のHR: 1.14[95%CI, 0.83-1.55]; イベルメクチン vs メーカーのプラセボのHR: 1.07[95%CI, 0.85-1.34]eFigure 1 in Supplement 2).

同様の結果は,as-treated集団でも観察された(eFigure 2 and eTable 4 in Supplement 2).

Figure 2: Time to Resolution of Symptoms in the Primary Analysis Population.

The cumulative rate of symptom resolution is the percentage of patients who experienced their first day free of symptoms. All patients were followed up for 21 days.

 

 

Table2:

 

Secondary Outcomes:

臨床的に8段階評価で2点以上の悪化が見られた患者は少なく,2つの治療群間に有意な差はなかった(イベルメクチン群2%, プラセボ群3.5%; 絶対差, 1.53[95%CI, 4.75-1.69]).イベルメクチン群 vs プラセボ群における悪化のOR0.5695%CI, 0.16-1.93)であった(Table 2).

比例オッズモデルで判定したところ,順序尺度でのスコア改善のオッズは両治療群間で有意な差はなかった(eFigure 3 and eTable 5 in Supplement 2.

治療の拡大(escalation of care)を必要とした患者の割合は,2つの治療群で有意な差はなかった(イベルメクチン2%, プラセボ5%; 絶対差, 3.05[95%CI, 6.67-0.56]; OR, 0.38[95%CI, 0.12-1.24]).イベルメクチン群とプラセボ群で,患者が治療の拡大を必要とした時間の長さ(length of time)に有意な差はなかった(差の中央値, 7[IQR, 5.0-16.5]).試験期間中に発熱した患者の割合は,2つの治療群間で有意な差はなく(イベルメクチン vs プラセボの絶対差, 2.61[95%CI, 8.31-3.09]; OR, 0.73[95%CI, 0.37-1.45]),発熱期間も同様であった(イベルメクチン vs プラセボの絶対差, 0.5[95%CI, 1.0-2.0])(Table 2). プラセボ群では,試験期間中に1人の患者が死亡した.主要アウトカムおよび副次アウトカムについて欠落していたデータはなかった.as-treated集団での結果については,eTables 4 and 6 in Supplement 2を参照.

Post Hoc End Points and Analyses:

無作為化後12時間以内に入院が必要となった4人の患者(中央値, 3.25時間[IQR, 26])を除いた後,治療の拡大が必要となった患者はイベルメクチン群で4人(2%),プラセボ群で6人(3%)であった(絶対差, 1.0[95%CI, 4.11-2.05]; OR, 0.65[95%CI, 0.18-2.36])(Table 2).

また,医療機関を受診した患者の割合は,2つの治療群間で有意な差はなかった(イベルメクチン群8.0%, プラセボ群6.6%; 絶対差1.43[95%CI, 3.67-6.54]; OR, 1.24[95%CI, 0.56-2.74])(Table 2).as-treated集団での結果は,eTable 4 in Supplement 2を参照.

Adverse Events:

無作為化から21日目までに,イベルメクチン群154人(77%),プラセボ群161人(81.3%)の患者がAEsを報告した.イベルメクチン群では15人(7.5%),プラセボ群では5人(2.5%)の患者がAEにより治療を中止した.重篤なAEs4人(各群2人)に発現したが,治験責任医師はいずれも治験薬との関連性はないと判断した(Table 3; eTable 7 in Supplement 2).

Table3:

Conclusions

軽症COVID-19成人患者では,イベルメクチンを5日間投与しても,プラセボと比較して,症状が消失するまでの時間は有意に改善しなかった.今回の結果は,軽症COVID-19の治療にイベルメクチンを使用することを支持するものではないが,臨床的に関連する他のアウトカムに対するイベルメクチンの効果を理解するには,より大規模な試験が必要かもしれない(although larger trials may be needed to understand the effects of ivermectin on other clinically relevant outcomes).

Trial Registration

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04405843