COVID-19関連追加(2021727日)

【子供と青年からの家庭内伝播】

Chu VT, et al. Household Transmission of SARS-CoV-2 from Children and Adolescents. N Engl J Med. July 21, 2021.

https://doi.org/10.1056/NEJMc2031915.

子供のSARS-CoV-2感染症は,多くの場合,無症候性または軽症である1).重症リスクが高い高齢者への伝播を含め,家庭環境での子供や青年からのSARS-CoV-2伝播範囲に関するデータは限られている2).オーバーナイトキャンプにおけるCovid-19アウトブレイク3)の後,我々はキャンプの参加者とその家庭内接触者を対象としたレトロスペクティブコホート研究を実施し,二次伝播と家庭内伝播に関連する要因を評価した.

7歳から19歳で,分子/抗原検査でSARS-CoV-2感染が確認された224人の指標患者にインタビューを行った.これらのキャンプ参加者のうち198人(88%)が症候性であった; そのうち141人(71%)はキャンプから帰宅後に発症した

これらの指標患者の家庭内接触者526人のうち,377人(72%)がSARS-CoV-2検査を受け,そのうち46人(12%)が陽性であった.さらに2人の二次症例が,臨床的,疫学的基準に基づいて特定された4).二次症例48人のうち38人(79%)は,指標患者がキャンプから帰宅した後に発症した家庭で発生した.世代間隔(serial interval)の中央値(指標患者が発症してから,その患者から感染した家庭内接触者が発症するまでの間隔)は5.0日(95%CI, 4.0-6.5であった.伝播は194世帯のうち35世帯(18%)で発生した; これらの世帯における二次発病率は45%95%CI, 36-54)であった(107世帯のうち48世帯).感染した家庭内接触者で18歳以上の人では,41人のうち4人(10%)が入院した(入院期間は5-11日); 二次症例のうち18歳未満の7人は,入院しなかった.

予防策に関する質問に回答した指標患者のうち,217人のうち146人(67%)がフィジカルディスタンスを保っていたと回答し,216人のうち73人(34%)が帰宅後の感染性期間(infectious period)に接触者の周りで常にマスクを着用していたと回答した.単変量ロジスティック回帰モデルでは,18歳以下の指標患者において,フィジカルディスタンスを置くこととマスクの使用の増加は,患者の年齢の上昇と関連していた(年齢を連続変数とした場合,フィジカルディスタンスを置くことのオッズ比は1.4; 95%CI, 1.2-1.5; マスクの使用のオッズ比は1.4; 95%CI, 1.2-1.6).多変量回帰モデルでは,家庭内接触者における感染の二次症例のリスクは,フィジカルディスタンスを実践している指標患者の接触者の方が,実践していない指標患者の接触者よりも低かった(調整オッズ比, 0.4; 95%CI, 0.1-0.9)(Table 1).指標患者と密接(close)あるいは直接(direct)に接触した世帯員は,ほとんど接触していない世帯員よりも感染のリスクが高かった(密接接触の調整オッズ比, 5.2; 95%CI, 1.2-22.5; 直接接触の調整オッズ比, 5.8; 95%CI, 1.8-18.8).我々は,回帰モデルから欠損データを除外した.そして信頼区間は多重性の調整を行っていない.

 

Table: Unadjusted and Adjusted Odds Ratio for a Secondary Case of SARS-CoV-2 Infection among Household Contacts.

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmc2031915/20210720/images/img_xlarge/nejmc2031915_t1.jpeg

 

このレトロスペクティブ研究では,学童や青年から世帯員への効率のよいSARS-CoV-2伝播が,成人Covid-19二次症例の入院につながっていることが示された.伝播が発生した家庭では,家庭内接触者の半数が感染していた.本研究における二次発病率は,検査結果が患者本人から報告され,検査が任意であったため,おそらく過小評価されている.また,指標患者の3分の1は発症後にキャンプから帰宅しており,発症前や発症中に比べて感染性が低下していたと考えられる5).そして3分の2はキャンプでの曝露が判明していたため,フィジカルディスタンスを置いていた; これらの2つの要因によって家庭内伝播が低減した可能性がある.SARS-CoV-2に曝露したことがわかっている,あるいはCovid-19と診断された子供や青年は,可能な限り,自宅にとどまり,世帯員とフィジカルディスタンスを保つべきである.

 

References

1) Dong Y, Mo X, Hu Y, et al. Epidemiology of COVID-19 among children in china. Pediatrics 2020;145(6):e20200702-e20200702.

2) CDC COVID-19 Response Team. Severe outcomes among patients with coronavirus disease 2019 (COVID-19) — United States, February 12–March 16, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:343-346.

3) Szablewski CM, Chang KT, McDaniel CJ, et al. SARS-CoV-2 transmission dynamics in a sleep-away camp. Pediatrics 2021;147(4):e2020046524-e2020046524.

4) Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): 2020 interim case definition, approved August 5, 2020. Atlanta: Centers for Disease Control and Prevention, 2020 https://ndc.services.cdc.gov/case-definitions/coronavirus-disease-2019-2020-08-05/.

5) He X, Lau EHY, Wu P, et al. Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat Med 2020;26:672-675.