COVID-19関連追加(2021730日)ワクチンブレイクスルー感染についてその5

【医療従事者におけるブレイクスルー感染】

Bergwerk M, et al. Covid-19 Breakthrough Infections in Vaccinated Health Care Workers.

N Engl J Med. July 28, 2021.

https://doi.org/10.1056/NEJMoa2109072.

Background

SARS-CoV-2に対するBNT162b2メッセンジャーRNAワクチンの高い有効性にもかかわらず,医療従事者の感染を含め,まれにブレイクスルー感染が報告されている.これらの感染の特徴を明らかにし,ブレイクスルーと感染性の相関関係を定義するデータが必要である.

Methods

STUDY SETTING:

Sheba Medical Centerはイスラエル最大の医療センターで,職員,学生,ボランティアを含む12,586人の医療従事者が勤務している.20201219日〜2021428日までに,センター職員の合計91%BNT162b2ワクチンを2回接種した.この期間は,新たに発見された症例が急速に減少した4)10).同時に,毎日の健康アンケート,電話によるホットライン,曝露イベントの広範な疫学調査,感染者や職員の接触者追跡などを用いて,新たな症例を特定する努力が続けられた.RT-PCR検査は,症状の有無にかかわらず,完全ワクチン接種した職員,または感染者に接触した職員がすぐに受けられるようになっている.抗原検出迅速診断検査(Ag-RDT: antigen-detecting rapid diagnostic testing)は,RT-PCR検査と組み合わせて,個人クリニックでの初期スクリーニングツールとして利用可能であった.本研究は,Sheba Medical Centerの機関審査委員会の承認を得た.

STUDY DESIGN AND POPULATION:

2021120日,Sheba Medical Centerの医療従事者を対象に,最初のスタッフがBNT162b2ワクチンの2回目接種を受けてから11日後に研究を開始した.データは428日までの14週間にわたって収集された.同時に,イスラエルでは3回目で最大規模のCovid-19パンデミックサージが発生し,2021114日にピークに達し,1日平均8424人の感染症例が報告された.

本研究の目的は,同センターの医療従事者の間で研究期間中に発生した無症候性感染を含むすべてのブレイクスルー感染を特定することであった.ブレイクスルー感染とは,もし2回目接種後最初の6日間に明らかな曝露や症状が報告されていないならば,BNT162b22回目接種を受けてから11日以上経過した後に,RT-PCR検査でSARS-CoV-2が検出されることと定義した.本研究では,完全ワクチン接種した医療従事者におけるすべてのブレイクスルー感染の特徴を明らかにするとともに,ブレイクスルー感染の相関関係の可能性を明らかにするため,マッチドケースコントロール解析を行った.この解析では,Sheba Medical Centerで実施されたワクチン誘発性免疫応答とその動態を解析する前向きコホート研究で得られた対照血清サンプルを選択した11).血清学的研究に参加した医療従事者のうち,中和抗体検査の結果が出ており,データが揃っている人を対照者の選定基準とした(Figure 1).

Figure 1: Cases and Controls in Study Design.

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各ブレイクスルー症例について,4人または5人の未感染対照者から得られたサンプルを,性別,年齢,BNT162b2ワクチンの2回目接種から血清検査までの間隔,免疫抑制状態などの変数に従ってマッチさせた.診断日を含むRT-PCR検査でSARS-CoV-2が検出される前の1週間以内(peri-infection period)に得られた中和抗体価と,ワクチン接種後の早期に得られた中和抗体価のピーク値,および両時点で得られたSARS-CoV-2に対するS特異的IgG抗体を比較した.血清サンプルが得られなかったブレイクスルー症例は,今回の解析から除外した.

DATA AND SAMPLE COLLECTION:

ブレイクスルー感染の医療従事者全員に直ちに連絡を取り,病院の感染予防管理ユニットが疫学調査を実施した.検査結果が陽性であった医療従事者は全員,ウイルスゲノムシーケンス,RT-PCR検査の繰り返し,Ag-RDTSARS-CoV-2血清検査など,いくつかの追加検査を受けるよう要請された.中和抗体および抗S IgG抗体の有無を調べる検査は,医療従事者がSheba血清学的研究に参加していた場合を除き,感染が検出された日に実施された11).そして,その結果は感染の検出前の週に利用できた(these results were available from the week preceding detection).感染から回復した後,すべての医療従事者は,N特異的IgG抗体の測定のために2回目の血液サンプルを提供するよう求められた.二次感染を検出するための病院のプロトコルに従い,感染した医療従事者の院内での濃厚接触者には,最後に接触したことが確認されてから5日後にRT-PCR検査を受けるよう要請した.また,感染者は,家族やその他の地域の濃厚接触者にもRT-PCR検査を受けるように助言するよう求められた.

訓練を受けた担当者が鼻咽頭スワブを採取し,Allplex 2019-nCoV assaySeegene)を用いてRT-PCR検査を行った(ヌクレオカプシドタンパク質をコードする遺伝子(N遺伝子)のcycle thresholdCt)で表した).Ct値が30未満(ウイルス量が増加していると判断)は,感染性を決定するために用いられた12)13)Ag-RDTは,NowCheck COVID-19 Ag testBionote)を用いて行った.

VOCsを特定するために,スパイク(S)タンパク質変異(E484KN501YHV69/70)を検出するためのmultiplex real-time one-step RT-PCR assaysを実施した.この検査の結果を確認するために,COVIDSeq library preparation kit Illumina14)を用いて,全ゲノムシーケンスを実施した.

我々は,抗体媒介性免疫応答の評価には,S1 IgG抗体の血清検査(Beckman Coulter),SARS-CoV-2疑似ウイルス中和アッセイ15),抗N抗原を調べるElecsys Anti-SARS-CoV-2 ImmunoassayRoche)の3種類の方法を用いた.我々は,中和抗体とIgG抗体という2つのアウトカム指標を評価し,そしてperi-infection period(感染前1週間以内)とpeak period2回目ワクチン接種後1ヶ月以内)の2つの時点における力価を求めた.

Results

BREAKTHROUGH INFECTIONS:

完全ワクチン接種した11,453人の医療従事者のうち,研究期間中に1497人(13.1%)がRT-PCR検査を受けた検査を受けた医療従事者のうち,39人のブレイクスルー症例が検出された検出された陽性症例ごとに38人以上が検査を受けており,検査陽性率は2.6%となった.本研究で実施された陽性結果と膨大な数の検査の比率が,国民のそれよりもはるかに小さかったため,この割合は当時のイスラエルにおける検査陽性率よりもはるかに低かった.

39人のブレイクスルー症例のうち,18人(46%)が看護スタッフ,10人(26%)が管理・保守業務者、6人(15%)がコメディカル,5人(13%)が医師であった.39人のブレイクスルー感染者の平均年齢は42歳で,女性が大半(64%)を占めていた.2回目ワクチン接種からSARS-CoV-2が検出されるまでの期間の中央値は39日(range, 11-102)だった.免疫抑制状態であった感染者は1人(3%)のみであった。その他の併存疾患については,Table S1に示した.

感染源に関するデータが得られた37人の患者すべてにおいて,1人のワクチン未接種者が感染源と疑われた; 21人(57%)の患者において,この人は家庭内メンバーであった.これらの症例の中には2組の夫婦がおり,夫婦ともにSheba Medical Centerに勤務し,ワクチン未接種の子供がいて,その子供がCovid-19陽性反応を示したことから,感染源と推定された.37人のうち11人(30%)では,ワクチン未接種の同僚の医療従事者や患者が感染源と疑われた; 11人のうち7人では,感染はB.1.1.7(α)株の院内アウトブレイクによって生じた.これらの7人は,病院の異なる部門や病棟で働いていたが,いずれも同じワクチン未接種と思われる指標患者と関連があることが判明した.この指標患者は,彼女の感染が判明する前に非侵襲的陽圧換気を受けていた.

39人のうち27人はSARS-CoV-2感染者に曝露したために検査を受けた従事者であった.ブレイクスルー感染者のうち,26人(67%)はいずれかの段階で軽度の症状を示し,そして入院を必要とした者はいなかった残りの13人(全症例の33%)は,感染期間中は無症状であった; このうち6人は,再検査でN遺伝子のCt値が35を超えていたため,境界例と定義された

最も多く報告された症状は上気道症状(upper respiratory congestion)であり(全症例の36%),次いで筋肉痛(28%),嗅覚および味覚消失(28%),発熱および悪寒戦慄(21%)であった(Table S1).感染者の31%が,診断から14日後に症状が残っていると回答した診断から6週間後時点で,19%が”long Covid-19”症状を報告した(この症状には,長期にわたる嗅覚消失,持続する咳,倦怠感,脱力感,呼吸困難,筋肉痛などが含まれていた).9人の従事者(23%)は,必要とされる10日間の隔離期間を超えて仕事を休んだ; このうち4人は2週間以内に仕事に復帰し,1人は6週間経っても復職していなかった

VERIFICATION TESTING AND SECONDARY INFECTIONS:

感染した従事者のほとんどと,最初のN遺伝子のCt値が30以上であったすべての患者から得られたサンプルに対して,最初の検査が従業者の感染前に行われた早すぎる検査でないことを確認するためにRT-PCR検査を繰り返し行った.合計29人(74%)の患者は,感染中のある時点でCt値が30未満であったしかし,これらの従事者のうち,Ag-RDTを同時に実施して陽性となったのは17人(59%)のみであった10人の従事者(26%)は,全期間を通じてN遺伝子のCt値が30を超えていた; このうち6人は35を超えており,おそらく感染性はなかったと考えられる

VOCの検査をした33株のうち,28株(85%)はmultiplex PCR assayまたはゲノムシーケンスにより,B.1.1.7変異株と同定された.この研究の時点では,B.1.1.7変異株はイスラエルで最も広く普及している変異株であり,SARS-CoV-2分離株の最大94.5%を占めていた1)16).研究終了後,世界の他の多くの国と同様に,イスラエルでもデルタ変異株の感染者が急増している.

院内での接触者追跡に関するデータを徹底的に疫学的に調査した結果,39人の一次感染者のうち,感染した医療従事者からの伝播(二次感染)は検出されなかったまた,家庭内伝播に関するデータ(症状やRT-PCRの結果を含む)が得られた31人のうち,医療従事者が唯一の指標患者であった10人とその家庭内メンバー27人を含めて,二次感染は検出されなかった

感染後のN特異的IgG抗体に関するデータは,39人のうち22人(56%)について,RT-PCR検査で最初に陽性となってから8日目〜72日目までに得られた.これらの従事者のうち4人(18%)はN特異的IgG抗体が陰性であり,免疫応答を示さなかった.この4人においては,無症候性(Ct32および35)が2人,ただ診断後10日目に血清学的検査を受けた1人,免疫抑制状態であった1人が含まれていた.

CASE–CONTROL ANALYSIS:

peri-infection(感染前後)の中和抗体検査の結果が得られたのは,22人のブレイクスルー症例であった.この群には,血清学的研究に参加し,感染検出前の週に検査を実施した医療従事者3人が含まれていた; その他の19人の医療従事者では,感染検出日に中和抗体とS特異的IgG抗体が評価された.これら19人のうち,12人は感染検出時に無症候性であった.各症例には、45人の対照者を記述通りにマッチさせた(Figure S1).合計で,22人のブレイクスルー症例と,それにマッチした104人の対照者が,ケースコントロール解析に含まれた.

peri-infectionの中和抗体価の予測GMTは,症例が192.895%CI, 67.6-549.8),対照が533.795%CI, 408.1-698.0)であり,中和抗体価の予測症例-対照比(predicted case-to-control ratio)は0.36195%CI, 0.165-0.787)であった(Table 1, Figure 2A.また,境界例を除外したサブグループ解析では,予測症例-対照比は0.35395%CI, 0.185-0.674)であった.ブレイクスルー症例のperi-infectionの中和抗体価は,N遺伝子のCt値がより高いこと(すなわち,ウイルスRNAのコピー数が少ないこと)と関連していた(slope of regression line, 171.2; 95%CI, 62.9-279.4)(Figure 3

 

 

Table 1: Population Characteristics and Outcomes in the Case–Control Study.

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Figure 2: Neutralizing Antibody and IgG Titers among Cases and Controls, According to Timing.

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Figure 3: Correlation between Neutralizing Antibody Titer and N Gene Cycle Threshold as Indication of Infectivity.

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2回目ワクチン接種後1ヶ月以内の中和抗体のピーク値が利用できたのは,ブレイクスルー症例のうち12人のみであった; GEEによる予測ピーク中和抗体値は,12人で152.295%CI, 30.5-759.3),対照56人で1027.595%CI, 761.6-1386.2)となり,比は0.14895%CI, 0.040-0.548)となったFigure 2B.境界例を除外したサブグループ解析では,比は0.11495%CI, 0.042-0.309)であった.

ブレイクスルー感染症例のperi-infectionS特異的IgG抗体レベルのGMT観察値および予測値は,対照と比較して低く,予測比は0.51495%CI, 0.282-0.937)であった(Figure 2C症例のIgG GMTのピーク値の観察値および予測値も,対照に比べてやや低かった(0.507; 95%CI, 0.260-0.989)(Figure 2D

診断日に抗体を測定するという我々の実践が,現在の感染に対するanamnestic responses(同じ抗原と2度目に,または引き続いて遭遇したとき,抗体が新しく急速に生成されること)を捉えることによってバイアスがかかっているかどうかを評価するために,我々は,両方の値が得られた13人について,診断日におけるperi-infectionおよびピーク(1ヶ月目)のIgG力価をプロットした.すべての症例において,peri-infectionの力価は以前のピークの力価よりも低く,診断日に得られた力価は,おそらくはperi-infectionの力価を代表するものと考えられた(Figure S2).

Discussion

本研究では,2回目ワクチン接種後の4ヶ月間に,完全ワクチン接種した医療従事者39人のCovid-19ブレイクスルー感染をすべて特徴づけ,これらの医療従事者のperi-infectionの液性応答に関して,マッチさせた対照と比較した.その結果,ブレイクスルー感染の発生率は0.4%と低かったWe found a low rate of breakthrough infection (0.4%)Covid-19に陽性反応を示した39人のうち,ほとんどはほぼ症状がなかったが,19%long Covid-19症状(> 6週間)を示した

感染した医療従事者のほとんどは,N遺伝子のCt値から,いずれかの時点で感染していたことが示唆された.これらの医療従事者の中には,無症候性であった者も含まれており,したがって,既知の軽微な曝露の後に行われる厳格なスクリーニングなしには検出されなかったであろう感染があった(thus who had infections that would not have been detected without the rigorous screening that followed any minor known exposure).このことから,少なくともいくつかの症例では,ワクチンは,発症予防はできても,感染予防はできなかったことを示唆している.しかし,ブレイクスルー症例を追跡した結果,いずれにも二次感染が見られなかったことから,これらの医療従事者は,過去に報告されているように,ワクチン未接種者よりも感染性が弱いという推論が支持される4)5)17)18).ワクチン接種の有無にかかわらず,RT-PCR検査で陽性結果が検出された場合には隔離が義務付けられていたことも,この観察結果に寄与している可能性がある.最も重要なことは,中和抗体とS特異的IgG抗体の低い力価が,ブレイクスルー感染マーカーとなる可能性があることである

SARS-CoV-2からの防御(あるいは欠如)の免疫相関を特定することは,予想される抗体の減衰が臨床結果にどのように影響するか,いつブースター接種が必要になるか,そしてワクチン接種者が防御されるかどうかを予測するために重要である.このような予測は,新しいワクチンの開発には特に重要である.中和抗体の存在がSARS-CoV-2の再感染防御につながるという仮説は,血清陽性者と血清陰性者の感染率を比較した研究で裏付けられている9)19).最近では,Khoury20)Earle21)が,ワクチン効果と免疫原性試験の母集団の値を比較して,中和レベルが免疫防御の高い予測因子であることを明らかにした.ここで我々は,この防御効果の相関性を裏付ける,ワクチン接種集団のデータを報告する.

通常,中和抗体価は容易に検査できないため,抗S IgG抗体価のような,より実用的な免疫学的防御指標が必要となる.我々や他の研究者は以前,中和抗体価と抗Sまたは抗RBD IgG抗体価の間に有意な相関関係があることを発見した11)22)今回の研究では,中和抗体レベルとブレイクスルー感染との相関は,IgG抗体よりも強かった

我々は,症例と対照における中和抗体とIgG抗体のピーク力価の差が,peri-infectionの力価の差よりも感染リスクと強く関連していることを発見した.この結果は,ワクチン接種後の中和抗体価が全体的な免疫応答マーカーであるという仮説と一致し,IgG抗体価の役割の可能性を示唆する.したがって,これらの抗体のいずれかの力価が低下しても(むしろピークの力価ではなく)、防御の減弱を正確に予測できない可能性がある.さらに我々は,peri-infectionの中和抗体価は,ウイルス量と相関しており,そしてそれゆえに,ブレイクスルー感染症例の感染性と相関していることがわかった.ワクチンによる免疫は,臨床疾患に対する防御は高いが,感染と感染性の両方に対する防御はやや低いことが示されているので4),この結果は最終的にはさらに重要になるかもしれない.

しかし,今回の相対的な小規模コホートでは,検査したいずれの血清学的指標についても特異的防御力価を決定することはできなかった.さらに,今回のコホートには,ほとんどが若い健常医療従事者が含まれており,すべてのブレイクスルー症例は軽症であった.我々は以前,ワクチンを接種した医療従事者の95%が,BNT162b2ワクチンの2回目接種後2週間以内に中和抗体価が256を超えたことを報告した11).しかし,血清抗体値の減衰が,ブースター接種のタイミングの良い指標となるかどうかは,まだ確定していない.記憶細胞は将来の曝露にも反応すると考えられるので,防御の程度は抗体レベルの減衰よりも初期の免疫応答に依存すると思われる.今回の研究では,症例数が少なかったにもかかわらず,抗体価のピーク値もまた防御と相関していることが示唆された

B.1.1.7変異株は症例の85%で確認され,地域社会での有病率と同様であった1)16).この結果は,カリフォルニア州,ニューヨーク州,マサチューセッツ州からの報告23)-25)と一致しており,ブレイクスルー感染においてVOCsの分布は,ワクチンを接種していない一般集団の分布と同様であった.これらの所見は,ブレイクスルー分離株は,特定の免疫逃避株に対する選択圧を反映していないことを示唆している一方で,特定のVOCsがブレイクスルー感染でより多く見られたという報告もある8)16)26).今回の研究は,ブレイクスルー感染におけるVOCsに関するこの疑問を解決するための研究ではない.

Limitation: @本研究ではブレイクスルー感染コホートを詳細に記録したが,症例数は相対的に少なかった.Aこのコホートはほとんどが若い健常者であり,すべてのブレイクスルー症例は軽症で,入院を必要としなかった.そのため,重症疾患からの保護や,併存症がある高齢者などの脆弱集団の感染とのとの相関関係を明らかにすることはできなかった.B曝露した医療従事者全員を検査するという集中的な取り組みにもかかわらず,サーベイランス検査を実施しなかったため,無症候性症例を見逃した可能性がある.C対照群は,検査や曝露の有無ではなく,ワクチン接種を受けた未感染医療従事者の血清検査の時期によってのみマッチングされた.そのため,Covid-19への曝露リスクの違いをコントロールすることができなかった.この要因により,症例と対照群の間の防御の差が過小評価されている可能性がある.D多くの症例では,入手可能なperi-infectionの抗体価は、感染が検出された日(場合によっては感染期間の数日後)に得られたものであり,感染によりすでに上昇している可能性があった.しかし,ほとんどの症例が前症候性の段階で発見されたため,このようなcontamination of resultsは軽微であると考えられる.また,peri-infectionの中和抗体の結果が得られた症例では,peri-infectionの抗体価の大半が中和抗体よりも低かったことから,このようなcontaminationはごくわずかであると考えられる.もし,このようなcontaminationがあったとすれば,抗体価とブレイクスルー感染との間には関係がないという帰無仮説に偏った結果になると思われる.

Conclusions

BNT162b2ワクチンは非常に効果的だが,稀に発生するブレイクスルー感染は感染性を有し,そのような感染は多くの場合,無症候性であり,脆弱集団にリスクをもたらす可能性があるため,特別な課題があることがわかった.

 

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Supplementary appendix