COVID-19関連追加(2021811日)ブデソニド吸入についてその2PRINCIPLE

当院HPファイル関連:

2021412日(STOIC試験).

概要: 2020716日〜129日.英国.800μgX2/日.無作為化前の症状持続期間は中央値3日(IQR 2-4.症状が消失するまでの期間は中央値7日(5-11日).投与期間は中央値7日(4-10日).主要評価項目は、救急部での評価あるいは入院を含むCOVID-19関連の緊急医療受診.副次評価項目は,自己申告による臨床的回復(症状の消失); Common Cold QuestionnareCCQ)およびInFLUenza Patient Reported Outcome QuestionnaireFLUPro)の質問票を用いて測定したウイルス症状; 体温,血中酸素飽和度; SARS-CoV-2ウイルス量.ITT集団では,主要アウトカムは,通常ケア群で11人(15%),ブデソニド群で2人(3%)に認められた(比率の差0.123, 95%CI 0.033-0.213, p= 0.009).per-protocol解析では,主要アウトカムが発生したのは,通常ケア群では10人(14%),ブデソニド群では1人(1%)であり(比率の差0.131, 95%CI 0.043-0.218, p= 0.004),ブデソニドによる相対的リスクの減少は91%COVID-19の悪化を抑制するためのブデソニドによる治療の必要数は8人であった).per-protocol集団では,自己申告による臨床症状の回復が,ブデソニド群は,通常ケア群に比べて,1日早かった(中央値7[95CI 6-9] vs 8[7-11], log-rank test p= 0.007).プールされた最高体温の分布を示すバイオリン・プロットでは,通常ケア群の平均値が統計的に高いことが示されている(平均差0.49, 95%CI 0.32-0.66, p< 0.001).0日目のcycle threshold鼻咽頭SARS-CoV-2ウイルス量は中央値32.1IQR 21.7-40.0),7日目は35.332.4-40.0),14日目は36.434.2-40.0).cycle thresholdの低下は,両試験群ともに,来院1と来院2の間で有意差があったが(Wilcoxon matched pairs p= 0·063 ブデソニド, p= 0.004 通常ケア),群間では認めなかった(ブデソニドの来院12の間の平均変化量は3.20[95%CI 0.46-5.94],通常ケアは3.75[1.00-6.50], 平均差−0.55, 95%CI 2.39-1.29; p= 0.554).

 

 

 

 

 

【英国の地域社会における,合併症のリスクが高いCOVID-19患者を対象とした吸入ブデソニド(PRINCIPLE):無作為化比較非盲検,アダプティブプラットフォーム試験】

Yu LM, et al. Inhaled budesonide for COVID-19 in people at high risk of complications in the community in the UK (PRINCIPLE): a randomised, controlled, open-label, adaptive platform trial. Lancet. Aug 10, 2021.

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)01744-X.

Background

以前の有効性試験では,入院していない患者においてCOVID-19に対する吸入ブデソニドの有効性が認められたが,高リスク者における有効性は不明である.我々は,吸入ブデソニドが,地域社会で合併症のリスクが高い人の回復までの時間とCOVID-19関連入院または死亡を減少させるかどうかを確立することを目的とした.

Methods

Study design:

PRINCIPLEは,65歳以上または50歳以上で合併症を持つ人を対象に,COVID-19に対する介入を行う多施設共同,非盲検,多群(multi-arm),前向き,無作為化,対照,アダプティブプラットフォーム試験で,中央の試験会場から遠隔地にある英国のプライマリーケアセンターで行われる.プロトコルは,appendixpp4-80)および試験のウェブサイトに掲載されている.プロトコルは,appendixpp4-80)および試験のウェブサイトに掲載されている.プラットフォーム試験では,同一疾患に対する複数の治療法を同時に評価することができる.マスタープロトコールには,無益な介入の中止,介入の優位性の宣言,新しい介入の追加などの前向きな判断基準が定められている14)PRINCIPLEで評価された治療法は,hydroxychloroquineazithromycin15)doxycycline16)colchicinefavipiravir,そして今回報告された吸入ブデソニドである.英国医薬品・ヘルスケア製品規制庁およびSouth Central-Berkshire研究倫理委員会(Ref 20/SC/0158)が試験プロトコルを承認した.登録前にすべての参加者からオンラインで同意を得た.

Participants:

対象は,65歳以上,または併存疾患がある場合は50歳以上で,過去14日以内に発症し,症状が継続しているPCRによるCOVID-19確定症例または疑い症例であった(英国国民健康保険サービスの定義に基づき17)18),高熱,新規・持続性咳嗽,嗅覚や味覚の変化).5065歳の患者では,心臓疾患,高血圧,喘息または肺疾患,糖尿病,肝機能障害,脳卒中または神経疾患,免疫システムの低下(化学療法を受けている場合など),自己申告による肥満またはBMI 35以上などの合併症があることが参加資格の条件であった).すでに吸入または全身性コルチコステロイドを服用している場合,吸入器を使用できない場合,または英国国立処方箋に基づいて吸入ブデソニドが禁忌とされている場合は,ブデソニドに割り付けられなかった.当初,対象者は参加している一般診療所を通じて募集,スクリーニング,登録されたが,2020517日からは,英国内の人がオンラインまたは電話で登録できるようになった.患者がベースラインおよびスクリーニングのための質問票を記入した後,臨床医または訓練を受けた研究看護師が,必要に応じて遠隔地からアクセスした患者のプライマリケアの医療記録を用いて適格性を確認し,無作為化を実施した.COVID-19の影響を受けている少数民族や社会的に恵まれない地域社会からの参加者を増やすために,20209月に少数民族に関わる専門家を任命し,地域社会,宗教,医療機関との積極的な協力関係を構築し,さまざまなメディアを通じて多言語でのプロモーションを行うなど,いくつかのアウトリーチ戦略を用いた19)

Randomisation and masking:

適格で同意を得た参加者は,secure, in-house, web-based randomisation systemSortition version 2.3)を用いて,ブデソニド,通常ケア,またはその他の治療に無作為に割り付けられた.無作為化確率(randomisation probabilities)は,定期的な中間解析を介してresponse-adaptive randomisationを用いて設定され,回復までの時間の観察結果が良好な介入に,より多くの参加者を割り当てることができる(appendix pp140142).20201214日〜202134日までの間,ブデソニド群と通常ケア群のみが開封され,年齢(65歳未満 vs 65歳以上),合併症の有無(有 vs 無)で層別された各群間で1:1の割り付けが行われた.試験チームは無作為化確率についてはマスキングされていたが,参加者全員が群別を認識していた.

Procedures:

参加者は,通常ケアに加えてブデソニド800μg12回,14日間吸入した(Pulmicort Turbohaler, AstraZeneca, Luton, UK),または通常ケアのみを受けた.呼気作動式吸入器(breath-actuated inhaler)は,使いやすさを考慮して選択され,参加者の一般開業医が直接処方・発行するか,研究チームによって集約的に発行され,緊急宅配便で参加者に届けられた.ブデソニド群の参加者には,吸入器の使用方法を示すビデオリンクが送られ,必要に応じて電話によるサポートが追加された.COVID-19が疑われる場合,英国の国民健康保険サービスにおける通常ケアは,主に解熱剤による症状の管理に重点が置かれており,細菌性肺炎が疑われる場合にのみ抗菌薬の投与が推奨されている20)21)

参加者は,無作為化後の28日間,オンラインで毎日症状を記録してフォローアップされ,7日目,14日目,28日目には反応がなかった人に電話で補足説明が行われた.日記には,疾患の回復に関する質問(「今日は回復したと思うか(すなわち疾患に関連する症状はもはや問題ではない)」という質問に「はい」または「いいえ」で答えることで確認),全体的な疾患重症度(体調の良さを110の尺度で評価,1が最悪,10が最高),個々の症状の重症度を4段階で評価(0が問題なし,3が大きな問題),医療サービスの利用についての質問が含まれている.参加者は,フォローアップデータの提供に協力してくれる治験パートナーを指名することができた.また,一般診療所や病院の記録から医療サービスの利用状況を把握することに同意を得た.我々は,SARS-CoV-2確定PCR検査のためのself-swabを提供することを目的としたが,パンデミック初期にはキャパシティの問題から,一部の参加者は検査を受けることができなかった.

Outcomes:

本試験は、COVID-19に関連する28日以内の入院または死亡を主要アウトカムとして開始された.しかし,英国における入院率22)は,当初の予想よりも低かった23).試験管理グループと試験運営委員会は,患者にとって重要なアウトカムであり,経済的・社会的に大きな影響を与える,疾患期間(illness duration24)25) も主要アウトカムに含めるよう修正することを推奨した.この変更は,2020916日に倫理的承認を得て,中間解析を行う前に実施された.つまり,本試験では,無作為化後28日以内に測定される2つの共主要エンドポイント(two coprimary endpoints)をもつ: すなわち,参加者が回復したと報告した最初の事例として定義される「最初に報告された回復までの時間(time to first reported recovery」,および「COVID-19に関連した入院または死亡」であるCOVID-19に関連するかどうかの判断は,治療割り付けと試験の識別情報を隠した2人の臨床医が,入手可能なデータを独立して検討した後に行われた.

副次アウトカム(defined in section 3.3 of the master statistical analysis plan; appendix pp102109)には,早期の持続的回復(14日目までに回復し,28日目まで回復した状態を維持),持続的回復までの時間(参加者が最初に回復を報告し,その後28日目まで元気な状態を維持),参加者の気分の良さ(how well participants feel)を110で評価する毎日の評価,症状が最初に緩和されるまでの時間(症状が最初に軽微またはなしと報告された日),症状が持続的に軽減するまでの時間(症状が軽微または全くないと最初に報告され,その後28日まで軽度または全くない状態が続いた日),症状の重症度が最初に軽減するまでの時間(症状の重症度が少なくとも1段階低下したと報告された日),医療サービスとの接触、入院を伴わない病院評価,酸素投与,集中治療室への入室,機械式換気,試験治療のアドヒアランス,WHO-5 Well-Being Index26),および家庭内新規感染の報告,が含まれた.全時間-イベント解析(all time-to-event analyses)では,無作為化された日をベースラインとした.COVID-19 の症状は再発することが多いため,我々は,持続的な回復を示す副次アウトカムを含めた.共主要アウトカムであるCOVID-19による入院または死亡以外の重篤な有害事象は,すべての試験群で測定された.

Results

最初の参加者は202042日にPRINCIPLEに無作為に割り付けられた.ブデソニド群への登録は20201127日に開始された2021331日,試験運営委員会は試験管理グループに対し,ブデソニドへの無作為化を中止するよう勧告した.その理由は、回復までの時間については事前規定した優越性基準を満たしており(the prespecified superiority criterion had been met on time to recovery),入院あるいは死亡については,英国のロックダウンとワクチン接種プログラム22)に関連して入院が減少しているため,無益または優越性基準に達するだけのデータを蓄積する可能性が低いからであった.

対象となる患者38,520人をスクリーニングし,そのうち4700人をブデソニド(n= 1073),通常ケアのみ(n= 1988),その他の治療(n= 1639)(Figure 1)に無作為に割り付けた.適格参加者4594人のうち3979人(87%)はSARS-CoV-2検査の結果が得られており,3979人のうち2655人(67%)が陽性であった.プラットフォーム試験と他の介入の整合性を守るため,我々は,ブデソニドと通常ケアに無作為に割り付けられた参加者のみの記述的要約を掲載した.SARS-CoV-2陽性の参加者の平均年齢は64.2歳(SD 7.6),1959人のうち1805人(92%)が白人で,1581人(81%)が合併症を有していた.発症してからの期間の中央値は6日(IQR 4-9)であった.ベースラインの特性は治療群間で類似していた(Table 1; appendix pp237-38).吸入コルチコステロイドの使用に関するデータは,ブデソニド群が開始されてから収集された.同時に無作為化された通常ケア群の886人のうち27人(3%)が,無作為化時に吸入コルチコステロイドの服用を報告した(これらの参加者は,ブデソニドの適格性がないため,通常ケアと他の介入の間で無作為化された).薬物使用情報を提供したブデソニドに無作為に割り付けられた参加者969人のうち772人(80%)が少なくとも7日間のブデソニド服用を報告した.

Figure 1: Trial profile.

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Table 1: Baseline characteristics of SARS-CoV-2-positive participants by treatment group.

 

 

ベイズ主要解析モデルには,追跡データを提供したSARS-CoV-2陽性の参加者2655人のうち2530人(95%)のデータが含まれ,吸入ブデソニド(n= 787),通常ケアのみ(n= 1069),その他の治療(n= 674)に無作為に割り付けられた.主要解析集団において,観察された最初の回復までの時間の中央値は,吸入ブデソニド群では11日(5人は未到達)であったのに対し,通常ケア群では15日(6人は未到達)であった(Figure 2A.ベイズ主要解析モデルに基づくと,ブデソニド群は通常ケア群に対して最初の回復までの時間において有益性があることを示す証拠があり,ハザード比は1.2195%Bayesian credible interval[BCI]1.08-1.36),推定値は11.8日(95%BCI 10.0-14.1 vs 14.7日(12.3-18.0),そして推定有益性の中央値(estimated median benefit)は2.94日(95%BCI 1.19-5.11)であった.優越性の確率は0.999より大きく,事前規定した優越性の閾値を満たしていた(Table 2).治療効果は,同時無作為化および全試験集団において一貫していた(Table 2, Figure 2B).

 

 

Figure 2: Time to first reported recovery.

(A) SARS-CoV-2-positive primary analysis population. (B) Concurrent randomisation SARS-CoV-2-positive population.

 

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Table 2: Primary outcomes (model-based estimates).

 

 

主要解析集団において,COVID-19による入院または死亡は,ブデソニド群787人のうち72人(9%)(入院71人,うち死亡5人,そして入院なし死亡1人)に対し,通常ケア群1069人のうち116人(11%)(入院114人,うち死亡9人,そして入院なし死亡2人)であった.ブデソニド群と通常ケア群の入院または死亡を比較したベイズ主要解析モデルでは,オッズ比は0.7595%BCI 0.55-1.03),推定率は6.8%95%BCI 4.1-10.2 vs 8.8%5.5-12.7),推定絶対パーセンテージ差は2.0%95%BCI 0.2-4.5; Table 2)であった.優越性の確率は0.963で,事前規定した優越性の閾値である0.975を下回っていた.結果は,同時無作為化集団(優越性確率0.975)と全試験集団(優越性確率0.953, Table 2)で同様であった.

同時無作為化されたSARS-CoV-2陽性集団(ブデソニド群787人,通常ケア群799人)を対象とした副次アウトカム解析(Table 3)では,ブデソニドは,早期の持続的回復,28日間の日次重症度評価(appendix p231),WHO-5 Well-Being Index,医療サービス利用,酸素投与,持続的回復までの時間(appendix p231),すべての症状の持続的軽減までの時間(appendix p233),および疾患重症度の軽減までの時間(appendix p234)において,有益性を示した.その他の副次アウトカムについては,有益性を示す明確な証拠はなかった.

Table 3: Secondary outcomes.

事前規定されたサブグループ解析では,無作為化前の症状持続時間,ベースラインの症状重症度スコア,年齢,および併存疾患によって,最初に回復が報告されるまでの時間,入院または死亡に対するブデソニドの効果が変わるという証拠はなかった(Figure 3.特に慢性肺疾患については,すでに吸入コルチコステロイドを使用している人はブデソニドへの無作為化の対象とならなかったため,数は少なかったが,事後サブグループ解析では,ワクチン接種の有無や慢性肺疾患の有無によってブデソニドの効果が異なるという証拠はなかった(Figure 3).重篤な有害事象については,COVID-19とは無関係の入院が,ブデソニド群で2人,通常ケア群で4人,認められた(appendix p241).

Figure 3: Forest plot of subgroup analysis of time to first reported recovery (A) and COVID-19-related hospital admission or death (B) in the concurrent randomisation and budesonide-eligible SARS-CoV-2-positive population.

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Discussion

本試験は,有害アウトカムのリスクが高いCOVID-19患者を対象とした無作為化試験で,吸入ブデソニドを使用した参加者は,推定2.94日早く回復し,回復中の体調の良さの感覚が高く,回復後も良好な状態を維持することが多かった(持続的回復)COVID-19に関連した入院または死亡のアウトカムについては,ブデソニド群はデータカットオフ前に事前規定した優越性の閾値を満たさなかったが,これは英国で20213月〜4月にかけて,ワクチン接種プログラムとロックダウン対策により,入院または死亡の割合が急速に減少したためと考えられる全体として,主要および副次エンドポイントの両方でこれらの所見が一貫していることから,地域社会でCOVID-19に対する有効で安全、安価ですぐに利用できる治療法があることを示す,これまでで最も強力な証拠が得られた

PRINCIPLEは,COVID-19の地域治療における吸入ブデソニドを評価した,これまでで最大の無作為化試験である.今回の結果は,成人146人を対象としたSTOIC2相試験13),すなわち吸入ブデソニドは通常ケアと比較してCOVID-19に関連した緊急評価や入院を減少させ,自己申告による回復は1日ブデソニドに有利になったという結果に一致している.いくつかの無作為化試験では,全身性コルチコステロイドがCOVID-19入院患者の死亡率を低下させることが示されている8)9)RECOVERY 試験では,機械式換気を行っている患者で最大の効果が得られ,酸素を必要としない入院患者では効果がないか,有害である可能性があることが示されている8)

PRINCIPLE試験は実用的なデザインとなっており,地域社会で使用される可能性のある早期の単独介入としてのブデソニドの有効性を効率的に解析することができた.また,他のCOVID-19試験に比べて入院した患者の割合が高かったことから,合併症のリスクが高い患者に焦点を当てた24)27).入院または死亡を確認するために,日常的な電子健康記録を使用し,95%を超える参加者の主要アウトカムデータを取得した.COVID-19が疑われるがPCRSARS-CoV-2が確認されていない患者を対象に,主要アウトカムの副次解析を行った.これは,英国のパンデミック初期の地域社会での検査状況を反映したものであり,他の地域社会や低リソース環境では,SARS-CoV-2検査が利用できないために早期の経験的治療が必要となる可能性があるためである.さらに,PCR検査の感度にはばらつきがあり,特に検査を自分で行う場合には,偽陰性となる参加者もいることになるだろう28).主要アウトカムの推定値は,SARS-CoV-2陽性集団,SARS-CoV-2の有無にかかわらない全参加者,および同時無作為化のSARS-CoV-2陽性集団で同等であった.

他の大規模なCOVID-19プラットフォーム試験と同様に8)29),本研究では,プラセボと比較したブデソニドの有用性を評価するのではなく,通常ケアにブデソニドを追加することを目的としているため,実用的な非盲検デザインを採用した.つまり,COVID-19の地域治療に吸入ブデソニドを導入した場合,通常ケアと比較してどのような効果が得られるのかという,政策立案者にとってすぐに役立つ質問に答えている.しかし,吸入薬は慢性呼吸器疾患においてプラセボ効果があることが報告されており,これが自己申告による回復までの時間に影響を与えている可能性がある.我々は,患者や一般の人々の関心が最も高く,代替指標ではなく,患者からの直接の報告によって最もよく確認されるものであるため,この結果を採用した.本試験のプラットフォームにおける他の(錠剤)治療の解析では,プラセボ効果の証拠は得られず15)16),入院または死亡の結果は,プラセボ効果の影響を受ける可能性は低い.

本試験では、安全で安価なCOVID-19の地域治療が可能であることが示された.この治療は,症状を軽減し,28日間を超える持続的な回復を促すものであり,主要解析集団では事前規定した優越性の閾値をわずかに下回ったものの,入院の必要性も高い確率で減少させることができた.世界的に深刻なCOVID-19の流行が続いており,疾患期間を短縮し,病院や医療サービスの過剰な負担を防ぐことができる、地域社会で利用可能な効果的な治療法の必要性は,世界的な緊急課題となっている.吸入ブデソニドは,多くのプライマリケア施設で使用可能であり,WHOの必須医薬品リストにも含まれている30).ブデソニドがCOVID-19の病態にどのように影響するのか,他の吸入コルチコステロイドの有効性,およびいわゆるlong COVIDへの影響を明らかにするには,さらなる研究が必要である.今回の研究対象者のうち,SARS-CoV-2ワクチンを接種した人の割合は少なかった.ワクチン接種の有無によるブデソニドの効果の違いを示す証拠は得られなかったが,この解析はおそらくパワー不足であった.完全ワクチン接種したCOVID-19患者におけるブデソニドの効果を確立するには,さらなる研究が必要である.

Conclusions

本研究では,有害アウトカムリスクが高いCOVID-19患者に対して,吸入ブデソニドが効果的で安全な治療法であることを示す証拠が得られた

 

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Supplementary appendix