COVID-19関連追加(2021813-3)今冬のインフルエンザ,RSVは?(NEWS

【インフルエンザ,RSVSARS-CoV-2の循環: 不確実なシーズンを迎えて】

Burki TK. Circulation of influenza, RSV, and SARS-CoV-2: an uncertain season ahead.

Lancet Respiratory Medicine. Aug 6, 2021.

https://doi.org/10.1016/S2213-2600(21)00364-7.

Academy of Medical Sciencesの新しい報告書によると,英国では2021年から22年の秋から冬にかけて,例外的にRSウイルス(RSV)とインフルエンザの大規模アウトブレイクが発生する可能性が警告されている.この感染症の急増は,全国的なロックダウン規制の解除後に予想されるCOVID-19症例の急増と重なる可能性がある.”健康管理システムは,呼吸器系疾患の負担増に備えて計画しなければならないことは明らかである”と,報告書の著者は書いている.また,政府に対しては,インフルエンザ,SARS-CoV-2RSVの複合ポイントオブケア検査を展開し,インフルエンザワクチンが対象者に広く接種されるようにすることを求めている.

今回の警告は部分的には,SARS-CoV-2に対する予防措置の成功を反映している.マスク着用,ソーシャルディスタンス,人口移動の大幅な抑制などにより,RSVやインフルエンザなどの呼吸器病原体の伝播は劇的に減少した.イタリアとフランスの病院では,2020-21年シーズンに急性気管支炎で治療を受けた小児患者数が,例年に比べて80%を超えて減少したと報告されている.オーストラリア,チリ,南アフリカでは,2020年の南半球の冬の間に登録されたインフルエンザの症例数はわずか51件だった.米国では,2020-21年のインフルエンザシーズンは,記録が残っている最も古い年である少なくとも1997年以来,最も穏やかなものであった.

大多数の小児が2歳までにRSVに感染する.英国ケンブリッジ大学の集中治療医学のリーダーであり,Academy of Medical Sciences報告書の専門家諮問グループのメンバーであるCharlotte Summersは,”今,我々は1年半〜2年間,ウイルスに曝露していない小児を抱えている”と指摘する.感染しやすい集団が大規模であるほど,一度ウイルスが流行し始めると、大規模なアウトブレイクが発生するリスクが高まる.イングランドは,2021719日にほぼすべてのロックダウン規制を廃止した.スコットランドとウェールズも,8月中旬までに同様の措置を取る予定である.夏が数週間残っているにもかかわらず,RSV症例は増加傾向にある(米国でもRSVの検出数が季節外れに増加している).これが入院患者数の増加につながるかどうかはまだわからない.Academy of Medical Sciences報告書では,小児病棟や小児集中治療室は,RSV患者の流入に備えるべきであると提言している.さもなければ,患者が殺到する可能性がある.この報告書のために行われたモデリング調査によると,RSVに関する妥当な最悪のシナリオは英国がロックダウンされていないと仮定した場合,通常の年の1.52倍の範囲でアウトブレイクが発生する可能性がある.インフルエンザについてのモデリング研究の結果も同様であった.Summers氏は,”インフルエンザに対する免疫が低下していることに加え,世界各地で十分な症例がないため,ワクチンに何を盛り込むべきかがはっきりしない”と述べている.英国における2019-20年のインフルエンザシーズンが穏やかだったことで,集団の免疫がさらに低下したかもしれない.多くが不確実である.米国プリンストン大学生態・進化生物学部の准研究員であるRachel Bakerは,”インフルエンザウイルスが復活したときにどのような姿になるのかはわからない”,”患者数が少なかった期間に,ウイルスはどの程度進化したのあろうか”,そして”人々が過去に曝露した,あるいは過去に接種したワクチンから逃避する株が出てくるのだろうか?"と述べる. ロックダウン規制の緩和を受けて,英国がどのように対応するかは不明である.”マスク着用や距離の取り方などを国が定めない限り,多くのことは個人の行動にかかっており,人々の行動がどのように変化するかは誰にもわからない”とSummersは言う.Bakerは,社会的弱者は人混みの多い公共の場でもマスクを着用すべきだと提案している.

病院では,どの患者がインフルエンザに罹患しているのか,またどの患者がCOVID-19に罹患しているのかを迅速に特定し,この両患者をお互いに,また呼吸器症状が出ていない脆弱な患者から確実に隔離しなければならない.特に両ウイルスが同時に急増している場合は,簡単な作業ではない.対策の中心となるのは,COVID-19とインフルエンザのワクチンである.英国の半分を超える人口がCOVID-19ワクチンを完全接種している.現在,英国のすべての成人が、このワクチンの初回接種を受けることが望ましい.2020-21年のインフルエンザワクチンの接種率は,第一線の医療従事者で76.8%65歳を超える人で80.9%であった.結果的に,医療システムがCOVID-19のみ対処しなければならなかったのは,昨年の冬だけであった.今年は大きく異なる可能性がある.”RSV,インフルエンザ,SARS-CoV-2が同時に流行する可能性があるが,それがどのように展開するかはわからない”とBakerLancet Respiratory Medicine誌に語っている.