COVID-19関連追加(2021814-2)ヘパリンによる抗凝固療法についてその2

当院HP関連ファイル:

2021814

 

上記の試験と同プロトコルにて部分的に省略した.

【非重症Covid-19患者に対するヘパリンによる治療的抗凝固療法】

The ATTACC, ACTIV-4a, and REMAP-CAP Investigators*. Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Noncritically Ill Patients with Covid-19. N Engl J Med. Aug 4, 2021.

https://doi.org/10.1056/NEJMoa2105911.

Methods

中等症とは,ICUレベルの治療を必要としないCovid-19入院患者と定義した.なお、ICUレベルの治療とは,呼吸器または心血管サポート(HFNC,非侵襲的または侵襲的機械式換気,昇圧剤または強心剤の使用)を行うことと定義した.ACTIV-4aでは,パンデミック時にICUレベルの治療を定義することが困難であることが判明したため,病院環境にかかわらず,臓器サポートを受けていることをICUレベルのケアの定義とした.ICUに入院したものの,適格な臓器サポートを受けていない患者は,中等症とみなされた.除外基準も同様(例えば,入院から72時間が経過している場合,またはSARS-CoV-2の存在が院内で確認されてから72時間が経過している場合,REMAP-CAPプラットフォームでは,入院から14日が経過している場合など).

Results

CHARACTERISTICS OF THE PATIENTS:

2020421日に最初の患者が無作為化を受けた.2021122日,1398人の患者から得られたデータのplanned adaptive analysisの結果,d-ダイマー高値および低値の両コホートにおいて,治療用量による抗凝固療法の優位性に関する事前指定した中止基準に達したため,データおよび安全性モニタリング委員会の助言により登録を中止した.その時点で,中等症患者2244人が無作為化を受けていた.主要解析対象者は2219人であった(Figure 1).重症Covid-19患者の並行登録は,別途報告されている通り、20201219日まで行われた17)

ベースラインの特性は,各d-dimerコホート内も含めて,2つの治療群で類似していた(Table 1)(Table S2).d-ダイマー高値コホートおよびd-ダイマー不明コホートの患者は,d-ダイマー低値コホートの患者に比べて,一般的に高齢で,併存疾患の有病率が高かった.ベースラインでの併用療法は,抗血小板剤(患者の12%),グルココルチコイド(62%),レムデシビル(36%)などであった.

無作為化後,プロトコルで決められた抗凝固療法の用量に対する最初のアドヒアランスは,治療用量抗凝固療法群で88.3%,血栓予防群で98.3%であった(Table S3).データが得られた治療用量抗凝固療法群の1093人のうち,1035人(94.7%)は低分子ヘパリンを投与されており,最も多かったのはエノキサパリンであった.データが得られた血栓予防群の855人では,613人(71.7%)が低用量の血栓予防薬を投与され,227人(26.5%)が中用量の血栓予防薬を投与されていた.

Figure 1:.

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Table 1: Demographic and Clinical Characteristics of the Patients at Baseline.

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PRIMARY OUTCOME:

中等症を有する2219人の参加者において,治療用量の抗凝固療法が,通常治療の血栓予防と比較して,臓器サポートのない日数(organ supportfree days)を増加させる事後確率は98.6%であった(調整済みオッズ比の中央値, 1.27; 95%CI, 1.03-1.58)(Table 2).通常治療の血栓予防群1048人のうち,801人(76.4%)は最初の21日間に臓器サポートを受けることなく退院まで生存したのに対し,治療用量の抗凝固療法群1171人のうち939人(80.2%)が退院まで生存した.これの調整済み絶対差の中央値は4.0%ポイント(95%CI, 0.5-7.2)であり,抗凝固療法群が有利であった.2つの治療群の大多数の患者がICUレベルの臓器サポートを受けることなく退院まで生存したため,臓器サポートなしの日数の中央値は両群とも22日であった(Figure 2, Figure S1).したがって,各治療群で臓器サポートを受けずに退院まで生存した患者の割合(順序尺度で22)が報告されている.

primary adaptive analysisでは,通常治療の血栓予防と比較した治療用量の抗凝固療法の優越性に関する最終事後確率は,d-ダイマー高値コホートで97.3%d-ダイマー低値コホートで92.9%d-ダイマー不明コホートで97.3%であった(Table 2, FIgure S1).この結果は感度解析でも一貫していた(Table S4, S5).

中等症患者全員において,治療効果は年齢,登録時の呼吸器サポートレベル,血栓予防薬の投与量によって意味のある変化はなかった.治療用量の抗凝固療法に関連するオッズ比は,男性のほうが女性よりも高いことが95.2%の確率で示された(FIgure S2).

 

 

Table 2: Primary Outcome of Organ Support–Free Days.

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Figure 2: Days without Organ Support among All the Patients with Moderate Disease.

Panel A shows the distribution of organ support–free days among all the patients with moderate disease. The ordinal scale includes a score of –1 (in-hospital death, the worst possible outcome), a score of 0 to 21 (the numbers of days alive without organ support), and a score of 22 (survival until hospital discharge without receipt of organ support, the best possible outcome). The difference in the height of the two curves at any point represents the difference in the cumulative probability of having a value for days without organ support of less than or equal to that point on the x axis. Panel B shows the number of days without organ support as horizontally stacked proportions of patients in the two treatment groups, with the following possible outcomes: in-hospital death with or without the receipt of organ support (dark red, the worst possible outcome, corresponding to a score of −1 on the ordinal scale); survival with organ support provided in an intensive care unit (ICU) (red-to-blue gradient shading based on the number of days alive without organ support; intermediate outcome, corresponding to a score of 0 to 21 on the ordinal scale); and survival until hospital discharge without ICU-level organ support (dark blue, the best possible outcome, corresponding to a score of 22 on the ordinal scale).

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SECONDARY OUTCOMES:

副次アウトカムをTable 3Table S6Figure S3に示す.中等症患者の全コホートにおいて,治療用量の抗凝固療法が,血栓予防と比較して,退院までの生存率を高める事後確率は87.1%(調整済みオッズ比の中央値1.21; 95%CI, 0.87-1.68)で,調整済み群間差の中央値は1.3%ポイント(95%CI, 1.1-3.2)であった.治療用量の抗凝固療法群の患者が28日目に臓器サポートなしに生存する確率は99.1%,または侵襲的機械式換気なしに生存する確率が高いとする事後確率は92.2%であった

主要な血栓イベントまたは院内死亡は,治療用量の抗凝固療法群では1180人のうち94人(8.0%),血栓予防群では1046人のうち104人(9.9%)に発生した(Table 3, Table S6, S7).深部静脈血栓症の発生を組み込んだエンドポイントの解析でも,同様の結果が得られた。大出血は,治療的用量の抗凝固療法群では1180人のうち22人(1.9%)に,通常治療の血栓予防群では1047人のうち9人(0.9%)に発生した(Table S8).致死的出血は,抗凝固療法群では3人,血栓予防群では1人であった.頭蓋内出血やHITが確認されたエピソードはなかった.

Table 3: Secondary Outcomes among All Patients with Moderate Disease.

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Discussion

非重症Covid-19 入院患者において,ヘパリン(最も一般的なのは低分子ヘパリン)による治療用量の抗凝固療法は,通常治療の血栓予防と比較して,21日目の ICU レベルの臓器サポートの必要性を減らし,退院までの生存確率を高めた治療用量の抗凝固療法は,患者のベースラインの d-ダイマー値にかかわらず有益であった大出血は抗凝固療法群で多く発生した(1.9% vs 0.9%.これらの知見に基づき,中等症入院患者1,000人ごとに,治療用量の抗凝固療法を行う初期戦略は,通常治療の血栓予防と比較して,大出血イベントが7件起こったとしても,臓器サポートなしで退院するまで40人の患者を生存させることができると予想される.絶対的治療効果は,d-ダイマー高値コホートの方が,d-ダイマー低値コホートよりも明らかであったd-ダイマー高値コホートの患者は,d-ダイマー低値コホートの患者に比べて,一般的に高齢で,併発疾患の有病率が高かった

今回のマルチプラットフォーム試験では,我々はadaptive Bayesian designを採用し,定期的にadaptive analysesを行うことで,重症度とd-ダイマーレベルに応じて定義された群において,試験の結論を同時に,または順次得ることができるようにした.治療効果の推定値が類似しているd-dimer stopping cohortsでより早く結論を出し,類似した治療効果の推定値を一緒に縮小することで,外れた治療効果の影響を緩和するために,dynamic borrowingという統計的手法を取り入れた.Response-adaptive randomizationでは,試験期間中に治療効果に関する証拠が得られれば,盲検無作為化の確率を修正することができた.response-adaptive randomizationでは,時間経過とともに治療群間のベースライン共変量が不均衡になる可能性があるため,主要モデルは必然的に年齢,性別,試験サイト,d-ダイマーコホート,および登録期間で調整された.そのため,調整後の治療効果と観察された対照イベントの頻度に基づいたリスクの絶対的群間差を示した.提示されている調整後のアウトカムの絶対的群間差は中央値であるため,ベースラインのリスクが高い患者は,より大きな絶対的ベネフィットを得られる可能性がある.

Limitation: 本試験では,バイアスを最小限に抑え,かつ重症度の範囲内で機能するように,生存率と臓器サポートを含む主要アウトカムが選択されたが,非盲検デザインであることが潜在的な限界になっている.副次アウトカムである大出血や血栓症については,確認バイアスの可能性を除外できない.この要因に加えて,プロトコルで規定された静脈血栓症のスクリーニングが行われなかったこと,出血リスクの高い患者が除外されたことが,血栓症の発生率を以前の報告よりも低くしている可能性がある32).重症度分類にはプラットフォームによって若干の違いがあったが,重症患者を対象とした解析では,ベースライン時に臓器サポートを受けた患者の大部分が含まれていた19).詳細なスクリーニングデータがなかったため,出血リスクが高いことや抗凝固療法の臨床的適応以外の,試験から除外された最も一般的な理由を特定することができなかった.したがって,今回の結果の一般化可能性を十分に評価することはできない.最後になるが,最終解析では,治療効果はadaptive stopping resultsの結果に比べて減弱していた; それにもかかわらず,高い確率で治療効果が持続していた.

Conclusions

非重症Covid-19患者において,ヘパリンを用いた治療用量の抗凝固療法の初期戦略は,通常治療の血栓予防と比較して,ICUレベルの臓器サポートを減らし退院までの生存確率を高めた

 

References

省略.