COVID-19関連追加(2021826日)

変異ウイルスとワクチンについてその14CDCより2編)

B.1.617.2Delta)変異ウイルス優勢の前後におけるフロントラインで働く人々のSARS-CoV-2感染予防におけるCOVID-19ワクチン有効性】

Fowlkes A, Gaglani M, Groover K, et al. Effectiveness of COVID-19 Vaccines in Preventing SARS-CoV-2 Infection Among Frontline Workers Before and During B.1.617.2 (Delta) Variant Predominance — Eight U.S. Locations, December 2020–August 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 24 August 2021.

http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7034e4.

20201214日〜2021410日の間に,フロントラインで働く労働者を対象とした前向きコホートのネットワークであるHEROES-RECOVERコホート*から得られたデータによると,COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の症候性および無症候性感染を予防するための,Pfizer-BioNTech社およびModerna社のmRNA COVID-19ワクチンは,リアルワールド下で約90%の効果があることが示された(1,2).本報告では,2021814日までに入手可能なすべてのCOVID-19ワクチンを含めて、ワクチン有効性(VE: vaccine effectiveness)の推定値を更新し,推奨されるすべてのワクチン接種を完了してからの時間が長くなるにつれて,成人のVEが異なるかどうかを検証した.また,COVID-19ワクチンによるブレイクスルー感染の報告が増加したSARS-CoV-2 B.1.617.2Delta)変異ウイルス優勢の前後のVEを比較した(3,4)

HEROES-RECOVERコホートの方法については,これまでに発表されている(1,2,5).米国の6つの州にまたがる8つの地域で,医療従事者,救急隊員,その他の重要な現場作業員を対象に,毎週,逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)†によるSARS-CoV-2感染検査を行い,COVID-19に類似した疾患が発生した場合には,その検査を実施した.各地域のデータに基づいて,シーケンスされたウイルスの50%以上がDelta変異ウイルス(以後Delta)であった週を,Deltaが優勢であった週と定義した.ワクチン接種は,自己申告により記録され,ワクチンカードの提供,電子カルテや州の予防接種登録からの抽出により確認された.参加者4,217人のうち3,483人(83%)がワクチン接種を受け,2,278人(65%)がPfizer-BioNTech社製,1,138人(33%)がModerna社製,67人(2%)がJanssenJohnson & Johnson)社製のCOVID-19ワクチンを接種した.Cox比例ハザードモデルを用いて,未接種者と完全接種者(推奨されるCOVID-19ワクチンの全接種を受けてから14日以上経過した者)の感染率の比を算出し,職業,場所,地域のウイルス循環(6)を調整し,社会人口統計学的特性,健康情報,密接な社会的接触の頻度,マスクの使用を用いて,ワクチン接種の逆確率で加重した.

35週間の研究期間中,過去に検査でSARS-CoV-2感染が証明されたことのない4,136人の参加者では,中央値で1人あたり20日(IQR 8-45, 合計181,357日)のワクチン未接種日数が認められ,その間に194件のSARS-CoV-2感染が確認された(そのうち89.7%が症候性).2,976人の参加者では,中央値で177日(IQR = 115195, 合計= 455,175日)の完全接種後日数が認められ,その間に34件の感染が確認された(そのうち80.6%が症候性).SARS-CoV-2感染に対する調整済みVE80%95%信頼区間[CI]= 69%-88%)であった.VEの点推定値は,完全接種完了後120日未満の参加者では85%であったのに対し,150日以上の参加者では73%であった; VE95%信頼区間は重複しており,その差は統計的に有意ではないことを示している(Table).

Table:

研究場所でDeltaが優勢な週に,488人のワクチン未接種者では,中央値43日(IQR 37-69, 合計24,871日)で19件のSARS-CoV-2感染(94.7%が症候性)が認められた; 2,352人のワクチン接種者では,中央値49日(IQR= 35-56, 合計119,218日)で24件のSARS-CoV-2感染(75.0%が症候性)が認められた.Deltaが優勢になる前の数ヶ月間は91%95%CI 81%-96%)であったのに対し,Deltaが優勢な期間の調整済みVE66%95%CI 26%-84%であった

20201214日〜2021814日の期間,COVID-19ワクチンの完全接種は,フロントラインで働く労働者のRT-PCRで確認されたSARS-CoV-2感染の予防に80%の効果があり,最近の夏の米国COVID-19パンデミック波までの完全接種の高い防御効果がさらに確認された.VE点推定値は,HEROES-RECOVERコホート研究場所でSARS-CoV-2 Delta変異ウイルスが優勢になる前の91%から,優勢になってからは66%に低下したが,ワクチン接種後の時間が長くなるとVEも低下する可能性があり,また観察週数が限られていて参加者の感染数が少ないために推定値の精度が低いので,この傾向は慎重に解釈する必要がある.すべての観察VE研究と同様に,測定されていない交絡や残余交絡が存在する可能性がある.このコホートによる積極的なサーベイランスは継続しており,VE推定値は継続的にモニターされる予定である.今回の中間報告では,COVID-19ワクチンの感染予防効果が中程度に低下していることが示唆されたが,感染リスクの2/3の低下が維持されていることは,COVID-19ワクチン接種の継続的な重要性と利点を強調するものである

References

省略.

 

 

 

 

 

 

 

【ワクチン接種状況による,16歳以上におけるSARS-CoV-2感染および入院】

Griffin JB, Haddix M, Danza P, et al. SARS-CoV-2 Infections and Hospitalizations Among Persons Aged ≥16 Years, by Vaccination Status — Los Angeles County, California, May 1–July 25, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 24 August 2021.

http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7034e5.

COVID-19ワクチンは,COVID-19パンデミックを抑制するための重要な手段であるが,効果の高いワクチンであっても,完全ワクチン接種者の何割かはCOVID-19を起こすSARS-CoV-2に感染する(1).ワクチン接種後の感染の特徴を明らかにするため,ロサンゼルス郡公衆衛生局(LACDPH)は,COVID-19サーベイランスとCalifornia Immunization Registry 2CAIR2)のデータを用いて,202151日〜725日の間の年齢調整済み感染率および入院率をワクチン接種の有無別に報告した.全ゲノムシーケンス(WGS: whole genome sequencing)に基づくSARS-CoV-2系統と,ヌクレオカプシド(N)タンパク質遺伝子領域とオープンリーディングフレーム1abORF1ab)ポリタンパク質遺伝子領域を含む2つのSARS-CoV-2遺伝子ターゲットの定性逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によるcycle thresholdCt)値を,便宜的に集めた標本(concenience sample)について報告した*ロサンゼルス郡の16歳以上の住民を対象に報告されたSARS-CoV-2感染者43,127人のうち、10,895人(25.3%)が完全接種者,1,431人(3.3%)が部分接種者,30,801人(71.4%)が非接種者であった(Table.すべての群で患者数の割合が高かったのは,3049歳および1829歳の成人,女性,ヒスパニック系であった.725日にワクチンを接種した人のうち,55.2%Pfizer-BioNTechワクチン,28.0%Modernaワクチンを,16.8%Janssenワクチンを接種していた.

 

 

Table:

SARS-CoV-2に感染した完全ワクチン接種者の入院(3.2%),集中治療室(ICU)への入室(0.5%),機械式換気の必要性(0.2%)は,部分ワクチン接種者(それぞれ6.2%, 1.0%, 0.3%),ワクチン未接種者(それぞれ7.6%, 1.5%, 0.5%)に比べてはるかに低かった(すべての比較においてp< 0.001

入院患者およびICUに入室した患者では,ワクチン接種者(中央値= 64, IQR= 53.0-76.0; 中央値= 64, IQR= 54.0-76.0歳)および部分接種者(中央値= 59, IQR= 46.0-72.0; 中央値= 65, IQR 57.0-80.0歳)は,未接種者(中央値= 49, IQR= 35.0-62.0; 中央値= 56, IQR 41.0-66.0歳)に比べて年齢の中央値が高かった(p< 0.001).SARS-CoV-2 陽性反応が出た後,病院に入院した人の割合は,ワクチン未接種者(4.2%)に比べ,完全接種者(1.2%)と部分接種者(2.0%)で低かった.死亡した人の割合は,部分接種者(0.5%, 7人)および未接種者(0.6%, 176人)よりも、完全接種者(0.2%, 24人)の方が低かった(p< 0.001).死亡調査では,死亡した完全接種者24人のうち6人が,HIV感染,癌(前立腺癌,膵臓癌,大腸癌など)を含む免疫不全状態にあり,ワクチン接種者(中央値= 78, IQR 63.5-87.5歳)および部分ワクチン接種者(中央値= 74, IQR 58.0-80.0)の年齢中央値は,ワクチン未接種者(中央値= 63, IQR= 51.5-79.5)よりも高かった(p= 0.01).

ロサンゼルス郡の全住民のうち,年齢調整済みの7日間罹患率と入院率は,ワクチン未接種者,完全接種者,部分接種者の間で指数関数的に増加し,6月下旬にはワクチン未接種者の間で最も高い値を示した(Figure 1).725日,ワクチン未接種者のSARS-CoV-2感染率は完全ワクチン接種者の4.9倍,入院率は29.2であった

 

 

Figure 1: Age-adjusted rolling 7-day SARS-CoV-2 infection and hospitalization rates,* by vaccination status† — Los Angeles County, California, May 1–July 25, 2021.

This figure includes two line graphs showing the age-adjusted 7-day rolling average of SARS-CoV-2 infection and hospitalization rates in Los Angeles County, California, during May 1–July 25, 2021.

51日〜725日までの間に,系統データを持つ6,752検体から推定されたB.1.617.2Delta)変異ウイルスの感染率は、完全接種者(8.6%から91.2%へ),部分接種者(0%から88.1%へ),未接種者(8.2%から87.1%へ)の間で上昇したFigure 2).5月にはワクチン接種の有無によってCt値の中央値に差が見られた; しかし,7月には完全接種者,部分接種者,未接種者の検体において遺伝子ターゲットによる差は見られなかった(SC2N= 19.3, 20.2, 19.4; ORF1ab= 18.8, 17.8, 19.0; N= 19.3, 18.6, 19.5

5月には,ORF1ab遺伝子およびN遺伝子ターゲットのCt値の中央値は,部分接種者(36.6; 36.0)および完全接種者(27.7; 30.6)に比べて未接種者(22.8; 24.0)の方が低かった)

 

 

Figure 2: SARS-CoV-2 whole genome sequencing lineage results* and reverse transcription–polymerase chain reaction cycle threshold values† for two gene targets,§ by vaccination status¶ and month — Los Angeles County, California, May 1–July 25, 2021.

This figure includes one bar chart showing SARS-CoV-2 whole genome sequencing lineage results for five variants, by vaccination status, and three box and whisker plots showing reverse transcription–polymerase chain reaction cycle threshold values for three gene targets, by vaccination status, for specimens from Los Angeles County, California, during May 1–July 25, 2021.

 

Discussion

SARS-CoV-2デルタ変異は感染性が高く(3)20215月〜7月にかけてロサンゼルス郡で優勢な変異ウイルスとなった.この期間中,SARS-CoV-2症例と入院が大幅に増加し,特にワクチン未接種者の間で増加した.5月には,完全ワクチン接種者と部分ワクチン接種者の検体では,ワクチン未接種者と比べて,2つの遺伝子ターゲットのCt値が高かったが,7月にはCt値の中央値は減少し,完全ワクチン接種者,部分ワクチン接種者,ワクチン未接種者の検体では,すべての遺伝子領域で類似していた.これらの結果は,大規模アウトブレイク発生時にワクチン接種者と未接種者の検体のCt値に差がなかったという最近の研究結果と同様である(4)Ct値は,存在するウイルス核酸量と相関している.しかし,Ct値は,ウイルス核酸量の不完全なproxyであり,検査プラットフォーム間で標準化されておらず,検体の種類や検体採取からの時間によって異なるため,個人レベルではなく,集団レベルでの違いを評価する場合に限定すべきである§§

Limitation:

@検査で感染が確認された時点でロサンゼルス郡に住んでいたが,カリフォルニア州以外でワクチン接種を受けた人のワクチン接種データが入手できなかったため,ワクチン接種状況を誤って分類してしまった.もし,アクセス可能な記録のないワクチン接種者をワクチン未接種者とみなした場合,ワクチン未接種者の発生率は過小評価される可能性がある.A症例確認は受動的なサーベイランスに基づいており,ワクチン接種の有無によって異なる過少報告があることが知られている.同様に,スクリーニングや検査の行動も群間で異なる可能性がある.BCOVID-19関連入院は,入院日とSARS-CoV-2検査日のみに基づいて決定されたため,COVID-19に関連しない偶発的な入院が含まれていた.CCOVID-19関連死には,初めてSARS-CoV-2が陽性となった日から60日以内に発生した死亡が含まれているため,COVID-19関連死の中には,外傷を除く他の原因によるものが含まれている可能性がある.また,COVID-19関連死の中には,60日後に長期の後遺症が残ったものもあるかもしれないので,それらは含めなかった.D系統とCt値は,SARS-CoV-2症例の便宜的なサンプルについてのみ入手可能であった.E比較のためのCt値を生成するために使用されたアッセイはすべて定性的なものであり,存在するウイルス核酸量を定量するための使用が承認されているものはない.

これらの感染率および入院率のデータは,Delta変異ウイルスの感染が増加していた時期に,承認されたワクチンがSARS-CoV-2感染および重症COVID-19に対して防御的であったことを示しているCOVID-19関連入院および死亡を防ぐためには,他の予防戦略と連携してCOVID-19ワクチンの接種を増やす努力が不可欠である.

 

 

References

1) Birhane M, Bressler S, Chang G, et al. ; CDC COVID-19 Vaccine Breakthrough Case Investigations Team. COVID-19 vaccine breakthrough infections reported to CDC—United States, January 1–April 30, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:792–3.

2) Lopez Bernal J, Andrews N, Gower C, et al. Effectiveness of Covid-19 vaccines against the B.1.617.2 (Delta) variant. N Engl J Med 2021;385:585–94.

3) Allen H, Vusirikala A, Flannagan J, et al. ; Public Health England. Increased household transmission of COVID-19 cases associated with SARS-CoV-2 variant of concern B.1.617.2: a national case-control study. Knowledge Hub [Preprint posted online June 18, 2021].

4) Brown CM, Vostok J, Johnson H, et al. Outbreak of SARS-CoV-2 infections, including COVID-19 vaccine breakthrough infections, associated with large public gatherings—Barnstable County, Massachusetts, July 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1059–62.

5) Nasreen S, He S, Chung H, et al. Effectiveness of COVID-19 vaccines against variants of concern, Canada [Preprint posted online July 16, 2021].

6) Sheikh A, McMenamin J, Taylor B, Robertson C; Public Health Scotland and the EAVE II Collaborators. SARS-CoV-2 Delta VOC in Scotland: demographics, risk of hospital admission, and vaccine effectiveness. Lancet 2021;397:2461–2.

 

§§ Additional information on Ct values and their limitations is available:

https://www.idsociety.org/globalassets/idsa/public-health/covid-19/idsa-amp-statement.pdf

 

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/lab/faqs.html