COVID-19関連追加(2021925日)

コルヒチンについてその3PRINCIPLE試験)

★当院HP関連ファイル:

2021520日(RECOVERY試験)

2021530日(COLCORONA試験)

2021810日(コルヒチンの機序について)

 

【コミュニティにおけるCOVID-19成人患者に対するコルヒチン(PRINCIPLE:

無作為化比較試験,アダプティブプラットフォーム試験】

The PRINCIPLE Trial Collaborative Group. Dorward J, et al. Colchicine for COVID-19 in adults in the community (PRINCIPLE): a randomised, controlled, adaptive platform trial. medRxiv. Sep 23, 2021. Preprint.

https://doi.org/10.1101/2021.09.20.21263828.

Objectives

コルヒチンはCOVID-19の治療として提案されているが,回復までの時間に対する効果は不明である.我々の目的は,コルヒチンがコミュニティの人々の回復までの時間およびCOVID-19関連入院/死亡を減らすのに有効かどうかを明らかにすることである.

Methods

Design:

流行性およびパンデミック疾患に対するコミュニティにおける治療に関する前向き,多施設,非盲検,マルチアーム,アダプティブプラットフォーム無作為化試験(PRINCIPLE: Prospective, multicentre, open-label, multi-arm, adaptive Platform Randomised Trial of  Treatments in the Community for Epidemic and Pandemic Illnesses).

Setting:

英国における複数のプライマリケアセンターで,中央治験施設から遠隔で実施された全国規模試験.

Participants:

試験開始時において,65歳以上または5065併存疾患がありappendix p 8),ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でCOVID-19が確認または疑われる症状が継続しており,過去14日以内に発症した人が適格とされた(英国国民健康保険サービスの定義に基づく,高熱および/または新たな持続する咳および/または嗅覚/味覚の変化)17)18).コルヒチン投与群がオープンされた時,適格性基準が拡大され,併存疾患または息切れを有する1865の人が登録された19).適格性として要求された併存疾患は,心臓病,高血圧,喘息または肺疾患,糖尿病,肝機能障害,脳卒中または神経学的問題,免疫システムの弱体化(化学療法など),自己申告による肥満あるいはBMI35以上であった.すでにコルヒチンを服用している場合や,British National Formularyでコルヒチンが禁忌とされている場合は,コルヒチンへの無作為化の対象とはならなかった.当初,対象者は参加している一般診療所を通じて募集,スクリーニング,登録されたが,2020517日からは,英国全土の人々がオンラインまたは電話で登録できるようになった.患者がベースラインおよびスクリーニング用の質問票を記入した後,臨床医または訓練を受けた研究看護師が,無作為化の前に,必要に応じて遠隔地からアクセスした患者のプライマリケア医療記録を用いて適格性を確認した.本試験では,COVID-19の影響を受けている多様な民族や社会経済的に恵まれない人々20)の参加を促すために,いくつかのコミュニティ支援戦略を実施した.

Randomisation and masking:

適格で同意を得た参加者は,安全な社内のウェブベースの無作為化システム(Sortition version 2.3)を用いて無作為化された.無作為化は,年齢(65歳未満/65歳以上),併存疾患の有無(有/無)によって層別化され,確率は,定期的な中間解析を経て,response adaptive randomisationRAR)を用いて決定された: この方法では,より多くの参加者をアウトカムである回復までの時間がよく観察される介入に割り当てることができる(appendix pp 140-142).ただし,2021331日〜202148日の間は,コルヒチン群と通常ケア群のみが有効(active)であり,それぞれを1:1で割り付けた.試験チームは無作為化の確率については盲検化されていた.

Trial procedures:

参加者は,無作為化後28日間,オンラインで毎日の症状記録日記を通してフォローアップされた(7日目,14日目,28日目には,non-respondersに対して電話で補足説明が行われた).日記には,疾患の回復に関する質問(「今日は回復したと感じるか?[病気に関連する症状が問題でなくなった]はい/いいえ」という質問に答えることで確認),全体的な疾患重症度(体調の良さを110の尺度[1が最も悪く,10が最も良い]で評価),個々の症状の重症度に関する4段階評価(0= 問題なし,3= 大きな問題),そして医療サービスの利用状況,などを含む.参加者は,フォローアップデータの提供に協力してくれる治験パートナーを指名することができた.一般診療所や病院の記録から医療利用の結果を把握することに同意を得た.我々は,SARS-CoV-2確定PCR検査のためのself-swabを提供することを目的としたが,パンデミック初期にはキャパシティの問題から,一部の参加者は検査を受けることができなかった.

Trial interventions:

参加者は,通常ケアに加えてコルヒチン500μg/日を14日間投与あるいは通常ケア単独を受けた.コルヒチンは,参加者の総合診療医(general medical  practitioner)が直接処方・発行するか,試験チームが集中的に発行し,緊急の宅配便で参加者に届けられた. 英国の国民健康保険サービスでは,コミュニティにおけるCOVID-19が疑われる場合の通常ケアは,解熱剤による症状の管理に主眼が置かれているが21),以前のPRINCIPLEの結果を受けて16)65歳以上または5065歳で併存疾患のある人には,ケースバイケースで吸入ブデソニドが適応外で導入された22)

Primary outcomes:

この試験は,COVID-19に関連した28日以内の入院または死亡を主要アウトカムとして開始したしかし,英国での入院率23)は当初の予想よりも低かった24)そのため,試験管理グループと試験運営委員会は,患者にとって重要なアウトカムであり,経済的・社会的に大きな影響を与える罹病期間(illness durationも主要アウトカムに含めるよう修正することを推奨した25)26).この変更は,2020916日に倫理的承認を得て,中間解析を行う前に実施された.したがって,本試験では,無作為化後28日以内に測定される2つの共主要エンドポイント(co-primary endpoints)がある: 1)参加者が回復したと報告した最初のinstanceとして定義される報告された最初の回復までの時間; および2)COVID-19に関連した入院または死亡COVID-19に関連するかどうかの判断は,治療割り付けおよび試験の識別情報が見えない2人の臨床医が,入手可能なデータを独立して検討した後に行われた.

Secondary outcomes:

副次アウトカム(defined in section 3.3. of the Master Statistical Analysis Plan, appendix pp  102-109)には,早期の持続的回復(14日目までに回復し,28日目まで回復している),持続的回復までの期間(参加者が初めて回復を報告し,その後28日目まで元気に過ごした日),気分の良さを110で評価したdaily rating,症状が最初に緩和されるまでの時間(症状が軽微または全くないと最初に報告された日),症状が持続的に緩和されるまでの時間(症状が軽度または全くないと最初に報告され,その後28日まで軽度または全くない状態が続いた日),症状の重さが最初に減少するまでの時間(ベースラインで症状があった人のうち,症状の重さが少なくとも1段階下がると報告された日),症状の悪化(症状が軽度から中等度/重度へ,または中等度から重度へと1段階悪化,そしてベースラインで症状が重度と報告した人を除く),医療サービスの利用,入院を伴わない病院評価,入院期間,酸素投与,集中治療室への入室,機械式換気,臨床進行度のWHO順序尺度,試験治療の順守,WHO-5幸福度指数27),重篤な有害事象,全死因による死亡または緊急入院,新規家庭内感染の報告の,バイナリアウトカムを含んでいた.

Statistical analysis:

サンプルサイズの算出及び統計解析については,Adaptive Design Report appendix pp 130-230))及びMaster Statistical Analysis Plan appendix pp 81-129)に詳述されている.Adaptive Design Reportでは,複数のシナリオでアダプティブデザインの動作特性をシミュレートすることにより,サンプルサイズを正当化している.このシナリオでは,response adaptive randomisation,無益性/成功による早期の中止,複数の介入を明確に考慮している.簡単に説明すると,主要アウトカム解析では,通常ケア群における回復までの時間の中央値を9日と仮定すると,1群あたり約400人の参加者によって,回復までの時間の中央値の2日の差を検出するための90%の検出力が得られる.また,通常ケア群で5%の入院を想定した場合,1群あたり約1500人の参加者によって,入院/死亡の相対リスクが50%減少したことを検出するための90%の検出力が得られる.

第一の共主要アウトカム(co-primary outcome)である自己申告による最初の回復までの時間は,ベイズ区分指数モデル(Bayesian piecewise exponential model)を用いて解析された.第二の共主要アウトカムである入院/死亡は,ベイズロジスティック回帰モデルを用いて解析された.いずれのモデルも,治療群と層別共変量(65歳未満/65歳以上,併存疾患の有無)において回帰した(were regressed).これらの主要アウトカムは,複数の仮説に対して追加の調整を行うことなく,全体の第一種過誤(Type Iエラー)を維持する “gate-keeping” strategyを用いて評価した.最初の回復までの時間に関する仮説が最初に評価され,帰無仮説が棄却された場合には,第二の共主要エンドポイントである入院/死亡に関する仮説が評価された.複数の中間解析を行う場合,マスタープロトコルでは,回復までの時間のエンドポイントではベイズ事後確率が0.99を超え,入院/死亡のエンドポイントでは0.975gate-keepingを介して)を超えた場合に,それぞれの帰無仮説が棄却されることになっている.無益性の規定を定義する目的で,報告された最初に回復するまでの時間に関する臨床的に意味のあるハザード比を1.2以上(通常ケアアームで9日の回復と仮定した場合,回復までの時間の中央値に約1.5日の差があることに相当),入院/死亡に関する臨床的に意味のあるオッズ比を0.80以下(通常ケアアームで5%の入院率があったと仮定した場合,入院率が約1%低下することに相当)と事前に指定した.回復までの時間に臨床的に意味のある有益性があるという証拠が不十分な場合,無益性が宣言され,その介入への無作為化は中止され,試験では他の介入をより迅速に評価することができる.各主要アウトカムエンドポイント(回復までの時間,入院/死亡)について,モデルに基づいた治療効果の推定値(それぞれ,ハザード比,オッズ比)を,同時および適格通常ケア集団のbootstrap sampleに適用して,絶対的有益性の推定値(それぞれ,日数,%)を求めた.

試験開始当初,英国ではコミュニティでのSARS-CoV-2 PCR検査が困難であったため,COVID-19が疑われる参加者は,確定検査の有無にかかわらず主要解析集団に含まれた.しかし,検査アクセスが可能になった時点で,試験運営委員会は,主要解析集団をCOVID-19が確認された患者に限定することを推奨した.この変更は,2021222日にプロトコルバージョン7.1に盛り込まれ,コルヒチンの中間結果が試験運営グループに開示される前の2021315日に承認された.したがって,事前指定された主要解析対象集団には,プラットフォーム試験の開始からコルヒチンアームがクローズする2021526日までに,コルヒチン,通常ケア,およびその他の介入に無作為に割り付けられた適格SARS-CoV-2陽性参加者がすべて含まれる.この集団には,コルヒチン群がオープンされる前に通常ケアに無作為化された参加者が含まれており,除外基準の変更(たとえば,コルヒチン群が開オープンされた時点で,18歳以上で併存疾患あるいは息切れのある参加者が対象となった)や,優勢な変異ウイルスや循環SARS-CoV-2の量,またはワクチン接種の利用可能性の増加などの通常ケアの経時的変化により,同時に無作為化された参加者とは異なる可能性がある.そのため,主要解析モデルには,Bayesian hierarchical modellingにより経時的に通常ケア群の主要エンドポイントを推定することで,試験集団の潜在的なtemporal driftを調整するパラメータが含まれている.

我々はまた,コルヒチンアームが有効(active)であった期間に無作為化されたすべてのSARS-CoV-2陽性者と定義した同時無作為化集団を用いて,主要アウトカムの事前指定した感度分析も実施した.また,PCR検査がすぐにアクセスできない状況での結果の適用性を判断するため,SARS-CoV-2感染の有無にかかわらず,試験集団全体の回復までの時間およびCOVID-19に関連した入院/死亡についての副次解析も行った.

すべての副次アウトカムの解析,および事前指定されたサブグループ解析は,コルヒチン投与適格性のあるSARS-CoV-2陽性参加者,そして同時にコルヒチンまたは通常ケアに無作為に割り付けられたSARS-CoV-2陽性参加者(同時無作為化および適格SARS-CoV-2陽性集団)を用いて実施された.時間からイベントまでの二副次アウトカムは,Cox比例ハザードモデルを用いて解析し,バイナリアウトカムは,併存疾患,年齢,罹病期間,ワクチン接種の有無を調整したロジスティック回帰を用いて解析した.主要アウトカムの解析に寄与した割合が高かったため(95%),データ欠損の潜在的な影響は検討しなかった.モデルの仮定はすべて評価した.解析にはR(バージョン4.0.3)およびStata(バージョン16.1)を使用した.

Patient and public involvement:

我々は,女性5人,男性2人からなる患者/市民参加グループを結成し,患者向け資料,試験アウトカムの選択,デリバリー計画などについて意見を出し合った.彼らは,参加者を支援するための試験パートナーという選択肢や,COVID-19のためのコミュニティ治療を評価するという我々の活動に非常に賛同した.2人の協力者は試験運営委員会に所属しており,患者向けの資料や治験のデザイン,普及について引き続き意見を述べている.291人のPRINCIPLE参加者を対象とした英国内での調査によると,90%の参加者は試験情報が参加に向けて準備されていたと感じ,94%の参加者は試験チームから良い扱いを受けたと感じていた.我々は,この詳細なフィードバックを受けて,試験手順に関するコミュニケーションを改善した.また,コミュニティや信仰団体の集会,放送/印刷メディアなど,さまざまな少数民族コミュニティからPPIの支持を得て,研究の普及に努めている20)

Results

Summary:

試験は202042日に開始され,コルヒチンへの無作為化は202134日に開始され,事前指定された回復までの時間が無益基準(futility criterion)を満たしたため,2021526日に中止された.主要解析モデルには,SARS-CoV-2陽性の2755人の参加者が含まれ,コルヒチン(n= 156),通常ケア(n= 1145),その他の治療(n= 1454)に無作為に割り付けられた.自己申告による最初の回復までの時間は,通常ケア群と比較して,コルヒチン群は同等であり,推定ハザード比は0.919[95%CI, 0.72-1.16]自己申告による回復までの時間の中央値は,通常ケア群と比較してコルヒチン群で1.14[1.86-5.21]増加したと推定された.回復までの時間に意味のある有益性が得られる確率は1.8%と非常に低かった.結果は,同時進行の対照との比較でも同様であった.COVID-19に関連した入院/死亡は,コルヒチン群 vs 通常ケア群で同等であり,推定オッズ比は0.76[0.28-1.89],推定差は−0.4%[2.7%-2.4%]であった.重篤な有害事象は,コルヒチン群で1件,通常ケア群で1件発生した.

Population:

20200402日に最初の参加者がPRINCIPLEに無作為に割り付けられた.コルヒチン群への登録は202134日に開始された.2021526日,試験運営委員会は,pre-specified futility criterion回復までの時間で満たされたことを理由に,コルヒチンへの無作為化を中止するよう試験管理グループに勧告した.無作為化が中止された時点でコルヒチンを服用していた参加者には,無益性の証拠(evidence for futility)が確認されたことが通知された.すべての参加者は28日間のフォローアップを行った.

4997人の参加者が無作為に割り付けられ,そのうち212名がコルヒチン,2081人が通常ケア単独,そして2704人が他の治療に割り付けられた(Figure 1; 適格参加者4880人のうち4221人(86.5%)のSARS-CoV-2検査結果が入手でき,そのうち2900人(68.7%)が陽性であった.ベイズ主要解析モデルには,SARS-CoV-2陽性者2900人のうち2755人(95.0%)のフォローアップデータが提供され,コルヒチン群(n= 156),通常ケア単独群(n= 1145),その他の治療群(n= 1454)に無作為に割り付けられた.プラットフォーム試験およびその他の介入の完全性(integrity)を守るため,我々はコルヒチンと通常ケアに無作為に割り付けられた参加者の記述的な要約のみを提供する.参加者の平均年齢(範囲)は6118100)歳で,1260人(91.2%)が白人,1165人(84.4%)が併存疾患を有していた.無作為化の時点で,発症からの時間の中央値は6日(IQR 49日)であった.ベースラインの特徴は,比較群間で同様であった(Tables 1 and S1).吸入コルチコステロイドに関するデータは,試験の初期には一貫して記録されていなかったが,同時無作為化解析集団(concurrent randomisation analysis population)において,コルヒチン群の13/174人(7%)と通常ケア群の14/140人(10%)が,無作為化時またはフォローアップ期間に吸入コルチコステロイドの使用を報告した

コルヒチンに無作為に割り付けられ,服薬情報を提供した184人のうち,138人(75%)が少なくとも7日間のコルヒチン服用を報告した.

 

 

Table 1: Baseline characteristics of SARS-CoV-2 positive participants by treatment group.

 

 

 

 

Figure 1: Participant flow diagram.

Primary Outcomes:

SARS-CoV-2陽性の主要解析集団では,観察された最初の回復までの時間の中央値は,コルヒチン群で15日,通常ケア群で14日であった(Figure 2a). 同時無作為化解析集団(コルヒチンアームがオープンされる前に通常ケアに無作為化された参加者を除く)では,観察された最初の回復までの時間の中央値は,コルヒチン群で15日,通常ケア群で14日であった.temporal driftを調整したベイズ主要解析モデルによると,コルヒチン群 vs 通常ケア群における最初の回復までの時間に有益性があるという証拠はなかった(ハザード比0.92, 95% Bayesian credible interval[0.72-1.16]).同時無作為化および適格SARS-CoV-2陽性集団における回復までの時間をブートストラップ法で推定すると13日であり,モデルに基づく推定ハザード比は,コルヒチン群が通常ケア群と比較して,最初に報告された回復までの時間の中央値を推定1.14日(−1.86-5.21日)延長したことに相当する.コルヒチン群が通常ケア群に比べて回復までの時間が短い確率(すなわち優越性の確率[probability of superiority])は0.241で,事前指定した優越性の閾値である0.99には達しなかった.意味のある効果の確率(probability of meaningful effect)(無益性を評価する目的でハザード比1.2以上と事前に指定)は0.018であった(Table 2).臨床的に意味のある治療効果の確率(probability of a clinically meaningful treatment effect)が低いことは,同時無作為化および試験全体集団で一貫していた(Table 2).

Table 2: Primary and Secondary Outcomes.

 

 

Figure 2: Time to first reported recovery.

SARS-CoV-2陽性主要解析集団において,COVID-19に関連した入院/死亡は,コルヒチン群で6/156人(3.8%)(入院6人,死亡なし),通常ケア群で119/1145人(10.4%)(入院116人,うち死亡9人,そして入院せず死亡したのは3人)であった.主要解析集団における通常ケア群の入院/死亡のレベルの高さは,コルヒチンアームオープン前のイベント発生率の高さよって促進された.コルヒチンアームオープン前に通常ケアに無作為化された参加者を除外した同時無作為化解析集団における通常ケア群では,COVID-19に関連した入院/死亡が4/133人(3.0%)発生した(入院3人,入院せず死亡したのは1人).イベント発生率のtemporal changeを考慮したベイズ主要解析モデルでは,通常ケア群と比較してコルヒチン群におけるCOVID-19に関連した入院/死亡は同程度であり,推定オッズ比は0.7695%CI, 0.28-1.89)であった.同時および適格通常ケア集団におけるブートストラップ法による推定入院率を2.5%とすると,モデルベースの推定オッズ比は,入院率の推定差−0.4%[2.7%-2.4%]に相当する(Table 2).COVID-19に関連した入院/死亡がコルヒチン群 vs 通常ケア群の間で低くなる確率(すなわち優越性の確率)は0.714であり,回復までの時間では優越性に達しなかったため,入院/死亡アウトカムはgate-keeping hypothesis structureによる正式な有意性の解析は行われなかった.COVID-19に関連した入院/死亡が有意に減少する確率(オッズ比が0.80以下と定義)は0.585であった.入院におけるモデルベースの効果の点推定値は,主要解析集団(オッズ比= 0.76[95%BCI: 0.28,1.89]),同時無作為化集団(オッズ比= 1.31[95%BCI: 0.41,4.21]),試験全体集団(オッズ比= 0.72[95%BCI: 0.27,1.77])で一致しなかった.これは,同時解析集団で観察されたイベント数が非常に少なかったためで,広い信頼区間に対応している.一般的な結論として,これらの集団全体で一貫しており,入院/死亡に対する臨床的に意味のある治療効果の証拠(evidence of a clinically meaningful treatment effect)はなかった(Table 2).

Secondary outcomes:

同時無作為化および適格SARS-CoV-2陽性集団を用いた副次アウトカムの解析結果をTable 2Figures S1S2S3bS3cに示す.いずれの副次アウトカムにおいても,有益性を示す明確な証拠はなかった

事前指定されたサブグループ解析では,数は少なかったが,無作為化前の症状持続時間,ベースラインの重症度スコア,吸入コルチコステロイドの使用,年齢,または併存疾患が,コルヒチンの”最初の回復までの時間”に対する効果を変えるという強い統計的証拠はなかった(Figure 3).事後サブグループ解析では,数は少なかったが,コルヒチンの効果がワクチン接種の有無によって異なるという証拠はなかった(Figure 3).イベント発生率が低すぎたため,入院/死亡アウトカムのサブグループ解析を行うことができなかった.重篤な有害事象については,COVID-19とは無関係の入院がコルヒチン群で1件,通常ケア群で1件認められた.

Figure 3: Forest plot of subgroup analysis of time to first reported recovery (concurrent randomisation and eligible SARS-CoV-2 positive population).

 

Discussion

Principal findings:

コミュニティのCOVID-19患者を対象としたプラットフォーム無作為化試験の解析では,コルヒチンは通常ケア単独と比較して,最初の回復までの時間を有意に改善しなかったことが明らかになったまた,気分の良さ(well-being),持続的回復,症状、医療サービスの利用などの副次アウトカムの差がある証拠もなかったプロトコルに従い,回復までの時間が無益基準に達したため,コルヒチンアームは入院/死亡に関する実質的なデータを収集する前に中止された(これは,入院に対する効果の推定値は広い信頼区間を持つことを意味する).全体として、これらの知見は,コミュニティにおけるCOVID-19症状に対する治療としてのコルヒチンの使用を支持するものではない.

Strengths and weaknesses:

この試験の強みは,PRINCIPLE試験の実用的なデザインにあり,コミュニティで使用される可能性のある早期の単独介入としてのコルヒチンの有効性を効率的に評価することができたまた,合併症のリスクが高い患者に焦点を当て,入院/死亡の確認にはルーチンの電子カルテを使用し,95%を超える参加者の主要アウトカムデータを取得した.主要解析対象はSARS-CoV-2陽性患者に限定したが,リソースが少ない環境ではSARS-CoV-2検査が限られているため,早期の経験的治療が必要になる可能性があることから,COVID-19が疑われながらもPCRSARS-CoV-2感染が確認されていない患者を対象に,副次解析を行った.

さらに,PCR検査の感度にはばらつきがあり,特に自分で行う(self-administered)場合には,偽陰性となる参加者もいることになる28)SARS-CoV-2陽性集団,SARS-CoV-2感染の有無にかかわらずすべての参加者,および同時無作為化SARS-CoV-2陽性集団(後者の集団は従来の2アーム試験の集団に最も類似している)において,回復までの時間の推定値は同様であった

PRINCIPLEにおけるコルヒチン群のサンプルサイズは相対的に小さかったが,ベイズ主要解析モデルでは,推定値の精度を高めるために,通常ケアアームにおける過去の登録を活用しており,回復までの時間に対するコルヒチンの有意義な有益性の確率が非常に低いことから,高い精度で無益性を宣言することができたこれにより,コルヒチンアームを中止し,試験リソースを他の介入に迅速に振り向けることができた.最終的な目的は,コミュニティにおけるCOVID-19の有効な治療法を特定することであり,パンデミック自体に使用できる証拠を迅速に作成するという目的に沿った試験デザインの効率性を証明することができた.我々は、他の大規模なCOVID-19プラットフォーム試験29)30)と同様に,プラセボと比較したコルヒチンの有益性を評価するのではなく,通常ケアにコルヒチンを追加することを評価するために,実用的なオープンラベルデザイン(pragmatic, open label design)を採用した.もしポジティブなプラセボ効果がアウトカムである自己申告による回復までの時間に影響しているとしたら,それはコルヒチンのより大きなネガティブな効果を隠している可能性が高い.我々がこのアウトカムを用いた理由は,患者やpublic contributorsが最も関心を寄せるものであり,代理指標を用いるよりも,患者からの直接の報告によって確認するのが最善であると考えたからである我々は,回復時間を短縮できない治療は,COVID-19に関連した入院/死亡を減らす可能性は少ないだろうと仮説を立てた.しかしながら,罹病期間を短縮することなく,重症疾患の可能性を低減する治療は可能だろう.

Strengths and weaknesses in relation to other studies:

PRINCIPLEは,コミュニティにおけるCOVID-19患者の回復までの期間に対するコルヒチンの効果を評価した初めての無作為化試験である.この試験で有益性が認められなかった結果はCOLCORONA試験のいくつかの結果と対照的である.COLCORONA試験は,目標募集数の約75%で早期に中止され,そして回復までの時間は測定されなかったものの,コルヒチンにより入院/死亡が減少する可能性が示された9).主要エンドポイントであるCOVID-19に関連した入院または死亡は、コルヒチン群では104/2235人(4.7%),プラセボ群では131/2253人(5.8%)に発生した(オッズ比0.79; 95.1%信頼区間[CI]0.61-1.03; P= 0.08).SARS-CoV-2陽性患者4159人では,コルヒチンアームのほうがプラセボに比べて主要エンドポイントの発生率が低かった(4.6% vs 6.0%; オッズ比0.75; 95%CI, 0.57-0.99; P= 0.04).下痢(13.7% vs 7.3%),消化器系有害事象(23.9% vs 14.8%),肺塞栓症(0.5% vs 0.1%)は,プラセボと比較してコルヒチン群で高かった.COLCORONA試験の参加者は,PRINCIPLE試験に比べてやや高齢であった(コルヒチンアームの年齢中央値は53 vs 48歳).PRINCIPLEでは,コルヒチンの薬物動態の変動性(pharmacokinetic variability)と狭い治療指数(therapeutic index)を考慮して,ローディング用量を用いない中等度の用量を選択した.COLCORONA試験で使用されたローディング用量は,細胞内濃度の上昇が早い可能性があり,COLCORONA試験のコルヒチンアームにおいて見られた消化器系有害事象および下痢の割合が高いなど,臨床効果の違いを説明している可能性がある.我々は,下痢症状の持続時間は長くなる傾向が見られたものの,コルヒチンがいずれの症状の悪化につながったという証拠は認めなかった.COVID-19入院患者11,340人を対象としたRECOVERY試験では,コルヒチンが主要アウトカムである28日死亡率を改善したという証拠はなかった8)

Implications and future research:

COLCORONA試験では,コルヒチンがCOVID-19に関連した入院/死亡を減少させる可能性があるという限定的な証拠が得られたが9),ほとんどの治療ガイドラインでは,コルヒチンの地域での使用は推奨されていない.これは,コルヒチンによって消化器系の副作用プロファイルが増加することと,肺塞栓症の発生率が高いことが理由と考えられる.我々の結果は,この立場を支持するものであり,コミュニティのCOVID-19患者において,コルヒチンが回復までの時間を短縮するという証拠は見つからなかった.したがって,これまでに得られた証拠によれば,コルヒチンは地域社会でも病院でもCOVID-19の治療に使用すべきではないwith the evidence available to date, colchicine should neither be used for treatment of COVID-19 in community nor hospital settings.我々は,「long COVID」に関連する長期的な症状に対するコルヒチンの効果についての解析を計画している.

Conclusions

コルヒチンは,コミュニティにおけるCOVID-19成人患者の回復までの時間を改善しなかったそしてCOVID-19に関連した入院/死亡に有益であるという証拠はなかったが,入院数が少ないため,推定値は不正確であった

 

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