COVID-19関連追加(2021929日)ウイルス血症について(Viremia

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2021625-2RNAemiaによる予後の予測)

 

SARS-CoV-2 ウイルス血症はCOVID-19重症度と関連し,臨床転帰を予測する】

Jacobs JL, et al. SARS-CoV-2 Viremia is Associated with COVID-19 Severity and Predicts Clinical Outcomes. Clinical Infectious Diseases, ciab686, Published. Aug 10, 2021.

https://doi.org/10.1093/cid/ciab686.

Introduction

COVID-19パンデミックは,現代史上最大の公衆衛生上の緊急事態であり,新たに出現したコロナウイルスSARS-CoV-2(〜30kbの一本鎖の陽方向鎖RNAウイルス: singlestranded positive-sense RNA virus)の世界的な広がりに起因する[1, 2]SARS-CoV-2の主な標的は気道上皮細胞(respiratory tract epithelial cells)であり,COVID-19の主要な臨床症候群は上・下気道感染症である.SARS-CoV-2の受容体であるACE2が肺外組織に広く発現していることは,ウイルスのトロピズム(viral tropism)を拡大する可能性がある.実際,嗅覚・味覚消失,嘔吐や下痢,神経障害など,肺外症状が幅広く報告されている[3]SARS-CoV-2 RNAが消化管,内皮,中枢神経系で検出されたことから,肺外への播種が疾患症状の重症度に寄与する重要な要因であることが示唆されている[4-12]現在のデータでは,SARS-CoV-2が末梢血細胞(peripheral blood cells)で複製されることは示唆されていない; しかし,血流を介して肺外へウイルスが全身に播種される可能性がある.血中のウイルスRNAvRNA)は,疾患の病因(pathogenesis)に中心的な役割を果たすだけでなく,肺のバリアーが破壊され,intactなビリオン,ビリオンの構成要素(タンパク質や核酸),あるいは感染細胞の断片が血流に放出されたことを示す重要な指標となりうる. 血漿中のSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2 RNA血症: RNAemia)が重症疾患と関連するというグループもあるが [13-24] RT-PCRで検出されたvRNAがビリオン内にあるかどうか(whether vRNA detected by RT-PCR is in virions),したがってウイルス血症(viermia)を反映しているかどうかは明らかではない

SARS-CoV-2タンパク質に対する血清抗体レベルがより高いことが,より重症度が高い患者で,そして免疫力が正常の患者で報告されている[25, 26]。このことは,抗体が重症疾患を防御しない可能性を示唆しており,重症患者における抗体ベースの治療法の潜在的な有益性に疑問を投げかけている.モノクローナル抗体および回復期血漿療法の研究では,疾患後期では臨床的有用性が示されておらず,抗体が重症患者の感染を除去できない可能性を示すさらなる証拠となっている[27-32].しかし最近,モノクローナル抗体の併用療法(カシリビマブ+イムデビマブ)が,SARS-CoV-2-に対する抗体を生成していない入院患者の予後を少し(modestly)改善することが示された[33].抗体療法を行っていない場合,SARS-CoV-2特異的中和抗体とSARSCoV-2 RNA血症との間には一貫性のない関連性が報告されており[16, 21, 22, 25, 34],中和抗体レベルおよび機能は患者によって異なり,ウイルス播種を防げない場合もあることが示唆されている.

本研究で我々は,1)RNA血症がSARS-CoV-2ウイルス血症(すなわち,血中ウイルス粒子)の指標となるかどうか; 2)外来患者および入院患者においてRNA血症がどの程度の頻度で検出されるか; 3)RNA血症レベルが死亡率を含む臨床転帰と関連するかどうか;そして4)RNA血症と宿主免疫応答(中和抗体や炎症マーカーなど)との関係,について検討した.

Methods

外来患者9人,入院患者(非ICU19人,ICU患者23人を含むCOVID-19患者51人の観察コホートの血漿サンプル(0.5-1.0ml)を対象に,超高感度RT-PCRを用いてSARS-CoV-2 vRNAを定量し,vRNAレベルをCOVID-19重症度の横断的指標や前向き臨床転帰と比較した.我々は,multiple imaging  methodsを用いて,血漿ペレット(pelleted plasma)におけるビリオンを可視化した.

Results

Summary:

SARS-CoV-2 vRNAは,ICU患者100%,非ICU患者52.6%,外来患者11.1%の血漿中に検出された.electron  tomography and immunostainingによって,血漿ペレットにビリオンが検出された.血漿中vRNAレベルは,ICU>ICU>外来患者で有意に高かった(p< 0.0001; 入院患者では,血漿vRNAレベルは,入院時のより高いWHOスコア(p= 0.01),WHOスコアの最大値(p= 0.002)、退院時の状態(discharge disposition)(p= 0.004)と強く関連していた血漿vRNAレベルが6,000コピー/mlを超えると,死亡率と強く関連していた(HR: 10.7vRNAレベルは,いくつかの炎症性バイオマーカーと有意に関連していたが(p< 0.01),血漿中和抗体価とは関連していなかった(p= 0.8

 

Cohort characteristics:

COVID-19患者51人を登録し,臨床遭遇の場所によって,i)集中治療室(ICU)に入院している重篤患者(n= 23),ii)COVID-19専用病棟に入院している中等症の入院患者(非ICUの入院患者, n= 19),iii)軽症の外来患者(n= 9)の3つのグループに層別した[35, 36].ベースライン特性,治療,転帰の比較をTable 1に示す.ICU患者は非ICU患者に比べて60日死亡率が有意に高かった(n= 7, 30.4% vs 0%, p= 0.01).ICU患者は非ICU入院患者に比べて,IL-6IL-8IL-10,プロカルシトニン,suppression of  tumorigenicity (ST)-2pentraxin-3の濃度が高かった(いずれもp=< 0.01, Table S1).またプラーク減少アッセイによる中和抗体価は,ICU入院患者と非ICU入院患者の間に有意な差はなかった(Table 1; p= 0.22.試験時点では,登録された患者の所在地でSARS-CoV-2 VOCsは確認されなかった.

Baseline plasma levels of SARS-CoV-2 RNA and patient outcomes:

血漿SARS-CoV-2 RNAは,ベースライン時にICU患者23人全員で検出されたが,ICU以外の入院患者では19人のうち10人(52.6%),外来患者では1人(11.1%)しか検出されなかった(p< 0.0001),ICU患者のvRNAコピー数の中央値(3,349[IQR, 756-8,408])は,ICU以外の入院患者の中央値(1[1-72], p< 0.0001, Table1 and Figure 1A)と比較して,>3,000倍多かった.血漿vRNAコピーとペアになる鼻腔スワブ20検体で行ったRT-PCRCt値との間には,中程度のボーダーラインの有意な関連性しか認められなかった(p= 0.052, Figure S2A).リンパ球絶対数と血漿vRNAコピーとの間には,有意ではない弱い逆相関が検出されたが(r= 0.3, p= 0.06, Table S2),他の臨床検査パラメータとの相関はなかった(Table S2).全体のサンプル数が少なかったため,有意な相関関係の検出には限界があったかもしれない.

入院時またはICU入院時におけるより高い血漿vRNAレベルは,ベースラインのWHOスコアが6未満(高流量酸素や機械式換気を必要としない軽度の低酸素血症)の患者と比較して,ベースラインの重症度(WHOスコア>6)がより高いことと有意に関連していた(Figure 1B).また,ベースライン時のウイルスRNA量は,入院中の最悪の重症度(WHOスコアのピーク値)(Figure 1C; p= 0.002),および入院転帰(死亡 vs 入院施設あるいはホームケアへの退院, Figure 1D; p= 0.037)とも有意に関連していた.

死亡率の予測因子としてのvRNAレベルの最適なカットオフ値を定義するため,ROCreceiver operating characteristic)曲線解析を行った(Figure S1).全入院患者(ICUおよび非ICU)を対象とした>6,000コピー/mlのカットオフ値は,未調整Kaplan-Meier曲線解析において,より高い60日死亡率(log-rank p= 0.002)およびより長い入院期間(log-rank p= 0.005)と有意に関連していた(Figure 1E and F).死亡率のカットオフ値の感度と特異度はそれぞれ67%86%であった(Figure S1).同様に,最適なYouden index0.56)を用いたROC曲線解析では,6,352コピー/mlの閾値が,感度67%と特異度89%を示した.年齢,性別,コルチコステロイドによる治療の交絡効果を調整したCox比例ハザードモデルでは,高いvRNAレベルは,死亡のハザード比がより高く(調整後HR= 10.7, 95%CI= 1.49-76.9),より長い退院までの時間(調整後HR= 5.12, 95%CI= 1.65-15.88)と関連していた.サンプリングの23日前にレムデシビルやコルチコステロイドの投与を受けた患者では,無治療の患者と比較して血漿ウイルス血症に有意な差は認められなかった.結論を出すためには,レムデシビル,コルチコステロイド,その他のCOVID-19療法のウイルス血症への影響について,より大規模な研究が必要である.

Plasma contains SARS-CoV-2 virions:

我々は次に、血漿vRNAの特徴を調べ,その中にintactなウイルス粒子が含まれているかどうかを探求した.広範囲のvRNAレベル(6,720304,333コピー/ml)を反映するように選択した血漿サンプルのサブセットを十分なサンプル量で高速遠心分離したところ,回収された全vRNAの中央値76%56%80%)がペレット分画に検出された(Figure 2Aこれは,検出されたvRNAがペレット化可能な構造に含まれているか,または関連していることを示している.注目すべきは,陽性コントロール(健康なヒトの血漿にSARS-CoV-2ウイルスを添加したもの)のSARS-CoV-2 RNAは,ほぼペレット分画のみに検出され(99%),cell-free SARS-CoV-2ビリオンが同じ遠心分離条件でペレット化できることが確認されたことである.さらに,SARS-CoV-2陰性血漿にfree SARS-CoV-2 RNAを加えてから遠心分離したところ,どちらの分画にもvRNAは回収されなかった.このことから,free vRNAは血漿中では安定しておらず,上清分画に検出されたvRNAを説明できない可能性が高い.血漿サンプルの一部をcyto-spin analysisしたところ,2種類のSARS-CoV-2特異的抗体(抗ヌクレオカプシドおよび抗スパイク)と血小板マーカー(抗CD41)で染色したcyto-spin slidesの免疫蛍光検査では,SARS-CoV-2陰性の血漿から調製した陰性コントロールには見られなかった点状の二重陽性構造が確認された(Figure 2B二重陽性構造のうち,平均41.5%CD41と共局在(co-localized)していた(Figure 2B高速遠心分離した血漿サンプルの一部のペレット分画に,電子顕微鏡とtomographic reconstructionにより、推定SARS-CoV-2ビリオン(presumptive SARS-CoV-2 virions)が同定された(Figure 3A-F観察されたビリオンは1視野あたり14個で,推定血小板(presumptive platelets)の中やその近く,さらには識別可能な細胞片から離れた領域にも推定ビリオン(presumptive virions)が存在していた(3A-F and Supplemental movies 1-3推定SARSCoV-2ビリオン(presumptive SARSCoV-2 virions)は,2つの独立した抗体を用いた免疫電子顕微鏡で確認された(Figure 3G

Baseline plasma levels of SARS-CoV-2 RNA and host responses:

ベースライン時のウイルスRNAレベルは,プラーク減少中和試験(PRNT, Figure 4A)による中和抗体価とは有意に関連しなかった(p= 0.8一方,vRNAレベルは,自然免疫のバイオマーカー(IL-6[p= 0.006], IL-8[p= 0.000096], IL-10[p= 0.0097], ST-2[p= 0.00028])および炎症のバイオマーカー(プロカルシトニン[p= 0.0074], pentraxin-3[p= 0.000023])と有意に相関していた(Figure 4B and S2B.注目すべきは,これらのバイオマーカーがICU患者では非ICU患者と比較すると,有意に異なっていたことであり(いずれもp≤ 0.1),これはvRNAレベルと一致する違いを反映していた(Table S1).これらの結果は,ウイルス感染の播種が全身の炎症性宿主反応と関連していることを示唆している.

Longitudinal evolution of plasma levels of SARS-CoV-2 RNA:

我々は,ベースライン(1日目, n= 19)および入手可能なフォローアップサンプル(登録後5日目, n= 19および/または10日目, n= 13, Figure S3)で血漿RNAが検出された入院患者を対象に,vRNAレベルの経時的な変化を調べた.全体として,vRNAレベルは,1日目と5日目の間(p= 0.041, Wilcoxon test with Benjamini-Hochberg post hoc adjustment),5日目と10日目の間(p= 0.041),1日目と10日目の間(p= 0.001)で,有意に減少していた.我々はさらに,30日死亡率に応じてvRNAの変化を層別化した.生存者(1日目に13, 5日目に13, 10日目に8人)では,1日目と10日目の間でvRNAレベルの有意な減少が認められた(p 0.018).非生存者(1日目にn= 6, 5日目にn= 5, 10日目にn= 5)では,どの時点においても有意な変化は検出されなかった(1日目 vs 5日目, p= 0.49; 1日目 vs 10日目, p= 0.11; 5日目 vs 10日目, p= 0.12).

サンプル数が少ないため解析には限界があるが,COVID-19生存者では10日間でvRNAがわずかに減少し,非生存者では測定可能な減少は見られなかったこれらのデータは傾向を示唆しているが,結論を出すにはより大規模な研究が必要である

さらに,ウイルス血症は,確立された臨床的なリスク層別化ツール(死亡率と入院中の悪化を予測するためにベースライン変数を利用するCoronavirus Clinical Characterization Consortium [4C]スコア)[37]を上回る予後情報を提供した.入院患者の悪化の代用として最悪のWHOスコアを予測する二変量回帰モデルでは,ウイルス血症(p= 0.002)と4C悪化スコア(p= 0.007)の両方が有意な予測因子であった.60日生存率の二変量Cox比例ハザードモデルでは,ウイルス血症は有意な予測因子であったが(p= 0.032),4C死亡率スコア(p= 0.14)は予測因子ではなかった.

Discussion

ここで我々は,SARS-CoV-2 RNAは、ICU患者の100%を含む入院患者のかなりの割合で検出され,SARS-CoV-2 RNAのレベルは,確立された臨床リスク層別化ツールとは無関係に,院内での最大重症度および60日死亡率と関連していることを示す.また,遠心分離したペレット血漿中のSARS-CoV-2ビリオンを,補完的なイメージングベースのアプローチで可視化した.最近の他の研究[21, 23]と同様に,血漿中のSARS-CoV-2 RNAは,自然免疫や炎症のマーカー(IL-6IL-8IL-10,プロカルシトニン,pentraxin-3)と関連していたが,プラーク減少アッセイで測定したSARS-CoV-2特異的中和抗体とは関連していなかった. これらの結果から,COVID19の発症と転帰について新たな知見が得られた.本研究の強みは,RNA血症が血漿中のウイルス粒子(すなわち血漿ウイルス血症: plasma viremia)と関連していることを示す強力な証拠があること,Ct値やDNA standardsによるウイルスレベルの推定ではなく,SARSCoV-2 RNA standardを用いたvRNAの絶対定量であることを含む.

血漿中のSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2 RNA血症)は,重症疾患および/または好ましくない転帰と関連することが多くの研究で示されているが[1324],本研究では,これらの初期の知見を拡張するために,入院中のWHO疾患重症度スコアの最大値,退院先(LTACSNF,在宅),死亡率との関連,さらには,疾患重症度の確立された多変量臨床予測因子(I4C)を超える予後の識別など,独自の疾患重症度の測定法を追加した.さらに,血漿vRNAが検出された患者群の割合や血漿vRNAレベルについては,報告された内容に一貫性はない.具体的には,SARS-CoV-2 RNAが血漿中に検出されたのは,COVID-19入院患者の35%[13]から重症患者の88%[17]までで,いずれの研究でもRNA血症の患者は重症化する傾向が明らかになっている.このようなばらつきは,検査対象となるサンプルの種類(血漿または血清)や,使用したRT-PCR法の種類(digital droplet vs qPCR)および感度の違いに起因すると考えられる. ここで我々は,全入院患者の79%,重症患者(入院,ICU)の100%,中等症患者(入院,非ICU)の52.6%においてvRNAが検出されたことを報告する.今回の研究でvRNAが検出された患者の割合が高かったのは,血漿HIV-1 RNAqRT-PCRアッセイに基づいた超高感度の方法を用いたことが理由の可能性が高い(その検出限界LOD1コピー/ml[38]一部のウイルス粒子が血小板と結合する(some viral  particles associate with platelets)という結果は,血小板は血栓形成により血清から除去されるため,血小板を含む血漿サンプルの検査が,血中のSARS-CoV-2の存在を評価する上で血清よりも優れたサンプルタイプであることを示唆している今回のコホートはサンプル数が少ないにもかかわらず,我々は,COVID-19生存者は縦断的サンプルにおける血漿vRNAが統計的に有意に減少したのに対し,死亡者は有意に減少しなかったことを確認したが,この知見は暫定的であり,追加の研究で確認する必要がある同様に,レムデシビルなどの治療的介入が血漿vRNAに及ぼす影響が今回は認められなかったことも,より大規模な研究で確認する必要がある.観察期間中に疾患が進行した患者を含め,重症度の異なる患者からより広範な縦断的サンプリングを行い,介入方法を変化させることで,SARS-CoV-2血漿RNAの予後マーカーとしての有用性や抗ウイルス療法の指針となる知見がさらに得られると考えられる.

この報告は,血漿中のSARS-CoV-2 vRNAが,少なくとも部分的には血漿中のintactSARS-CoV-2ビリオンと関連していることを初めて示したものである.我々は,vRNAは,高速遠心分離後の上清と比較して,血漿のペレット分画に多く存在することがわかった. ほとんどのvRNAはペレット分画で検出されたため,ペレット化可能な構造物(ウイルス粒子や感染細胞など)に関連している可能性が高いが,一部のvRNAは上清に含まれていた.この実験結果から,このペレット化できないRNAは,血漿中にspiking(※加えられた)した後にfree RNAはすぐに分解されたことから,free vRNAである可能性は低いと考えられる.このRNAは,RNA結合タンパク質やウイルスあるいは細胞の断片で保護されたfree vRNAや,脂質または脂質を多く含む構造体に結合して密度が変化したウイルス粒子である可能性があり,その組成は個人によって不均一であると考えられる.免疫蛍光法,electron tomography,免疫電子顕微鏡法などの補完的な手法により,解析された患者血漿中にSARS-CoV-2ビリオンが存在することが確認された重要なのは,サンプル数が限られていたため,SARS-CoV-2ビリオンが感染性を持っているかどうかを判断できなかったことである.血液からSARS-CoV-2を培養する最適な方法は定義されていないが,最近の研究では,vRNA陽性の血清からVero E6細胞でSARS-CoV-2を培養することはできなかったことが示されている[20]この点については,SARS-CoV-2ビリオンの一部が血液中の血小板と結合していることから,血小板を多く含む血漿を用いれば,ウイルス培養の感度が向上する可能性があると考えられる今後の研究では,血液からのウイルス培養法を最適化し,血液中のビリオンが感染性を持つかどうか,また,血液中の感染細胞が(存在する場合),感染性ウイルスを産生するかどうかを検討する必要がある.血中のSARS-CoV-2ビリオンが感染性を持っていれば,多臓器への感染の播種につながると可能性が高い[4-12, 39] SARS-CoV-2が内皮細胞に直接感染するかどうかはまだ議論の余地があり[40],したがってSARS-CoV-2が血流に乗って肺外の臓器に感染するメカニズムは明らかではない.

中和抗体は,細胞への付着や侵入を防ぐことでウイルス感染に対抗する.したがって,重症患者において血液に播種した感染を除去するには,少なくとも部分的には,肺外臓器への播種を防ぐ中和抗体に依存することになる.我々の研究は,中和抗体価が血中のvRNAレベルと相関しないという他の研究結果と一致しており[16, 21],ウイルス血症患者のほとんどがすでに中和抗体応答を起こしていることが示唆され,重症患者における抗体ベースの治療法の価値に対する懸念を強調する.また,RNA血症と中和抗体応答との関連性を見出した研究もいくつかあり[22],この問題は未解決であり,さらなる調査が必要である.抗体がウイルス血症を抑制できないのは,重症患者において抗体の強さ(potency),特異性あるいは機能が最適でないことに起因すると考えられる[41, 42]我々は,検出可能なウイルス血症とより低い中和抗体価(<100)を持つ少数の患者群を確認したこの患者群では,抗体ベースの治療法が有効である可能性がある.実際,最近報告されたRECOVERY試験の結果では,血中にSARS-CoV-2に対する抗体が内因的に産生されていない患者にモノクローナル抗体(カシリビマブ+イムデビマブ)を投与したところ,中程度の転帰の改善が見られたと報告されている[33].臨床試験で得られた既存のデータセットを,ウイルス血症の定量化と治療前の内因性中和抗体のレベルに基づいて再解析することで,抗体治療に好反応を示す患者のサブグループを特定できるかもしれない.

以上のことから,SARS-CoV-2ウイルス血症は,COVID-19の疾患重症度と転帰の強力かつ独立したマーカーであることが示唆された.今後の調査では,ウイルス血症を予防または減少させる治療法が臨床転帰を改善するかどうかに焦点を当てる必要がある.B型肝炎[43]C型肝炎[44]HIV-1[45]などの他のウイルス感染症の抗ウイルス療法と同様に,ウイルス血症を標的とした臨床研究を行うことで,COVID-19に対する効果的な治療法の開発が加速する可能性がある.

 

 

Table 1:

 

 

Figure 1: SARS-CoV-2 RNA levels in plasma are associated with disease severity and  outcome. Plasma SARS-CoV-2 RNA levels (copies/ml) by location of clinical care at baseline  (A), severity of illness by WHO ordinal scale at baseline (B), and worst WHO scale during  hospitalization (C) for outpatient (n=9), inpatient non-ICU (n=19) and inpatient ICU (n=24).  Kaplan-Meier curves for time to discharge from hospital admission (D) and 60-day survival (E)  for inpatients (both ICU and non-ICU) stratified by high (>6,000 copies/ml) vs. low (=<6,000  copies/ml) initial viral RNA level. Plasma SARS-CoV-2 RNA levels (copies/ml) by outcome of  hospitalization among inpatients (F). Patients with undetected SARS-CoV-2 RNA in plasma are  represented by open circles and graphed as one half the LLOD.

 

 

Figure 2: SARS-CoV-2 RNA in plasma includes a pelletable fraction containing virus particles.  Percent of total recovered SARS-CoV-2 RNA detected in the pellet or supernatant fractions of  spiked-in control SARS-CoV-2 virus or plasma from 3 inpatients with COVID-19 centrifuged at  21,000 x g for 2 hours (A). Immunofluorescence of cytospin slides prepared from plasma of  COVID-19 inpatients PID3 (upper) and PID2 (lower) including the platelet marker CD41 (upper,  white; lower, blue), and SARS-CoV-2 S and N proteins (upper, red and green or yellow for  colocalization; lower, white) (B).

 

 

Figure 3: SARS-CoV-2 RNA in plasma includes a pelletable fraction containing SARS-CoV-2  virus particles. Electron micrographs of pelleted fraction of plasma from two independent  COVID-19 inpatients, PID2 (A, B and G) and PID1 (C-F). Montaged overview of a field of  platelets surrounded by amorphous plasma material and large clusters of fibrils, possibly  collagen (A and B). Tomographic reconstruction of the region indicated by the square in upper  left, showing a single presumptive SARS-CoV-2 virion within a membrane-bound compartment  of a platelet (B). Tomogram detail of the virion with notable core puncta, clearly delineated membrane bilayer and distinct surface spikes (B, red dots). 2D overview image of three platelets  (C). High-magnification tomographic slice of a presumptive SARS-CoV-2 virion within an  enclosed compartment of a platelet (D). Tomogram detail of a group of vesicles. Two spherical  structures conform to presumptive SARS-CoV-2 virions (E, red arrowheads). Tomogram of a  second platelet within the field, similarly surrounded by small vesicles (F). Tomogram detail of  the area indicated by the rectangle in F, showing 3 presumptive virions adjacent to the platelet  (F, inset). Presumptive virions were identified as described (Methods) and by comparisons with  analogous EM of SARS-CoV-2–infected cultured cells. Immuno-EM image from pelleted fraction  of plasma of PID2; presumptive SARS-CoV-2 virion labeled with anti-N (large 15 nm) gold  particle and anti-S (smaller 10 nm) gold particles (G).

 

 

Figure 4: Plasma SARS-CoV-2 RNA levels are not significantly correlated with SARS-CoV-2specific neutralizing antibody levels but are correlated with multiple host-response inflammatory  biomarkers in hospitalized patients. Correlations between SARS-CoV-2 RNA levels and anti  SARS-CoV-2 neutralizing antibodies measured by plaque reduction neutralization titer (PRNT)  assay (A), or the inflammatory biomarkers IL-8, IL-6, procalcitonin, suppressor of tumorigenicity  2 (ST-2), IL10 and pentraxin 3 measured in the plasma of COVID-19 inpatients (B). Red dots  represent non-ICU patients and blue dots represent ICU patients. Undetected values are  represented by open circles and graphed as one half the LLOD.

 

 

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