COVID-19関連追加(2021101日)

抗体カクテル療法についてその5(外来患者に対するREGEN-COV

★当院HP関連ファイル:

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Covid-19外来患者におけるREGEN-COV抗体コンビネーションとアウトカム】

Weinreich DM, et al. REGEN-COV Antibody Combination and Outcomes in Outpatients with Covid-19. N Engl J Med. Sep 29, 2021.

https://doi.org/10.1056/NEJMoa2108163.

Background

アダプティブ試験の第1-2相部分においてモノクローナル抗体カシリビマブとイムデビマブの組み合わせであるREGEN-COVは,Covid-19患者のウイルス量と医療機関の受診回数を減少させた.REGEN-COVは,現在のSARS-CoV-2 VOCsに対してin vitroで活性を有している.

Methods

TRIAL DESIGN AND OVERSIGHT:

Covid-19外来患者を対象とした本試験の第3相部分(phase 3 portion)は,コホート118歳以上の患者),コホート218歳未満の患者),およびコホート3(無作為化時に妊娠していた患者)で構成された.最初に、患者はREGEN-COV2400mg(カシリビマブとイムデビマブ各1200mg)または8000mg(各抗体4000mg)の用量で静脈内投与する群と、プラセボを静脈内投与する群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた(Fig. S1 in the Supplementary Appendix, available with the full text of this article at NEJM.org).

本試験の第1-2相部分,すなわち2400mg8000mgの投与量で同等の抗ウイルス効果と臨床効果が得られ,臨床イベントのほとんどが高リスクの患者で発生したことが示されたという結果を踏まえて15),本試験は20201114日に修正され,その後登録された患者は重症Covid-19のリスク因子を少なくとも1つ持ち,1200mg(各抗体600mg)または2400mg(各抗体1200mg)のREGEN-COV静脈内投与群,またはプラセボ静脈内投与群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた.2021225日,独立したデータ・安全性モニタリング委員会の勧告に基づき,患者はプラセボ群に無作為に割り付けられなくなった.今回発表された第3相主要評価解析は,REGEN-COV 2400mgまたは1200mgの投与に割り当てられたコホート1の患者が対象である(同時に投与されたプラセボ群が対照); コホート2および3を対象とした試験は進行中である.

Regeneron社は,本試験をデザインし,試験責任医師とともにデータを収集し,データを解析した.独立したデータ・安全性監視委員会が盲検化されていないデータを検討し,試験の変更および終了に関する勧告を行った.

本試験は、ヘルシンキ宣言の原則,International Council for Harmonisation Good Clinical Practiceガイドライン,および適用されるすべての規制要件に従って実施された.各試験施設の施設審査委員会または倫理委員会が,試験の実施と文書化を監督した.すべての患者から,試験に参加する前に書面によるインフォームド・コンセントを得た.

PATIENTS:

コホート1の適格者は,18歳以上で非入院患者であった.これらの患者は,SARS-CoV-2陽性の診断結果が無作為化の72時間前までに確認され,試験責任医師によって判断されたCovid-19症状が無作為化の7日前までに認められた.最初の第3相部分では,国,および重症Covid-19のリスク因子の存在によって無作為化が行われた.修正された第3相部分では,重症Covid-19のリスク因子を少なくとも1つ持つ患者のみが適格性ありとされた.対象者および除外基準の一覧は,NEJM.orgで公開されているプロトコルに記載されている.

すべての患者は,ベースラインにおける抗SARS-CoV-2抗体(抗スパイク[S1]IgA, 抗スパイク[S1]IgG, 抗ヌクレオカプシドIgG)が評価され,そして解析のために血清抗体陰性(入手可能な検査結果がすべて陰性の場合),血清抗体陽性(入手可能な検査結果がすべて陽性の場合),その他(結論が出ないまたは不明な結果)に分類された.

INTERVENTION AND ASSESSMENTS:

ベースライン(1日目)に,REGEN-COV(通常の生理食塩水で希釈したもの)または生理食塩水のプラセボを静脈内に投与した.これらの溶液は区別がつかず,試験の実施とは無関係の有資格者が調製した.入院は,試験責任医師により,Covid-19関連と評価された.Covid-19症状を毎日評価するために,電子日誌である23項目の「Symptoms Evolution of COVID-19」を使用した17).鼻咽頭スワブの定量ウイルス学的解析と血清抗体検査は,過去に報告されたように,中央検査室で行われた16)

END POINTS:

主要エンドポイントおよび2つの主要副次エンドポイント(key secondary end points)は段階的に検査された(Table S1).主要エンドポイントは,29日目までに少なくとも1回のCovid-19関連入院または何らかの原因による死亡が発生した患者の割合であった主要副次臨床エンドポイントは,4日目から第29日目までに少なくとも1回のCovid-19関連入院または何らかの原因による死亡が発生した患者の割合,およびCovid-19症状が消失するまでの時間としたdetails are provided in the Supplementary Methods section.症状の消失というエンドポイントについては,記録された23の症状のうち19の症状に関するデータを解析した.

本試験では,対象となる有害事象データが収集された,安全性エンドポイントは,重篤な有害事象および特別な関心がある有害事象(グレード2以上の過敏症,輸液関連反応,医療機関での診察が必要な有害事象)で構成された.

 

 

STATISTICAL ANALYSIS:

今回の解析のための統計解析計画(available with the protocol)は,第3相コホート1のデータベースロックおよび盲検化解除の前に最終決定された; 主要解析には既報の試験の第1-2相部分の患者15)16)は含まれなかった.全解析セットには,無作為化を受けたすべての症状のある患者が含まれていた.統計解析計画で事前指定されたとおり,有効性解析は,中央検査機関で定量逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査の方法によって,ベースライン時にSARS-CoV-2陽性であることが確認され,かつ重症Covid-19のリスク因子を少なくとも1つを持つ患者全員と定義された,修正済み全解析セットで行われた.また,重症Covid-19のリスク因子を持たない患者についても追加解析を行った.安全性は,REGEN-COVまたはプラセボを投与された全解析対象患者で評価した.

少なくとも1回のCovid-19関連入院または何らかの原因による死亡が発生した患者の割合を,国を層別化因子とした層別化Cochran-Mantel-Haenszel検定を用いて,各投与量群と同時に投与されたプラセボ群とで比較した.Covid-19症状が消失するまでの時間は,ベースラインの重症度スコア合計が3を超える(038のスケールで,スコアが大きいほど症状の負担が大きいことを示す)患者を対象に評価し,国を層別化因子とした層別化log-rank検定を用いて解析した.時間の中央値と関連する95%信頼区間は,Kaplan-Meier法を用いて算出した.ハザード比と95%信頼区間は,Cox回帰モデルを用いて推定した.

主要エンドポイントおよび主要副次エンドポイントの解析は,第一種過誤を抑制するために階層的な検定方法を用いて,0.05の両側アルファレベルで実施した.その他の副次エンドポイントおよび解析結果の報告においては,信頼区間の幅を多重性(multiplicity)で調整しなかった.統計解析は,SAS ソフトウェア 9.4SAS Institute)を用いて行った.その他の統計手法については,統計解析計画書に記載した.

Results

Summary:

Covid-19関連入院または何らかの原因による死亡は,REGEN-COV 2400mg群では1355人のうち18人(1.3%)および無作為化を同時に行ったプラセボ群では1341人のうち62人(4.6%)に発生した(相対リスク減少[1−相対リスク], 71.3%; P< 0.001; これらの結果は,REGEN-COV 1200mg群では736人のうち7人(1.0%),無作為化を同時に行ったプラセボ群では748人のうち24人(3.2%)に発生した(相対リスク減少, 70.4%; P= 0.002症状が消失するまでの時間(中央値)は,各REGEN-COV用量で,プラセボよりも4日短縮された10 vs 14; いずれの比較もP< 0.001REGEN-COVは,ベースライン時にSARS-CoV-2血清抗体が陽性であった患者を含む,さまざまなサブグループで有効であった.どちらのREGEN-COV用量もプラセボよりも早くウイルス量を減少させた; ベースラインから7日目までのウイルス量の最小二乗平均差は,1200mg群で−0.71 log10 copies/ml95%信頼区間[Cl], 0.90-0.53),2400mg群で−0.86 log10 copies/ml95%CI, 1.00-0.72)であった.重篤な有害事象は,プラセボ群(4.0%)が1200mg群(1.1%)および2400mg群(1.3%)よりも多く発生した.グレード2以上の輸液関連反応は,全群で0.3%未満であった.

REGEN-COVは,Covid-19関連入院や何らかの原因による死亡リスクを減少させ,プラセボよりも迅速に症状を消失させ,SARS-CoV-2ウイルス量を減少させた.(Regeneron Pharmaceuticals社などが資金提供; ClinicalTrials.gov number, NCT04425629.

 

TRIAL POPULATION:

患者は2020924日〜2021117日の間に登録された.最初に,試験のオリジナル第3相部分では,重症Covid-19のリスク因子の有無にかかわらず,3088人の患者がREGEN-COV8000mgまたは2400mg)またはプラセボの単回静脈内投与に無作為に割り付けられた.また,試験の修正済み第3相部分では,重症Covid-19のリスク因子を少なくとも1つ持つ患者2519人が,REGEN-COV2400mgまたは1200mg)またはプラセボの単回投与に無作為に割り付けられた(Figure 1).フォローアップの中央値は45日で,96.6%の患者が28日を超えてフォローアップされた.

主要有効性集団には,重症Covid-19のリスク因子を少なくとも1つ持ち,ベースライン時に中央検査室でSARS-CoV-2検査が陽性であることが確認された患者が含まれた(修正済み全解析セット)(Figure 1).修正済み全解析セットに含まれる4057人の患者のうち,人口統計的特性およびベースラインの医学的特性は,REGEN-COV群とプラセボ群の間でバランスが取れていた(Table 1, and Table S2).修正済み全解析セット全体では,年齢の中央値は50歳(IQR, 38-59),65歳以上が14%,男性が49%,ヒスパニック系が35%であった; 最も一般的なリスク因子は,肥満(58%),50歳以上の年齢(52%),心血管疾患(36%)だった.また,合計3%の患者が免疫不全であった(Table S3).

鼻咽頭RT-PCRによるウイルス量の中央値は6.98 log10 copies/mlrange, 5.45-7.85)で,患者の大部分(69%)はベースライン時にSARS-CoV-2血清抗体が陰性であった.ウイルス量の中央値が高く,ベースライン時に内因性免疫応答が見られなかったことから,登録患者は感染の早期段階にあると考えられた無作為化の時点で,患者はCovid-19症状が中央値で3日(IQR, 2-5続いていたと報告した.無作為化時の鼻咽頭ウイルス量,血清抗体陰性の状態,Covid-19症状の期間中央値は,試験群間で同様であった.REGEN-COV8000mg)修正済み全解析セットおよび同時投与のプラセボ群の患者の人口統計的特性およびベースラインの医学的特性をTable S4に示す.

Figure 1: Screening, Randomization, Treatment, and Analysis.

In the original phase 3 portion of the trial, Regeneron requested that 2, 1, and 5 patients in the placebo, REGEN-COV 2400-mg, and REGEN-COV 8000-mg groups, respectively, withdraw from the trial because these patients underwent randomization in error. In the amended phase 3 portion of the trial, Regeneron requested that 2, 4, and 2 patients in the placebo, REGEN-COV 1200-mg, and REGEN-COV 2400-mg groups, respectively, withdraw from the trial because these patients underwent randomization in error. The modified full analysis set included all patients who were confirmed by means of quantitative reverse-transcriptase–polymerase-chain-reaction testing at a central laboratory to be positive for severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 at baseline and who had at least one risk factor for severe coronavirus disease 2019 (Covid-19).

 

 

Table 1: Baseline Demographic and Clinical Characteristics of Patients in the Modified Full Analysis Set.

NATURAL HISTORY OF COVID-19 IN OUTPATIENTS:

プラセボを投与された患者の中では,ベースラインのウイルス量とCovid-19関連入院または何らかの原因による死亡との間に関連性が認められた.ベースラインのウイルス量が高い(>106 copies/ml)患者876人のうち55人(6.3%)が入院または死亡したのに対し,ウイルス量が低い(≦106 copies/ml)患者457人のうち6人(1.3%)が入院または死亡した(Table S5

 

ベースライン時に血清抗体陰性であったプラセボ群の患者は,血清抗体陽性であった患者よりも,ベースライン時のウイルス量の中央値が高かった(それぞれ7.45 log10 copies/ml, 4.96 log10 copies/mlまた,ベースライン時に血清抗体陰性だったプラセボ群の患者では,ウイルス量が定量下限値を下回るまでに時間がかかった(Fig. S2

このような集団レベルの観察結果にもかかわらず,プラセボを投与された患者のベースラインの血清抗体状態は,その後のCovid-19関連入院や何らかの原因による死亡を予測するものではなかったというのも,これらのアウトカムの発生率は,血清抗体陰性の患者と血清抗体陽性の患者でほぼ同じだったからである(930人のうち49[5.3%] vs 297人のうち12[4.0%]血清抗体陽性が入院や死亡率低下の予測因子にならなかったことから,免疫応答が有効でない患者がいることが示唆された例えば,血清抗体陽性であっても疾患が進行して入院や死亡に至ったプラセボ群の患者は,血清抗体陰性で入院や死亡に至ったプラセボ群の患者と同様に,ベースラインおよび7日目のウイルス量が高かったTable S6

EFFICACY:

Primary End Point:

Covid-19関連入院または何らかの原因による死亡は,REGEN-COV 2400mg群では1355人のうち18人(1.3%)および無作為化を同時に行ったプラセボ群では1341人のうち62人(4.6%)に発生した(相対リスク減少[1−相対リスク], 71.3%, 95%信頼区間[CI], 51.7-82.9; P< 0.001; これらのアウトカムは,REGEN-COV 1200mg群では736人のうち7人(1.0%),無作為化を同時に行ったプラセボ群では748人のうち24人(3.2%)に発生した(相対リスク減少, 70.4%; 95%CI, 31.6-87.1; P= 0.002Table 2, Figure 2A and 2B, and Table S7有効性評価期間中に死亡したのは5人で,REGEN-COV 2400mg群で1人,REGEN-COV 1200mg群で1人,プラセボ群で3人であったCovid-19関連入院または何らかの原因による死亡は,ベースライン時に血清抗体陽性であった患者を含め,サブグループ間で同様の減少が認められた(Table 2, and Fig. S3REGEN-COVは,あらゆる原因による入院やあらゆる原因による死亡の減少とも関連していた(Table S8

 

 

Table 2: Hierarchical End Points.

Figure 2: Clinical Efficacy.

Panel A shows the percentage of patients who were hospitalized or died from any cause in the amended phase 3 portion of the trial. Panel B shows the percentage of patients who were hospitalized or died from any cause in the original and amended phase 3 portions of the trial combined. Panel C shows the time to resolution of symptoms in the amended phase 3 portion of the trial. The lower and upper confidence limits are shown.

 

 

 

 

Key Secondary End Points:

Covid-19関連入院またはあらゆる原因による死亡の患者の割合における群間の差は,患者がREGEN-COVまたはプラセボを投与された13日後から認められた(Figure 2A and 2B.これらの最初の13日以降,REGEN-COV 2400mg群の1351人のうち5人(0.4%),REGEN-COV 1200mg群の735人のうち5人(0.7%),REGEN-COV 2400mg群と同時に無作為化されたプラセボ群の1340人のうち46人(3.4%),REGEN-COV 1200mg群と同時に無作為化されたプラセボ群の748人のうち18人(2.4%)がCovid-19に関連して入院または死亡した(Table 2 and Fig. S4).

Covid-19症状が消失するまでの時間(中央値)は,どちらのREGEN-COV用量群でもプラセボ群より4日短かった(それぞれ10 vs 14; それぞれP< 0.001Table 2 and Figure 2C.いずれの用量のREGEN-COVでも,Covid-19症状のより迅速な消失が3日目までに明らかになった.いずれのREGEN-COV 用量も,サブグループ間で症状の消失における同様の改善と関連していた(Fig. S5).

Other Secondary End Points and Additional Analyses:

Covid-19関連入院の発生率は,REGEN-COVを投与された患者の方が,プラセボを投与された患者よりも低かった(Table S9).Covid-19が原因で入院した患者の間では,REGEN-COV群の方がプラセボ群よりも入院期間が短く,集中治療室(ICU)への入室発生率も低かった(Table S10).

29日目までのCovid-19関連入院,救急部受診,または何らかの原因による死亡は,REGEN-COV群の方がプラセボ群よりも少なく(Table S11),REGEN-COV群ではCovid-19が悪化して医療機関へ受診(入院,救急部受診,緊急治療クリニックや医院への受診,遠隔医療受診),または何らかの原因による死亡に至った患者も少なかった(Table S9).REGEN-COV8000mg投与時の臨床効果をTables S12およびS13に示す.

全体としては入院や死亡は少なかったが,重症Covid-19のリスク因子を持たない症候性患者における,少なくとも1回のCovid-19関連入院または何らかの原因による死亡は,REGEN-COV群ではプラセボ群に比べて少なかった(Table S14リスク因子を持たない患者では,REGEN-COVを投与された患者は,プラセボを投与された患者よりも,症状が消失するまでの期間が23日短かったこれらのデータを総合すると,重症Covid-19のベースラインリスク因子の有無にかかわらず,REGEN-COVの有益性の可能性が示された

いずれのREGEN-COV用量も,プラセボと比較して同等かつ急速にウイルス量が低下したREGEN-COV 1200mg2400mg8000mgとプラセボの間で,ベースラインから7日目までのウイルス量の最小二乗平均差は,それぞれ−0.71 log10 copies/ml95%CI, 0.90-0.53),−0.86 log10 copies/ml95%CI, 1.00-0.72),−0.87 log10 copies/ml95%CI, 1.07-0.67)であった(Figs. S6-S8).

SAFETY:

重篤な有害事象が発生した患者は,REGEN-COV3群(1.1-1.7%)に比べ,プラセボ群(4.0%)で多かったTable 3.死亡に至った有害事象は,プラセボ群1843人のうち5人(0.3%)で,REGEN-COV群に比べて多かった; 1200mg827人のうち1人(0.1%),2400mg1849人のうち1人(0.1%未満),8000mg1012人では0人であった(Table 3 and Table S15).ほとんどの有害事象はCovid-19の合併症と一致しており(Table S16),その大部分は試験責任医師によって治験薬との関連性はないと判断された。グレード2以上の輸液関連反応(プラセボ群では0; 1200mg群では2, 2400mg群では1, 8000mg群では3人),あるいは過敏症反応(プラセボ群では1, 2400mg群では1人)はほとんど認められなかった(Table 3REGEN-COV用量間で同様の安全性プロファイルが観察され,安全性イベントの明確な不均衡は見られなかった.

 

 

Table 3: Serious Adverse Events and Adverse Events of Special Interest in the Safety Population.

PHARMACOKINETICS:

血清中のカシリビマブおよびイムデビマブの平均濃度は,用量に比例して増加し,単回静脈内投与の線形薬物動態と一致していた(Table S17).点滴終了時の血清中のカシリビマブおよびイムデビマブの平均濃度(±SD)は,REGEN-COV 1200mg群ではそれぞれ185±74.5mg/l192±78.9mg/lREGEN-COV 2400mg群ではそれぞれ321±106mg/l321±112mg/lであった.29日目の血清中のカシリビマブおよびイムデビマブの平均濃度は,REGEN-COV 1200mg群ではそれぞれ46.4±22.5mg/l38.3±19.6mg/lREGEN-COV 2400mg投与群ではそれぞれ 73.2±27.2mg/l60.0±22.9mg/lであった.平均推定半減期は,カシリビマブが28.8日,イムデビマブが25.5日であった.

 

 

Discussion

本試験の第1-2相部分の過去のデータでは,REGEN-COVCovid-19外来患者のウイルス量を低下させ,Covid-19に関連する医療行為の必要性を減少させ,入院リスクが減少する可能性が示された15)16).今回発表された第3相臨床アウトカムデータは,重症Covid-19のリスク因子を持つ外来患者にREGEN-COVを早期に使用することで,入院や何らかの原因による死亡リスクを減少できるというこれらの知見と一致し,またそれを裏付けるものであった.いずれのREGEN-COV用量(1200mg および2400mg)は,治療後28日間にわたり,Covid-19関連入院または何らかの原因による死亡を減少させた.死亡者数が少なかったため,死亡率におけるREGEN-COVの効果を評価することはできなかった.入院患者では,REGEN-COVにより入院期間が短縮され,ICUレベルの治療の発生率が低下した.またREGEN-COVはプラセボと比較して,いずれの用量でも中央値で4日以内にCovid-19症状を消失させた.したがって,Covid-19外来患者にREGEN-COVを単回投与によって,入院やICUレベルのケアを含むmorbidityが減少し,それによって患者のアウトカムが改善し,このパンデミック時の医療負担を軽減できる可能性がある.さらに,REGEN-COVCovid-19からの回復を早めることができ,軽症を含む一部の患者では,回復経過の延長が様々である証拠が増えてきているため19)-21),これは患者にとってさらなるメリットとなる.

我々は,疾患経過には宿主因子が関与しているものの,SARS-CoV-2感染に伴う疾患や死亡リスクはより高いウイルス量レベルに影響されており,抗スパイクモノクローナル抗体コンビネーションを早期に行うことで,このリスクを減少できるのではないかという仮説を立てた16).この仮説を裏付けるように,プラセボ群における,Covid-19関連入院または死亡患者は,入院および死亡しなかった患者に比べて,ベースラインのウイルス量が高く,ウイルスクリアランスがより遅いことがわかった.我々は,ベースラインのより高いウイルス量は,ベースラインのSARS-CoV-2血清陰性状態と関連があることがわかっているため,この試験部分では,プラセボを投与された患者のベースラインの血清状態の影響も同様に評価した.本試験の第1-2相部分における最初の275人の患者を対象とした解析では,プラセボを投与された患者のうち,ベースラインで血清抗体陰性だった患者は,ベースラインで血清抗体陽性だった患者に比べて,Covid-19に関連した医療機関受診の発生率が高かったことがわかった.一方,今回の大規模な第3相データセットでは,ベースライン時に血清抗体陽性であったプラセボ群の患者は,血清抗体陰性の患者と同程度の入院または死亡の発生率であった.このことは,血清抗体陽性患者の中には免疫応答が効果的ではない患者がいることを示唆しており,本試験でプラセボを投与された患者のうち,血清抗体陽性でCovid-19関連入院または死亡した患者のベースラインのウイルス量が,血清抗体陰性でこれらのイベントが発生した患者のウイルス量と同程度に高かったという知見と一致する.さらに,本試験では,ベースラインの血清抗体の状態にかかわらず,REGEN-COVが臨床的有用性と関連していることが示されたため,Covid-19診断時の血清検査は,臨床治療決定を行う上でそれほど重要ではない.

REGEN-COV 1200mg2400mgのいずれの用量も,抗ウイルス効果と臨床効果は同等であった.この知見は,本試験においては,REGEN-COV濃度が最小有効量を超えていたことを示唆している.両用量とも,ウイルスクリアランスまでの時間はプラセボに比べて早く,特にウイルス量の高い患者のウイルス量を減少させた.

また,重篤な有害事象,過敏症,輸液関連反応の発生率は低かった,以前に報告された結果と同様に16),輸液終了後から29日目までの血清中の各抗体濃度は,in vitroおよびpreclinical試験データに基づいて予測された中和目標濃度を十分に上回っていた.

抗ウイルス剤による治療の間,あるいは国際社会における循環によって,SARS-CoV-2の耐性変異ウイルスが出現するため,効果的なCovid-19治療薬やワクチン開発における困難さは今後も続くだろう.In vitro研究やin vivo動物実験では,REGEN-COVのような競合しない抗体ベースの治療薬を組み合わせることで,耐性変異ウイルスの出現を抑えることができることが示されている12)-14).また,REGEN-COVは,Covid-19患者1000人(本試験の外来患者または別の試験[ClinicalTrials.gov number, NCT04426695.]の入院患者を含む)を対象としたスパイクタンパク質のゲノム多様性の解析において,SARS-CoV-2変異ウイルスの選択に対して防御的であることが明らかになった14)さらに,REGEN-COVコンビネーション抗体療法は,B.1.1.7α),B.1.351β),B.1.617.2δ),P.1γ)など,現在循環しているVOCsVOIsに対してin vitroで有効性を示した9)14)

REGEN-COV2400mg用量は,ハイリスクの軽症〜中等症Covid-19外来患者の治療を目的として,202011月に米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可(EUA)を取得した22)20216月には,この試験で1200mg用量でも2400mg用量と同等の入院あるいは死亡リスクの減少とウイルス学的有効性が示されたことから,1200mg用量でEUAを取得した(2400mg用量に代わるもの)22)REGEN-COV は,ハイリスクのCovid-19外来患者に対する米国国立衛生研究所(NIH)の治療ガイドラインにも含まれている23)Covid-19外来患者を対象としたこの第3相試験データでは,REGEN-COV 1200mgは,2400mgと同様に,Covid-19関連入院または死亡リスクを減少させ,回復までの時間を早めることが示された

 

 

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Supplementary appendix